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「きめえんだよ」
「死ねよ」
ざわめきの中に混じる罵声。
私は背中にそれだけを受け止め、教室を出る。
足は自動的に恋人のもとへと私を運ぶ。
本能はそのようにプログラミングされているのだろう。
自転車に乗って30分。
町を抜け、私の家も通り過ぎ、
山の中へ入っていく。
町とは違った湿り気を帯びた空気。
人の起こすざわめきとはちがった、木々が起こすざわめき。
辺りは少し暗くなっていた。
空の夕日のオレンジと闇が交わる境界線が美しい。
山の中腹あたりに、森があり、その真ん中あたりに何かの木の大木があった。
そう、その「木」が私の恋人。
私は木の根元に座って、恋人に体を預けたのだった。
私はあなたとひとつになりたい。
私はそこで自殺した。
終
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2010年05月12日
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