ここから本文です

書庫その他

研究
記事検索
検索

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 前のページ | 次のページ ]

仲介業者・取引業者の行為規制、取引所集中義務を課すか、海外排出枠・クレジットの国内取引の規制、海外における国内排出枠の取引の規制、現在すでに存在する排出枠・クレジット関連商品の規制上の取扱いについては、省略し、不公正取引の規制のうちインサイダー取引規制に入ります。
 
報告書はまず、現状分析として、①商品先物取引にはインサイダー取引規制がないこと、②その理由は、価格形成に影響を与える情報の確定が困難だからであると説明されていること、③金商法のインサイダー取引規制は、株券の現物の一部及びデリバティブ取引の一部に限定されていること、④政府の経済政策・産業政策に関する情報、有価証券の需給に関する情報(公開買付け・株式買集めに関するものを除く)は規制の対象外とされていることを指摘しています。
 
また、英国の規制の紹介として、英国ではEUの市場濫用指令に基づき金融サービス市場法が規制を行っているが、①排出枠の現物取引は金融サービス市場法の規制対象でないため、インサイダー取引規制の対象でないこと、②排出枠のデリバティブ取引は商品デリバティブとして規制の対象となるが、ある内部情報が、商品デリバティブに係る内部情報の要件である「当該デリバティブが取引されている市場で承認された市場慣行に照らして、当該市場の参加者が当該情報を受領することを期待するものであろうもの」に該当しない可能性が高いので、インサイダー取引規制が排出枠のデリバティブ取引に適用される場面は想定されないと分析しています(報告書60頁)。
 
これらの点を少し検討してみましょう。商品取引になぜインサイダー取引がないかは、よく分からないところです。商品先物取引には、発行者のように取引の価値の判断に重要な情報を集中的に保有している者がいないので、インサイダー取引を想定しにくいのは確かです。しかし、需給に関する情報は商品先物取引にとっても重要であり、証券のインサイダー取引について需給情報がインサイダー取引規制の対象になるべきものであれば、商品先物取引についても同様に考えるべきでしょう。この点は、EUや米国では証券取引の需給に関する情報も広くインサイダー取引規制の対象とされており、日本法の適用範囲が狭すぎると批判されているところなので、不備のある日本法を議論の出発点にする必要はないと私は考えています。
 
英国金融サービス市場法における商品デリバティブ取引の内部情報の定義は、当該情報が市場慣行に照らして一般投資家に公表されるものであればインサイダー取引の規制対象とすることを意味しています。かつて、日本ではインサイダー取引規制とディスクロージャーの範囲が合致していて、「ディスクロージャーなくしてインサイダーなし」といえる状況にあったのですが、取扱い有価証券(グリーンシート銘柄)がインサイダー取引の対象とされたときに、この原則は破られました(グリーンシート銘柄には法定のディスクロージャーは適用されないがインサイダー取引規制の対象となる)。ですから、今日、ディスクロージャーの対象でなければインサイダー取引規制はかけられないと考える必要はないでしょう。英国法の定義も、法定のディスクロージャーに限らず、市場慣行によって公表を期待できる情報であればインサイダー取引の対象とするようです。英国法の定義規定についてきちんと勉強していないのですが、これは、法律上のディスクロージャーが及ばない情報であると、永久に公表されない場合があり、そのときには情報を知った者が永久に取引できないのは不合理なので、公表を予定している情報に対象を限定したのではないでしょうか。そうだとすると、これは情報の内容・性質によってケースバイケースで判断することになるとはいえ、インサイダー取引規制が排出枠のデリバティブ取引に適用される場面は想定されないとするのは言い過ぎだったかなと思っています。
排出枠の現物取引およびデリバティブ取引を認めるとして、取引参加者の範囲をどうするかが第2の論点となります。報告書は、個人の参加と海外投資家の参加を認めるかという議論をしています。まず、個人については、現状では参加を認める意義も弊害も乏しいと分析した上で、参加を禁止できるかという観点から論じています。これは、参加の可否について理論で決することが難しいので、仮に参加を認めないと政策決定した場合に参加を禁止することが可能なのかという技術論からアプローチするものと言えるでしょう。そして、まず、現物取引については、登録簿における口座開設を個人に認めないことは可能としつつ、個人が仲介業者や取引業者に委託して排出枠を売買するまで禁止することには慎重な検討を要するとしています。また、個人の現物取引を禁止したとしても、排出枠のデリバティブ取引を禁止しない限り、個人を市場参加から排除することはできないのではないかとしています。排出枠のデリバティブ取引を行うには登録簿における口座開設は必要がないからです。
 
