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物事を考える時は、この複雑な社会ですから、様々な視点で考えなければなりません。 しかし、何だか物事を単純化してしか考えることができない人なのか、正論を言えば相手は反論できないのでその快感にでも酔っている人なのか、ささいなことを振りかざして要求をする、という人が多くなっているように思います。 モンスターペアレント・モンスターペイシェントなどもその一環かもしれません。 先ほど見た「ゴミ収集」についても、なるほど、おっしゃるとおり、地方自治法どおりに競争入札をすべき、というのは確かでしょう。現実にかい離した法というならば法を現実に合わせるよう改正すべきという意見もあるでしょう。 しかし、現実問題としては競争入札をして得られるメリット・回避できるデメリットよりも、受けるデメリットの方がはるかに大きいと思います。 例えば、公共事業における競争入札を厳密にしたために、地方の建設業者が経営を悪化させているという現実があります。 それは地方における雇用の安定が維持できなくなるほか、重機や人員を常備させることができなくなるため、例えば雪国では除雪作業がままならなくなるという、思いがけない事態になっています。 一例として、2009年12月7日の山陰中央新報の記事から。 大田で除雪作業の一括委託 【前略】 県はこれまで、路線ごとに各建設業者と契約してきたが、公共事業の減少や不況の影響で、保有する重機や運転手の数は減少の一途。県によると、今冬に建設業者から借り上げた除雪作業用の重機は292台で、2000年代初めに比べて31%も減ったという。 県は重機の維持管理費の助成など、対策を講じているものの、減少に歯止めが掛からず、全県的に除雪作業の確保が危ぶまれている。このため、試験的に一括委託方式を採用することにした。 【後略】当然ですね。 除雪委託は普通、規定の積雪があったときに出動し、そして実際に除雪した距離か時間でもってお金を支払う契約をします。出来高払いです。 ですが業者さんの立場にしてみれば、1シーズン、いつその規定積雪量に達するかわかりませんから、いつ出動の必要が生じても良いように、人員も機械も待機させておかなければならないわけです。 人員や機械を待機させるとそれだけで経費が発生しますが、行政の契約では「仕事をしていない」以上、お金を払うわけにはいかないわけですね。1シーズン、何回出動するかもわからない以上、1回当たりの単価の見積もりなんて事前に出せるはずがない。 そういう中で、建設業者さんらは「公共事業で世話になっているから」という思い(思惑)があって、なんとなく、そういう持ちつ持たれつというあいまいな部分で、これまで成り立っていたわけです。 しかし、様々な背景はありますが、結果として過度の競争を求めるようになったために、冬の損害を夏で補う、ということができなくなり、夏の公共工事は低価格になったものの、冬の除雪は高上がりどころか、そもそも受注してくれる業者さんさえ無くなってしまって除雪ができなくなるという事態にさえなっています。 こういう、風が吹けば桶屋が儲かる的な影響を把握した上で、改善や改革を進めて行かなければ、どこにどんな影響が出るかわからないというのは、有害鳥獣駆除における天敵利用(沖縄におけるマングースとか)のように、思いがけないダメージを受けるということになりかねません。 今回の豪雨災害でも、こんな声も聴こえています。 7月17日の毎日新聞です。 大雨被害:建設業界低迷で復旧の遅れ懸念−−知事会見 /長野 7月17日13時1分配信 毎日新聞 村井仁知事は16日の会見で、14〜15日の大雨で飯田市や天竜村などで土砂崩れが相次いだことを受けて「道路の復旧は比較的短時間でできた」としながらも、「地方の建設業者の体力が弱っていることは、目を覆うばかりだ。(復旧作業の)対応ができなくなってしまうかもしれない」と懸念を口にした。長期不況による建設業界の低迷が、将来的な県内の災害復旧の遅れにつながりかねないとの見方を示したものだ。 復旧工事の発注などを担当した県下伊那南部建設事務所によると、今回の大雨で作業に遅れや支障は出なかった。ただ一方で、同事務所の担当者は「一昔前に比べて、業者の重機や人員が減っている印象はある。人繰りや機材の配分が、将来うまく回らない状況もありうるのでは」と話した。【渡辺諒】 7月17日朝刊公共事業を減らすということが現政権だけではなく、政治家の「ブーム」のようになっていますが、その結果、建設業界が激減した場合、このような災害復旧の際にはどうするのか、明確な回答が欲しいです。 ・・・自衛隊という意見が出そうです。 ではもう1歩進めて聴くと、今、高度経済成長期に作られた公共建築物が一斉に耐用年数を迎えようとしています。温暖化やヒートアイランド現象に伴い、都市部では今後、ますます豪雨が増えるとも言われていますが、舗装された都市では道路に雨水が浸透しませんから、都市における排水機能・下水道整備ももっと必要になりますし、その他の自然災害に対しての備えも必要になります。 そんなとき、建設業者が無くて、自衛隊に全てそれを依頼するのでしょうか? 「公共事業に頼らなくても建設業界が生き残れるよう、景気回復を・・・」という抽象的かつ不確実な回答では、お話しになりません。 5月1日の朝日新聞に、こんな悪意というか記者の見識が不足していると感じる記事が。 「除雪と雇用が心配で…」青森県、談合業者に甘い処分 2010年5月1日14時23分 談合業者を冬まで指名停止にすると、道路が雪で埋もれちゃう?