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=生物多様性= 私たち人間を含むあらゆる生物は、異なる環境に適して分布する様々な種が、お互いに密接な関係を保ちながら、生物群集として長い年月を経て進化をしてきました。 その結果、生物種ごとに環境に適した独自性を持ち、また種間でも地域ごとに遺伝子が異なるという変異を持つようになりました。 これが「生物の多様性」です。 したがってその群集を構成していた多数の種の中のひとつの種が欠けてもその地域の生物の多様性が失われ、生態系に影響が及びます。 =急速に増えている絶滅種= 環境省の「生物多様性情報システム」サイトに「生物の絶滅速度」のデータがあります。 これによると、一年間に消えてゆく種の数は、 恐竜時代 0.001 種/年 1600〜1900年 0.25 種/年 1900年 1 種/年
1975年 1,000種/年
1975〜2000年 40,000種/年 この数値を一つの種が絶滅するのに要した時間に換算すると、 恐竜時代 1000年/種 1600〜1900年 4年/種 1900年 1年/種
1975年 約9時間/種
1975〜2000年 約13分/種 となります。 近年いかに急速に種の絶滅数が増加しているかがよくわかります。 また国際的な自然保護機関である国際自然保護連合(IUCN:International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)は、世界中の絶滅のおそれがある動植物を「レッドリスト」としてリストアップしていますが、その2007年版によると、そのうち絶滅のおそれの高い「絶滅危機種」の数は、哺乳類や鳥類、爬虫類、魚類などの動物種で7850種、植物種他が8456種となっています。 中でも、哺乳類と鳥類、両生類の絶滅危機種が多く、哺乳類は現存する種の22%が絶滅危機種で、その中にはゴリラ、トラ、アフリカゾウ、クロサイ、オランウータン、ジュゴンなどがリストアップされています。 両生類に至っては全体の31%が絶滅の危機にあります。 また多様性には、厳密に言えば、景観の多様性、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性など様々な段階がありますが、これらのすべての段階の多様性を備えた自然こそが、人間を含む生物の命の源泉なのです。 =とどまることの無い「自然破壊」= それではそろそろ日本国内に目を向けてみましょう。 私たちの生活環境は、近年大きく変化しました。 都市部は言うまでもなく、地方の田園地帯でさえ自然破壊が急速に進んでいます。 都市では大量の住宅供給のための宅地開発や、それに伴う道路建設、農村では減反政策や農地や山林の宅地転用などによる休耕地、空閑地が増加しています。 年を経るごとに原野は削られ大きな改変が加えられ、残された自生の植物や動物は、生き残ってゆくことが次第に困難になっています。 山岡文彦氏著の「帰化植物100種」によると、多摩丘陵では、多摩ニュータウンなどの造成工事の結果、キンラン、ギンラン、ニリンソウ、ムラサキ、タマノカンアオイ、サギソウ、ヒトリシズカ、フタリシズカなどがその自生地を奪われ、コナラ、アカマツ、サワラ、ブナ、クヌギ、ヒノキ、スギなどが次々となくなり、針葉樹林、落葉樹林が姿を消しつつあります。 またその下草であるゼンマイ、コモチシダ、ホラシノブ、ウラジロ、クマワラビ、カニクサ、ワラビ、センリョウなどが被害を受けています。 自動車の排気ガスに弱い蘚苔類は沿線と道路脇では姿を消しつつあります。 私たちは郊外にゆくと、まだたくさんの野鳥やトカゲやコウモリ、カエル、昆虫その他の動物を見ることができます。 しかしよく観察すると、それらはかってそこにいた種とは異なった種であることに気がつくかもしれません。 特にここ数十年は、地域でいくつもの種が絶滅すると共に、多くの野生生物が姿を消しつつあります。 さてここまでは、ご理解いただけたでしょうか。 もしわかりにくい箇所や疑問点があればコメントを残してください。 また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 次回は、「生物の多様性を脅かすもの」についてお話しましょう。
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エコガーデニング講座
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=あなたの庭は、地球のワンピース=
