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一連の悪夢から、1ヵ月と少し経過。
直接の被災地ではないここ東京では、帰宅難民、出勤難民、電力不足、物資不足、空気の汚染と水道水の汚染(原発近辺に比べれば相当微量ではあるが)、などがあったくらいで、東北に比べれば、たいした被害はない。
普通の地震災害なら、1ヵ月も経てば、直接の被災地以外は落ち着いてくる頃だが。
今回はそうもいかない。
かなり大きな余震が頻発。
まあ、余震自体は、ここ東京では震度4とかだから、別にどうってことはない。
問題は、東北各地の原発。
宮城沖の余震(余震でM7.4とかカンベンしてもらいたいが)では、東通や女川のバックアップ体制の脆さが、浮き彫りになった。
女川は震源に近いからという多少の言い訳はできるだろうが、東通は震度5弱(当初は震度4だった。この数字の変化については穿って見ることもできる)である。
その程度で「通常電源・予備電源ともに喪失」というのは、地震大国の原発施設として、根本的にまずいのではないか?
つまり存在してはいけない施設ということ。
この国の今の管理体制では、原発は無理、ということが、はからずも露呈。
落ち着かない理由その2。
福島第一。
これ、ちょっと手詰まり感が否めないと思うのだが。
炉にいくら水を注入しても、水位は上がらず、燃料棒の66〜75%くらいしか入らない。
つまり、圧力容器は穴か亀裂があって壊れている。
保安院のオッサンに言わせると「穴が開いているようなイメージ」ということらしい。。。
…どうもこう、わざとこちらが失笑してしまうような言い回しを選んでいるとしか思えないが。
穴にイメージもへったくれもない。
「穴」は「穴」である。
格納容器(あるいは圧力抑制室)も、穴か亀裂があって壊れているのは、あちこちに漏れ出している高濃度の汚染水から類推できる(圧力容器から復水器へつながる管から漏れているとも考えられるが)。
しかし、穴が開いているからといって、水の注入をやめる(冷却をあきらめる)わけにはいかない。
毎日500トンの水を炉に注入するわけだが、基本的にすべて汚染水となって、日々、漏れ出しているのが現状。
一次冷却系の汚染水がジャンジャン漏れ出すというのは、相当深刻なこと。
汚染水の貯蔵施設(新設分含む)は、8万トン。
これは半年弱で満タンになってしまう。
メガフロートで回収できるのは1万トンらしいが、これも20日で満タンになる。
(汚染水が地下の土壌に吸収されてしまう分もあるだろうから、こんな単純計算にはならないであろうが)
ロシアが汚染処理施設を提供するというニュースがあったが、それをもってしても、日々の汚染水の7分の1(1日70トン)しか処理できない。
1日、430トンの汚染水が発生する。
単純計算であるが、210日(7ヵ月)で、既存のすべての汚染水貯蔵施設がすべて満タンとなる。
しかし、7ヵ月ですべてが終わるだろうか?
それまでに、本格的な汚染処理施設を仮設するなりしなければならない。
このへんのビジョンはどうなっているのだろう。
汚染水は、溜めておけば、半減期の短いヨウ素131などは、7ヵ月で相当減る(分もある)が。
大気中ではあまり検出されない(であろう)、コバルト、プルトニウム、ストロンチウム、テクネチウムなど、半減期が長めの核種が、汚染水には含まれている。
こういった高濃度の汚染水を、再び海に垂れ流すのは、相当にまずい。
循環式の冷却システムを新たに作るか(既存のシステムは、仮に電気が通っても壊れているのではないか?)、毎日500トンの汚水を処理できる施設を作るか。
そういう構造物を、そんな簡単に作れるものなのか。
などと考えていくと、なんとなく手詰まり感がある。
それに。
そもそも、作業員の数が足りなくなるような気がする。
一人当たりの被曝量を250mSvまで引き上げたとしても、一体何人の作業員が必要なのか、その頭数は確保できているのか…とか。
そういう見通しは立っているのかどうか。
さて昨日、保安院から「今回の事故は、INESのレベル7に相当する」という発表があった。
これを受けて、テレビの御用学者は、「福島第一から出ている放射性物質は、現状ではチェルノブイリの10分の1程度だから、チェルノブイリより影響は小さい」などとお気楽なことを言っていたが。
今後数年間、炉や建屋に人が近づけるようになるまで冷やし続けることを考えれば、人跡未踏のチェルノブイリ超えも当然視野に入るのではないか。
チェルノブイリは、一つの炉が爆発しただけだが、福島第一は、3つの炉が極めて深刻な状態であり、使用済み核燃料プールも露出(水は入っているが覆いがないうえに燃料棒損傷)しているという状態を考えれば、まだまだ危険であると言えまいか。
爆発して、瞬間に大量の放射性物質を成層圏まで吐き出し、多くの作業員を犠牲にして、半年ちょっとでむりやり収束させたチェルノブイリ。
ダラダラと放射性物質を吐き出し、炉は不安定なまま安定しているが、見通しがまったく立たない福島第一。
事故が収束していない現在、単純な比較はできないが、福島第一がチェルノブイリを追い越さないようにするための具体的なプランが示されないので、今のところなんとも言えない。
というわけで、福島第一は「今はチェルノブイリの10分の1」だが、今後の展開によっては、それを超える可能性も孕んでいるということ。
我々は、今後数年間にわたって、落ち着かない毎日を過ごさなければならない、ということだ。
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