日々是雑感

初めてお越しの方は、私のプロフィール欄をご覧ください。

全体表示

[ リスト ]

大丈夫かなあ

 以前にも疑問を呈したのですが、大分県豊後大野市が農作物被害への獣害対策として、オオカミ導入を検討しているという件ですが、別報道が最近ありましたので、少し見てみたいと思います。
 1月15日の毎日新聞です。今度の毎日新聞の記事は、いかがなものでしょうか?
オオカミ:害獣除去の切り札に 大分・豊後大野市が構想
 
 大分県豊後大野市はイノシシやシカなどによる農林被害を防ぐため、日本では絶滅したオオカミを輸入、山に放って駆除する構想を立てている。生態系への影響を懸念したり、法に抵触する可能性を指摘する声があるが、橋本祐輔市長は「他に有効な手だては見つからない。全国のモデルになれば」と訴える。【佐野優】

 豊後大野市はシイタケ産地として知られ、約1万6400戸のうち農家が約3500戸を占める。稲や野菜を食い荒らすなどして、08年度に約3220万円、09年度に約2380万円の農業被害があり、ネットやわななどによる対策を進め、イノシシとシカを合わせ08年度に約2460頭、09年度に約2570頭を駆除した。

 市農林整備課は「被害は申告されたもので実際はもっと膨らむだろう」と語る。市内には約400人の猟師がいるが、高齢化が進んでいる。橋本市長は市議時代の07年、オオカミに関する本を読んで興味を持ち、駆除に用いる構想を温めてきた。市は11年度当初予算に導入に向けた調査費を計上するという。

 シカやイノシシの実態を調べたうえで、市民の理解を得て周辺自治体や国との調整がつけば、中国かロシアからハイイロオオカミを輸入する考えだ。研究センター(仮称)も設けて市民にオオカミに慣れてもらい、山に放つ計画という。

 だが、環境省野生生物課は「オオカミは生態系のトップで影響は大きい。一度放すと元には戻らないので慎重な判断が必要だ」と話す。また、同省の動物愛護管理室も「危険な動物の管理を定めた『動物愛護管理法』に抵触する可能性もある」と指摘する。

 一方、東京農工大名誉教授で日本オオカミ協会の丸山直樹会長は「オオカミによる害獣駆除の有効性は既に実証されている」と反論する。協会によると、95〜96年、カナダからオオカミを導入した米国のイエローストン国立公園ではシカによる被害が減り、森林が再生したという。

 危険というイメージについても、丸山会長は「通常、オオカミは人を襲わない」と語る。家畜を襲う可能性については、橋本市長は「放牧しない限り大丈夫」と話す。同様の被害に悩む三重県などの計4町が豊後大野市の構想に賛同、5町が前向きという。オオカミに関する情報を提供する研究センターを全国に置く構想を持つ協会は、近く豊後大野市を含む10市町で設置に向けた協議会を作り、啓発に乗り出す考えだ。
 両論併記しています。
 しかし、最初に説があって、それに異論があって、そしてそれに説を唱える人の再反論で締めくくられている構成ですと、その再反論で「懸念は払しょくされた」ような印象になってしまうと、異論を取り上げないよりも誤解を生みやすいというか、悪質となりかねない場合もあります。

 市長さんは「他に有効な手だては見つからない」などとおっしゃっていますが、毎年2,500頭もの駆除をしてもなお被害が収まらないのに、オオカミがそれ以上の成果を上げてくれると思う根拠は何でしょうか?また、北海道や静岡のようにハンターを非常勤職員として雇用して専門に駆除をするというようなことは、検討されたのでしょうか?
 財政的に厳しいかもしれませんが、農業被害額の大きさ、まして担当課のコメントのように潜在的なものを加えるとさらに膨れるというのであればなおさら、雇用対策と合わせて検討する値が十分にあると思うのですが、なぜ、突然そんな浮世離れした奇説に飛びつこうと飛躍したのか、報道を見てもさっぱりわかりません。
 豊後大野市のホームページを見ても見つけられませんし、豊後大野市鳥獣被害防止計画にも、市長さんの施策方針にも一切ありません。

 具体的な構想は無いかと探していて思い出したのは、宮崎県で口蹄疫が広まってしまった際、この豊後大野市は、感染地域からの住民に市有施設の利用を認めないという方針を打ち出していたというニュースです。話題になったのは覚えていましたが、この豊後大野市のことまでは意識していませんでした。
 2010年7月27日の時事通信の記事です。
口蹄疫発生地住民の利用制限解除=大分県豊後大野市の公共施設

 宮崎県の口蹄(こうてい)疫問題で同県内の家畜の移動・搬出制限区域がすべて解除されたのを受け、大分県豊後大野市は2010年7月27日、対策会議を開き、口蹄疫が発生した宮崎県内各市町の団体に対する体育館や公民館などの施設利用制限の解除を決めた。

 豊後大野市の方針をめぐっては、宮崎県の東国原英夫知事が「過剰な反応は慎んでほしい」と反発。郡司彰農林水産副大臣も「ある意味での風評被害のようなもの」と懸念を示していた。橋本祐輔市長は会議後、取材に「多くの批判を受けたが(地元の)畜産農家を守るために現実的な対応をせざるを得なかった」と釈明した。