報告書のこの部分には私個人は違和感を持っています。私の考えは、報告書32頁注22の、「個人にあっては、個人投資家保護の目的で排出枠のデリバティブ取引を禁じることも想定される」という点に表れています。ただ、この注には「前例はないが」という断り書きが付されています。しかし、私は前例はあると思っています。それは、有価証券のプロ向け市場であり、そこには特定投資家以外の個人投資家は参加できない仕組みがとられています。技術的には、業者にデリバティブ取引の市場集中義務を課し、取引所における排出枠のデリバティブ取引のみを合法化すれば、個人投資家をデリバティブ取引から排除することも可能であると私は考えています。この意見に対する研究会の大方の反応は、デリバティブ取引(とくに店頭デリバティブ取引)を違法化することは難しいというもので、私は少なからずショックを受けました。法令で許容しない限りデリバティブ取引は賭博に当たると思っていたので、大方の見解とは原則と例外が引っ繰り返っていることを自覚したからです。
 
つぎに海外投資家ですが、海外投資家を参加させるメリットは流動性にある程度寄与することであり、デメリットは企業経営が排出枠・クレジットの価格乱高下にさらされる可能性があることだと報告書は指摘します。海外投資家の取引からの排除などというといかにも排他的に聞こえますが、排出量取引制度は国内の政策目標達成のための制度ですから、目的達成に害になるのであれば海外投資家の参加を排除することも正当化されます。報告書は、ここでも技術論からのアプローチを試み、デリバティブ取引については個人投資家の場合と同様、参加を禁じるのは難しい、現物取引については、一切禁止することは難しく、①口座開設のために内国法人の設立を認めるか、②制限を認めずに口座開設を認めるか、という両論を併記しています。
 
論点の第3は、仲介業者・取引業者の業規制です。報告書は、業規制の検討に当たり、不動産、商品、有価証券の現物とデリバティブについて、業者にどのような規制(規制なし、登録制、許可制、免許制の別)が置かれているかを比較しています。業規制の対象とすべきか否かについて基準となる考えを理論的に導くのが難しいので、排出枠取引をどの取引に近いものとして規制したらよいかという発想に立って規制のあり方を考えるものといえるでしょう。
 
報告書は業規制を考えるに当たって2つの観点が重要であるとしています。第1は、市場参加者の保護のために業規制が必要であるという観点、第2は、公正な排出枠の取引の確保や排出量削減の実現という国内排出量取引制度の目的を達成するために業規制が必要であるという観点です。第2の観点は、不動産、商品、有価証券の規制では通常、意識されていません。それは、投資者・委託者を保護することによって、それぞれの取引の規制を行う目的を達成することができるからだと思われます(私見)。これに対して、排出枠の取引では投資者の保護が排出量削減の実現に必ずしも直結しないため、2つの観点が必要になるのです。
 
不動産、商品、有価証券を比較すると、不動産、有価証券では現物取引が業規制の対象とされているのに対し、商品の現物取引は業規制の対象とされていません。そこで、報告書は、排出枠取引についても業規制の対象をデリバティブ取引に限定するかどうかを検討しています。そして、まず、デリバティブ取引については市場参加者の保護という観点からは業規制が必要であることを確認しています。つぎに、現物取引の業規制については、商品先物取引法が現物取引を業規制の対象としないのは、投機目的で現物取引に参加する者がいないからであると説明されていることを挙げ、排出枠についても現物取引に投機目的で参加する者がいるかどうかという観点から検討すべきだとしています(36頁)。報告書では必ずしも明らかでありませんが、投機目的で参加する者がいる場合、投資者・委託者の保護という観点と排出量削減の目的達成という観点の両方から、業規制が必要になる場合があるという考えがとられているといえるでしょう。
 
