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今日も引き続きマングースのお話しです。 昨日・7月11日の読売新聞に、日本哺乳類学会が鹿児島県に対して要望書を出したという記事が掲載されました。 マングース捕獲3匹目 日本哺乳類学会県に根絶対策要望 県は10日、鹿児島市喜入地区で新たにマングース1匹がわなにかかったと発表した。生け捕りは3匹目。これまで国内では沖縄本島と奄美大島にしか生息していないとされてきたマングースの相次ぐ県本土での捕獲を受け、日本哺乳(ほにゅう)類学会は同日、生態系を守るため、県に根絶対策を要望した。 同学会が提出した要望書では、数年前から同地区で目撃情報が数件寄せられていることを挙げ、「(人為的に)放されたマングースが、繁殖しながら喜入を中心とした南北10キロほどの間に広がってきている可能性がある」と指摘。その上で県に〈1〉根絶を目標に、十分な予算をつけて、早期に捕獲作業を本格化させる〈2〉侵入経路を解明する――などを求めた。奄美哺乳類研究会と鹿児島市の市民団体なども、同様の要望書を県に提出した。 要望に対し、県は実態を把握し、効果的に捕獲するため、近く喜入地区の住民に対する聞き取り調査を始めることを伝えた。 この日、県庁で記者会見した同学会員の山田文雄さんは「目に見える被害が出たときはもう手遅れの段階。九州各地への広がりを防ぐためにも早く手を打った方がいい」と訴えた。 一緒に要望書を提出した舩越公威(きみたけ)・鹿児島国際大教授(哺乳類学)らは、同地区で19〜25年前に捕まえたマングースの剥製(はくせい)を確認しており、「継続的に繁殖しているのは間違いない」との見方を示した。 (2009年7月11日 読売新聞)報道記事ですから内容が抜粋であろうとはいえ、この中では別段、真新しい内容は皆無ですね。既に報道されている事実と、私のようなシロウトでも推測できたものと、一般的な要請だけ。 そんなことよりも、この学会の目的は「日本哺乳類学会」は,哺乳類に関する知識の進歩と普及を図り,会員相互の交流を促すことを目的として活動(会誌の発行,研究発表会や講演会の開催,関連諸学会・諸研究機関との連絡など)しています。」とあります。 私はこういう「親睦会」には興味が無いので、普段どんなことをしている人たちが集まっているのか知らないのですが、感覚として、「鹿児島の一部地域の話とはいえ、長年そう棲息してきたということは間違いないのに、その存在を明確に(偶然とはいえ)撮影したのは『日本野鳥の会の方』というのは、県はもちろんですが、哺乳類に関する学会としてどうなんだろうか?」ということ。 例えて言うなら昔見た時代劇みたいなもので、遠山の金さんが悪代官の屋敷で全員やっつけてから捕り手たちが遠くから「御用だ御用だ」と声をあげながら駆けつけてくるシーンがありましたが、あんな感じ。 こう事態が動いてから後手後手に動いたというだけに過ぎず、その後も「会が何かをする」というのがこの報道記事からは見えないのですが、棲息調査に慣れているであろう経験やネットワークを活かして県にこういうことを協力します、というような申し出は一緒にあったのでしょうか? 実際は違うのだと思う(思いたい)のですが、「単に後からしゃしゃり出てきて言いたいことだけ言っている会」というような先入観を持ってしまいます。 要望にもある「侵入経路の解明」や、これから起きるであろう具体的な諸問題の有無など、そういったことは何も県でなければできないわけではなく、そういう経験や知識をアドバイスしたり、フィールド調査の協力をすればいいじゃないか。要望っていうのは「私はしないけど、ヨロシクね」というものですから、なんとなくお高くとまっていて他人事のような印象なんですよねえ。 だいたい、既に30年前には放たれたことはもはや間違いのない段階。そして20年前、数年前、先日と、捕獲や目撃が相次いでいる。目撃されたり、ワナを仕掛けたらすぐに捕まるほどというのは、ある程度頭数もあるのでしょう。 このことから、常識的に言えば、「定着している」と見ても間違いないわけで、しかし逆に言えば、そうにも関わらず「目に見える被害」が出ていないということを考えれば、私はある意味、その地域に溶け込んで、共存をし始めているという可能性も考えますけれど。 初期に放たれた頭数はおそらくは違えど、奄美大島に放たれた時期と同じ時期を経ているのに、鹿児島のこの地域では今のところ、これといった問題を起こしていないで30年も来たわけです。果たして「根絶」が必要なのでしょうか?いわゆる「特定外来生物被害防止法」に関係なくね。 聴くところによると、奄美大島では1979年に30頭が放たれて、約20年後の2000年には1万頭以上に増えたと言いますけれどね。それほどの繁殖力ならば、初期の頭数が違えど、鹿児島でも相当な数になっていると思うのですが。 記事にあるとおり「目に見えた被害が出てからでは遅い」とありますが、そういう影響の有無を見極めないうちから、「何か出てからでは遅いから、取りあえず皆殺しをしてください」と言わんばかりの要望というのは、私は間違っていると思います。 私は外来種・移入種だから、何が何でも生存を許さないというスタンスではなく、他の生命や人間の安全・経済活動に重大な影響が起こりえるときにだけ、それが許されるものだと思うのです。 だいたい、それらがその地域にある理由というのは、まずほとんどが人間のせいで持ち込まれたものであって、その外来種・移入種と呼ばれる生命は自ら選択して侵入してきたわけではない。人間とその種とで分ければ人間に全面的な責任があるのに、対処方法がその生物の生命でもって清算するというのは、ちょっと違うんではないの?と思いますね。 で、あるから、「根絶」という以上は、その必要性を慎重に見極める必要があると思います。「ブラックバス」が影響の多い魚とは言え、その他の生きものがもともといなく他に流れていかないようなため池にいる分には、私は無理に駆除をする必要は無いと思っています。このマングースも、30年で既に共存していれば、そう無理に駆除する必要は無いのでは。 先日も書いたように、私はこういう動物を何が何でも保護すべきという考えではないのですが、同時に、何が何でも根絶すべきとも思っていません。 日本哺乳類学会という任意団体が、外来種・移入種に対してどういうスタンスなのかわかりませんが、生命よりも独自の生態系だけを重んじるのでなければ、要望するくらいならば、まずその前に、一緒に現状調査をしましょうと県に申し入れ、その結果として、マングースの存在が生態系やその他の生命、人間の社会活動に与える影響の現状と将来を分析してから、「根絶」について考えるべきだと思うのですが。 「もともとそこにいなかったはずの外来種は、在来種に悪影響を与えるに決まっているから、影響があるかどうか断定できないけれど、それが出てからじゃ遅いから、30年は棲息していたんだろうけれど、取りあえず皆殺ししてください。」
・・・という「要望」をしているわけでしょ? 会の目的には哺乳類を保護し愛するとは書かれていませんので、そのことには矛盾していませんが、「哺乳類に関する知識の進歩と普及を図り」という目的には矛盾しているようですが。とても知識ある人間の態度とは思えませんがねえ。 |
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