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大量傷害事故

 久々に、驚きました。
 先ほど入ってきたニュースですが、ツキノワグマがたくさんの人を加害したという事故です。
 熊による人への加害事故はだいたい毎年4〜60件はあるのですが、これほど多くが一度に同じ熊から加害されるというケースは非常にめずらしいです。

 共同通信の記事です。
乗鞍でクマ襲い、9人重軽傷 バス待ちの観光客ら
 19日午後2時半ごろ、岐阜県高山市丹生川町の山岳観光道路「乗鞍スカイライン」のひだ丹生川乗鞍バスターミナル(通称・畳平バスターミナル)で、バスを待っていた観光客ら9人がクマに襲われ病院に運ばれた。高山市消防本部によると、9人は20〜60代の男女で、男性3人が重傷、6人は軽傷。重傷の3人はいずれも意識があり、命に別条はないという。他の観光客は避難した。

 高山署によると、クマは体長1・3メートル。バスターミナルの建物に侵入し次々と観光客らを襲撃。その後、ターミナルの従業員らがシャッターを閉じた土産物屋に閉じ込めたという。

 ターミナル近くの山荘の男性従業員(59)によると、クマはまず近くの山で観光客を襲い、バスターミナルに向かって走りながらさらに別の観光客にかみついたという。従業員は「ターミナルの入り口を閉めようとしたが間に合わなかった」と声を震わせた。

 畳平バスターミナル(標高2702メートル)は全長14・4キロの乗鞍スカイラインの終点。同スカイラインは5月15日から10月31日までの登山シーズンに限り開通。バスとタクシー以外の一般車の乗り入れは規制されている。

2009/09/19 20:57
 畳平バスターミナルは標高2700mということですが、そんな高い場所にまでツキノワグマが活動域にしているということは、正直、私は初めて知りました。

 むろん、理屈としてはいてもおかしくないのはわかっているのですが、2700mほどの高さになると熊の食べ物(木の実、山菜、小動物)が少なく、天候や気温も変動しやすく、いるメリットが少ないからです。それよりもむしろ、もう少し低い場所の方が棲みやすい。

 近年の人との接触事故で新聞などをにぎわせているのは、たいていそのような低山での山菜盗りやキノコ採りといった中での接触とか、農作物を食べに来たものとの接触ということが多かったですが。

 現場がどのような施設で、これまでの目撃例の有無などにも寄りますが、例えば観光施設であれば食べ物を販売しているかもしれませんが、もしそうならば、その匂いにつられてきたとか、残飯の処理がどうだったのか?ということがまず気になります。

 と、同時に、この記事でわかる重要なポイントは、最後の「5月15日から10月31日までの登山シーズンに限り開通。バスとタクシー以外の一般車の乗り入れは規制されている。」と言う点。
 年間、どれほどの観光客数があるのかわかりませんが、交通量が少ないという点では、熊が落ち着いて過ごせる地域とも言えます。だからこそ、結構な標高のこの地帯にいた…という可能性も?わかりませんが。

 私の観察ポイントの泉ヶ岳でまれに起きてしまった事故で、非常に似たようなケースがあります。
 99年5月3日・ゴールデンウィーク初日に全山に多くの登山者があったときに起きた事故ですが、地元の自治体担当者と私とで話しをして得た分析結果としては、普段は少ない山に、「ゴールデンウィーク」で一斉に観光客が登山や山菜盗りで押し寄せたことで、「臆病」な熊としては、「数少ない食糧である山菜を食べに行ったところ、あっちに行っても人、こっちに行っても人」ということで逃げ場を失ったと感じたことで焦り、そこで必死の攻撃に出た…という仮説でした。実際、この事故で襲われた人は山菜盗りで入山した人でしたし、事故当日は大きな駐車場がいっぱいになるほどの人手でした。
 いろいろな場面で野生のツキノワグマを見ていると、普通、非常に臆病です。人を感じると慌てて逃げ出すことがほとんどで、これは他の動物とまったく同じです。そして、ワナなどで捕えた場合は、一度見ると忘れられないような明らかなおびえた目をして、必死で大暴れします。

 私は今日も勤務だったのでこう書いていて思い出したのですが、「シルバーウィーク」とか言う大型連休が今日からであったことを考えますと、この場所も普段の週末とは比べ物にならないくらいの観光客があって、それに驚いてパニックになった…ということは、可能性としては考えられますが、詳細がわからないので何とも言えません。
 同時に、泉ヶ岳のケースで考えれば、現場が熊の食糧となる場所ということも条件としてはありましたので、このバスターミナルが残飯や食糧の匂いといった餌場となっていないかも、確認したいところです。

 また、一般論ですが、熊のことを知らない人は、めずらしいからとカメラを向けて撮影したがるものですが、カメラのレンズは大きな瞳にも見えるために、熊を興奮させることがあります。
 今回は観光シーズンで、観光地ですから、最初に遭遇した方が離れたところにいた熊にカメラでも向けたとか、何か刺激を与えた…ということは無かったかどうか。

 そういった、現場や日時特有の特性・可能性を洗い出して、原因や要因を特定し、今後につなげることが大切です。

 いずれにしても、重傷者など多数出たことに心が痛みます。残念な事故です。
 ツキノワグマはヒグマに比べて体重が軽いので、強烈な前足の一撃を受けてもまだ、ヒグマに比べればですが、死亡を避けることができる可能性はあります。とは言うものの、硬く鋭い爪があるのは変わりませんので、こういう場合の「重傷」というのは、必ずしも「助かっただけでも良かった」とは安易に言えないようなひどいケガの場合が非常に多いのです。
 手足の骨折とか、ひっかき傷とか、そういうものでの重傷ならばそれこそ「まだ良かった」のですが、顔などの場合は…。

 これまでのスタンス同様、安易な熊保護論を唱えるつもりは毛頭ありません。現状ではこの熊は射殺するほか無いでしょう。逃がしても、人に慣れてしまっています。
 しかし、これで熊全体への過剰な恐怖心からの駆除などに安易につながることなく、当時の状況などをよく分析して、今後の事故を防止する手がかりとして熊と人、両方が生きやすい自然環境を満喫できる状況になってくれればとも思います。

閉じる コメント(4)

こんにちわ コメントありがとうございました。

冷静な記事ですね。とっても好感を持ちました。

2009/9/20(日) 午後 0:28 [ サンバ(真似HN同一名に注意) ]

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サンバ(springsanba)さん、ご訪問、ありがとうございます。
ブログを拝見いたしましたが、私も同じようなことを考えて、書いたものに方向性が同じ(レベルは私のがはるかに低いので、並べるのも失礼でしょうけれど…)なものもございました。
今後も訪問させていただきますので、ご教示をよろしくお願いいたします。

2009/9/21(月) 午前 9:09 [ 泉ヶ岳 ]

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森林限界が、この現地から、何mあるか知りたいですね。南北の環境差とか山の横幅によっても、高山帯に入る標高が違うみたいですから、亜高山なら、まだ食べるくらいのものはあるかな。
でも、これはショックだな〜。

2010/12/29(水) 午後 5:58 [ とーまつ ]

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まとめに書いたのですが、高山と言えどこの場所には天然の食べ物はわずかながらあるようで、今年も近くで出没が見られたようです。事件の熊を解剖・分析しても残飯の依存も無かったようですので、シルバーウィークの混雑による喧騒に驚いた(=人慣れしていない)熊が、パニックになって人に加害したというところのようですね。

2010/12/30(木) 午前 9:26 [ 泉ヶ岳 ]

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