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日本の空き家率40%――。このままでは「お隣は空き家」という時代がやってきます。現在、年間90万〜100万戸程度で推移している新築住宅着工のペースを60万戸程度に落としたとしても、2040年には3軒に1軒、36%が空き家となります。
「空き家の増大」という現象は、社会構造改革が行われない日本社会の象徴ともいえる存在です。空き家の増大が意味するところは、従来型の思考や行動様式の継続に他ならないからです。
リーマン・ショックや東日本大震災などの影響で低迷していた新設住宅着工戸数は、自民党への政権交代、アベノミクスといった政策で息を吹き返し、13年まで4年連続で増加しています。一方で、新築を造れば造っただけ、空き家は増大し続けています。
こうして日々量産される空き家に対処するため、税金を投入して解体を促すなどの方策をとらざるをえない自治体が、都市郊外はもちろん、東京23区内でも出始めています。
我が国の人口はピークを過ぎ、これから長期的な減少トレンドです。同時に高齢化も進みます。経済は成長から成熟へ。それに合わせ、社会の構造を転換させる必要があるのは誰もがわかっていることです。
それでも新築着工は止まりません。政府は住宅着工を景気対策として重用し、手厚い税制優遇を設けたり、給付金を配布するなどして新築住宅着工を促しています。
その結果として空き家が増大、放置された建物が破損、敷地内の樹木や雑草が生い茂り隣地に迷惑がかかる、周辺の景観に支障が出る、不審者が侵入するなど、街の治安が悪化する事例が頻発しています。住宅建設による経済波及効果は約2倍あるとされていますが、空き家増大による外部不経済を鑑みれば、決してその限りではないのは自明でしょう。
それでもなぜこうした「空き家量産政策」がとられるのでしょうか。住宅市場の問題はこのことだけにとどまりません。日本の住宅寿命は30年程度と、他の先進国に比べて異常に短いといわれています。新築を買ったそばから価値がガタ減りし、25年程度でゼロ評価としているためです。さらに日本の住宅地が今後20年で年2%ずつ下落していくと予想される中では、マイホーム購入には経済合理性はないといわざるを得ません。「損を覚悟で買う」ということです。
また賃貸住宅は貧弱で、マイホームに比べると見劣りしますが、これも先進国のうちにあって日本特有の現象です。さらに中古住宅流通市場には「八百長問題」ともいえる隠れた大問題も潜んでいます。本書はこうした事象を説明しつつその構造を明らかにし、その上で解決策を提示します。
1章では不動産仲介業の経験から、改善されるべき業界の常識、不明朗な取引慣行をお伝えします。日本の不動産業界が抱える問題をなるべく実感できるよう、私の体験に即してお話しします。2〜5章では、急増する空き家問題、日本の住宅の寿命の短さ、「新築」と「賃貸」の格差、あるいは業界内に囲い込まれている情報の問題などを、戦後の住宅政策の変遷と併せてみていきます。さらに、6、7章では、日本のエネルギー問題、経済問題と住宅問題がどのように絡みあっているかを、世界の不動産動向とあわせて考えてみます。
住宅は「金融商品」であり「経済」に深く関与しています。同時に「生活の場」であり「文化」を担うものです。この市場が変革されることによって、社会にどれだけの恩恵をもたらすことが可能か。そのインパクトは計り知れないものがあります。本書を通じてそのことをご理解いただきたいです。そして住宅市場の変革を通じてより良い社会が築くことができればと願います。もちろんマイホームを巡るあなたの今後の行動指針にもお役に立てください。
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2014年08月17日
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