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前回の記事では、インサイダー取引規制の改正条文を順次取り上げていくと書きましたが、忙しくてその時間はないようです。
 
インサイダー取引規制の改正については、3つの雑誌から原稿を依頼されました。まず、金融法務事情からは、公開買付け等に係るインサイダー取引規制をテーマとして、16000字で。これは、インサイダー取引規制に関する特集に載る原稿で、25年改正の3分の1程度の内容ですので、分量としては16000字は長すぎです。でも、何とか論点を考えて、かなり自由に書きました。10月25日号に掲載予定。
 
つぎに、ジュリストからは、インサイダー取引に係る平成25年改正と平成24年改正の政府令事項の部分を、8000字で。こちらは、金商法・銀行法等の改正の特集に載る原稿で、インサイダー取引に係る改正全部ですから、8000字ではとても足りません。概括的な解説になってしまいましたが、少しだけ自分の考えも書きました。10月25日発売の11月号に掲載予定。
 
第3に、商事法務からは、インサイダー取引規制に係る平成24年・25年改正の座談会。テーマはジュリストのものと重なりますが、座談会なのでOKと言われました。これについては、司会者の進行案で予定された質問に対する答えの原稿を用意して、発言し、あとは流れに任せます。10月5・15日合併号に掲載予定。
 
このように締切の時期が重なっていたので苦しかったのですが、集中して改正法を見ることはできました。ブログで網羅的に論じることは避けますが、前回、インサイダー取引の教唆・幇助犯と情報伝達・取引推奨行為の関係を考えたときに、一つ抜けていた面白い論点に気づきましたので、書き留めておきたいと思います。
 
前回述べたように、インサイダー取引の教唆・幇助は課徴金の対象ではありません。今回の改正の一つの目的は、教唆や幇助が成立しない段階における情報伝達・取引推奨を処罰の対象とすることにありました。このような改正の趣旨を重視すると、教唆・幇助が成立する場合には、情報伝達・取引推奨の罪は成立しないかのようにも思われます。しかし、課徴金賦課の局面でみると、教唆・幇助が成立しても課徴金は課されないのに、なぜそれより悪性の低い情報伝達・取引推奨に課徴金が課されるのか?という疑問が生じます。
 
立法論としては、教唆・幇助も課徴金の対象とするべきだと考えますが、現行法の解釈でなんとかならないでしょうか。情報伝達罪の構成要件を見ると、取引を行わせて利益を得させる目的で情報を伝達すれば構成要件に該当し、取引について実行行為者との間で意思の疎通がある場合であっても構成要件該当性は否定されていません。そうだとすると、実行行為者との間で意思の疎通があり、教唆・幇助が成立する場合でも、情報伝達罪への該当性は否定されず、したがって課徴金を課すことができるのではないでしょうか。また、取引推奨については、実行行為者に情報を伝達した場合であっても、取引推奨罪の構成要件該当性は否定されません。したがって、実行行為者に情報を伝達し、教唆に該当する可能性がある場合でも、取引推奨罪は成立し、課徴金を課すことができるのではないでしょうか。
 
この解釈が間違いないという自信はありません。思わぬ見落としをしている可能性もあります。金融法務事情の特集では、刑法の先生が教唆・幇助との関係を論じられるようなので、読者の皆さんはそちらを参考にしてください。私のジュリストの原稿は全体をカバーしなければならず、上の問題に気づいてしまい、かつ刑法の先生の意見を聞く機会がなかったので、自分の解釈を書いてしまいました。
 
何かお気づきの点があれば、ご指摘をお願いします。校正に反映させます。

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