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桜の木の下で

「きめえんだよ」
「死ねよ」
 
ざわめきの中に混じる罵声。
私は背中にそれだけを受け止め、教室を出る。
 
足は自動的に恋人のもとへと私を運ぶ。
本能はそのようにプログラミングされているのだろう。
 
自転車に乗って30分。
町を抜け、私の家も通り過ぎ、
山の中へ入っていく。
 
町とは違った湿り気を帯びた空気。
人の起こすざわめきとはちがった、木々が起こすざわめき。
 
 
辺りは少し暗くなっていた。
空の夕日のオレンジと闇が交わる境界線が美しい。
 
山の中腹あたりに、森があり、その真ん中あたりに何かの木の大木があった。
そう、その「木」が私の恋人。
 
私は木の根元に座って、恋人に体を預けたのだった。
 
私はあなたとひとつになりたい。
 
私はそこで自殺した。
 
               終
 
 
 
 

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