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 3月19日付けの読売新聞の記事に、有害鳥獣駆除を取り巻く様々な問題・課題が紹介されていました。
イノシシ問題で猟友会、骨折り損?
「捕獲せず追い立て」方針
 
 金沢市の住宅街に出没したイノシシを、警察官が発砲して駆除する騒ぎを受け、市は、イノシシが再び市街地に現れたら、山に追い立てる方針を決めた。だが、キバを持ち猛スピードで突進してくるイノシシ相手では、命の危険も伴う。対峙(たいじ)する猟友会員らがケガをしても、場合によっては保険の適用外になるなど、イノシシ駆除には課題が山積している。(小峰翔)

■街中の対応

 県や市、猟友会、地域住民らは「イノシシ対策情報連絡会」を開き、住宅街に現れたイノシシは、市から要請を受けた猟友会員による捕獲隊が、捕獲せず山へ追い返すことを決めた。イノシシが向かってきた時に備え、網(縦1・8メートル、横6メートル)も携帯する。とはいえ、「大声を出せばイノシシが暴れる危険もあり、具体的な手順は決まっていない」と手探り状態だ。

 35年の狩猟経験があり、捕獲隊長を務める県猟友会金沢支部長の奥村勝幸さん(63)は「イノシシに近づかずに追い返せればいいが、難しい。網で捕まえることもあるだろう」と話す。副支部長の広村靖男さんは、スピードのあるイノシシの追い立ては「不可能」と言う。「逃げる場合もあるが、人に向かってくるイノシシもいる。網での捕獲はかえって危険」と指摘する。

 奥村さんも「キバでやられたら人が死ぬ」と危険性は十分承知だが、「(突進を)防ぐ盾を作成中。公道や建物近くでの銃刀の使用はできず、(法定猟具の)網の使用がベスト」とみている。

■想定外

 「追い立て」の際、緊急避難的に、法定猟具以外の刃物やハンマーなどで立ち向かって、けがを負った場合などは保険の適用外になるという問題もある。広村さんはかつて、夜中に民家に押し入ったクマに向け発砲した。夜間や住宅での発砲は鳥獣保護法で禁じられているが、「住民の命が危険」と判断して撃ち殺した。

 猟友会員は共済保険加入が義務で、任意の団体保険にも加入するが、法に逸脱する行為は保険で補償されない。市街地での捕獲行為は「自治体が定める捕獲場所なら保険に適用可能」(共済保険担当者)だが、そもそも金沢市を始め自治体は、市街地での捕獲は想定していない。

 金沢市は、事故が起きた場合、「正当な捕獲行為なら、話を聞いて対応を考えたい」としており、奥村さんは「あいまいな点ははっきりさせる必要がある」と話し、今後、市と協議を重ねる考えだ。

■頭数増加

 市街地にイノシシが出没するのは、山中で頭数が増えすぎているためだ。県によると、2006年は589頭、08年には約2倍のイノシシを捕獲したが、農業被害額は、06年の510万円から08年には2720万円に急増。少雪で餓死するイノシシが減ったことや、竹林や耕作放棄地が増え、餌場や隠れ場所が増えたためとみられる。

 猟友会員の減少の影響も大きい。会員は高齢化などで、78年の2669人をピークに、06年には700人を割り込んでいる。

■対策

 このため、県は狩猟免許(わな、あみ、鉄砲、空気銃)の取得者を増やそうと、年に1回平日のみだった免許試験を、08年度から年2回、平日のほか日曜日に実施。2年間で受験者、合格者数はいずれも倍増した。

 だが、受験料や猟友会員登録料などで約5万〜7万5000円が必要。散弾銃購入には約8〜10万円、ライフル銃だと25万円ほどかかるため、「免許が欲しくても簡単には受験できない」(県自然保護課)。県猟友会金沢支部によると、わな免許を取る農家も増えているが、わなや網による捕獲の割合は全体の15%に満たず、銃による捕獲に頼っているのが実情だ。

 他県では自治体による新たな試みも始まっている。サルやカラスによる農作物被害に悩まされていた富山県魚津市では、08年に男性職員6人が狩猟免許を取得し、市が散弾銃6丁を購入。10年度は、職員が実際に会員らに同行して銃使用の経験を積むほか、さらに新たに3人が免許取得を予定。市環境安全課は「将来は、市職員だけで捕獲隊を構成する」としている。

(2010年3月19日  読売新聞)
 以前、野生動物の対応も警察官が行ったことに関して危機感を書きましたが、こういうものはもはや自治体などの役所が通常・直接行う業務の範囲を超えていると私は思います。
 自治体は、昨今の行財政改革が進んでいるため人員が減っている反面、その業務は多種多様になっています。役所では2〜3年で人事異動ということがありますが、有害鳥獣駆除にあたるためには長い時間をかけて経験や技術を積む必要がありますし、そして実際に対処するときには長時間連続して大勢がそれに当たらなければならない有害鳥獣駆除は、現在の自治体の組織体制では無理があるでしょう。

 とは言うものの、もしそれら公務員が職務として有害鳥獣駆除に当たり、それでもって負傷したとか他人に損害を与えてしまったという場合には、それは業務上のものとして、ほとんどの事故においてその職務命令を出した自治体などが保障することになると思うのですが、「ボランティア」の場合は、事前に明確に決めていない限りは「個人の責任」になってしまうわけです。
 同時に、「ボランティア」に「要請」するという立場である行政は、そのボランティアに強いことを言いづらいということが、昨日も書きましたが様々な弊害が起きる要素の1つになっています。

