|
冬に向かって、花が少なくなってゆく自宅の和庭で今鮮やかな色を見せているのは、咲き始めた「サザンカ」と真っ赤に色づいた「センリョウ」の果実だ。 「サザンカ」は、学名を Camelia sasannqua と言い、ツバキ科ツバキ属の常緑小高木で、本州(山口県)、四国、九州の山地の林内や林縁に自生している日本の固有種である。 自生種の花色は白だが、さまざまな園芸種がつくられていて、花色も花弁の形もさまざまなものがある。 咲き始めた「サザンカ」 「サザンカ」のつぼみ 開き始めたつぼみと花 やさしいピンクの花色が 冬の日差しの庭に温かみを添える。 「サザンカ」の右隣に植栽されている「センリョウ」に稔った果実が真っ赤に色づいている。 「センリョウ」は、学名を Chloranthus glaber と言い、センリョウ科センリョウ属の常緑小低木、日本では、本州(東海・紀伊半島)、四国、九州、沖縄の林内に自生する。 学名の Chloranthus はギリシャ語の「chloros(黄緑)」+ 「anthos(花)」から来ている。 「センリョウ」は漢字では「千両」とも書くので、良く「マンリョウ(万両)」とともに話題にされるが、「マンリョウ」はヤブコウジ科ヤブコウジ属で近縁の植物ではない。 また同様に「ヒャクリョウ(百両)」や「ジュウリョウ(十両)」という別称で呼ばれているのは「カラタチバナ」と「ヤブコウジ」だが、これらもヤブコウジ属の植物である。 「サザンカ」と「センリョウ」 「センリョウ」 赤く色づいた実は、これから野鳥たちのご馳走になる。 「マンリョウ」の実が葉の下に付くのに対して、「センリョウ」の実は葉の上に付く。 つややかな赤い実はいかにも美味しそうに見える。 「サザンカ」のピンクの花と「センリョウ」の赤い実を見た後、東の花壇を覗いてみると、「スイセン」が一株だけ早咲きして白い花を開いていた。 このままでは凍えてしまうので、切花にして花瓶に挿したが、冬の「スイセン」はやはりどこか寂しげに見える。 冬の「スイセン」 冬が近づくにつれ、庭に出る機会が減ってくるが、この時期には、落ち着いて庭全体を眺めることができるので、庭のデザインや植栽計画について新たなアイデアを考える好機となる。 他の季節と違って冬のガーデニングは、戸外でせっせと体を動かすのではなく、暖かな室内でのんびりとくつろぎながら、庭づくりについて、あれやこれやと思いを巡らす頭脳労働となるのだが、これもまた楽しいガーデニングなのだ。
|
全体表示
[ リスト | 詳細 ]
|
「ひるぜんリザーブ」にも時々珍しい野鳥が現れることがある。 「マミチャジナイ」もそのひとつで、二年くらい前の年の4月下旬に、ウッドテラスの傍の草地に突然現れた。 「マミチャジナイ」は、学名を Turdus obscurus と言い、全長22cmくらいのヒタキ科ツグミ亜科の鳥で、バイカル湖からカムチャッカにかけての地域で繁殖し、中国南部、フィリピン、インドネシアなどで越冬するので、日本には渡りの途中に旅鳥として飛来する。 出現期間が4,5月と9、10月で短いためか、観察記録が少なく特に春の渡りの時期の記録が少ないという。 手元の山渓の野鳥図鑑に翼開長が記載されていないのもそのせいだろうか。 最初見たときには「アカハラ」かと思ったが、白い眉斑がはっきり見えたので、「マミチャジナイ」だとわかった。 この「マミチャジナイ」という不思議な名前は、どうして付いたのだろうと調べてみたら、マミ(眉)は白い眉班があることから、チャは体色が茶色であることから、ジナイはツグミの古語からきているらしい。 つまり、白い眉班のある+茶色の+ツグミ→マミ+チャ+ジナイ=「マミチャジナイ」 となったらしい。 「マミチャジナイ」 白い眉班がはっきり見える。 眉はかなり太目だ。 良く見ると、目の上下に白班がある。 この「マミチャジナイ」は、遥かバイカル湖の辺りからインドネシア辺りまで毎年数千キロを文字通り「身一つ」で移動をするのだ。 この小さな体のどこにそのような能力が秘められているのだろう。 私は、渡り鳥を見るたびに畏敬の念さえ覚える。 「ひるぜんリザーブ」の素敵な仲間、「マミチャジナイ」。
