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アブラゼミ あなたはセミの羽化を見たことがありますか。 ゆっくりとした動作で殻を破って現れる成虫は、きちんと折り込まれていた翅をそっと静かに広げてゆき、次第に成虫の形になってゆきます。 羽化のドラマは、見る人に大きな感動と興奮呼び起こします。 機会があればぜひセミの羽化をじっくりとご覧になることをお勧めします。 アブラゼミの羽化 ことに伸ばし終えた直後の少し青味を帯びた薄緑色の透き通った翅は、天女の羽衣を思わせ、神秘的にさえ見えます。 地中で数年間も過ごし、地上ではわずか数日間でその生命を全うするセミですが、近年その種類や個体数に変化が見られます。 天候不順や環境の変化がその原因と考えられていますが、人間の活動が大きな影響を与えていることは否めません。 地上に現れたニイニイゼミの幼虫 脱皮後のニイニイゼミ セミのためにかれらのの好むバラ科やニレ科の高木を植えましょう。 ヤマザクラ 都市型のミンミンゼミやアブラゼミ、クマゼミなどはサクラなどバラ科の樹木を好みますが、できれば園芸種のソメイヨシノでなく自生種のヤマザクラを植えましょう。 ヤマザクラの花には蜜がたっぷりあり、たくさん実もつきますから、メジロ、ヤマガラ、イカル、オナガなどの野鳥がやってきます。 ヤマザクラのサクランボ そしてサクラにつきものの毛虫も、そのほとんどを野鳥たちがエサとして食べてくれますから、毛虫の心配も少なくなります。 セミの幼虫のために、もちろん地面はコンクリ−トで固めてはいけません。 黒いやわらかい土で覆われていることが必要です。 アブラゼミの抜け殻とハルゼミの成虫 さて今回の講義は、ご理解いただけたでしょうか。 もしわかりにくい箇所や疑問点があればコメントを残してください。 また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 次回は、秋の虫の音を聞くための「コオロギたちの来る庭」のつくり方についてお話しします。
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オオウバユリとアマガエル
庭の一角に小さな池があると、あなたの庭に棲息できる野生生物の種類が一段と増えますから、庭にある程度のスペースがある場合にはカエルやトンボ、それに水生昆虫や湿性植物のために池を作りましょう。
また自生種のメダカ(ヒメダカやカダヤシは自生種ではありません)などを放してやると、蚊の発生を抑えられます。 流れのある池の一部に流れのない止水池を設けると、トンボなどの種類が増えます。 2004年の名古屋「愛・地球博」会場で私たちが施工した「エコガーデン/ワイルドライフ・ガーデン」にも、左の写真のような、小さなトンボ池をつくりました。 ブルーシートと砂利、小石、流木等を材料にしてつくった直径150cmくらいの小さなトンボ池でしたが、一週間も経たないうちにトンボたちがやってきました。 この小さな池は、野鳥たちの水場の機能も備えています。 日本最大のトンボ、オニヤンマ。 オス90mm、メス110mm。
植生豊かな池沼に出現するチョウトンボは、体長35mm。
体長32〜39mmのミヤマアカネは日本全土に出現する。
モリアオガエルの卵塊
孵化したモリアオガエルのオタマジャクシ(体長10〜15mm)。 孵化を見るのも楽しい。
水深は岸から徐々に深くし、湿地にはクサイ、ヒメガマ、クサヨシ、セキショウ、ミソハギ、セリなどの水辺の植物を、また池の中の水深10〜20センチの浅いところにはミクリ、フトイ、イグサ、サンカクイ、オモダカ、アギナシなど、水深30〜40センチの深いところにはコウホネ、アサザ、ヒルムシロなどやフサモ、クロモ、サンショウモ、ウキクサなどの水草を植えます。 このような環境をつくってやるとアマガエルやアカガエル、トノサマガエルなどが利用するようになります。 アサザ 家の周辺に落葉樹を中心とした多様な樹木の林があれば、カエルやトンボにとって好都合ですが、なければ池の近くに落葉樹を植えましょう。
落葉樹の林