 体重100kg前後ある野生動物が、時速数十kmで自分のところに向かってくるというのに冷静に対処するということは、よくよく訓練や経験が無ければ難しいことです。
 さらに、気温の高い初夏〜秋ごろを中心に、野生動物の警戒に長時間活動するというのは、高齢化の進む現在の猟友会では、その任務に当たるハンターも大変ですし、事故もますます起きやすいのではないかと非常に心配です。

 ですので、こういうものをそもそも「ボランティア」に「要請」するというハンター人口が多く、また野生動物の出没問題がそれほど多く無かった時代とほとんど変わらない対処方法は、漫然と続けている行政の柔軟性の無さに問題があると言わざるを得ません。
 こういう場合は、きちんと駆除費用を予算化して、猟友会やハンターに業務を委託するという契約を結び、その契約の中で、様々な特約を付加した保険に加入する掛け金をも含ませるとか、契約仕様書の中で過失事故の場合には発注した行政も一定割合の賠償責任を負うというような規定を盛り込まなければ、警察官OBにお願いしようと、銃器の管理の厳しさを知っているか否か以前になかなか引き受ける人も出て来づらいのも当然でしょう。

 と、いう点では、有害鳥獣駆除では直接ありませんが、札幌市の取り組みは、学ぶところもあります。
 同じ日・3月19日の北海道新聞の記事です。
シカ ヒグマ 出没実態調査 市、新年度 移動経路や原因 対応策を提案へ (03/19 14:56) 
 
 札幌市は、市街地などへのヒグマやエゾシカの出没が増えていることを受け、新年度、初の全市的な出没経路や原因の調査を行う。専門事業者に委託し、半年かけて出没地域周辺を調べ、その結果から緩衝帯造成などを含め総合的な対応策を提案してもらう。(東野純也) 

 本年度、市に寄せられたヒグマの目撃や痕跡発見の情報は78件。件数は前年並みだが、南区の住宅街で出没情報が相次いだほか、清田区で家庭菜園が荒らされるなど、「危険度の高いケースが増えている」(地域振興部)。エゾシカも市街地出没や車との接触事故などが問題となっている。市民への注意喚起などだけでなく、柵の設置など抜本的な対策も検討する必要があるため、調査実施を決めた。 

 国の雇用対策の交付金を活用。調査員などとして31人の雇用を条件に、民間事業者に委託する。定例市議会に提出した新年度補正予算案に約7700万円を計上している。 

 期間は5〜11月。本年度、市街地に出没した地域を中心に、ヒグマの毛を採る「ヘアトラップ」を使うなどして移動経路を調べるほか、「近くに畑の作物がある」など出没の原因も探る。調査結果から、出没原因への対処法のほか、電気柵の設置や雑草を刈って人里と山を隔てる緩衝帯の造成など、出没防止策を検討してもらう。同部は「提案を参考に、市として2011年度以降の対応策を講じたい」としている。 
 国の雇用創出事業の中で地方に配分された予算で雇用を確保するとともに、野生動物対策の第一歩を行うというものです。
 公共事業を実施する際に、環境調査を民間業者に委託するということはこれまでも行われていましたが、このような業務でこのような発注をするというのはめずらしいことです。
 有害鳥獣駆除についての今後のあり方も、何かこれにヒントがあるような気がしますが、しかしこの雇用対策事業は永続的な予算措置ではなく一過性のものですので、それが一番の欠点ですね。

 莫大な金額の農業被害や、人身被害などを予防するために、国民の生命や財産を守るべき国や自治体が一定の予算を確保して効果的に対応するのは当然の業務だと思うのですが。

閉じる コメント(3)

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法の問題でも保険の範囲の問題でもなく、取組みを明確にして
方法を練れていない行政の責任と言うことに尽きる。
保険に代わる制度も作る責任は行政に在る訳だし、ボランティアに
おんぶにだっこの考え方の前にすることしなければならないと思う。
猟具以外の方法を開発し支給する義務も行政に在るだろうし、ちゃんとした部分に税金は使って欲しいところだ。

2010/3/21(日) 午後 10:09 りーふ

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町内会や交通指導隊など、むろん自分たちの住む町の基本的な活動はまず自分たちが自ら行うべきとは思いますが、本来行政がすべきことまで「下請け」のように、都合が良いタダ働きのように使うという姿勢が、ともすれば行政には見られます。
対等な協力関係や、内容によっては補助金や助成金、委託金を出すということが、今後はどの分野でも精査する必要があると思いますね。

2010/3/22(月) 午前 11:04 [ 泉ヶ岳 ]

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小さな政府状態で行政を運営するということと
今回の記事の内容の無責任無計画な実施ということは
一致しませんね。ちゃんとした切り分けができないなら
そこいらをビジネス化してちゃんとできるところが
中間に入ってボランティアと協働していくというのも
良いかもしれません。できる人が現れるかどうか難しいけれど
猟できるよう免許欲しいのはそういう面も考えたいというのも
ありましたが、資本も必要な分野なので難しいかな。

2010/3/22(月) 午後 0:36 りーふ


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