|
|
=生物多様性= 私たち人間を含むあらゆる生物は、異なる環境に適して分布する様々な種が、お互いに密接な関係を保ちながら、生物群集として長い年月を経て進化をしてきました。 その結果、生物種ごとに環境に適した独自性を持ち、また種間でも地域ごとに遺伝子が異なるという変異を持つようになりました。 これが「生物の多様性」です。 したがってその群集を構成していた多数の種の中のひとつの種が欠けてもその地域の生物の多様性が失われ、生態系に影響が及びます。 =急速に増えている絶滅種= 環境省の「生物多様性情報システム」サイトに「生物の絶滅速度」のデータがあります。 これによると、一年間に消えてゆく種の数は、 恐竜時代 0.001 種/年 1600〜1900年 0.25 種/年 1900年 1 種/年
1975年 1,000種/年
1975〜2000年 40,000種/年 この数値を一つの種が絶滅するのに要した時間に換算すると、 恐竜時代 1000年/種 1600〜1900年 4年/種 1900年 1年/種
1975年 約9時間/種
1975〜2000年 約13分/種 となります。 近年いかに急速に種の絶滅数が増加しているかがよくわかります。 また国際的な自然保護機関である国際自然保護連合(IUCN:International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)は、世界中の絶滅のおそれがある動植物を「レッドリスト」としてリストアップしていますが、その2007年版によると、そのうち絶滅のおそれの高い「絶滅危機種」の数は、哺乳類や鳥類、爬虫類、魚類などの動物種で7850種、植物種他が8456種となっています。 中でも、哺乳類と鳥類、両生類の絶滅危機種が多く、哺乳類は現存する種の22%が絶滅危機種で、その中にはゴリラ、トラ、アフリカゾウ、クロサイ、オランウータン、ジュゴンなどがリストアップされています。 両生類に至っては全体の31%が絶滅の危機にあります。 また多様性には、厳密に言えば、景観の多様性、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性など様々な段階がありますが、これらのすべての段階の多様性を備えた自然こそが、人間を含む生物の命の源泉なのです。 =とどまることの無い「自然破壊」= それではそろそろ日本国内に目を向けてみましょう。 私たちの生活環境は、近年大きく変化しました。 都市部は言うまでもなく、地方の田園地帯でさえ自然破壊が急速に進んでいます。 都市では大量の住宅供給のための宅地開発や、それに伴う道路建設、農村では減反政策や農地や山林の宅地転用などによる休耕地、空閑地が増加しています。 年を経るごとに原野は削られ大きな改変が加えられ、残された自生の植物や動物は、生き残ってゆくことが次第に困難になっています。 山岡文彦氏著の「帰化植物100種」によると、多摩丘陵では、多摩ニュータウンなどの造成工事の結果、キンラン、ギンラン、ニリンソウ、ムラサキ、タマノカンアオイ、サギソウ、ヒトリシズカ、フタリシズカなどがその自生地を奪われ、コナラ、アカマツ、サワラ、ブナ、クヌギ、ヒノキ、スギなどが次々となくなり、針葉樹林、落葉樹林が姿を消しつつあります。 またその下草であるゼンマイ、コモチシダ、ホラシノブ、ウラジロ、クマワラビ、カニクサ、ワラビ、センリョウなどが被害を受けています。 自動車の排気ガスに弱い蘚苔類は沿線と道路脇では姿を消しつつあります。 私たちは郊外にゆくと、まだたくさんの野鳥やトカゲやコウモリ、カエル、昆虫その他の動物を見ることができます。 しかしよく観察すると、それらはかってそこにいた種とは異なった種であることに気がつくかもしれません。 特にここ数十年は、地域でいくつもの種が絶滅すると共に、多くの野生生物が姿を消しつつあります。 さてここまでは、ご理解いただけたでしょうか。 もしわかりにくい箇所や疑問点があればコメントを残してください。 また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 次回は、「生物の多様性を脅かすもの」についてお話しましょう。
