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中国の重慶にある西南政法大学に招かれて、「契約法の観点からの会社法・金融法の適用」という学会に参加してきました。テーマからは契約の束としての会社法とか定款自治が思い浮かびますが、現にその通りで、アメリカの契約主義者の思想はすでに中国に及んでいるんだと感じました。とはいえ、参加者は中国各地、韓国、日本とイギリス(1名)で、アメリカからの参加はなかった模様です。

私はテーマと少し離れますが、上場契約によるある種の規範の適用と勝手に捉えて、日本のコーポレートガバナンス・コードを若干批判的に紹介する話をしました。概要は次の通りです。

・日本のガバナンス・コードは、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を目的として設定し、これを達成する手段としてステークホルダーとの協働を強調していること。
・経営陣はステークホルダーとの協働を確保しつつ、会社や株主共同の利益のために行動するべきであるとする原則4−5は、会社法学の主流の立場からは違和感があること。
・「攻めのガバナンス」を勧める原則4−2は、取締役会の監督機能を放棄せよといっているように読めること。
・最近の企業実務において、ガバナンス・コード(たとえば原則4−2、補充原則4−2①など)に沿った経営が推奨され、会社の中長期的な業績に連動する報酬として、アメリカのリストリクテッドストックに相当する譲渡制限付株式の導入が大々的に奨められており、業績連動型報酬を普及させたいがためにガバナンス・コードを策定したといわれても仕方のない状況にあること。
・補充原則4−11③に見られるように、原則の趣旨を理解しないで「遵守した」と表明している例が見受けられ、違反に対する制裁がないとはいえ、原則の趣旨を解釈する法学者の作業が必要であること。
・会社内のダイバーシティを求める原則2−4、取締役会内のダイバーシティを求める4−11の遵守率が、それぞれ99.5%、94.8%と異様に高く、実態を反映していない(Global Forum(2)に記載したドイツのガバナンス・コードと比較せよ)。これはどのようにも解釈できるプリンシプルベースの規範の限界であり、真に社会政策を実現したいのであれば、プリンシプルの書き振りを工夫すべきである。

写真は、重慶の前に立ち寄った成都郊外の都江堰(秦代からの水利施設で写真は運河部分。世界遺産)と重慶の夜景
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発行開示を扱う第2章は、技術的な事項が多いため、どうしても長くなってしまいます。アメリカのケースブックでは、全体の半分近くを割いて33年法を説明しています。弁護士にとって開示の適用除外(私募の範囲)は飯のタネだからでしょう。本書は、実務家に対して理論を提供することを目的としているので、内閣府令の説明を細部まで行うことは避けました。ただ、なぜプロ私募の転売要件が一般投資家への転売禁止で、少人数私募の転売要件が一括譲渡以外の転売禁止なのかといった制度の考え方は伝わるようにしました。

発行開示は最近、改正が多かった箇所なので、自分の意見も随所に入れて(なぜ、最近の改正が多いと自分の意見が書けるかというと、雑誌等に改正法の解説論文を依頼されることを通じて考える機会を与えられ、自分の意見を述べてきたからです)、飽きないように工夫したつもりです。

開示内容の説明部分では、企業情報についての説明は第4章に譲ることは当然として、資産金融型証券の記載事項を示した点は新しいかなと思います。それらにおいて仕組みの開示も重要であることを知ってもらいたかったからです。投資信託は11章で、資産流動化は2章の最後に出てくるので、やや分かりにくいかも知れません。

資産流動化の話を2章の最後に付しました。資産流動化を投資信託と並べて説明する方法もあると思いますが、資産流動化は資金調達の話、投資信託は資産運用の話と割り切って、切り離しました。どちらも仕組規制の話も書くわけなので、「ディスクロージャー」に収まりきれない内容なのですが、資産流動化は、金融危機でも発行段階が主として問題となった箇所なので2章に入れることにしたのです。

このほか、金商法以来、ディスクロージャーの柔軟化が進んでいますが、売出し概念の改正に伴う「外国証券売出し」は第2章で、「特定投資家私募・私売出し」はプロ向け市場の話なので、第2章では頭出しをしただけで、大部分は第6章第4節「多様な金融商品市場」で書いています。細かい点ですが、何をどこに書くかというのは、結構悩ましいものです。

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