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(前回の続き)
もう一つの細かい問題も、違反行為と差止の対象との関係に関するものです。
本決定による差止命令の内容は、「Y1らは、いずれも金融商品取引法29条所定の登録(ただし、第一種金融商品取引業を行う者としての登録)その他同法所定の適式の登録を受けずに、株券、新株予約権証券又はこれらに表示されるべき権利であって株券若しくは新株予約権が発行されていない場合における当該権利について、売買、売買の媒介若しくは代理又は募集若しくは私募の取扱いを業として行ってはならない」というものです。
この差止命令を発するために裁判所は、A会社の株式、新株予約権の取得勧誘を繰り返し行っていたことのほか、同様に4つの会社の株式について勧誘行為を繰り返していたことを、Y1らの自認によって認定しています。なぜ4社の株式についての勧誘行為を認定したのか考えてみると、4社の株式には、すでに発行された株式の勧誘行為が含まれており、裁判所は、これらの勧誘行為が、有価証券の売買の媒介又は募集若しくは私募の取扱いのいずれかに該当すると認定しているのです。つまり、このような認定は、差止の対象として、新規発行株式等の勧誘だけでなく、既発行株式等の勧誘を含めるためだったのではないかと思われるのです。
それでは、4つの会社の株式の勧誘行為についてY1らの自認がなければ、裁判所は、既発行証券の売買の媒介等を差し止めることができなかったのでしょうか。私はそうは思いません。裁判所は、A会社や4社の株式等だけでなく、銘柄を問わず株式・新株予約権の勧誘の差止を認めています。未公開株を勧誘する無登録業者は、銘柄を問わないでしょうから、銘柄を限定した差止では意味がないので、この判断は妥当です。そうだとすると、同様に、未公開株の勧誘業者は、株式が新規発行のものか既発行のものかを問わないでしょうから、違反行為が新規発行に係るものであったとしても、既発行の株式の勧誘も差し止めることが認められるべきです。そしてこのような解釈を正面から認めるためにも、緊急差止命令制度の目的(の一つ)が、繰り返される将来の違反行為の差止であることをはっきりさせる必要があると思うのです。
この決定については、他にも論ずべき点がありますが、それらについては判例評論(近刊)をご覧下さい。
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2011年09月11日
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