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「ひるぜんリザーブ」から車で30分くらいのところに大山滝への登山口がある。 そこから徒歩でさらに30分ばかり険しい山道を登ると大山滝や鮎返しの滝に至る。 「鏡ヶ成湿原」を訪れた同じ日の午後、時折小雨がぱらつく空模様の中、連休が終わって登山者もまばらになった大山滝への山道を歩いた。 途中の山道で白色と薄紅色の二種のツリフネソウが咲いているのを見つけた。 いつも見慣れているツリフネソウとは明らかに違うので、写真を撮っておきその夜に調べて見た。 ツリフネソウ科ツリフネソウ属で良く知られているものとしては、帰化種のホウセンカ(学名:Impatiens balsamina)や園芸種のインパチェンス(アフリカホウセンカ、学名:Impatiens walleriana)があるが、日本の自生種としては、ツリフネソウ(学名:Impatiens textori)、キツリフネ(学名:Impatiens noli-tangere)、ハガクレツリフネ(学名:Impatiens hypophylla)の三種がある。 図鑑によると、ハガクレツリフネは、本州(近畿以西)・四国・九州の山地の湿った木陰や水辺に生える一年草で、7〜10月に草丈 30〜80cmになり、葉のわきから花序を出し、淡紅紫色の花を葉の裏に隠れるように咲かせるので、葉隠れツリフネの名があり、距は前の方に大きく曲るが、ツリフネソウほど渦巻状にはならないとある。 この日撮った写真を図鑑やネット検索で調べてみると、ハガクレツリフネと紹介されているものと同一の形状と紋様だったが、ツリフネソウにもハガクレツリフネにも変異種が多々あって、今ひとつ確信が持てないが、現時点ではハガクレツリフネとしておく。 もし明快な同定方法をご存知の方はぜひご教示願いたい。 ハガクレツリフネ 白花の方は、これもネット検索等で調べてみると、エンシュウツリフネのように思われる。 ハガクレツリフネとハガクレツリフネから分化したと考えられるエンシュウツリフネの2つの変種は、主に花の形態の違いにより分類され、ハガクレツリフネは赤紫色で比較的大きな花冠を持ち、エンシュウツリフネは白く小さな花冠を持つという。 この2変種は側所的に分布する。 同じような環境に適応するために異なった形態進化を遂げたこの2種の花の形態進化の解析は、植物の適応、種分化、多様化を考える上で本質的な意味を持っているとして研究対象となっているようだ。 エンシュウツリフネは、図鑑などによると、愛知県と九州北部(福岡県・大分県)に隔離分布しているとあるが、ハガクレツリフネの変種であることを考えれば、大山エリアで見られても不思議ではないが、これまた確信が持てないので、「?」付きにしておく。 エンシュウツリフネ? ツリフネソウにもシロバナ種(紫色の斑点が入らないところがエンシュウツリフネと異なる点のようだ)があり、キツリフネにも黄色の薄いウスキツリフネという変種がある。 前述の通り、ツリフネソウには変異種が多いので、私には現時点での同定は困難だったが、この日出会った2種のツリフネソウは、いずれもこれまで目にしたことのない種だったので、早い機会にその素性を明らかにしたいと思っている。
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