日々是雑感

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 幼児のころ、アフリカの野生動物の世界を写したテレビ番組を見ていて、肉食動物が草食動物を襲って食べるのを見ると、「かわいそう」「ライオンってひどい」と短絡的に思っていたものでした。そのような経験は皆さまをお持ちではないでしょうか?

 これはむろん、草食動物がおとなしく・やさしそうな風貌をしていて他に害をなさないように見え、一方、肉食動物は凶悪そうな風貌でそのような草食動物を群れで襲ったりするところから、悪い奴らが大勢で何もしていないおとなしい動物をいじめているように感じるからですね。悲しげに鳴く草食動物が流す血にショックを受けたりします。

 幼児期の感性としては、決して間違っているとは思いません。そういう場面を見て幼児が「草食動物、ざまあみろ」などと思ったりしたらその方が問題なような気がします。
 ところが、いい大人になってもこういう感性だけだったら困るわけです。

 テレビの限られた時間、製作者の意図が入っているものを物事の全てと思い、それを鵜呑みにいい大人になっても「肉食動物は悪い」なんて思うだけでは単純過ぎます。そう思うだけなら良いのですが、それが転じて「肉食動物を皆殺しにしろ」なんてなっては大変ですね。実際にそう言いかねない困った人がいるのは、先日「熊の補殺」について異常な苦情をするという人を紹介したばかりですのでね。ありえなくはないのです。
 多角的な視点や学術的なデータ、画面の外で起きていることなどまで勘案して考え、結論を出さないことに問題があるわけです。

 肉食動物も狩りの成功率は極めて低く、生きるのに必死・食べなければ自分が死んでしまうわけですし、食料を分け与えなければならない「かわいい」幼獣が巣で待っているかもしれない。
 草食動物そのものもそう追われることでより強い個体が生き残りそれを繰り返して進化することでその他の自然の変化にも対応できて種族そのものの繁栄にも結び付くわけです。
 草食動物は罪の無い生き物に見えますが、多くの植物にとっては「襲ってくる敵」であり、それを食べ自分たち植物を直接食べない肉食動物は「たのもしい味方」に見えるかもしれない…。
 こんなことはテレビではあまり放送しません。一面だけの情報で自分の感情を全面に押し出すと、そう偏った発言・思想になってしまいます。

 植物で考えてみますと、きれいな花をつける植物や希少な植物は保護に値して、花をつけなかったりありふれた地味な植物は別に保護に値しないという価値観がその幼児発想と似ていると思います。

 植物の保護というのは動物の保護よりも難しい面があります。ある植物の群生地を保全しようとすれば、そこに入りこむ草食動物や昆虫を管理することのみならず、その周辺にあるその「保護」をしたい植物と競合する植物も管理しなければならないという場合も多いのです。場合によっては、水の流れや日光の当たり方など、地形などまで変える必要があるでしょう。
 ある植物を保護しようと思えば、他の植物の繁栄を阻害する必要も出てくることもあるわけです。私はそういう保護を「自然保護」とは思いません。先日も書いたように「その特定の植物の保護」と言うべきでしょう。

 その動植物や昆虫がその他の生命の繁栄にも大きく寄与している絶妙なバランスを維持している重大な役割を担っているというのならば別ですが、人間が特定の動植物の保全に特に理由も無く肩入れするのは私は疑問です。

 「何でもいいから、その植物だけあれば他なんてどうでもいいんだよ」というような明確な覚悟というか開き直りがあるならばまだ潔く感じもします(賛同しません)が、そういう影響を考えることなくいいことをした気分になる・それが「自然保護」だと思っているならば、私はどうかと考えます。

 なぜ、こんなことを言っているかというと、仙台市の泉ヶ岳には、仙台市の天然記念物に指定されているミズバショウ群生地について思うことがあるからです。。
 ここはかなり以前も書いたのですが、近年、流れ込む水流の減少により、かつてよりミズバショウ群生地が狭まり、またミズバショウも小型化の傾向にあります。これについての見解は以前書いたものと変わりが無いのですが、先日、こんな記事が出ました。

 11月4日の河北新報の記事です。
ミズバショウ群生地、SOS 仙台・泉ケ岳の芳の平湿原
河北新報 11月4日(木)14時30分配信

 泉ケ岳(仙台市泉区)に近い、仙台市内最大のミズバショウの群生地「芳の平湿原」の一部で、湿原が失われる「陸地化」が進んでいる。以前はなかった低木などが生え、ミズバショウの生育環境が悪化している。貴重な湿原を守ろうと、市民団体が8日、仙台市泉区のイズミティ21でシンポジウムを開き、保存活動への協力を求めていく。

 芳の平湿原は市の天然記念物。宮城県内有数の群生地として知られ、1965年にミズバショウ群生地として指定された。現在、指定区域は24.1ヘクタールになっている。
 しかし、近年は低木のイヌツゲやシダ類が増殖。具体的なデータはないものの、散策路周辺など目視できる範囲では、市も「ミズバショウの数が減っている印象」(市文化財課)と認める。陸地化の原因は、はっきりしていない。

 「ミズバショウ群生地の保全を考える」と題したシンポジウムは、まちづくりや環境保護、パラグライダー愛好者団体など市内の17団体でつくる「泉ケ岳利活用推進市民会議」が主催。東北大植物園園長の鈴木三男教授(植物構造機能進化学)、同大大学院の中静透教授(進化生態科学)が基調講演した後、東北学院大の平吹喜彦教授(植物生態学)と3人でパネル討論する。