研究会の際には気づかなかったのですが、そもそも取引が投機の対象になるか否かで区別する判断枠組みは妥当でしょうか。投機を抑えるのは不公正取引等の市場規制であって業規制ではないのではないでしょうか。そして、商品の現物取引に業規制がないのは、誰でも容易に取引に参加できるからではないか。誰でも容易に取引に参加できる世界では、取引ルールだけが必要であって業規制は必要でありません。誰でも容易に取引に参加できない世界では、業者に取引を委託せざるを得ず、その結果、業者の不正行為から委託者を保護する業規制が必要になるのです。そうだとすると、取引業者に取引を委託せざるを得ないように排出枠の現物取引市場を設計する場合には、委託者保護のための業規制が必要になると思われます。この考えによると、もし個人には口座開設を認めず、委託による現物取引を認めるのであれば、委託者である個人投資家保護のために業規制が必要になるでしょう。
証券的規制の第一の論点は、デリバティブ取引を認めるか否かです。排出枠のデリバティブ取引を認めることの制度対象者にとってのメリットとしては、買手が排出枠の調達コストを固定できること、売手が売却収入を固定できることが挙げられます。さらに、遵守期間中における企業活動の状況に応じて、以前に約定した排出枠の買い/売りを、決済期日以前に反対売買を通じて解消させ、柔軟にポジションを見直すこともできます。そこで報告書は、エネルギーの大口需要家である制度対象者は、デリバティブ取引によって各種の費用を安定化させることができるから、国内排出量取引制度においてもその活用を排除する必要はないとしています(28頁)。
 
報告書の表現は少し分かりにくいですが、「デリバティブ取引によって排出量削減費用を安定化させることが、排出量削減という制度目標の達成にとって望ましいから」という意味で書いてあるのであれば、よく理解できます。これが、もし、制度対象者は、もともとエネルギーのデリバティブ取引でエネルギーの製造費用を安定化させているのだから、排出量削減費用についても当然、デリバティブ取引をさせろというのであると、話が違うような気もします。
 
私が研究会に出て一番気になったのは、デリバティブ取引を認めることによって、制度対象者の排出量削減に対するインセンティブにどのような影響が生じるかということです。排出枠の現物取引を認める目的である「削減費用の最小化」に良い影響を与えるのであれば、認めるべきでしょう。これについては、費用が安定化できないと削減プロジェクトへの投資が行われないという説明がありました。たしかにそうでしょう。反面、排出枠の価格が安いときに調達費用を固定化してしまうと、排出量削減プロジェクトを推進するインセンティブが損なわれるのではないかという恐れもあるでしょう。どちらの方向へのインセンティブが働くかは、いろいろな条件に左右されるということでしょうか。
 
報告書は、デリバティブ取引を認めることによって投機資金が流入し、価格が大きく変動する懸念があることにも触れています。そして、投機資金の流入について真に懸念すべきは、何らかの要因により排出枠価格の高止まり・乱高下が引き起こされ、これが産業活動に悪影響を与え、また、炭素リーケージ(企業が、規制の緩やかな国に生産拠点を移転し、緩やかな規制の下で生産を行うことにより、地球全体としての温室効果ガスの排出量が増加してしまうこと)を引き起こすことにより、制度の目的が達成できなくなることにあると分析しています。このような分析に立って報告書は、デリバティブ取引を認めることにより、企業は排出枠価格の高止まり・乱高下に一定程度有効に対応することができると考えられるから、そのような取引を抽象的な投機への懸念を理由として禁止することは合理的とはいえないとします(報告書29頁)。そして、排出枠価格の安定は、市場参加者の要件、仲介業者・取引業者の業規制および行為規制、不公正取引の禁止などで対処すべきだとします(同前)。
 
