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「ひるぜんリザーブ」の池の岸辺でキツリフネが咲きはじめた。 一昨年の秋に近所の知人からすぐに増えるからと言って、二株くらいもらってきたのを、とりあえず池の周辺のやや湿り気味の場所に植えたら、昨年の初夏に30cmくらいに茎を伸ばして黄色のかわいい花を付けた。 キツリフネは、ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草で、学名を Impatiense noli-tangere と言い、山地の湿り気のある場所に生育すると言われている。 仲間には先が渦巻状になる長い距を持った赤い花をつけるツリフネソウがあるが、こちらは山地にひろく分布する。 「ひるぜんリザーブ」の森にもたくさん自生しているが、開花はキツリフネより少し遅いので、花が見られるのはもう少し先だ。 学名のインパチェンスでお気づきだろうが、このツリフネソウ属では、園芸店で広く販売されているアフリカホウセンカや最近入ってきた大型のニューギニア・インパチェンスが一般には良く知られていて、インパチェンスといえばこれらの外来種の草本を指すようになっているが、花の形はずいぶん違う。 東南アジア原産で古くから日本に入ってきて栽培されているおなじみのホウセンカは、ツリフネソウやキツリフネに似た花の形をしている。 学名の Impatiense は、ラテン語で「我慢できない」という意味で、これは種が鞘に少し触れただけではじけ飛ぶことからきている。 子供のころにホウセンカの種を飛ばした経験のある人は多いのではないだろうか。 池の周辺ではあるがやや陸地よりに植えたキツリフネの姿が今年になって見えないなと思って心配していたら、なんと池の対岸の水際に移動して草丈70cmくらいになって、見違えるほどの姿になって現れた。 植物は動けないというが、決してそんなことはなく、種散布によって自分の好ましい場所へと移動してゆくのだ。 キツリフネとしては、私が当初選んだ湿った陸よりもっと根が水に浸かるような場所の方が居心地が良いということなのだ。 庭造りをするときに何よりも大切なことは、植栽しようとする植物が一体どういう場所に生育しているのかを、自らの目で確かめておくことなのだと言うことをキツリフネは再確認させてくれた。
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2009年07月25日
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芝地の草刈をしていると、そこここにピンクの小さな花をらせん状につけたネジバナに出会う。 群生している場合はまだ楽なのだが、1,2本ぽつんと咲いていると、そこを避けて同心円状に草を刈る羽目になるので、草刈の時間が増えるが、私は花のかわいさに免じて機嫌よく動線を変更する。 ネジバナはラン科ネジバナ属の多年草で、学名を Spiranthes sinensis と言い、北海道から九州までの日当たりのよい野原に生育している小型の野生ランである。 都会の公園や家庭の庭にも現れるので、私たちの目に触れる機会は多いのだが、たいていは雑草扱いをされているようだ。 「ひるぜんリザーブ」の芝地のネジバナの群生
ネジバナには蝶がよく訪れる。
よく見ると、小さいながらもちゃんとランの特徴を備えていて、花色も美しい。 ネジバナは乾いた草原から水の流れるような湿地まで比較的幅広い環境で生育する。 美しい花なので、たまに鉢植えで育てようとする人がいるが、たいてい失敗するようだ。 ネジバナは野にいたい花らしい。 芝地の草刈をしていると、100本に1本くらいの確立で白花のネジバナを見つける。 そんなときは彼らから素敵なプレゼントをもらったようでうれしくなる。 珍しい白花のネジバナ 今日も「ひるぜんリザーブ」では、ネジバナの上を蝶が舞っている。 これは白っぽいメスのモンキチョウだ。 「ひるぜんリザーブ」の素敵な仲間、ネジバナ。
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湿地でハッチョウトンボをレンズで追っているときに、「ブーン」と大きな羽音を立ててなにやら黄色い物体が目の前をよぎった。 気になって後を追ってみると、こんな光景が目に飛び込んできた。 ムシヒキアブの仲間のトラフムシヒキがモンキチョウを仕留めたようだ。 ムシヒキアブの仲間は、甲虫やハエ、ガなどを捕らえてその体液を吸い取るが、スズメバチや自分の体の数倍も大きいオニヤンマなども餌食にするという草原の殺し屋なのだ。 多くのトンボはアブの天敵と言われているのに、この小さな体でオニヤンマの命を狙うなどとは、なかなか見上げた勇気の持ち主なのだ。 もっともときに返り討ちにあったりもするようだが、これは一匹狼の殺し屋の宿命だろう。 一方の哀れな被害者のモンキチョウは抗する武器もなく、狙われてしまえばそれまでで身の不運を嘆く以外にないが、これが自然界の食物連鎖なのでかわいそうではあるが、日常的光景として捉えなければならない。 ムシヒキアブの仲間はノビタキなどの野鳥のえさとなるし、一見無害そうに見えるモンキチョウも幼虫のころにはマメ科の植物を食い荒らす。 自然界の生き物の間で延々と繰り返されている「食う・食われる」の関係が生態系を形作っているのだ。 そして唯一この自然界の中で「食う」だけで「食われる」ことを免れている種が自らを霊長類と名乗って憚らない「ヒト」なのだ。 今「ヒト」を襲っている各種の新型ウイルスの存在は、安直な快適性の追求のために開発と称して自然破壊を続ける「ヒト」という種に対する自然界からの警告かもしれない。
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