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1年以上前に読売新聞に報じられた記事ですが、トキにも様々な「利権」というか、思惑が見え隠れするということがわかります。 2009年3月28日付けの読売新聞の記事です。 (下)国と地元、認識にズレ 環境省の星野野生生物課長(右)に要望書を手渡す堀井一雄県民生活・環境副部長、高野・佐渡市長(左)(3月13日、環境省で)すれ違い 「トキの住める環境作りには膨大な時間とお金、住民の意識が必要。佐渡に住んでくれれば、自分たちが守ってあげられるとの思いが島民にはある」 今月13日、本州に渡った3羽を捕獲して連れ戻すよう、県と共に環境省に要望した佐渡市の高野宏一郎市長は語気を強めた。 放鳥トキへの対応を巡り、県と佐渡市が国に要望を行ったのは2度目。雌のトキ1羽の死が確認された昨年12月にも、原則給餌を行わないとする環境省の方針は「非情」だとし、柔軟な給餌の実施を求めた。 野生復帰を巡る国と地元自治体との“すれ違い”の背景には、「トキは佐渡のもの」(高野市長)という地元の強い思い入れがある。 佐渡市は2005年から、ビオトープなど餌場づくりに取り組む農家やNPO(非営利団体)などを助成、島内には約100ヘクタールの餌場が造成された。年間観光客が最盛期の半分の60万人台を割り込む中、トキを観光の新たな起爆剤にしたいとの思惑もある。昨秋初めて収穫された、トキの餌場となる水田で栽培された佐渡産コシヒカリ「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」は約1500トンを完売し、農家に希望を与えた。 これに対し、環境省は、「自然下での動きに関する情報を蓄積し、計画を進めることが重要」(星野一昭野生生物課長)とする。 日本産トキの絶滅を経験した佐渡島民にとって、トキとの共生は積年の夢だった。しかし、岩浅有記自然保護官は「(今回の)試験放鳥の最大の目的はトキの基本的な生態を明らかにすること。繁殖は『望ましい』が、『ねばならない』ではない。現在、トキは中国に1000羽、国内でも100羽を超えており、状況は全然違う」と国と地元との認識のズレを指摘する。 「社会的放鳥」へ こうしたすれ違いについて、トキ野生復帰専門家会合座長の山岸哲・山階鳥類研究所長は「環境省や私たち専門家(の関心)は『生物的放鳥』に偏りすぎていた」と語る。これまでの野生復帰計画を、生物学的見地のみから進めてきたとの反省だ。 山岸所長は「地元が求めているのは、トキの放鳥をどのように経済の活性化につなげ、より住みよい地域を作っていくかということだ」と指摘し、今後は地元の理解を得ながら計画を進めていく「社会的放鳥」の視点が不可欠とする。高野市長も「トキを観光、産業振興につなげることで、野生復帰への島民の理解も得られる」と訴える。 新潟大学は、生息環境の整備だけでなく、住民の意識調査や観光、医療支援などを行う「超域朱鷺プロジェクト」を4月から本格始動する。プロジェクトの統括リーダーを務める山岸所長は「トキを巡る様々な対立、葛藤(かっとう)を解決出来なければ社会的放鳥は成し遂げられない。トキとの共生をもとにした佐渡島の未来像を探っていきたい」と話している。(この連載は、中島慎一郎、長田洋典が担当しました) (2009年3月28日 読売新聞)ひと言で言えば、佐渡市長らは行政の長としては役目としてわかりますが、要するに「地域振興」の手段として、トキを利用しようとしていることがここからわかります。本土に飛んで行ったトキを捕獲して佐渡島に連れ戻せとまで言っているのですから、驚きますし、独善としか思えません。 佐渡にいれば守るけれど、そうでなければ保護なんて考えませんよ、などということを恥ずかしげもなく言い放っている程度のことならば、さっさと止めてしまえば良い。 この市長は、トキの産卵に邪魔なカラスの駆除を検討するという発言をしていましたが、最初からきれいごとを言わずに、「トキや環境なんざ、どうでもいい。金儲けに利用するために、テンもカラスも邪魔なんだよ。金儲けの邪魔だから、そいつらは皆殺しにしてしまえ」と言えば良い。 そういう、利権とか欲望で翻弄されるトキ放鳥事業。まあ、人間らしいといえば人間らしいですな、前時代的な。 一時は島の産業を支えるためにウサギを駆除しようとテンを利用し、今度はトキを利用すると。トキを利用するにあたり、かつて佐渡島を少しは支えたであろう、しかも無責任に飼えなくなったペットを放したわけではない、自ら(県)が持ち込んだテンが邪魔になったからと、駆除してしまえと。 いずれ、トキよりもおいしい・利用価値が見いだせるものが見つかり、それにとってトキが邪魔になれば、今度はトキを駆除しようと言い出すでしょうね、この人たちは。私から見れば、とんでもない「恩知らず」な連中です。 人間の欲望として、その汚らしい部分も全否定はしませんが、それを隠してあんまり偉そうにきれいごとを言いなさんな。 そこまで極端なことをしなければどうにもならないような島にし、それを挽回するのに絶滅した野鳥にのみなりふり構わず必死に頼るしかない活性化策なんて、首長の能力として私は大いに疑問だと感じますが。
そんなエセ環境保全でトキを無理やり定着させても、後味の悪さは永久につきまとうだけで、良心を感じる自然愛好家からは、「あぁ、あのなりふり構わずトキを放って金儲けしようとした島ね」としか思われないと思いますよ。単に活性化という面だけで見ても、そういう結果を急ぐガツガツした様子だけでは、成功しないんじゃないですか? 住民も首長も一体となって、トキやそれがはぐくまれる環境を本当に考え、そして人にも良い環境というのは何かを考え、そして共生をし、環境や動物保護の先進モデル地域として地味だけれどもゆっくりと進んでいくような姿勢をしたならば、世界中から視察や注目を受ける名誉ある島として確立すると思うのですが。 |
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