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「ツマジロ」、「シロヘリクチブト」、「ツノアオ」。という文字列を見て何のことかわかる人は、相当な昆虫ファンだと思う。 私などは、最近までまったくその名を知らなかった「カメムシ」の仲間の名前だ。 「ひるぜんリザーブ」のログハウスは、積雪期には閉じられるのだが、その間にテントウムシやカメムシが格好の冬眠場所にしているらしく、春になるとどこからともなくぞろぞろと姿を現わす。 これらの不法滞在者たちには速やかに退去願うべく、そっと掃き集めて外に追い出すのだが、カメムシはうっかり刺激すると悪臭を発するので、いささか厄介である。 この時期に姿を見せるのは「クサギカメムシ」という体長16mmくらいの細かいまだら模様のある暗褐色のカメムシで、外見は極めて地味なので、写真の対象として考えたことがなかった。 ところが、最近になって「ひるぜんリザーブ」の樹木の紅葉を確認しようと樹木を見て回っているときに、かなり美しい外見のカメムシたちと遭遇した。 最初にマユミの葉の上で見つけた小さなカメムシは、ツマジロカメムシという体長8mmくらいのカメムシで、体色は、暗い紫色で光沢があり、背中の真ん中の盾形の白斑と、腹部の両縁の点線紋が鮮やかだった。 調べてみると、このカメムシは、都市近郊の雑木林にも普通に分布している種で、クヌギやコナラ、イタドリなどの葉上によくいるようだ。 ツマジロカメムシ 小さくきらきら輝いていて可愛い。 ついでレンゲツツジの枝の上にいるのを見つけたのが、体色が褐色で、腹部の両縁が黄白色をしていて、肩の両側に水平に角が飛び出しているシロヘリクチブトカメムシだ。 良く見るクサギカメムシなどに比べると体色もシックで、スマートな体型と肩の両側に突き出した角がおしゃれな印象を与えるカメムシだ。 シロヘリクチブトカメムシ 最後に見つけたのは、ウッドテラスの上を歩いていた大型のカメムシ、ツノアオカメムシだった。 ツノアオカメムシは、体長が20mmくらいのメタリックな緑色に輝く美しい大型のカメムシで、よく目立つ。 夏頃はハルニレやミズナラ、ミズキ、カエデ類の樹上で生活し、秋になると下に降りてくるらしい。 また夏の時期の個体の足や腹の縁は茶色で、秋が深まるにつれそれらは赤くなるというが、見つけたものはかなり赤くなっていて秋型のようだった。 ツノアオカメムシ 撮影のために小枝に登ってもらった。
足や腹の縁が赤くなっている。
カメムシは触ると悪臭を発するので、一般的には嫌われ者だが、種類が多く、図鑑などで見ると美しい外見をしているものもかなりいる。 私も今回初めて出会った三種のカメムシたちは美しいと思う。 もっともこれらのカメムシがびっしり固まっているところを想像するとちょっと不気味な気がしないでもない。 「ひるぜんリザーブ」の素敵な仲間、「ツマジロカメムシ」、「シロヘリクチブトカメムシ」、「ツノアオカメムシ」。
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昆虫
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「ひるぜんリザーブ」の草原では、大粒で知られる丹波栗「銀寄せ」種のクリの実が、今稔りの時期を迎えている。 毎日次々と大きな実をたくさん落とすので、朝夕に拾っているが、今朝、目の前を開翅長8cmくらいの中型の黒い蝶が低く舞った。 飛翔中に前翅の先端にオレンジ色の斑紋がチラリと見えた。 秋型のクロコノマチョウのようだ。 クロコノマチョウは、ジャノメチョウ科の蝶で本州(千葉県以西)、四国、九州および屋久島に生息し、6〜11月に出現する。 幼虫はススキやジュズダマなどイネ科の植物の葉を食草とし、成虫は腐った果実、樹液などを餌とする。 翅の形態には、夏型と秋型があり、夏型は秋型に比べ黒っぽく、翅裏に小さな蛇の目模様が並び、秋型は翅裏が枯葉模様になり翅の縁が尖る。 ジャノメチョウ科の蝶は、静止時に翅を開かないが、このクロコノマチョウも翅表は見せてくれなかった。 図鑑等によると、前翅表の上端に変形したオレンジ色の蛇の目模様があるようで、飛んでいるとそのオレンジ色が見える。 クロコノマチョウ 枯葉そっくりな翅裏の斑紋 秋型は翅の先端部が尖がっている。 低いところを飛んで、すぐに地面の枯葉などの上に降りる。 裏翅の枯葉模様は実によくできていて、枯葉に混じると、見つけるのはかなり難しい。 地味な色彩の蝶だが、秋型の翅の形は美しい。 「ひるぜんリザーブ」の素敵な仲間、「クロコノマチョウ」。