 湿原は一度消失すれば回復が難しい。市民会議は今後、市民と協力してイヌツゲなどミズバショウに悪影響を与える植物の除去に取り組むほか、原因の解明と保全策を行政にも要請していく考えだ。
 市民会議の角田尚一代表は「市街地の近くにこれほど豊かな自然があるのは市民の財産。手遅れになる前に何とかしたい」と協力を呼び掛ける。

 シンポジウムは午後6時半から。入場無料。定員400人。連絡先は泉区まちづくり推進課【後略】
 私は百家争鳴になるような各種団体には一切所属しませんし関わらないのが持論ですが、この記事にある「ミズバショウ」重視のこの団体の姿勢に違和感を感じ、また、東北大学植物園の鈴木先生はかねてよりそのご見識やご姿勢に深く尊敬している方ですので、参加させていただきました。

 まずは鈴木先生から、ミズバショウの特徴について、わかりやすくお話しいただきました。

 続いて、仙台市泉岳少年自然の家改築に伴う環境調査の一環として2007年からこの群生地のモニタリングを続けていただいている中静先生のお話しをいただきました。

 その後パネルディスカッションでしたが、私の印象から、鈴木先生は安易で性急なミズバショウに肩入れした保全には慎重なご姿勢のようでした。
 それは、「例えば、栄養が少ないからと言って、ホームセンターで売っている肥料などをポケットに入れて来て、ミズバショウの湿地にパッとまくようなことはしてはならないですよ。それは他の植物にも栄養となるのですから」というような、直接質問されたわけでもないことなのに、付け加えるように警鐘を鳴らしたところからもわかります。もしかしたら、集まった団体の皆さんや聴衆の善意や意気込みはいっぱいだけれどもそれだけに目が行っている雰囲気が、ミズバショウありきで話を進めよう・活動をしようとしているように感じられ、違和感を覚えられたのかもしれません。

 鈴木先生の東北大学植物園は、以前もご紹介したとおり、温暖化の影響で南方の植物が入り込み東北ならではの植物を駆逐しても、それを見守るという姿勢を貫いているので、それとは異なる方針が、それは1つの見解なのでまだ良いにしても、ミズバショウが大事だからと他の植物は深く考えず省みないような危うさを感じられたのではないでしょうか。

 私はこの日参加した大部分の人が、「泉ヶ岳のシンボルだから」「長年親しまれているから」「きれいだから」という程度の理由で、ミズバショウを何が何でも残したいと言っているように感じ、違和感と危うさを感じました。

 この市民運動の事務局が記事末尾にもあるように泉区役所が進めており、こちらは2006年に泉ヶ岳の兎平という場所を大規模で無断伐採してしまったという大失態があった過去があるわけですし、これはどこの行政が担当したのか知りませんが泉ヶ岳の林道内にできる水たまりには環境調査の文献にも出ているように20年以上もモリアオガエルが産卵していたのですがなんと林道整備で全て埋め立てるというとんでもないことをしてしまったこともあるわけですから、なおのこと、性急な判断には危うさを感じます。

 むろん、里山というのは人が関わって保全されるという絶妙な人と自然の関係を維持して成り立っている良き面もあるわけですが、それは牧草取りとか炭焼きの伐採だとか、そういう生活の一部として最低限の循環型での関わりが継続された中での話であって、「ミズバショウがきれいだから・市の天然記念物だから守ろう」というのは私は賛同できません。
 行うのであれば時間をかけてミズバショウが衰退している原因を調査して、その原因が林道整備や側溝を作ったことによる水の流れの減少などにあるのであれば、「元通りにする」程度が適当であり、会合の質疑応答にあったように「湿地に入り込む木を伐採する」などというのを思いつきでやられては困ります。

 市民運動と聴くと何か草の根運動の市民感覚で「正しい」ように見えますが、こと、こういうことに関しては、学術的な裏付けが無い「思いつき」と単純な「熱意」だけで進められては困るわけです。
 先日も書いたように、数十年かけて衰退したものであれば、同じ期間くらいかけて考えて行くことをすべきではないかと思うのですが。

 もっとも、「泉ヶ岳利活用推進市民会議」という名称から、泉ヶ岳をどう人間にとって都合の良い利用・活用を考える会というニュアンスを感じますので、もし、そういう理念であれば、軽々に行うのも会としては間違っていないのかもしれませんがね。

 行政が、市民とともに自然環境の保全を協働していくというのであれば、あくまでもシロウト集団に過ぎない市民目線・市民感覚とやらにばかり迎合せず、専門の知識や技術を有した専門家に地道な調査を依頼して、それを提示しつつ盛り上がっているけれども知識の無い市民感情・熱意の盛り上がりをうまくコントロール・コーディネートするということをしなければなりません。
 行政は公僕といえど、市民迎合をしてばかりいれば良いというわけではなく、情熱をうまく誘導して教育し、情熱を継続させて目的を達成させるようなことをしなければならず、それも失われた自然をどう回復させていくかということと同じように、長い時間と根気がいることです。
 これは先にも書いたように熊の補殺と保護ということなどへの対応についても、同じことが言えるでしょう。
 しかし、行政担当者は数年で異動したり、後任者が必ずしもそういう情熱がある人が就くとも限りませんし、行政そのものの方針がころころ変わったり、と、そういうこともうまく進まない要素と言えるでしょう。

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泉ヶ岳
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