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政府は消費増税で落ち込んだ住宅市場を立て直すため、贈与税の非課税制度を拡充する方針だ。現在は親などから住宅購入資金をもらった際、最大1千万円まで贈与税がかからない優遇措置がある。国土交通省は2015年度の税制改正で非課税枠を3千万円に引き上げるよう求め、財務省と調整に入る。高齢世代から若者世代へ資金移転を促して、個人消費全体を刺激する狙いもある。
住宅市場は消費増税の影響で落ち込みが大きい。4〜6月期の国内総生産(GDP)をみると、住宅投資は実質ベースで前期比10.3%減と大幅に落ち込んだ。政府は来年秋に消費税率を再び引き上げることを検討しており、住宅向けの税優遇を拡大して住宅市場を下支えする。
住宅購入資金の贈与税非課税制度は、リーマン・ショック後の景気対策の一環として09年に導入した。12年からは購入する住宅の種類に応じて非課税枠が変わり、省エネ性や耐震性に優れた住宅なら1500万円、一般住宅は1千万円になった。非課税枠は毎年縮小する仕組みで、今年は省エネ・耐震住宅が1千万円、一般住宅が500万円となり、年末には制度の期限が切れる予定だった。
国交省は来年度の税制改正要望で制度を延長し、省エネ・耐震住宅の非課税枠を15年に現行の3倍となる3千万円に広げる案を盛り込む。枠は16年に2500万円、17年に2千万円と段階縮小する。一般住宅の非課税枠は15年に2500万円に拡大するよう求める。
政府・与党で年末まで議論して制度の詳細を決める。財務省には税優遇の大幅拡大に慎重な声もあり、15年の非課税枠は、12年当時の1500万円から国交省が要望する3千万円の間で調整が進みそうだ。
住宅資金の贈与税非課税制度は、13年の利用者(申告ベース)が前年比18.5%増の7万5千人となり、贈与税が非課税となった金額も5767億円と1.1%増えた。住宅を購入する世代は30代が中心だが、教育費などがかさんで十分な資金を確保できないケースも多い。親世代が持つ資産を生前に贈与することで、若者世代の資金不足を解消する狙いがある。
政府は消費増税後の住宅市場を下支えするため、今年4月から住宅ローン減税を拡充して中低所得者向けの現金給付制度も用意した。ただ需要回復の兆しはみえず、住宅業界からも贈与税の非課税制度の大幅な拡充を求める声が上がっていた。
贈与税の軽減措置を巡っては、子や孫に教育用の資金を渡せば1人当たり1500万円まで非課税にする制度もある。政府内ではこの資金の用途を出産や育児などに広げて非課税枠も拡大する案が浮上している。日経新聞電子版
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日本の空き家率40%――。このままでは「お隣は空き家」という時代がやってきます。現在、年間90万〜100万戸程度で推移している新築住宅着工のペースを60万戸程度に落としたとしても、2040年には3軒に1軒、36%が空き家となります。
「空き家の増大」という現象は、社会構造改革が行われない日本社会の象徴ともいえる存在です。空き家の増大が意味するところは、従来型の思考や行動様式の継続に他ならないからです。
リーマン・ショックや東日本大震災などの影響で低迷していた新設住宅着工戸数は、自民党への政権交代、アベノミクスといった政策で息を吹き返し、13年まで4年連続で増加しています。一方で、新築を造れば造っただけ、空き家は増大し続けています。
こうして日々量産される空き家に対処するため、税金を投入して解体を促すなどの方策をとらざるをえない自治体が、都市郊外はもちろん、東京23区内でも出始めています。
我が国の人口はピークを過ぎ、これから長期的な減少トレンドです。同時に高齢化も進みます。経済は成長から成熟へ。それに合わせ、社会の構造を転換させる必要があるのは誰もがわかっていることです。
それでも新築着工は止まりません。政府は住宅着工を景気対策として重用し、手厚い税制優遇を設けたり、給付金を配布するなどして新築住宅着工を促しています。
その結果として空き家が増大、放置された建物が破損、敷地内の樹木や雑草が生い茂り隣地に迷惑がかかる、周辺の景観に支障が出る、不審者が侵入するなど、街の治安が悪化する事例が頻発しています。住宅建設による経済波及効果は約2倍あるとされていますが、空き家増大による外部不経済を鑑みれば、決してその限りではないのは自明でしょう。
