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散華せる 兵士の血かと 赤き花
(さんげせる へいしのちかと あかきはな)
海岸近くの遊歩道を歩くと、道端のあちらこちらが真っ赤に染まっていて、はっとした。
ブーゲンビリアだった。
厳密にいえば、その赤色は花ではなく 包葉である。
この島で、壮絶な戦争の爪痕を見たからだろうか。
鮮やかなその色さえも、何故か悲しげに目に焼きついた。
≪サイパン≫
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サイパン
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熱き砂 踏みつつ猫は 人恋いぬ
(あつきすな ふみつつねこは ひとこいぬ)
白い砂浜に腰下ろしていたら、いつのまにか猫が私の傍らにいた。
まるで遠い昔に出会っていた恋人のように、静かに私に寄り添っている。
しばらく一緒に、海を眺めていようか。
≪サイパン≫
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南島の 満天の星 目を奪う
(なんとうの まんてんのほし めをうばう)
見上げると、空一面に星が散らばっていた。
戦時中に疎開した福島で見た星空を思い出した。
今の日本では、もう なかなかこんな夜空と出逢うこともないだろう。
無数の魂の光に、包みこまれているような気がした。
≪サイパン≫
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海底に 眠れる船に 魚集う
(うみぞこに ねむれるふねに うおつどう)
コバルトブルーの南洋の海に潜水艦で潜ると、あの大戦の時に米軍に沈められた日本の船が、白砂の海底に儚げに横たわっていた。
時が経った今では、その朽ちた残骸も すっかり 熱帯魚たちの棲家になっている。
≪サイパン≫
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椰子の下 腐れる砲の 上を向く
(やしのした くされるほうの うえをむく)
若者達がマリンスポーツを楽しむ この南の島も、かつて壮絶な戦場だった。
歴史の隅に取り残されたように散在する、旧日本軍の朽ちた戦車や大砲。
ここで絶望的な最期を強いられた兵士や当時の島民たち。
あの時代、この島がリゾートになることなど 誰が想像できただろう。
時を越えた今だから分かる 平和がある。
≪サイパン≫
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