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最近、立て続けに新しい問題の記事が多くあったので、こちらも重要な記事をご紹介できないでおりました。 例の、「鹿児島のマングース」について、7月17日の西日本新聞の記事です。 本土マングース駆除開始 鹿児島市喜入地区 県、目撃情報聞き取り 2009年7月17日 00:17 特定外来生物のマングースが本土で初めて見つかった鹿児島県で、根絶に向け、本格的な駆除作業が始まった。同県は16日、マングースが捕獲された鹿児島市喜入地区で住民から目撃情報などの聞き取り調査を開始。8月からは捕獲用のわなの数を増やす方針。 県は4月中旬にマングースが目撃された同地区で、今月1日から予備調査を実施。4カ所にわなを仕掛け、これまで4匹を捕獲している。もっと多くのマングースが生息しているとみられ、農作物などへの被害も想定されることから、根絶を目指すことにした。 調査を委託された「県環境技術協会」は初日、住民18人に聞き取り。今後、職員6人態勢で11月末まで、マングースを目撃した場所や日時、養鶏や農作物への被害の有無など10項目について農業者などから話を聞く。聞き取り対象は最大で5千人に上る見込み。捕獲したマングースは解剖し、種類や食べ物などを調べ、本土に入ってきた経路などを調べる。 =2009/07/17付 西日本新聞朝刊=この記事、違和感を感じます。 まず、「本格的な駆除作業が始まった」とあります。 そうしなければならない理由は、「農作物などへの被害も想定されることから、根絶を目指すことにした」ということです。 ですから、捕獲用のわなの数は、8月には増やすことにしたわけです。 しかし、同時並行で11月末まで住民に農作物などの被害の有無を聞き取りすると。 ・・・順番が違うのでは? 要するに、
と言うわけですよね? 最も古い物証が、30年前に捕えられた剥製ということで、当然、それで今まである程度の数を保っていたはずなのに、その間、その存在に気付かなかったということは、逆に言えば「影響が少ないから」とまず考えても良さそうです。 30年という年月は、わずかな数を導入した奄美大島などが相当な数に増殖したのとほぼ同じ年月なのですから、問題があるならばわざわざ調査をするまでもなく、特に「マングース対策」をして養鶏をしているわけでもなかったであろう農家の方から、とっくの昔に県に被害相談が殺到して、その存在の把握ができていたはずでしょう。 だいたい30年間知らず放置していた案件を、この3ヶ月ばかりの聴きとり調査終了を待って、影響の有無を確かめてから捕獲を始めたとしても、別に遅いとも思わないのですが。 それに、考えられる影響が今のところ「農作物などへの被害も想定」って、それはそれで農家の方には深刻で重要な問題ですが、しかしそれなら別にその他の野生動物と何ら変わらない程度の影響とも言え、特別にマングースだけを根絶させなければならない理由には弱い気がします。 30年もの間、それなりに静かに定着していたということを考えると、それはもはやその地域では生態系をなしているとも言えます。 まず真っ先に思いつくのは、それをこのまま放置したときに予測される影響だけではなく、逆にそれを根絶するほど捕獲・数を減らした場合に生じる影響です。 例えば、このマングースの一定数の存在により、この地区のネズミとかカラスとかマムシとか、そういう別の人間に影響を与えるような鳥獣の数が抑えられていたのに、一気にマングースを捕獲したのでそれらが増えて、別の経済的被害などが生じた、とかね。 同時並行で調査をしたところで、こう「根絶ありき」ですと、発注者側は何が何でもマングースは駆除されてしかるべきという結論を出したい(出さないと厄介)でしょうし、そういうのは受託会社も何となく意図を組むなりして、そういう結論に持っていこうとしかねないわけです。意識してか、無意識にか。そういう危険性は十分にあります。 だいたい、こういうのはたとえ民間の環境調査会社が委託を受けていても、発注者側の思惑どおりとか、その環境調査会社の主観が入ったり・調査レべルが低かったりするなど、必ずしも正確な調査結果になるとは限らないということを、私は知っていますが、まして、この調査を受託したのは「財団法人 鹿児島県環境技術協会」らしいですが、ここは鹿児島県などが出資母体のようですね。 こういう関係で、鹿児島県に不利というか、思惑に反する結果を出せるのでしょうか? それだったら、「農作物に影響があるか無いかなんて関係なく、ただ特定外来種だから根絶させよう」という主張をされた方が、その是非はともかく、まだスッキリします。 「影響の有無に関係なく根絶する」のはもう間違いない進行中の方針なのに、何となく理由付けでの調査という感じがします。