また石や木を積み重ねておくと、カエルが昼間の隠れ場所や冬期の冬眠場所として利用します。 カエルやメダカは除草剤によって、致命的なダメージを受けます。 除草剤や殺虫剤等の化学薬品は、使用しないことが一番ですが、もし池や水路の付近で化学薬品を使用する場合には、水質を汚染しないよう十分注意しましょう。 「ひるぜんリザーブ」で孵化したモリアオガエル、体長5〜9cm(メスの方が大きい) さて今回の講義は、ご理解いただけたでしょうか。 もしわかりにくい箇所や疑問点があればコメントを残してください。 また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 次回は、「セミの来る庭」のつくり方についてお話しします。
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マツムシソウに群れる「ヒメアカタテハ」と「キタテハ」 蝶を呼ぶためには、幼虫および成虫の餌になる植物(食草)を用意することが必要です。 蝶の翅は大変脆いので、込み合った枝や茂みの少ない、どちらかというと開けた環境を好みます。 草原や林縁、樹林の小道沿いで良く見かけることが多いのははそのためです。 また樹林や草地は植物の種類が多く、多層構造になっている環境を好みます。 アゲハとホンミスジ =蝶と食草= 蝶の幼虫は種によってほぼ決まった植物の葉を餌にしますから、蝶にあわせてその地域の自生植物を植えましょう。 また多くの成虫の蝶に利用してもらうためには、できるだけ長い期間にわたって、かれらの蜜源となる植物の花が次々と咲くように、開花時期を考えて植物を組み合わせましょう。 成虫の蝶の餌は花の蜜のほかには、樹液、果実の発酵したもの、動物の排泄物などです。 秋口にはよく熟したカキなどを容器に入れたり枝に刺したりしておくと、タテハチョウやヒカゲチョウの仲間がやってきます。 アゲハチョウやシロチョウの仲間は、夏場に湿った土の表面で水を飲むので、そのような環境を用意してやることもよいでしょう。
吸水するミヤマカラスアゲハ
バタフライガーデン用の植物として、よく移入種のブッドレアが利用されますが、ハギの仲間やコマツナギそしてサンショウなどのミカン科の自生種植物を植えると多くの蝶が呼べますので、できるかぎり自生種を植えましょう。 最近確認したところでは、マツムシソウには、驚くほどたくさんのタテハチョウやモンシロチョウの仲間がやってきますので、植栽可能地域ではぜひ試してみてください。 (注)法面緑化に中国産のコマツナギが使用され、日本本来の個体群に対し遺伝子撹乱を引き起こす問題が生じています。 同種であっても外国産などの植栽は避 けましょう。 主な蝶とその食草のデータベースを掲載しておきますので、植栽計画の参考にご利用ください。 =樹林性蝶類と草地性蝶類= 蝶はその種類によって、生息環境が異なります。 たとえ特定の蝶の食草を植えても、その庭の周辺にかれらの生息環境がなければ、蝶はやって来るチャンスは少なくなりますので、植栽計画時にはその点も考慮しましょう。 ○ 樹林性蝶類の例 : アオスジアゲハ、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、スジグロシロチョウ、ダイミョウセセリ、ルリシジミ、ルリタテハ ノブドウとアオスジアゲハ ○ 草原性蝶類の例 : キアゲハ、ギンイチモンジセセリ、ツマキチョウ、ジャノメチョウ、ベニシジミ、モンシロチョウ、ヤマトシジミ ヤマアジサイとキアゲハ また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 次回は、「カエルやトンボのやってくる庭」のつくり方についてお話しします。
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「エコガーデニング」の考え方によって、つくられた庭「エコガーデン」は地域の野生生物に適切な生息環境を提供します。
これから数回にわたって、代表的な野生生物を呼ぶエコガーデンづくりのポイントをお話しましょう。