 同市によると、発生地域からの施設利用の問い合わせに対し、実際に自粛を要請したのは、6月半ばにあった野球大会に関する1件だけという。

 口蹄(こうてい)疫問題で大分県豊後大野市は17日までに、同市の体育館などを対象に、口蹄疫が発生している宮崎県内の市町のスポーツ団体などの利用を制限することを決めた。個人利用は制限しないという。

 宮崎県の北に隣接する豊後大野市は「畜産は市にとって重要な産業。口蹄疫感染の原因をつくりたくない」と説明するが、過剰反応との批判も出そうだ。

 市によると、利用制限の対象は体育館や公民館など全84カ所。口蹄疫が発生している宮崎県内の市町の団体が施設利用を申請した際、市長や副市長らでつくる口蹄疫対策本部で協議。申請があった地域の感染状況に応じて、利用自粛を求める場合もあるという。利用制限は16日の対策本部で決定した。

 豊後大野市は県内でも畜産業が盛んな地域で、畜産農家が約340あり、牛約5300頭や豚約7200頭を飼育する。

 現地対策本部の篠原孝農林水産副大臣は「風評被害の典型的な例。消毒とかの協力をするのが大事であって、そこまではいきすぎだ」と話した。
 地方自治体の首長として、その地域の安心や産業を守ろうと、考えられる最善の対応をするのは当然であり、その点では批判されようと地元利益を最優先という態度は一定の評価をしても良いという見方も成り立つでしょう。

 しかし、記事末のとおり、消毒の協力をするというような自治体を超えた地域としての一致した連携や協力を無視して自分の自治体だけが良ければ良いといわんばかりの空気の読め無さは大いに疑問です。広域で発生し、一致団結して対処する足並みを乱す行為と取られるのもやむを得ないでしょう。
 このような市長さんの姿勢からして、1つは「自分たちの市だけが良ければ良いとか、自分の町のことなんだからよそからとやかく言われたくないと言わんばかりの、田舎町の閉鎖性・独善性という姿勢」と同時に、「発生当初、口蹄疫という目に見えない・よくわからないものへの恐れに過剰に反応して、地道な努力の積み重ねをすることなくイチ・ゼロの対応をした」ようにも見えます。

 ところが、宮崎県や隣県における官民挙げての徹底した地道で大変な労力をかけた消毒体制や殺処分などを行ったことで、事態は急速に落ち着いていったのはご承知のとおりです。
 つまり、自治体の垣根を越えて一致協力して地道な努力を行うことで対処できたことであるのに、いち早くそれから「イチ抜けた!」とばかりにそれから逃げだしたというような印象も、理解できる反面、私はどうしても持ってしまいます。
 自粛の要請が1件だけだったからという件数の問題ではこの場合、ありません。

 同時に、これはこの「オオカミ導入」についても同じように感じてしまいます。
 地道にハンターの雇用や育成をし、頭数調査やその適正頭数の割り出しをし、自治体の境なんて関係なく移動する動物の対応は周辺自治体との深い連携や調整が必要であるのに、そんなことを考慮せずにまた「イチ抜けた!」とばかりに近隣にも影響することを自分らだけで勝手に行うというのは、「地域主権」では到底あらず、単に「自分勝手」「わがまま」と言えるような気がします。
 仮に導入して1件だけ人身被害があった場合でも、それはこの場合、ある意味100件の発生と変わりありません。在来のハチや熊の人身被害とは違います。

 豊後大野市が口蹄疫による被害が広まらなかった要因の検証はしようがありませんが、少なくとも地域の中における自治体の姿勢や科学性において、異端というか迷惑というか非科学的というか、近所に住んでいれば関わりたくないような自分勝手な住民という感じがしてしまいます。

 私は畜産にも詳しくは無いのですが、独立行政法人 近畿中国四国農業研究センターのパンフレットによれば、放牧の効果について、畜産農家の負担軽減や良質な肉や牛乳の生成にも効果があり、イノシシ被害などの軽減にもつながりうるということが紹介されています。
 口蹄疫の際にはそこまで地元の畜産が盛んで大切だと語っていたのに、しかし、冒頭引用の毎日新聞の記事を再掲すると、市長さんは
家畜を襲う可能性については、橋本市長は「放牧しない限り大丈夫」と話す。
と、その放牧を止めれば良いとおっしゃっているわけです。これは本末転倒ではないですか?
 ちょっと例が違うかもしれませんが、例えば、田舎町で市営バスを廃止しよう。その代り、自家用車の購入の補助金を出そう。そこに「お年寄りの交通事故の増加が心配されませんか?」と聴いたところ、責任者である市長さんから事故防止策ではなく「(お年寄りが)家から出ない限り大丈夫」とでも応えられたような感じの違和感があります。

 丸山直樹氏が記事でおっしゃっているのは「いいトコどり」で、導入後実際に発生した欠点や問題点には一切触れていないのは、以前指摘したとおりです。
 「通常、オオカミは人を襲わない」とおっしゃっていますが、これはすなわち、通常ではないケースで人が襲われたケースがあるということを暗に認めていることですし、同時に、そういうこともありうると自覚しているのに、その通常ではないケースで襲われた場合のことまでは触れていないという、2つの点で、この方の姿勢が垣間見えるコメントに見えます。
 その程度のツメの話に飛びつこうというのですから、軽率な印象は否めませんね。

開く トラックバック(2)


.
泉ヶ岳
泉ヶ岳
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事