ここから本文です
mssから星を眺めて
たまには夜空を見上げるのも良いかと…
年に十数回、初心者向けの観望会に参加し望遠鏡で夜空を見てもらっていて不思議に思っていたことがあります。
開催場所は街中のいわゆ光害地と言われる場所が多いのですが、なるべく地明かりの少ないところを選んで開催され観望対象も誰もが見やすいものを割り当てられています。
しかし、観望が始まって20分近く経過しても指し示す星が「見えない」、淡い星雲を望遠鏡の視野に導入しても「わからない、という方々がいらっしゃいました。

50才で近眼に老眼の進んだ私でも見えているのに、長年の経験の差かなと考えていましたがどうも違うようでして…

ある時、望遠鏡を覗くのを待つ間に遠くを見ている方に気付いたので質問してみました。
「何を見ていたのですか?」と
答えを聞いて納得、どおりで淡い星が見えないはずだと。
質問に対する答えは、「遠くの街明かりがキレイなので眺めてました。」(要約)。


その後に参加した観望会でも望遠鏡を覗くのを待つ方々を観察すると、一定数は街明かりを眺めているようでした。
地明かりのない暗い場所を選んで観望会を開いても、参加される方が暗順応を知らなければ見える物も見えないと気づかされた次第です。

なので今回は、目が暗さに慣れる暗順応について説明してみたいと思います。



暗順応とは、俗に言う「目が(暗さに)慣れる。」ということです。

イメージ 1
常夜灯を点けて眠ると夜中に目が覚めた時に明るく感じるあれです。





人の目には「虹彩」というカメラレンズの絞りにあたるものがあり、
光が通る場所を「瞳孔」といいます。


この虹彩は開閉して瞳孔の面積を大小することにより、目の奥(眼底)にある光を感じる視神経に届く光の量を少なくしたり、多くしたりします。


イメージ 4

明るい場所では瞳孔が小さく、暗い場所では瞳孔が大きい
虹彩(瞳孔)が開いたり閉じたりしている

しかし、この虹彩は閉じるのは早く、開くのは遅いという特徴を持っています。
改めて調べてみたところ、視神経は光の刺激にとても弱いので虹彩(瞳孔)が閉じるのが早いのはそれに対する防御反応のようです。
*太陽を直接見てはいけませんなどと言われる所以です。

眼底検査を受けた方は経験したと思いますが、私はその検査を受けた時に光は痛い(激痛)を体験しました。


次のグラフは暗順応にかかる時間のグラフです。
横軸が経過時間(分)・縦軸が周りの明るさ・白と青の曲線が暗順応の様子で、グラフの曲線が下に行くほど淡い光が見えるてくることになります。
イメージ 2

グラフ左右のオレンジの部分は明かりの点いた状態、黒い部分は明かりを消した状態。
水平の青・下に下がる白の線が暗順応の進行具合、線が下に行くほど淡い光の物が分かるようになります。
*線が下に下がるほど瞳孔が開いて沢山の光を目の中に取り込める

明かりを消すと数分あたりで何となく周りが見える状態になり、その後は徐々に暗さに慣れてゆき20分を過ぎる辺りで線が水平に近くなります。
*瞳孔が開くのにかかる時間は年齢等の個人差があります。

この下降する曲線の途中で街明かりなどの光源を見てしまえば、一足飛びに左側の青の部分に戻ってしまい淡い光が見えなくなってしまいます。

星が見たいのか、夜景が見たいのか、人それぞれですが知らないことを知ったうえで観望会で夜空を楽しんで欲しいと思います。


ざっくりとですが、暗順応につて書いてみました。

この虹彩(瞳孔)の開閉以外にも視神経の化学物質、錐体・杆体の性質、赤青緑の光に対する感度の違いなど複雑な仕組みもあります。
興味がある方は、キーワードを使って調べてみてください。
なぜ天体観測に赤いライト(明るくない)が必要なのかも理解出来ると思います。

ここに掲載した画像はタブレットに入れて観望会に持参しています、私だと分かったら声をかけて頂ければご披露しますのでどうぞお気軽に。




おまけ
そらし眼について

昔から言われる望遠鏡で暗い(淡い)天体を観るやり方に「そらし眼」があります。
簡単に説明すると、接眼レンズの中心に淡い天体を導入して中心を凝視しないでその回りを見その回りを見回す。


イメージ 3
接眼レンズを覗いた様子

中心にある白い輪っかは夏の定番、M57リング状星雲で光害地でも見えるのですが空が明るいため、背景に溶け込んで見えにくいです。
そんな時は中心ではなく、赤い円(中心からそれたところ)の辺りをゆっくりぐるぐると見回してみてください。
中心に淡く白いリングが見える(感じられる)でしょう。
これは、目の特徴だそうで視野の中心では淡い(弱い)光に対する感度が低く、視野の周辺では感度が高いそうです。
どこかの観望会に参加した時、「何々星雲です。見て下さい。」と言われた時に実践してみてください。


イメージ 5
茨城県霞ヶ浦、暗順応すると天の川が見えます。


雑感
近年、ツアー会社の主催する星空観望へお手伝いに参加した時の話です。
開催場所は北関東の某所、雲と月がなければ夏の天の川の暗黒帯が見えるような条件の良い場所なのですが…
日帰りツアーなのでお客さんが星空の下に居られるのは1時間ほど。
その間、始終LED投光器をお客さんに向けて発光。
最後の5分間だけ消灯して、「素晴らしい星空でしょう!」とアナウンス。
正直、恥ずかしくなりました。