これらの庭のすべての要素があれば理想的ですが、あなたの庭にそのうちのひとつだけでもあれば、野生生物にとって大いに役立ちます。 庭のスペースに制約がある場合には、あなたが特に身近で観察したい対象生物のための庭をつくると良いでしょう。=野鳥の来る庭= 野鳥は採餌し、休息し、繁殖するための自生種の樹木が必要です。 野鳥と食餌木との関係をデータべーすを活用して植栽する樹種を選定してください。 四季それぞれの季節に、バランスよく餌を供給できるよう、できるだけ多種の自生種を植えましょう。 特に餌の少なくなる冬に実をつける自生種の植物を植えることが大切です。 ○ 野鳥と食餌木 野鳥はその種ごとに餌を採る場所が異なります。 高木、中高木、低木、下草などの多階層の実のなる植物を用意してやると多種の野鳥がやってきます。 また落ち葉の堆積する腐葉土のある地面を用意してやると、多くの甲虫やミミズなどの土壌生物が利用でき、またそれらはカワラヒワやツグミ、ムクドリなど地上で餌を採る野鳥の餌となります。 野鳥の生活圏(「ルーラル・ランドスケープ・デザインの手法」より転載) ○ バードフィーダー/給餌器 餌がすくなくなる冬のシーズン以外はバードフィーダーで大量の餌を継続的に与えることは彼らの自然適応能力を損なってしまうので、できるだけ多くの食餌木を植えることに努め、バードフィーダーを使用する場合は、給餌は少なめにするとともに、春になって自然の中の餌が豊富になってきたら徐々に給餌をやめるようにしましょう。 ・ また給餌台を用意する場合は、台に水が溜まらぬよう水抜き穴をつけ、採餌中に猫などの外敵に襲われないよう、1.5メートルくらいの高さの支柱に固定します。 ・ 雪の多い地域では、積雪で餌が隠れてしまうのを防ぐため屋根をつけましょう。 給餌台(「GARDEN PLANNING」 より転載) ○ 巣箱をつくろう 野鳥たちは、枯れ枝や枯れ草、羽毛、コケなどを利用して芸術的とさえいえる巣を作りますが、最近は住宅地の開発等によって営巣場所が奪われ、巣をかけることが難しくなっています。 それぞれの野鳥にあった巣箱を用意してやると高い確率で使用されます。 シジュウカラの場合は、営巣すると一度に8〜10個程度のタマゴを産み、2週間くらい抱卵すると雛が孵ります。 さらに2週間くらいすると雛鳥は巣立ちます。 「一匹のシジュウカラが青虫を年間10万匹食べるので、環境に配慮したゴルフ場が薬剤散布をやめ、シジュウカラのために巣箱をかけた。」というニュースが話題になったことがありました。 このデータはどこから来たのか調べてみると、実はこれは体重約17gのシジュウカラが、日に約3gの餌を食べるとして、これを体重10mgの青虫で賄うと考えた場合の試算結果(3gx365日÷0.01g/匹=11万匹)が誤って引用されたようです。 実際には青虫だけを食べているわけではないので、年間10万匹というのはややオーバーな表現ですが、シジュウカラの巣箱かけが殺虫剤の散布に比べ、より野生生物に配慮した対応だとは言えます。 ・ ・
巣箱作りで大切なことは、巣穴の直径と巣箱の取り付け方です。
・野鳥はそれぞれそのからだのサイズに応じて巣の入り口穴の大きさを決めるので、そのサイズを間違うと期待した野鳥に利用されません。 特にシジュウカラサイズの小さな野鳥にはミリ単位の精度が要求されます。 ・ 猫やヘビ、カラスなどの他の野鳥に襲われないよう近くに足がかりのない樹の1.5メートル以上の高さに取り付けましょう。 ・ また雨水が入らぬよう少し前に傾けて取り付け、底には水抜きのための穴を多めに開けておきます。 ・ 定期的に点検して自生種ではない動物の住処にならないように管理しましょう。 ☆ 鳥種に合わせた巣箱のサイズと取付け高さ(日本鳥類保護連盟「まもろう鳥、みどり、自然」より転載)
○ バードバス/水場 市街地開発によって、自然の水辺を見つけることが困難になっている野鳥たちにとって、水を飲んだり水浴びをしたりするための水場として、バードバスは極めて貴重な施設となります。
水場として流れのある池などを庭に用意できればベストですが、市販のバードバスやプラスチックの鉢皿、水盤などの浅い容器も利用できます。
深さは小石、砂利、砂、水草等で調整します。 バードバスは、警戒心を和らげるため、窓から離れた場所で、飼い猫などのペットに襲われる危険のない場所へ設置します。水深は1〜3センチくらいが適当です。 さてここまでは、ご理解いただけたでしょうか。 もしわかりにくい箇所や疑問点があればコメントを残してください。 また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 次回は、華麗な蝶たちが舞う「蝶を呼ぶ庭」のつくり方をお話しします。
