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北海道・根室市の冬眠していないヒグマが出没しているという記事を以前紹介しましたが、長野県で少し変わったツキノワグマの加害事故がありました。 2月24日付けの信濃毎日新聞の記事です。 冬眠邪魔した? 王滝村で除伐作業中に熊に襲われ大けが 2月24日(水) 23日午前9時ごろ、木曽郡王滝村の樽沢(たるさわ)国有林で、木曽森林管理署職員青木豊和さん(48)=木曽町三岳=が熊に右太ももや右腕をかまれた。同町の病院で治療を受けたが、全治1カ月のけが。この時期の熊による人身被害はまれで、同村は「暖かい日が続いており、早めに冬眠から覚める可能性もある」と注意を呼び掛けている。 木曽署などによると、青木さんは除伐作業のため同僚4人と入山。雪のある斜面を横一列になって下っていると、木の根元の穴から体長1〜1・5メートルの熊が現れ、青木さんを襲って逃げた。穴の中では子熊が眠っていたという。 長野地方気象台によると、この日、木曽福島の最高気温は平年より10・8度も高い15・8度で、4月中旬並みだった。松本市のNPO法人「信州ツキノワグマ研究会」代表の林秀剛さん(73)は「普通、冬眠中の熊が1〜2月に目覚めることはないが、暖かさで少し目を覚ましていたのかもしれない」と話している。 県野生鳥獣対策室によると、2002年以降に県内で把握している熊による人身被害では、04年4月17日に千曲市で60代男性が熊に襲われた例が、最も季節が早かった。冬眠と言えば熊を思い浮かべますが、ヤマネやスズメバチの新女王蜂のように完全に眠っているわけではありません。小熊が一緒ということですから母(メス)熊とわかりますが、ツキノワグマは越冬中に出産・授乳をするほどはまどろんだ活動をしています。 まして、記事中にもあるとおり4月並みの気温を観測したのであればなおのことでしょう。 見つけていた越冬穴の中にいる熊を狩ろうとして逆襲に遭うという狩猟者の話や、冬季に林内作業者の方が襲われるという話は、これまでも聴いたことはあります。 「苫前・三毛別事件」の悲劇の詳細な記録を残した木村盛武さんの著書「ヒグマそこが知りたい 理解と予防のための10章」には、「最も危険な冬(穴)ごもりグマ」(P88)と「冬ごもり穴至近でのアクシデント」(P90)という項目があり、林内労務者が作業中に近くで越冬している熊に襲われる事例や見解について紹介されています。 それとは別に近年、人里に近い場所に熊が平気で出没しています。従って、私は昔よりも人里=冬でも人が活動するような喧騒のある場所で平気で越冬しようとする熊も出てくるかもしれないと思っています。その場合、こんな「冬だから、山に入っても。しかもこんな人のいる近くでは、熊はいない」と思い込んで何ら対策もせずにいる中での不意打ち的な事故というのが発生するかもしれませんね。 体の大きなイメージのあるツキノワグマが冬眠でひと冬過ごすのですから、さぞかし大きなほら穴や大木のウロの中で過ごしているように思いますが、多くの熊の越冬穴は非常に狭く、よくこんな広さでじっとしていられるな、と思うほどです。越冬する穴が体にフィットしていた方が寒さに対して、また、外からの刺激を感じやすいなどのメリットがあるからでしょう。 熊の越冬穴の出入口も非常に小さいもので、ちょっと見ただけではまさか中に熊が潜んでいるとは思えないほどです。熊は猫のように、頭が通ればそこを通り抜けることができる、と言われています。 また、日本ツキノワグマ研究所の米田さんによると、ツキノワグマの越冬穴は南に面した出入口はその他の方角に比べて少ないということです。これは、雪解けが早く進んでしまい出入口が発見され・外的に襲われるリスクを避けてのことではないか?と解されていますが、それであればなおのこと、越冬穴なんて見つけられそうに無かったと言えます。 と、いうわけで、襲われた方も、寝込みを驚かされた熊にとっても、双方にとって偶然に起きた悲劇と言えますが、目下気になるのは負傷された方のケガの具合と、越冬穴に残されてしまった小熊の処遇ですね。
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これも温暖化の影響なんでしょうか?運が悪いとしか言いようのない事故ですね。
2010/2/25(木) 午前 10:38 [ プーサン ]
温暖化がもう少し進んで雪が少なくなると、冬眠をしない・冬眠のタイミングを失ってしまった熊というのは増えてくるかもしれません。
しかし、そうなったときでも野山の食べ物が豊富とまではまいりませんので、人里の食べ物を食べようとする熊が増え、駆除され、ということになりそうな予感が…。
2010/2/25(木) 午後 11:09 [ 泉ヶ岳 ]