|
【公開買付説明書に係る責任】
重要な虚偽記載等のある公開買付説明書その他の表示を使用して株券等の売付け等をさせた者は、虚偽記載等を知らないで公開買付けに応じて株券等の売付け等をした者が受けた損害を賠償する責任を負うとされています(27条の19による17条の準用)。ただし、公開買付説明書等の使用者が、相当な注意を用いたにもかかわらず虚偽記載等を知ることができなかったことを証明したときは、責任を負いません(同条)。目論見書の使用者の責任(17条)に相当する規定です。
この規定は、①無過失の立証責任を被告に負わせている点、および②被告が実際に「相当な注意を用いた」ことが免責の要件とされており、公開買付説明書等の使用に際して相当な注意を用いなかった場合には、因果関係不存在の抗弁を被告が用いることができない点で、不法行為(民709条)に基づく損害賠償請求の特則となっています。その他の表示には口頭の表示も含まれるでしょう。
公開買付届出書を提出せずに売付け等の申込みの勧誘をした者、公開買付説明書を交付しないで株券等の買付け等をした者は、公開買付けに応じて株券等の売付け等をした者に対して、違反行為により生じた損害を賠償する責任を負います(27条の16による16条の準用)。公開買付届出書、公開買付説明書の情報によって投資者の提供判断が行われるよう確保するための規定といえます。
届出書を提出せずに勧誘をした者には、公開買付者のほか、勧誘行為に従事したすべての者が含まれるでしょうが、公開買付説明書を交付しないで買付け等をした者とは、金商法16条の場合と異なり、公開買付者または違法な買付けの主体に限られることになるでしょう。本条の損害賠償責任は無過失責任ですが、損害の額は売付者(株券等の所有者)が立証しなければなりません。
【取引規制に係る民事責任】
主として取引規制違反を抑止する目的で、公開買付けの取引規制違反に対する損害賠償責任を定める規定がいくつか置かれています。
第1に、別途買付けの禁止に違反した公開買付者等(公開買付者と特別関係者、27条の3第3項)は、公開買付けに応じて株券等の売付け等をした者に対して、
(別途買付けにおける買付価格−公開買付価格)×
売付者の応募株券等の数(按分比例方式により売付け等ができなかったものを除く)
により算定される賠償額を支払う義務を負います(27条の17)。別途買付けと同じ価格で公開買付けが行われたと仮定した場合に売付者が得ることのできた価額を売付者に与えるものです。この額は、別途買付けにより売付者が被った損害の額とは言い切れない部分を含んでいるので、本条は損害の填補というよりも、別途買付けによる利益を買付者から剥奪して違反を抑止することを主目的とするものであるといえるでしょう。
第2に、公開買付者は、応募された株券等について公開買付届出書に記載した買付条件により決済を行わなければならないところ(27条の13第4項)、これに違反して、一部の応募者から公開買付価格より有利な価格で買付け等を行ったときは、他の応募者に対して、
(有利な買付価格−公開買付価格)×
売付者の応募株券等の数(按分比例方式により売付け等ができなかったものを除く)
により算定される賠償額を支払う義務を負うとされています(27条の18第1項、2項1号)。買付価格の点で投資者の平等取扱いを確保するための民事責任規定ですね。
第3に、公開買付者は、応募株券等の数の合計が買付予定の株券等の数を超えるときは、按分比例により買付株券を決定しなければならないところ(27条の13第4項2号)、これに違反して、按分比例方式と異なる方式で買付けをしたときは、そのために買い付けられなかった応募者に対し、
〔公開買付価格−損害賠償請求時の市場価格(すでに処分しているときは処分価格)〕×(応募株券等の数のうち買い付けられなかった数)
により算定される賠償額を支払う義務を負います(27条の18第1項、2項2号)。買付株数の点で投資者の平等取扱いを確保するための民事責任規定であるといえるでしょう。
|
過去の投稿日別表示
-
詳細
2012年06月29日
全1ページ
[1]
コメント(0)
全1ページ
[1]