地球を大きな立体ジグソーパズルにたとえると、あなたの庭は小さくとも、かけがえのないひとつのピースであることが分かります。
それは隣接する各ピースと密接につながり、互いに作用しあいながら、それぞれが固有の機能を果たしています。 個人の住宅に付属する庭は、地域の自然にとってあまり影響の無い、極めて小さな類型的な場所と思われ勝ちですが、実は地域の自然にとって重要な意味のある、地球上にふたつとない極めて特別な場所なのです。 ですから家庭の庭での私たちの行動/庭づくり - ガーデニング/は、地域の自然環境に「良い影響」も「悪い影響」も及ぼすことができます。
もっとも身近な自然である家庭の庭を、植物を植え、眺め楽しむためだけの庭から、地域の多様ないきもののための生息環境としての機能をも持たせた庭へと転換させることができれば、個人の庭は健全な地域生態系の持続と生物多様性の保全に貢献できるのです。 (生態系とか生物多様性については後で詳しく説明しますので、ここでは読み流してください。)
小さな庭も地球の一部=生態系に配慮した庭づくりのいろいろ= 近年生態系保全への思想の高まりから、庭づくりの方法や考え方にもその影響があらわれ、いろいろなネーミングのエコロジカル・ガーデニング(生態系に配慮した庭づくり)が提案され実施されています。 主なものを挙げてみると、「オーガニックガーデニング」や「ネイチャーガーデニング」、「パーマカルチャー」、「ビオトープ」そして「エコガーデン」、「エコガーデニング」などがあります。 そしてそれらの言葉の意味はおおよそ次のようなものです。 ○オーガニックガーデニング=Organic Gardening 植物が元気よく育つよう、健康でバランスの取れた環境を作りだすことを目標にし、自然と共生する庭作りを基本としている。 土壌肥沃度の向上には、化学肥料を使用せず、有機物のリサイクルにより行う。 また庭に多様性を持たせ、病害虫の発生を未然に防止する。 ○ネイチャーガーデニング=Nature Gardening
オーガニック・ガーデニングの一技法で、野生生物が来やすく、棲みやすくすることに重点を置いた庭づくり。
○パーマカルチャー=Permaculture 自然の比較的無害なエネルギーを用い、豊富に得られる食物や天然資源を用いて、しかも絶えず地上の生き物を破壊してゆくこともなくヒトが地球上に生存して行けるシステム。 ○ビオトープ=Biotop ドイツで生まれた言葉で、人間が生活・活動する空間につくられた「本来の生態系が保たれた生物の最小生息空間」のこと。 この中で「エコガーデン」、「エコガーデニング」という言葉にはこれまで明確な定義がなく、次のようにさまざまに使用されています。
● 省エネルギー、省資源、リサイクル、リユースなどの考え方を取入れた庭および庭づくり
私たち「エコガーデニング協会」が提案する「エコガーデニング」およびその考え方に基づいてつくられる庭「エコガーデン」は、以上のいずれとも明らかに異なる新しい考え方です。● オーガニックガーデンおよびオーガニック・ガーデニングと同義語 ● 単なる店舗または商品名 小さな庭も地域生態系を担っている。 =エコガーデニングとは=
「Eco-Gardening / エコガーデニング」 とは、一言で言うと「3L, 2H & 1N」の庭づくりです。
☆ Low Impact = 地域の*生態系や環境へ与えるダメージが小さい。 *生態系=Eco System:一定の空間におけるすべての動物、植物および物理的相互作用を含むもの。 ☆ Low Consumption = エネルギーや資源の過剰な消費を伴わない。 ☆ Low Maintenance = 維持管理が容易かつコストがかからない 。 ☆ Healthy = 生物に有害な化学物質を使用せず健康的である。 ☆ Harmonized = 野鳥や昆虫をはじめとする多様な生物(動植物)が調和して生息できる庭づくりを日々継続的に行なう(Garden-ing) ことであり、またさらには ☆ Networking = その考え方を協働して広げてゆく。 ことです。 それでは、「エコガーデニング」の考え方を実践するとどんなメリットがあるのでしょう。 =「エコガーデニング」の効用= ○持続可能な社会の形成に貢献できます。 エコガーデニングは、地域の生態系の保全と*生物多様性の保全に貢献すると共に、生活者のライフスタイルをエコロジカルなものに転換させ、21世紀の課題である「持続可能な社会の形成」に貢献できます。 *生物多様性=Biodiversity 種内の遺伝的多様性から、種の多様性、生態系の多様性に至るまで、あらゆるレベルでの生物の多様性を包括する用語。 