――。青森市発注の公共工事をめぐる官製談合問題で、青森県は4月30日、市内の建設業者28社に対する指名停止期間について、「雇用や除雪に影響が出る」(県県土整備部)として、原則1年を半減の6カ月にした。この結果、28社は今年末の除雪作業が可能になった。 同県の要領では、公正取引委員会から独占禁止法違反を指摘されるなどした28社の指名停止期間は本来1年。ただ、28社で市内の主要業者をほぼ占めており、県幹部でつくる「県建設業者指名審査会」は、(1)長期処分は倒産や地元経済への影響が懸念される(2)地元経済界や議会が軽減を要望(3)除雪を担う業者がいなくなる――などの理由で処分を軽くしたという。 県は前年度、年間の総降雪量が平均約7メートルの同市内で県道など延べ約250キロの除雪を2億円弱で建設業者に発注したが、受注した13社のうち10社が今回の処分対象。県幹部は「道路の形状に詳しい地元運転手でないと、雪に埋もれた道路標識などを除雪車で壊しやすい。安易に新規の業者に頼めず、深刻な問題だった」と打ち明ける。(別宮潤一)記者は楽ですね。代案を考えずに、「甘い処分」と批判だけしていればいいのですから。 じゃあ、冬の除雪はどうするの?と聞かれたら、記者は何と答えるだろうか。 さて、ついでに以前から政治家や公務員の給与ではなく、定数を安易に削減するのは止めた方が良いと書きましたが、それは非常時の対応や通常期での対応も不十分になりかねないからです。 たまたま7月18日の毎日新聞にこんな記事がありました。 <生活保護>受給者急増でケースワーカー不足に 本紙調査 7月18日15時18分配信 毎日新聞 生活保護世帯を定期的に訪問して、受給者の生活実態を調べる自治体のケースワーカーが不足し、全国主要74市・区の半数にあたる37市・区で、1人当たりの平均受け持ち世帯数(09年度)が100世帯超の「過重負担」になっていることが、毎日新聞の調査で分かった。こうした市・区は09年度までの5年間で1.5倍に増加している。景気低迷で受給世帯数が急増する一方で、自治体によるケースワーカーの確保が追い付いていない現状が浮き彫りになった。【小林慎】 自立に向けた生活指導がケースワーカーの主な役割だが、受給者らへの面談などで保護費の不正受給がないかどうかのチェックも担う。このため、関西で発覚が相次ぐ「貧困ビジネス」を見逃している原因の一つに、ケースワーカー不足があるとされている。 【後略】通常期ならば十分足りていた人員でも、何か少しでも状況の変化があったとたん、その仕事の質やスピードが下がるということがわかります。これは個々人の能力ではカバーできるものではありません。 と、いうような一面もあることを把握した上で、「公共事業削減」「全面的な競争入札」「政治家や公務員定数の削減」をするか否かを判断しなければ、「こんなはずじゃなかった」となることが目に見えていますし、そうなってからでは取り返すことはかなり、時間も労力もかかります。
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ども、私の生活は万が一を考えると、うつ病になります、現在自殺者が多いのはやはり仕事と生活のめどが立たなく自殺と言う事に、刑務所の高齢化も生活ができないからと刑務所にと色々考えるものです、必要悪を認めると今度は利用するものが出てくる、現在も利用されてますが、一般には知らせない話がたくさんあります、立場を利用し色々なことが行われている。
2010/7/20(火) 午前 6:06 [ rankiti007 ]
今からいろんなこと考えないでポジティブな考えを持ってほしい。うつは、辛いのでならないようにいのってます。
2010/7/20(火) 午前 9:22
私の周りでも「談合は必要悪だ」と言い切る人もいます。なかなか難しい問題です。
2010/7/20(火) 午前 10:14 [ プーサン ]
ran*iti*07さん、「マングース」のときに、人間は自然の中においてこれを利用しよう、としても、人間では自然の微妙な関連を把握してそれを全て理解して有効な対策を打てる能力は無いというようなことを書いたのですが、もはや複雑化したこの社会では、人間じたいが作った社会システムも、もう誰も理解できない・どうしようもなくなっているのかもしれませんね。
必要悪は、それを行う人がモラルと限度をわきまえて行っている分には現場調整という側面があっても、人間、それを利用するようになったり、それがイレギュラーということを忘れると、崩壊しますね。
こういう閉そく感がさらに強まり、議論を簡略化しようとすると、社会システムを全て崩壊させてやりなおそう、という過激な思想もまん延して来そうな恐ろしさまで感じます。
2010/7/21(水) 午前 6:39 [ 泉ヶ岳 ]
プーサンさん、談合も、あからさまな相談をして利益を得ようとするわかりやすいものから、「あの工事は、慣例であの会社が取る」というような、言わずとも暗黙の了解となっているようなものまで、定着しているという面もありますね。
「競争入札は正しい」「談合は悪い」というような単純化しては語れないとは思うのですが、あまりに正論、あるいは極論で議論を進めると、どこかで無理がかかるという事実は前提にしてシステムを考えませんと、弊害も出てしまいますね。
まあ、そういう明確な線引きをしないと、それを利用して利益を得ようとする人がいるので、そうなっているという側面もあって、対策は…あるのだろうか?と、考え込んでしまいそうです。
2010/7/21(水) 午前 6:46 [ 泉ヶ岳 ]