|
|
「ひるぜんリザーブ」では、「イカル」はほぼ年間を通じて見られる野鳥の一種である。 梢にとまって「ヒーヒョーヒー」と大きく澄んだ美しい声を響かせる。 姿はと言うと、薄いグレーの地に黒い頭に大きな黄色のくちばし、黒い翼には青と白の帯模様が入っていて、良く目立つ。 「イカル」は、学名を Eophona personata と言い、体長23cm、翼開長33cmのアトリ科の鳥で、北海道から九州までの各地に生息して、木の実や昆虫を食べる。 春から夏にかけての繁殖期以外は、群れで行動することが多いが大抵は数羽程度なので、昨年の春、雪解けの「ひるぜんリザーブ」の庭に50〜60羽くらいの大きな群れがやってきたときは少し驚いた。 野鳥の大きな群れがログハウスの南に植えられているミズキの根方に降り立ったので、二階の窓辺から覗いてみると数十羽の「イカル」(シメも少し混じっていた)の群れが一斉に落ち葉の下の木の実か昆虫を探していた。 ミズキの樹下にやってきた「イカル」の大群 やがて一斉に飛び立って、森の上を旋回しながら、北の草地の方へ移動した。 今度は窓から40mくらい離れた草地の中央付近のカキの樹の下へ降りたので、順光となって、写真も明るく撮れたが、かなり距離が離れていたため残念ながらシャープな映像は得られなかった。 カキの樹に下で餌探しをする「イカル」 最後にようやくログハウスの北のネムノキの枝にとまってくれた。 くちばしに付いているのは木の実の殻のようだ。 野鳥は、個別行動をしているときと集団行動をしているときでは、ずいぶんとその挙動が違う。 群れでいる時は、警戒心が薄れのびのびと振舞っているので、彼らの自然の姿が見られる。 このイカルの大集団の中に数羽の「シメ」が混じっていて、その姿も撮ったので、また別の機会に紹介したい。 「ひるぜんリザーブ」の素敵な仲間、「イカル」。
|
|
「ひるぜんリザーブ」にやってくる野鳥の中で大型の野鳥と言えば「アオサギ」や「ダイサギ」に次いで大きいのは「キジ」だろうか。 「キジ」は、まだ手の入っていない森の中にいるらしく、頻繁に顔を出す。 もっとも繁殖期以外は草むらの中でごそごそ動き回っているので、姿が見えるわけではないのだが、「ひるぜんリザーブ」の庭を歩いていると、足元からいきなり走り出してきて、バタバタとぎこちない動きで飛び去ってゆくのだ。 「キジ」は飛び立つのがほんとうに下手で、かなり助走しないと飛び立てない不器用な鳥なのだ。 先日も河岸を歩いていると、岸の茂みから一羽の「キジ」が駆け出してきて、大慌てで飛び去った。 「こんなところで餌さ探しか。」とその辺りを見ていると、しばらくしてからまた一羽のこのこ顔を出してきて、また大慌てで飛び立った。 「おやおや、二羽もいたのか。」と思っていると、なんとまたしばらくしてからもう一羽出てきて、バタバタと飛び立った。 ことほどさように「キジ」という鳥は、要領の悪いノンビリした性格の鳥でこのため、猟師たちの格好の目標にされる。 「キジ」は、学名を Phasianus colchicus と言うキジ科の鳥で、日本では本州から九州までの各地に留鳥として棲息・繁殖している。 北海道や対馬にいる「コウライキジ」は、放鳥されたものが野生化したものである。 「キジ」は、日本の国鳥だが、オスは狩猟鳥でもある。 私が「ひるぜんリザーブ」へ来た頃は、私有地であることに気付かないハンターたちが冬場にやってきて狩猟をしていたらしく、春になって雪が解けると森の中に薬きょうがたくさん落ちているのを発見したことがある。
美しい羽色のオスのキジ(春に撮影したもの)
大きな丸い目が可愛いメスのキジ キジのオスとメスの表情 オスは、目いっぱい着飾って、威厳を取り繕っているが、焦点の合わない金色の小さな目が、どこかとぼけて見えるところが可愛い。 一方のメスは、オスに比べると地味な衣装だが、黒いつぶらな瞳で、落ちついたやさしい表情をしているところが良い。 「ひるぜんリザーブ」の素敵な仲間、「キジ」。
|



