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ひるがえる菊水の旗
 
前に両手をついた弟の姿に、正成は胸が熱くなりました。いつも兄である自分を
心から信頼してくれる弟……今また一族が滅びるかもしれない戦をしょうとする
正成に、喜んで従うと言うのです。
 
思わず涙を浮かべた正成に正季が言いました。
「兄者がそんなに気の弱いことでどうなさる!」
すると正成がニッコリ笑い、正季、わしは地獄におちるつもりはないぞ!
二人は笑い心を通わせた!
 
正成は時を移さず、笠置山へむかいました。すぐに馳せ参じた正成に
後醍醐天皇は大変喜ばれ、「速やかに幕府を倒し、天下を統一するにはどうした
ら良いか。そちの考えを申し述べよ。」
 
正成は誠心誠意心をこめて申し上げました。
「幕府を倒すには、武力と謀(はかりごと)の二つが必要でございます。幕府は
強い武力を持っておりますが、謀をもって対すれば恐れることはござりませぬ。
その時々の戦の勝敗を見て、お心に不安を持たれませぬよう…。
帝…この正成が、いまだどこかに生きてあると聞かれましたならば、
帝の天下統一の道は、必ず開かれるものと思(おぼ)し召(め)し下さりませ!」
 
この正成の言葉を、後醍醐天皇はどれ程心強く思われたかわかりません。
この後、天皇はどのように苦しい時にも、正成のこの言葉を心の支えとされた
のです。
 
笠置山から帰った正成は、意を決し、すぐに挙兵の準備にとりかかったのでした
。元弘元年(一三三一年)九月、笠置山の 後醍醐天皇のもとから河内に帰った
正成は、挙兵の準備のため、すぐに城造りに取りかかりました。正成は楠木家の
重臣、恩地左近を呼んで言いました。
 
「左近、幕府軍が 帝(後醍醐天皇)のおられる笠置山にむかっておる。城造りを
急がせてくれ。それから、城の塀を二重(にじゅう)にして、外側の塀は綱を
切れば落とせるように作らせよ。」二重塀と聞いて左近は驚きました。
 
…外塀を切り落として敵兵を防ぐおつもりか…?。
「お館様…外塀が落ちるのを見た敵兵は、本当に塀が崩れたと思い、かえって
勢いにのってしまうのではないでしょうか。」
 
「左近、それは違う。外塀が切り落とされた時の状況を、今少し深く考えてみよ。
長い塀は一気には倒れぬゆえ、本物の塀が残っているのが見てとれる。それに
落ちた塀の下になった兵は、何とか起き上がろうと必死になるであろう。後ろの
兵は、塀の下になった者を踏む訳にもいかず、前に出ることすらできぬ。この
混乱に乗じて櫓(やぐら)の上から矢を射かければ…かなり有効な策じゃと
思うが……?」
 
正成の正確なよみに左近は舌をまきました。
このお館様は尋常(じんじょう)な御仁(ごじん)ではない…、
すると正成がニッコリ笑って言いました。
 
「尋常な戦い方では、何万という幕府軍を相手に戦うことなどできぬのだ。
にわか作りのこの城では、幕府軍には勝つことはできぬ。じゃがこの度の戦は、
幕府軍を相手にどこまで持ちこたえられるかが、勝負なのじゃ!」
 
九月十一日、抜けるような青空のもと、小高い山の上に作られた城には、
いくつもの菊水の旗がひるがえりました。赤坂城と名づけられた城には、
正成を総大将に約五百名の兵がたてこもり、ついに、幕府軍を相手に挙兵した。
 
 
続く
 
                                   楠木正成
                                   後藤久子著より抜粋
 
 
 

転載元転載元: サイタニのブログ


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