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マエアカクモバチ

 いやあ、何と言いますか。こういう話しを聞くと、自然は人間が泣いても笑ってもそんなものに関係なく黙々とその営みをしていて、たくましいという、うれしい気分になります。

 今日の産経新聞の記事です。
セアカゴケグモ 毒グモにハチの一刺し まひさせ捕食、公園などで確認
5月7日15時36分配信 産経新聞

■大阪市立自然史博物館 被害防止を期待

 強い毒性を持つセアカゴケグモに、国内では存在しないとされてきた捕食者がいることが7日、大阪市立自然史博物館の調査で分かった。一方で、大阪府内で昨年度、セアカゴケグモによる被害例が過去最多を記録したことが判明。繁殖を繰り返す毒グモの“天敵”が発見されたことで、関係者は被害拡大が防げるのではと期待している。

 同館学芸員の松本吏樹郎さんと同館友の会会員の北口繁和さんの調査によると、クモバチ(ベッコウバチ)の一種の「マエアカクモバチ」が、セアカゴケグモを捕食していることが確認された。平成19年9月に長居公園(大阪市東住吉区)で初めて確認されてからは、この数年間に、堺市堺区内や大阪府豊中市内の石垣のすき間や公園の地面などでも、このハチが針で刺してまひさせたセアカゴケグモをアゴでくわえ引きずっている姿が観察されたという。

 このハチは背中が赤さび色をしている点が特徴。これまで別のクモ(ハンゲツオスナキグモなど)を捕食する姿は観察されていたが、松本さんは「えさのクモと似た環境で増加し、入手しやすくなったセアカゴケグモを捕食し始めたのでしょう」と説明する。

 外来種であるセアカゴケグモは日本では平成7年、大阪府高石市で初めて発見。その後、兵庫や和歌山、奈良など近畿地方を中心に繁殖を繰り返しており、愛知や群馬などでも確認されるなど生息範囲が北上している。

 大阪府環境衛生課によると、セアカゴケグモによる府への被害報告は、13、16、17年度にはそれぞれ1件だったのが、18、19年度にそれぞれ6件。20年度には9件と最多を記録し、「ここ数年で被害例が増加しており、今年は予断を許さない状況だ」という。

 同課では定期的に生息状況を調査をしているが、「クモは一カ所に固まっているわけではないので、一斉駆除は不可能だ」と頭を悩ませていた。

 思わぬ天敵の発見に「生態系への影響を考えなければいけないが、面白い発見だと思う」と期待感を示している。

 首都大学東京の清水晃助教(生物多様性)の話「マエアカクモバチは国内でも比較的まれなハチで、生態があまりよく知られていない。毒グモの駆除に使えるほど、増殖させることができるか疑問の余地があるが、いい意味での影響が期待できるだろう」

                   ◇

【用語解説】セアカゴケグモ

 オーストラリアや東南アジアなどの熱帯、亜熱帯に生息。船の貨物などとともに日本に入ってきたとみられる。オスは体長約3ミリ、メスは体長約15ミリ。メスは背面に赤またはオレンジ色の帯状の模様がある。神経毒をもち、かまれた部分が腫れ、痛みが次第に広がる。呼吸困難など全身症状が表れることがあり、海外では死亡例もある。
 外来種問題とやらや、農業・衛生害虫対策を考えたとき、それを「増やしたくない」という場合に真っ先に考えるのは当然、天敵の存在とその利用というのは基本的な考えですが、記事冒頭にあるように、セアカゴケグモのような毒グモに対して、まさか在来種が天敵となりうるとは思いもしませんでした。
 なんとなく、理屈抜きで痛快な気分になります。

 しかし考えてみれば、結構大きなクモを狩るカリバチの仲間、特にその中でもベッコウバチの仲間にはいくつもの種があるわけで、毒の有無を除けばクモの身体能力はそう変わるものでもなし、これらカリバチらにとって狩るメニューが増えたということは十分ありえる話ですね。
 マエアカクモバチというのは、すみません、私も不勉強で聞いた事の無いハチでしたが、カリバチの仲間であればこの種に限らないのではないか?例えばスズメバチももしセアカゴケグモを見つければ狩る可能性もあるのでは?と思ったりします。大型のスズメバチにとっては後から不意に襲えば、それほど手ごわい相手ではないかもしれません。

 それにしても、セアカゴケグモに、マエアカクモバチですか。赤色模様同士の生存をかけた戦い。赤が何か関係しているんだかいないんだか。
 googleでマエアカクモバチで検索しても、今回のこの記事くらいしかヒットしないほどですので、かなりめずらしいというか、普段、話題にもならないハチなのかもしれません。

 ではセアカゴケグモ対策として人為的にこのマエアカクモバチを増やそう、という点ですが、最後にコメントを寄せている教授は「増やすことが可能かどうか?」という視点でのコメントですが、私は増やせるとしても止めておくべきだと思います。

 ベッコウバチの仲間は普通に刺激を与えなければ人間を刺すということはほとんど無く、数を増やしたところでも人為的に増やすというのは問題は無いように思えます。しかし、人間ごときが、そうそううまく自然を自分たちの思惑どおりにコントロールなんてできっこありません。

 マエアカクモバチを増やした場合、セアカゴケグモもそれによって少しは減るかもしれませんが、同時にその他セアカゴケグモよりも圧倒的に多い数がいるであろうクモの方が優先的に狩られてしまい、結果、それらのクモが食べて増加を抑制していた小昆虫が増加する、という影響が出るに決まっています。見慣れぬセアカゴケグモよりも、見慣れて毒の無い在来種を襲った方がマエアカクモバチにとっても効率的ですしね。
 むろん、それくらい、このコメントを寄せた教授だって当然ご承知のはずでしょうが、記者の視点でその程度に触れていないのは少々残念ですね。まあ生物の専門家ではないから仕方がないというところでしょうか。

 マエアカクモバチがセアカゴケグモしか狩らないわけでないし、またマエアカクモバチは人のためにクモを狩っているわけでもないという当然のことを、忘れてもらっては困りますね。

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自然界は自ら調和を保とうとしているようですね。こういうことがあるかと思えば多くの生き物が絶滅していっている事実も見逃せませんね。

2009/5/7(木) 午後 7:59 [ - ]

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誰もいない、山奥の守の中にいますと、野鳥が鳴き、昆虫が飛んでいます。私がそこにいようがいまいが、昨日も今日も同じように生きていて、お互いがお互いで関わって生きているのだろうな…と思いますと、人間以外の生き物は、人間がいなくてもほとんど困らない生き物ばかり。何だか人間以外の全ての生き物から、仲間外れにされているような気さえしてきます。

聖書に「エデンの園」から追い出されたアダムとイブの話があるとか聞きますが、そういう人間以外の生物の循環がそのエデンの園で、知恵の実で少しだけ小利口になったつもりの人間は追い出されてその輪に入れない…という解釈をしたくなってしまいます。

2009/5/7(木) 午後 9:20 [ 泉ヶ岳 ]

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はじめまして
ベッコウバチで検索してこちらにお邪魔しました。
現在私のブログで、オオシロフクモバチ(オオシロフベッコウ)の狩りと巣作りと『アカゴシトゲアシクモバチ(アカゴシトゲアシベッコウ)の狩りと巣作り』を紹介しています。
よろしかったらご訪問下さい。
松本吏樹郎さんとは、私もお会いしたことがあります。

2013/4/19(金) 午後 11:15 [ 上から目線 ]

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