どういう結果になろうと関係なく根絶をする方針なのであるならば、むしろ調査費用が無駄でしょう。なんのために調査をするのか、その意味がわかりません。この場合、調査結果しだいで根絶するかどうか決める、というのではないのですから。単なる税金の無駄です。 ところで、前回この問題を書いたときには、「日本哺乳類学会がマングースの根絶を要望した」という記事を見て批判をしましたが、今回の記事を見る限り、この学会は何か協力をしているという気配は無さそうですね。 言いっぱなし? こういうときにこそ、日ごろの研究の成果を世の中や動物や生態系のために使うべきではないかと私は思うのですけれど、羽のないテントウムシを作りだした研究者のように、研究のための研究をする人たちの集団なのでしょうか? 別に特定外来種をも擁護する、なんでもかんでも動物愛という人間では私は決してないのですが、特段保護すべきとも、あるいは根絶すべきとも、そういう結論に至るべき根拠が未だ不明確なうちに、また、与えるそれぞれの影響を考慮しないまま、まず根絶ありきで進めるというのは、賢い方法とは思えないということです。 な〜んにも考えずにマングースを導入し、な〜んにも調べもせずに根絶。しかも、マングースが選んでやってきたわけでもなんでもなく、人間が連れてきたことなのに。 こういう話を聴くと、人間ってのは思ったよりもバカなんだな、と思います。
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調査すべきは生態系なので、農作物なんてのはごくごく一部でしょう。
ちゃんとした調査ではないことは確か。まず、30年間のうちにマングースが捕食者グループの上位に上がっていない理由を見出す必要がある。シベリアイタチやアライグマといったものの方が上位にあるなら、生態系破壊の著しい方から根絶すべき課題とし、その上で根絶と行かなくても個体数調整・管理調査は行うべきでしょう。問題がどこにあるのか、きちっと出さないといけない。
前回の記述の中のため池と外来魚のことはありえないですよ、ため池は完全に閉じた生態系ではなく、いずれ放流され影響は必ず出るのです。また自己中の釣り人の類を根絶が出来ないなら、ため池はよしとするは良くない。自然拡散ではなく放流拡散がいまだに行われている釣りの実態がある限り。。。
マングースも、アライグマやシベリアイタチ同様にある時点が来れば一気に拡散という可能性を持っているため、十分な調査は必要です。生態系に大きな問題を起こしているなら根絶は仕方ないかもしれない。
2009/7/24(金) 午前 4:43
そうですけれども、それはその生物の責任というよりも人間側の責任によることが大きく、また、その生物がその場所にいることによる影響がわからない・影響が生じていないうちには駆除は必要は無いと思うのですよね。
駆除は駆除で行ったとしても、その生命を多く失わせることになった原因の責任と罪は、キッチリ負わせるべきとも思います。
2009/7/24(金) 午後 10:40 [ 泉ヶ岳 ]
影響がわからないという表現は人間に対してのものであれば無意味です。人間の被害などは連帯責任のうち。大切なのは自然への影響です。これに関する調査は膨大な費用を要しても実施すべきです。財源は動物取引税・飼育税というようなものを用意し、小さな動物であれ産の内外を問わず、ペットであろうが家畜であろうが国内種でなければ徴収すべき。取引税は、1匹に付き100万程度でよいでしょう。既に飼っている人にも適用すべき税です。
「その生命を多く失わせることになった原因の責任と罪は、キッチリ負わせるべき」は、一刻も早く法整備すべきであると思います。ペット業者、愛好家などに対する徹底した懲役刑と加えて今後必要となる駆除費用に関する末代までの永続的な罰金徴収、とても重いものであって良いでしょう。当然過去60年くらいさかのぼって実施する異例の法制度でも良いくらい。。。貿易上の木材等に一緒に着いてきたものに対するものにおいても検疫体制の強化、罰則規定なども必要です。
2009/7/25(土) 午前 1:07
それもわかりますし、心情的には私もそう感じるのですが、現実問題で対処をしていこうとしたとき、全く話が通じない・価値観が違う人、あるいは実際に被害に遭われている方などに接すると、イソップ物語の「北風と太陽」ではありませんが、硬軟使い分けませんとね。
結局は、愚かな人間に、泣かされる物言わぬ動物、無関係な人。
こういう犠牲を放置して、「根絶ありき」は間違っていますね。影響を調べて、どれに重点をおいた解決方法かを考えてからでも、この場合、時間はあると言えますし。
2009/7/25(土) 午前 1:24 [ 泉ヶ岳 ]
TBさせていただきます。
2012/9/6(木) 午前 9:24