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前回に続いて、大山滝への登山道で出会った植物たちを紹介しよう。 登山口に当たる一向平(いっこうがなる)から上ること約20分で大山滝吊橋に着く。 大山滝吊橋は、川床より30mの高さにかかっていて、全長は45mあり橋の途中からの眺めはなかなかのものだ。 大山滝吊橋 吊橋を渡ってさらに上ってゆくと、道路わきにツクバネソウが実をつけているのを見つけた。 ツクバネソウは、学名を Paris tetraphylla と言い、ユリ科ツクバネソウ属の多年草で、北海道から九州までの深山の林内に自生しる。 草丈は15韓0cmになり、茎の先端に4枚の葉を輪生し、茎の先端から花柄を出し淡黄緑色の花を一個つける。 花が終わると、径1cmくらいの球形の液果ができ、熟すと紫黒色になる。 このときの姿が羽根つきの羽根に似ていることからツクバネソウの名がある。 ツクバネソウ。 葉が一枚枯れ落ちている。 この姿がツクバネそっくり。 赤紫の部分は花糸。 小雨が降って来たので、少し急ぎ足でさらに大山滝へ向かう。 途中イヌセンボンタケやイワカガミの群生、オオカニコウモリの花などを見ながらさらに上る。 立ち枯れの巨木のイヌセンボンタケ(ヒトヨタケ科) 斜面のイワカガミ(イワウメ科イワカガミ属)の群生。 春には淡紅色の花を3〜10個付ける。 オオカニコウモリ(キク科コウモリソウ属)
メジベが裂開してくるりと輪を描く。
上ること約30分、大山滝に到着した。 大山滝は、加勢蛇(かせち)川の上流にあり、天狗ヶ峰、烏ヶ山などから流れ出た水が地獄谷の深い谷を削り、侵食を受けにくい二枚の溶岩が造瀑層となって、二段滝を形成したものだ。 落差は43mあり、上段は28m、下段は15mある。 大山滝 大山滝で折り返して吊橋まで戻るが、橋の手前から左へ入るともう一つの滝「鮎返しの滝」に行ける。 大山滝に比べると落差は小さいが水量が結構あって、滝の上部から見ると迫力がある。 鮎返しの滝
再び吊橋を渡って、帰路に着く。 雨も上がったので、道の周辺をゆっくり眺めながら歩いていると、漆器の椀のような鮮やかな赤と黒の二色に塗り分けられた実を見つけた。 トチバニンジンの果実だ。
トチバニンジンは、学名を Panax japonicus と言い、ウコギ科トチバニンジン属の多年草で、北海道から九州の各地の山地に自生して、草丈60cmくらいになり、茎の中ほどにトチノキの葉に似た3〜5枚の葉を輪生する。6〜8月に茎の先端の集散花序に淡黄緑色の小花をたくさんつけ、花が終わると球形の果実がつき赤く熟す。 トチバニンジン 赤と黒に塗り分けられた実が可愛い。 大山滝への道は、これから紅葉を迎え、いっそう美しくなることだろう。 また時間ができたら訪れてみたい。
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2009年09月26日
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「ひるぜんリザーブ」から車で30分くらいのところに大山滝への登山口がある。 そこから徒歩でさらに30分ばかり険しい山道を登ると大山滝や鮎返しの滝に至る。 「鏡ヶ成湿原」を訪れた同じ日の午後、時折小雨がぱらつく空模様の中、連休が終わって登山者もまばらになった大山滝への山道を歩いた。 途中の山道で白色と薄紅色の二種のツリフネソウが咲いているのを見つけた。 いつも見慣れているツリフネソウとは明らかに違うので、写真を撮っておきその夜に調べて見た。 ツリフネソウ科ツリフネソウ属で良く知られているものとしては、帰化種のホウセンカ(学名:Impatiens balsamina)や園芸種のインパチェンス(アフリカホウセンカ、学名:Impatiens walleriana)があるが、日本の自生種としては、ツリフネソウ(学名:Impatiens textori)、キツリフネ(学名:Impatiens noli-tangere)、ハガクレツリフネ(学名:Impatiens hypophylla)の三種がある。 図鑑によると、ハガクレツリフネは、本州(近畿以西)・四国・九州の山地の湿った木陰や水辺に生える一年草で、7〜10月に草丈 30〜80cmになり、葉のわきから花序を出し、淡紅紫色の花を葉の裏に隠れるように咲かせるので、葉隠れツリフネの名があり、距は前の方に大きく曲るが、ツリフネソウほど渦巻状にはならないとある。 この日撮った写真を図鑑やネット検索で調べてみると、ハガクレツリフネと紹介されているものと同一の形状と紋様だったが、ツリフネソウにもハガクレツリフネにも変異種が多々あって、今ひとつ確信が持てないが、現時点ではハガクレツリフネとしておく。 もし明快な同定方法をご存知の方はぜひご教示願いたい。 ハガクレツリフネ 白花の方は、これもネット検索等で調べてみると、エンシュウツリフネのように思われる。 ハガクレツリフネとハガクレツリフネから分化したと考えられるエンシュウツリフネの2つの変種は、主に花の形態の違いにより分類され、ハガクレツリフネは赤紫色で比較的大きな花冠を持ち、エンシュウツリフネは白く小さな花冠を持つという。 この2変種は側所的に分布する。 同じような環境に適応するために異なった形態進化を遂げたこの2種の花の形態進化の解析は、植物の適応、種分化、多様化を考える上で本質的な意味を持っているとして研究対象となっているようだ。 エンシュウツリフネは、図鑑などによると、愛知県と九州北部(福岡県・大分県)に隔離分布しているとあるが、ハガクレツリフネの変種であることを考えれば、大山エリアで見られても不思議ではないが、これまた確信が持てないので、「?」付きにしておく。 エンシュウツリフネ? ツリフネソウにもシロバナ種(紫色の斑点が入らないところがエンシュウツリフネと異なる点のようだ)があり、キツリフネにも黄色の薄いウスキツリフネという変種がある。 前述の通り、ツリフネソウには変異種が多いので、私には現時点での同定は困難だったが、この日出会った2種のツリフネソウは、いずれもこれまで目にしたことのない種だったので、早い機会にその素性を明らかにしたいと思っている。
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