この点については、報告書前段の分析はその通りでしょう。後段のデリバティブ取引で乱高下に対処するというのは、ちょっと鶏と卵の関係の話みたいです。デリバティブ取引を認めることで生じる価格の乱高下はデリバティブ取引で対処すれば良いのはその通りですが、このような書き振りであると、価格の乱高下についてだけ見ると、デリバティブ取引を認めないことにより価格の乱高下が生じない状態の方が、デリバティブ取引を認めるよりも良く見えてしまいます。ここは、デリバティブ取引を認める方が価格の乱高下を抑えられることを示すか、デリバティブ取引を認めるメリットが総体でデメリットを上回ることを示す必要があるのでしょう。そして、デメリットを抑える方法として、最後段の手段があるということでしょう。
環境省に置かれた「国内排出量取引の法的課題に関する検討会」が今年の1月28日に第3次中間報告を発表しました。http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/other_actions/ir_110128.pdf この検討会は、国内排出量取引の制度の導入を促進するために、制度導入時に生じ得る法的課題を予め検討しようとするもので、中間報告では憲法・行政法上の論点を、第2次中間報告では民事法・国際法上の論点を扱っています。今回の第3次中間報告は排出枠の取引規制に関する論点を扱い、私もその検討会に参加しました。その検討は、学問的見地からのもので(研究的なもので)、利害関係者の利害を調整するような性質のものではありませんでした。
 
取引規制に関する論点というのは、排出枠の取引形態、市場参加者の範囲、参入規制の要否、仲介業者・取引業者に係る規制のあり方、取引所に対する規制のあり方、不公正取引に対する規制のあり方、情報開示のあり方といった問題点です。これらは、商品先物取引法や金融商品取引法の研究者にとってなじみの深い論点なので、私が検討会に呼ばれたのだと思います。私自身、国内排出量取引に関する予備知識が十分でなく(今でもそうですが)、報告書の作成にあまり分寄与できなかったのですが、報告書も出ているので、その内容を紹介しつつ、十分に反映することのできなかった私の意見も少し述べてみたいと思います。報告書の内容と私見(私個人の見解・コメント)とはできるだけ区別して記載し、、読者に誤解を招かないように努めますが、同時に、報告書は学問的な意味での多様な意見(見解)を集約したものですので、多様な意見に含まれる私見をここで述べることは、報告書の価値を低くするものとは考えていません。私が「証券的規制」と名づけたのは、神崎克郎先生の「変額保険の証券的規制」を意識したものです。同僚の上村達男教授ならば「市場法的規制」というところでしょう。
 
さて、ここにいう排出量とはCO2などの温室効果ガスの排出量をいい、排出量取引とは「キャップ&トレード方式」の排出量取引を指します。CO2削減のために何ができるか、どんな政策がよいかについては、さまざまな役所や研究機関で研究がされていますが、ここでは環境省の提唱している「キャップ&トレード方式」を前提として、その方式を導入する場合に検討すべき法的課題を取り上げています。したがって、「キャップ&トレード方式」の是非は(もちろん議論のあるところですが)、報告書の議論の対象ではありません。
 
このように検討の前提となる「キャップ&トレード方式」の排出量取引とは、政府が排出量の削減目標を設定し、個々の事業者に対し、削減目標を考慮した排出量の限度(排出枠)を設定し、違反に対する制裁を用意した上で、個々の事業者が削減目標達成義務を遵守するために排出枠を取引することを認めるものです。削減義務の履行は、期限において事業者が排出枠を国に無償で移転する形式(償却)で行われます。排出枠の取引を認めれば、対策費用が割安の企業は枠を売却することにより利益を得ることができ、対策費用が割高な企業は、自社で削減するよりも枠を購入することにより、安価に目標を達成することができます。これにより、削減目標を達成するための社会全体における削減費用を最小化することができるのです。キャップ&トレード方式のメリットは、削減費用の最小化ということに尽きます。もちろん、このメリットが実現するにはいろいろな条件が満たされる必要があり、課題も多いのですが、キャップ&トレード方式を採る目的はそこにあり、キャップ&トレード方式の取引規制も、その目的を達成するという観点から検討されなければならないということが、重要な視点です。EUでは、キャップ&トレード方式の域内排出量取引制度(EU-ETS)が2005年1月から実施されています。
 