生物多様性の保全には、遺伝的変異、種および個体群の多様性、気候や排水の響など生態系の生命維持機構の保存も含まれている。 あなたの庭がエコガーデンに変わるとき、あなたの庭は地域の自然とつながり地域の生態系をより豊かにします。 生態系の模式図(「森林インストラクター入門」より転載) ○自然とのふれあいが豊かな情操を育みます。 エコガーデニングは多様な動・植物相(Fauna & Flora)に快適な生息環境を提供しますから、あなたの庭にはさまざまな野鳥や蝶やトンボなどの昆虫が訪れ、本当の意味での豊かな自然、美しい自然を楽しむことができます。 多くの生き物たちとのふれあいは子供たちの豊かな情操を育みます。 「エコガーデン」にやってくる蝶(コムラサキシキブにやってきたアゲハとホンミスジ) 「エコガーデン」にやってくる野鳥(水浴びするメジロ) さてここまでは、ご理解いただけたでしょうか。 もしわかりにくい箇所や疑問点があればコメントを遺してください。 また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 次回は、生物多様性についてお話しましょう。
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春四月、村にサクラこそ少なかったが、モモ、スモモ、 スミレ、タンポポ、 ハルリンドウ、クサボケ、アザミ、 などの花が咲き乱れ、雑木林ではナラがいち早く、 クヌギがややおくれて芽をふきそめてくる。 やがて田はレンゲ、林にはキンラン、ギンランが咲き、 ゼンマイやワラビも立つと、八十八夜だ。 畑の境にウツギが、林端にはエゴノキが咲きこぼれる ころには、田川のふちではイバラが芳しい。 クリの花が咲いて、ホトトギスの鳴くころには、 畑にはエンドウやインゲンがみのる。 ツクツクボウシが聞こえると、ダイコン、ツケナ、ソバ、 秋じゃがをまき、キビやアワがうれてくる。 ケイトウが染まると、ヒガンバナ、ハギ、オミナエシ、 ヨメナ、ススキと続いて、やがて雑木林にきのこが 立つ。 ナラタケ、シメジ、まれにベニタケ、ハツタケ、 多いのはアブラボウズというきのこだという。 チャの花が咲くと、雑木林にからむジネンジョの葉が 黄になり、ヌルデが紅になって、リンドウが咲く。 稲もかりとられると、時雨がくる。 風花がちる。 ほうきを逆さに立てたような雑木林に、きこりが入って ナラやクヌギをきる。 ノリソダをつんだ車がゆく。 そして、世田谷のボロ市がくると、もう師走である。 ............................... 徳富 蘆花 「みみずのたはごと」 =失われてゆく美しい日本の自然= 徳富蘆花がその著書「みみずのたはごと」で描いた都市近郊の景観は当時(大正初期)の日本ではどこにでも見られたものでしたが、いまこのような景観を見ることは極めて難しくなってきています。 これまで私たち地球上の超越的優占種であるヒトは、開発という名のもとに自然環境の破壊を続け、その結果としてアマゾンや東南アジア熱帯雨林における「森林破壊」や、アフリカ・中国・南アメリカ諸国での森林伐採による「沙漠化」、大気汚染による「酸性雨や温暖化」、化学物質多用による「環境ホルモンの生成」、フロンガスによる「オゾン層の破壊」などの多くの問題を生んでいます。 =自然は子孫からの預かりもの= これはネイティブアメリカンの古老の言葉です。 私たちは自然に対して、あまりにも多くの改変をし続けてこなかったでしょうか。 今を生きる私たちは、自然の恵みを享受する権利はあるにしても、それを費消しつくしてしまう権利はありません。 少なくとも私たちが祖先から受け継いだ自然環境を損なわず、そのまま次の世代へ引き渡してゆく責任があるのではないでしょうか。 私たちの子孫とそして私たち自身のために、いま私たちにできることを考え、そして実行してみようと言うのが、「エコガーデニング協会」が提唱する「エコガーデニング」という新しい庭づくりの考え方です。 これから数回あるいは数十回になるかもしれませんが、「エコガーデニング」について、できるだけわかりやすく説明してゆきたいと思います。 時間のあるときに興味のある箇所からでかまいませんので、ぜひお読みください。 さてここまでは、ご理解いただけたでしょうか。 もしわかりにくい箇所や疑問点があればコメントを遺してください。 また内容をご理解いただけた方は、ぜひ「ガッテン」の意味で「傑作」ポチをお願いします。 講師の励みになります。 次回は、「エコガーデニング」とは、どのようなもので、どういう効用があるのかなどについてお話しする予定です。
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