それでもなぜこうした「空き家量産政策」がとられるのでしょうか。住宅市場の問題はこのことだけにとどまりません。日本の住宅寿命は30年程度と、他の先進国に比べて異常に短いといわれています。新築を買ったそばから価値がガタ減りし、25年程度でゼロ評価としているためです。さらに日本の住宅地が今後20年で年2%ずつ下落していくと予想される中では、マイホーム購入には経済合理性はないといわざるを得ません。「損を覚悟で買う」ということです。
また賃貸住宅は貧弱で、マイホームに比べると見劣りしますが、これも先進国のうちにあって日本特有の現象です。さらに中古住宅流通市場には「八百長問題」ともいえる隠れた大問題も潜んでいます。本書はこうした事象を説明しつつその構造を明らかにし、その上で解決策を提示します。
1章では不動産仲介業の経験から、改善されるべき業界の常識、不明朗な取引慣行をお伝えします。日本の不動産業界が抱える問題をなるべく実感できるよう、私の体験に即してお話しします。2〜5章では、急増する空き家問題、日本の住宅の寿命の短さ、「新築」と「賃貸」の格差、あるいは業界内に囲い込まれている情報の問題などを、戦後の住宅政策の変遷と併せてみていきます。さらに、6、7章では、日本のエネルギー問題、経済問題と住宅問題がどのように絡みあっているかを、世界の不動産動向とあわせて考えてみます。
住宅は「金融商品」であり「経済」に深く関与しています。同時に「生活の場」であり「文化」を担うものです。この市場が変革されることによって、社会にどれだけの恩恵をもたらすことが可能か。そのインパクトは計り知れないものがあります。本書を通じてそのことをご理解いただきたいです。そして住宅市場の変革を通じてより良い社会が築くことができればと願います。もちろんマイホームを巡るあなたの今後の行動指針にもお役に立てください。
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政府は中古住宅を購入しやすくするため、低利融資と税制の優遇措置を拡大する方針だ。中古住宅を取得した際、個人には内装などの改修費を低利融資する新制度をつくる。耐震工事などを施せば住宅事業者も税減免する方向で検討する。割安な中古住宅を求める消費者は多いが、地震対策やバリアフリー化など改修が必要なケースが大半だ。資金支援を拡充して、増える空き家の解消にもつなげる。
政府が検討するのは、住宅金融支援機構が民間金融機関と組んで貸し出す35年の長期住宅ローン「フラット35」の拡充だ。現在は最低金利が年1.69%と民間金融機関に比べて低い。これまでも新築だけでなく中古住宅の購入時に利用できたが、来年度には中古物件の取得時の改修費用にも充てられるようにする。
日本の中古住宅の流通量は住宅市場全体の1割強にとどまっており、英米の8〜9割に比べて大幅に低い。官民団体の調査では中古住宅のリフォーム費用は約600万円(中央値)と高額だ。中古住宅を購入しても改修費用は民間銀行から別枠で借りる必要があり、増改築して中古住宅に住みたい消費者が二の足を踏む理由となっていた。
新制度では個人が中古住宅を買ってリフォームする場合、購入費と改修費をフラット35で一括借り入れできるようにする。一体型ローンを提供するために国土交通省が年度内にも政令を改正する。フラット35の利用が増えると見込まれるため、国交省は2015年度予算の概算要求に機構への出資金の積み増しを盛り込む方針だ。
住宅メーカーや改修事業者には、税制優遇を拡大する方向で検討する。中古住宅を買い取って耐震などの改修工事をする再販事業が対象だ。中古住宅の再販では、事業者が物件を取得する際と個人が住宅を購入する際に、不動産取得税と登録免許税が二重にかかる。
税負担を引き下げるため、政府は今年4月から2年間に限って個人にかかる登録免許税の税率を従来の0.3%から0.1%に引き下げた。国交省はさらに来年度の税制改正要望で、住宅事業者にかかる不動産取得税を免除する特例措置を盛り込む方針だ。税負担がさらに軽くなるため、販売価格も下がって個人が中古住宅を安く買えるようになる。
政府は中古住宅とリフォーム市場の拡大を成長戦略の一つと位置づけており、20年までに市場規模を合計20兆円と10年比で倍増する目標を掲げる。また高齢化で日本は空き家の比率が1割を超えており、防災や治安面からも中古住宅の取得を促して増大する空き家対策につなげる。 |
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