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「ひるぜんリザーブ」の庭を歩いていると、地上でメタリックカラーの翅を煌めかせているものがあったので、近づいて手にとってみると「タマムシ」だった。 タマムシは、体長4cmくらいのタマムシ科の昆虫で、沖縄以北から本州、佐渡などの地域に棲息していて、成虫はケヤキやエノキなどのニレ科の樹木の葉を、幼虫はそれらの朽木の材を食べる。 法隆寺所蔵の飛鳥時代の国宝工芸品「玉虫厨子」に6000枚も使用されていたことで知られているその美しい翅の表面は、金緑色の地色に銅紫色の縦条が入っており、裏面は金緑色で、腹部および胸部中央は金赤色をしている。 タマムシの翅の色が光のあたり方で虹色に変化し、さまざまな色に見えることから、解釈の仕方によって、どちらとも取れるあいまいな表現のことを指して「玉虫色」と言うが、織物や染色の世界では、光の干渉によって起こる金緑から金紫の色調変化をする織色や染色のことを「玉虫色」と言う。 久しぶりに目にしたタマムシだったので、しばらく撮影に付き合ってもらった。 タマムシ 裏面 無数の小穴とうろこ模様が見える。 オスは大きく突き出した複眼を持っている。 それではスライドショーでタマムシの美しい煌めきをたっぷりとご覧ください。 http://www.imageloop.com/swf/looopSlider2.swf?id=55847698-6e2d-138c-859e-12313b0038e1 *スライドショーが停止あるいは終了している場合は、画面下の「Continue」ボタンをクリックするか、画面右上の「X」マークをクリックしてください。スライドショーが再開できます。 メタリックな輝きを持つタマムシの色は、色素よりむしろ構造色と呼ばれる特殊な発色メカニズムによって生まれる。 タマムシの外皮は透明な膜が何層にも重なっていて、この層を光が通るときに多層膜干渉という特殊な反射が起こり、この反射が美しい色と光沢を生む。 また表面の無数の穴と多角形のうろこ模様が光を拡散させるため、どの方向から見てもキラキラと輝いて見える。 このタマムシの色と輝きは、数千年の時を経ても変わることがないので、「玉虫厨子」にも使用されたというわけだ。 「ひるぜんリザーブ」の素敵な仲間、「タマムシ」。
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先日ナミアゲハを撮っているときには、実はもっとたくさんの蝶がその近くで舞っていた。 この時期は蝶たちの求愛活動が盛んで、一頭のメスををめぐって数頭のオスが求愛のためにメスの周辺を舞う。 この日は、ナミアゲハ数頭とホシミスジ三頭、モンシロチョウ三頭、シジミチョウ数頭が目の前で飛び交い、カラスアゲハもチラリと目の端に入ったりして、カメラで追うのに大忙しだった。
最初に現れたナミアゲハを至近距離で撮っていると
いきなりもう一頭がレンズの前に飛び込んできた。 少し引いて待っていると、またやってきて、近づいては何度ももつれあう。 この時期は求愛行動が多く見られ、ヤブツバキにきていたナミアゲハにも すぐにもう一頭やってきて、ひとしきりもつれる。 コムラサキシキブの枝のナミアゲハには別の蝶がやってきた。 これはホシミスジだ。 ヤマハギでは、三頭のモシロチョウが飛び交っていた。 この日は、まるで蝶の特異日でもあるがごとく、2時間くらいの間に集中的に蝶がやってきた。 良くとまってはくれるのだが、あちこち移動するので、こちらも彼らに引っ張りまわされることになる。 それでも蝶も一頭だけなら比較的撮影しやすいのだが、同じフレーム内に複数の蝶を収めようとすると、結構大変だ。 もっとも蝶に翻弄される忙しさはちっとも苦にはならない。 次の特異日がやってくるのを楽しみに待っている。 「ひるぜんリザーブ」の素敵な仲間、「ナミアゲハ」「ホシミスジ」「モンシロチョウ」。
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関西にある自宅の庭では、蒜山高原では余り棲息していない蝶が見られる。 アオスジアゲハもそのひとつだ。 アオスジアゲハは、アゲハチョウ科の蝶で、主に本州中部以西に棲息しており、4〜10月に出現する。 クスノキやタブノキ、ヤブニッケイなどのクスノキ科の樹木の葉を食草とするので、クスノキの街路樹や公園樹としての植栽が進んだことなどで、生息域が徐々に北上していたが、最近では関東はおろか秋田、青森あたりでも確認されるようになっている。 北上の原因として温暖化説もあげられているが、真偽のほどは不明である。 先日もクロマダラソテツシジミが東京で確認されたというニュースがTVで流れていたが、このことについて解説をしていた東京の大学の研究者が「温暖化の指標になる」と明言していたが、研究者たるもの物事をそんなに簡単に決め付けてよいものかと、いささかあきれながら見ていた。 とかく何事も「地球温暖化」に結び付けたがるマスコミに迎合した発言のように思えた。 アオスジアゲハは、黒の地色に前翅から後翅へつながる一本のパステルカラーの青緑色の縦帯が走るが、この青緑帯部分には鱗粉がなく、透き通っているので、遠目にも色鮮やかですぐにそれと知れる美しい蝶だ。 二階の書斎の窓から、南に広がる小さな鎮守の森の樹木が見えるが、森の中の樹木の梢をアオスジアゲハが舞っていた。 良く見ると低木につるを茂らせているノブドウがちょうど花を咲かせていて、その花で吸蜜をしていた。 ノブドウの花の上を舞うアオスジアゲハ 青緑色の帯模様が美しい。 せわしなく飛び回る。 吸蜜のために花に口器を伸ばしているのが見える。
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