無知蒙昧は罪ではないと思いたいですが、せめて事前に調べることはして欲しいなと思った次第です。

「子曰、過而不改、是謂過矣(過ちて改めざる、是を過ちという)」の言葉もあります、自分に足りない知があれば持っている人の知を利用して臨機応変に対処すれば…

私も恥ずかしい思いをしないように精進しようと帰りの運転中に考えさせられた出来事でした。

船橋市西部5公民館合同事業の「みんなで星を数えよう」にお手伝いとして参加してきました。
数百名の応募者から選ばれた60名の市民の皆さんを3班にわけ、「プラネタリウム」「星座早見盤作り」「星空を観望」を15分の休憩をはさんで30分ずつの持ち時間です。

可搬式のプラネタリウム・ドームの設置風景
イメージ 1
イメージ 2

プラネタリウムは、モバイル・プラネタリウムという団体?の方が、星空を観望は隊長とN先生の重鎮お二人。
私の担当は星座早見盤の工作教室の講師役です。
早見盤を作るのは、ものの5分余りで終了。
残りの25分を持たせるのに四苦八苦。
早見盤の使い方を丁寧に説明したり、色々な話を小出しにして何とか時間を使い切ることが出来ました。
大勢の不特定多数を前に話をするのは、前職以来10数年振りでしたが何とかなったと思います。


終了時の挨拶風景
イメージ 3

次は、19日の浮島観望会。
何をどうしようか考え中です…


ゲストブックをお読みください。



今年の10月13日は、旧暦の9月13日にあたります。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この日もお月見の日として古くから定着しています。
中秋の月に対してこちらは「後の月」と呼び、中秋の月と合わせて「二夜(ふたよ)の月」、また栗や豆の収穫期にもあたるので「栗名月」、「豆名月」などとも呼びます。

でも、なぜ十五夜ではなく十三夜なのか…
いまから1100年ほど前(延喜19年)に催された宴が発端とも言われますが、本当のところは良く分からないそうです。
鎌倉時代に書かれた「徒然草」には「八月十五日、九月十三日は、婁宿(ろうしゅく)也、此宿清明なる故に、月をもてあそぶに良夜とす」という一文があります。

お月見の風習、古くは皇族や高貴な人々の遊びでしたので庶民の間に広がったのは、だいぶ時が過経ってからでしょう。

江戸時代辺りには庶民の間にも広がっていて、自宅以外で中秋の月を観たら十三夜も同じところ(お店)で観ないと縁起が悪いなどと言って、お客さんを呼ぶ口実にも使われ始めました。
上手い言い方ですよね(笑)

画像は13日の19時頃 (月の大きさは5倍に拡大してあります)
イメージ 1
月の右下には、秋の一つ星「南のうお座」のフォーマルハゥトが見えているはずです。
この寂しげな秋の一等星も眺めてあげてください。
そして、八月の接近以降アンタレスから、だいぶ離れた火星にも注目してください。
そして、秋の大四方型・夏の大三角。
雲が無ければ、色々と見えると思います。


一つ、面白いことがあります。
中秋の月(満月)は地球から見て春分点の辺りにいることになります。
後の月(十三夜の月)も同じ春分点の辺りにいることになるので、同じ場所で同じ時間に両方の月を観ると、ほぼ同じ場所に見えていることになります。
昔のお月見は宴や歌会などでしたから、庭の木々越しや池に写る月は、同じ場所に浮かんでいた方が都合が良かったのかもしれませんね。

イメージ 2



夕方早く、日没の17時半頃から観望するならば、西の空も気にしてください−4等の明るさで宵の明星(金星)が光っています。
そして土星とアンタレスも。
イメージ 3

私の好きな小説の一つに、樋口一葉の「十三夜」があります。
内容は書きませんが、この話は「後の月の十三夜」一晩のお話です。
興味がありましたら、現代語訳もありますので読んでみてください。




昨夜のお月様 一二夜ですが今夜は晴れそうに無いので…
イメージ 4

雲きえし秋のなかばの空よりも月は今宵ぞ名におへりける

仲秋の月

昨夜の十五夜、お月見の叶わなかった方へ…


平成28年 中秋の月

イメージ 1

雲をりをり人を休むる月見かな





イメージ 2


ぬばたまのその夜の月夜今日までに我れは忘れず間なくし思へば
ゲストブックをお読みください。

太陽に一番近い場所を回っている惑星、水星。
普段は太陽に近いところにいるため、中々その姿を観る機会はありません。
ですが、9月29日に西方最大離角を迎えます。
西方最大離角とは、内惑星(水星・金星)が地球からの見た目上、太陽から西方向に一番離れることを言います。
この時は明け方の空に、太陽が昇る前にいち早く水星が現れてきます。
太陽から一番離れて見えるため、空が明るくなる前に東の空に昇ってくるので観望の好機です。


イメージ 1

水星が地平線から現れるのは4時頃、4時半過ぎには高度が5度くらいまで上がります。
日の出は5時過ぎですから、見えている時間はわずかです。
地平線に近いので東の空が開けた場所や、マンション等の高い場所から観望してください。

29日には、水星の上の方に月齢28の細長い月があります。
これも合わせて観ることをお勧めします。
イメージ 2


明け方の水星の観望の好機は9月20日頃から10月10日頃までです。
毎日、同じ時刻に同じ場所で、地上の風景やビル・電柱・鉄塔などを目印にしておけば、水星が移動していることも分かると思います。
また、早めの時間から観望すれば、しし座の「獅子の大鎌(おおがま)」も見ることが出来るでしょう。

水星を望遠鏡で観ると、細くかけた姿が分かるかもしれません。

イメージ 4



2013年11月23日 明け方の空に並ぶ水星とアイソン彗星  C/2012 S1
イメージ 3

[ すべて表示 ]

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事