報告書では検討の前提として、排出枠が有する特徴を有価証券や商品との比較で分析しています。それによると、有価証券や商品との共通性として、登録簿上の記録によって取引される財産権であること、価格が変動すること、生産要素の一つであることを挙げています。生産要素の一つとは、商品現物との共通性を言っているものと思われます。他方、有価証券・商品との違いとして、報告書は、排出枠では元本の返済・償還、利息・配当の支払が発生しないこと、償却目的との関係においてのみ価値を有する特殊な財産権であり、供給総量は政府が政策的な観点から決定するため、政府の政策変更がその価値に与える影響が大きいこと、制度対象者(事業者)による排出枠のニーズや取引は償却期限に集中するであろうことを挙げています。
 
国内排出量取引制度の制度対象者(事業者数)は数百から数千程度が予想され、流通する排出枠としては国内排出枠のほかに、一定の外部クレジットが考えられています。外部クレジットとは、国内排出量取引制度に基づく排出枠以外の排出枠・クレジットをいい、海外の排出量取引における排出枠(EU-ETSに基づく排出枠等)や京都クレジットがこれに該当します。外部クレジットの導入の必要性については後述します。想定される市場参加者としては、制度対象者(排出枠の需要家・供給者)、外部クレジットの供給者、仲介業者・取引業者といった者が考えられます。現在、途上国の排出削減プロジェクトに基づいて国連が発行するCER(認定排出削減量)の取引市場が国内にもありますが、供給者または取引業者である商社・銀行と需要家(電力、鉄鋼、オフセット・プロバイダー(後述))による実需取引が主流であり、リスクヘッジを目的とした取引はあまり行われていないそうです。以上は、これからの議論の前提となる排出枠市場のイメージを掴むために報告書が記載しているところです。
2つの最高裁判決には、差玉向かいのメリット・デメリット(それが板寄せ仕法とザラバ仕法とでどう違うのか)等、いろいろと取り上げるべき論点がありますが、すでに先行業績もあり、私の評釈もそのうちに公表されますので、ここでは、ほかで論じられていない点(つまり、オリジナル)を一点だけ、取り上げます。それは、説明義務の内容は何かという問題です。
 
2つの判決は、商品取引員は専門的知識を有しない委託者に対し、取引を受託する前に、その取引については差玉向かいを用いていること、および差玉向かいは商品取引員と委託者との間に利益相反関係が生ずる可能性があることを十分に説明すべき義務を負うとします。
 
差玉向かいの説明義務は、商品取引員がなぜ差玉向かいをするのか、その説明を求めるものではありません。判旨はそのように述べていませんし、商品取引員が差玉向かいをすることの合理性について顧客が納得したとしても、提供情報の信頼性が低下することには変わりがないからです。それでは、太字部分は何を説明したらよいのでしょうか。「商品取引員と委託者との間に利益相反関係が生ずる可能性があります」とか「業者が儲かるときにあなたは損をし、あなたが儲かるときに業者が損をします」といえば良いのでしょうか。
 
本件判決を受けて商品取引所法が改正され(今年1月からは、商品先物取引法)、その施行規則では、商品先物取引業者が差玉向かいを行っている場合に、「利益が相反するおそれがある旨を説明しないで」委託者から委託を受ける行為を禁止しました。経産省は、「利益が相反するおそれがある旨」を説明すれば良いと考えているようです。
 
しかし、最高裁は、差玉向かいを行っているときは商品取引員の提供する情報の信頼性が低下するから、それを顧客によく理解させたうえで委託を受ける必要があると考えているわけですから、利益相反関係が存在するために、商品取引員が提供する情報を顧客が割り引いて評価すべきことを理解させるような説明が必要になると考えられます。単に「利益が相反するおそれがある旨」を説明するだけでは「十分に説明」したことにならないということです。したがって、もし、その取引の委託が商品取引員の情報提供によるものであるときは、取引を受託する際に、提供情報が当てにならないということを商品取引員は説明しなければならないことになります。商品取引員の情報に依拠して取引しようとする顧客(専門的知識のない委託者)が、これまでの情報提供やこれからの情報提供が当てにならないと説明されて、果たして取引を委託するでしょうか。つまり、最高裁判決には、差玉向かいを事実上禁止する効果があるというのが、私の理解です。

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 前のページ | 次のページ ]

くろぬま
くろぬま
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新のコメント最新のコメント

すべて表示

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る
本文はここまでですこのページの先頭へ

[PR]お得情報

いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!
いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント

その他のキャンペーン

みんなの更新記事