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=「エコガーデン」には大きな庭のスペースが必要?=
前回までの話で、「エコガーデン」をつくるには広い庭のスペースが必要なのではないかと思われた方もいらっしゃるのではないかと思います。 その懸念を払拭していただくために、二つの庭の写真をお見せしましょう。
桂離宮の庭 黄梅院の露地庭 桂離宮の大庭園と、黄梅院の一坪ほどの露地庭をよくご覧ください。 この二つの庭は、広さはまったく違いますが、前回説明した「エコガーデン」の構成要素をどちらもすべて備えていることに気付かれることでしょう。 「エコガーデン」は小さな庭でも可能なこと、そして日本庭園は素晴らしい「エコガーデン」でもあることがお分かりになったと思います。 「エコガーデン」に植えたいあなたの地域の自生種を選定しましょう。 このときあなたの庭に呼びたい野生生物のタイプ(野鳥、蝶など)は、樹種選定の大きな要件となります。 貴方の地域の自生植物を確認したり、野鳥や蝶が好む樹種を探したりするときのために、「エコガーデニング協会」が提供している次の4つのデータベースを役立ててください。 ○ 日本の自生植物データベース 樹木編 http://www.eco-garden.net/jiseijumoku.xls ○ 日本の自生植物データベース 地被・つる植物編 http://www.eco-garden.net/jiseigcp.xls 注)データベース・ファイル読み込み時にパスワード入力を要求するダイヤログ・ボックスが表示された場合にはキャンセル・ボタンをクリックして進んでください。 =植栽時のヒント= ☆ 植栽はできるだけ地域に自生する自生植物(自生種)を主体にしましょう。 地域の気候風土にあっているため、地域の動植物ともよくなじみ、維持管理も容易です。 ☆ 同一種を多く植栽する場合には、通常一列に配植するより一塊に植える方が野生生物には良い生息環境となります。 ☆ すでにある庭をエコガーデンに改修しようとしている場合には、新しく自生種を植える前に、地域の生態系に害を及ぼす移入種の草本植物をできるだけ排除しましょう。 ☆ 新しく樹木を植える時には、後日のトラブル発生を避けるため、地下の下水道管や埋設ケーブル、建設物から十分に距離を取りましょう。 ☆ 野生生物には、年間を通じて餌が必要です。 四季それぞれのシーズンにバランスよく、餌を供給できるよう、できるだけ多種の自生種を植えましょう。 特に餌の少なくなる冬に花を咲かせ、実をつける自生種を植えるよう配慮しましょう。 ☆ 多様な生物が生息できるよう、できるかぎり多様な環境(日向、日陰、乾燥地、湿地、水路、池など)をつくりましょう。 岩や小石、丸太や小枝などはトカゲや他の野生動物を惹きつけるので、残しておきましょう。 ☆ 広い芝生よりも落ち葉や枯れ枝の自然なマルチングにすると、水の節約になりますし、甲虫やミミズの棲みかにもなって、さらには野鳥やトカゲその他の野生動物に餌を供給することもできます。 =施工時のヒント= 構造物はできるだけ土、石、木材などの自然素材を使用し、改変時に廃棄物を出さず、再利用できるものにしましょう。 環境を損なわず、またコスト削減にもなります。 コンクリートで固められた地面や石垣にはどのような生物も生息できません。 花壇やペイビング(舗装)は、出来るだけコンクリートやモルタルを使わず、砂を支持材として石やタイル、レンガなどを固定すると、改変も容易で素材も再利用できますし、トカゲや昆虫、土壌生物などが生息できる環境にもなります。 以上のような事柄に注意して庭づくりをすれば、あなたの庭は地域の自然とつながり、野生生物たちが訪れるようになります。 また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 庭のスペースに制約がある場合には、呼びたい野生生物にあわせた庭づくりをしましょう。 呼びたい野生生物にあわせた庭づくりの方法を次回からお話してゆきます。
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