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以前から紹介していますが、一部の団体らの根拠が全く薄弱な主張にも関わらず安易にそれに乗ってしまったのかなんなのか、豊後大野市も検討をするとしている「有害鳥獣駆除を目的としたオオカミ導入」の与太話ですが、当然と言えば当然の話なのですが、本格的議論以前にさっそく頓挫しそうです。 おおみえ切って公表する前に、実現の可能性の検討・細かい部分までの詰めですとか、農林業関係者への聞き取りですとか、市民の代表たる議員への根回しというか事前説明とか、行政としてはまずそういった「内部」で地道に詰めるべきところ、「外部」に公表してから内部に向けて動き始めるというのは、かなり拙く情けないと言わざるを得ない行政運営です。市民置き去りの、対外的なアピール・自分の宣伝だけが目的ではないか?とさえ感じる、首長さんの独善的にも見える姿勢というか資質は、前回書いたように私はやはり疑問に感じざるを得ません。 まずは3月8日の大分合同新聞です。 オオカミ導入案に異論続出 豊後大野市議会 [2011年03月08日 10:25] 鳥獣被害対策として豊後大野市の橋本祐輔市長がオオカミによる駆除に注目していることに対し、7日の市議会代表質問で、2会派の代表が反対の立場から質問した。 橋本市長は、ハンターやわなによる狩猟、防護柵などの対策だけではシカ、イノシシなどの被害を防げないとして、国外からオオカミを輸入する方法を選択肢の一つに挙げている。 小野泰秀氏(清風ク)は「米国の国立公園で導入例はあるが、四国の半分という広大な土地。オオカミの行動範囲は広い。国も否定的な見解を示しており、再導入の可能性が残されていると思うのか」と質問。小野栄利氏(緑政会)は「議会で議論するなら予算化はいつなのか。オオカミ議論は鳥獣被害の実態を示した効果はあると思うが、市民の立場を考えると反対せざるを得ない」と述べた。 橋本市長は「一自治体でできることとは考えておらず、社会的なコンセンサスが必要」「全国にオオカミ再導入に関心がある自治体があり、協議する組織ができれば議会に相談したい。大規模な予算化は考えていない」と理解を求めた。この市長さんについては以前から「なんだかパフォーマンス好きそうな人だなあ」と、かなり不安と不満があったのですが、議会がある程度論拠をあげて慎重意見を提示しブレーキをかけてくれたようで、安心しました。阿久根市や名古屋市などの首長と議会の対立で議会の存在意義について注目が集まることが増えましたが、こういうことが二元代表制の醍醐味で、民主主義において起こり得る一時の狂乱などへの安全弁になります。 ハンターやわなによる狩猟などでは被害が防げない、というのはわからないでもありませんが、そちらの延長上での打開策はろくに模索せず、それで新たに持ち出した打開策が絵空事に過ぎないオオカミ導入というのですから、もう飛躍し過ぎていて常人ではついていけなくなります。 「大規模な予算化」は、確かに「ただ、他の自治体と協議をするだけ」ならば旅費やら事務費、湯茶費といったわずかな予算の計上で可能かもしれません。しかし、その協議・検討した結果はほぼ確実に「断念」となることが今の段階で言えます。そういう結論が見えている、議論・検討せずとも良いものをわざわざ検討するそんな予算は全くの無駄でしかありません。わかっている結論を確認するための議論に費用などをかける必要はありません。しかも、同じような事情で困っている者同士の自治体と意見交換をして、何か導入に向けての課題解決につながるというのでしょうか?多くの分野の専門家に、長期にわたる調査研究などを依頼していくというのならばまだわからないでもないですが。 「社会的なコンセンサス」とも言っていますが、まず到底そんなものは得られるはずはありません。市長さんは「全国の自治体が関心がある」とはおっしゃいますが、それはこの豊後大野市周辺の自治体ではなく、日本各地に散らばるわずかな自治体に過ぎないわけです。仮にオオカミ導入をして目的を達成しようとするのであれば一定面積の地域全てが一体となって行わなければ効果が上がらないのはもちろん、到底管理もできないでしょう。その点では、いくら日本各地に同じ考えを持つ自治体があろうとも、周辺自治体のいくつかでも「否」と反対すれば、成立しえない話です。 しかし申し訳ないですが、前回紹介したように、口蹄疫が発生したときに自分の自治体だけで独自に対応しようとした姿勢のこの市の行政や市長さんでは、周辺自治体からその独自の政策というか突拍子もない話に対して積極的な理解や支持、協力などは到底見込めないと思います。 3月8日の毎日新聞にも、同じく議会で追及される市長の様子が報じられています。 豊後大野市:「鳥獣害にオオカミ」全国協設立 賛同少数、先送り /大分 イノシシやシカなどの鳥獣害対策として外国からオオカミを導入する構想を描いている豊後大野市の橋本祐輔市長は7日、導入に向けて全国的に設立を計画している市町村連絡協議会に「賛同し参加する」と答えたのは2自治体にとどまっていることを明らかにした。橋本市長は「残念ながらすぐには設立できない状況。引き続き呼びかけたい」と話した。 開会中の定例市議会で、小野泰秀市議(清風クラブ)の代表質問に答えた。市は現状を話し合い、課題を共有するため協議会設立を計画。参加に前向きな全国11自治体に1月、案内文書を送付。8自治体が保留し、1自治体が「参加しない」と答えた。 また、小野市議は「導入にほとんどの人が懸念し、反対している。市民や議会も認めたわけではない」と指摘。橋本市長は「選択肢の一つ。情報発信など国に働きかけたい」と述べた。【佐野優】笑わせてくれます。 リーダーシップをとったつもりなのか、見切り発車的に11自治体に案内を出したものの、8自治体が保留、1自治体が明確に断って来て、賛同は2自治体に留まったわけです。 記事にはそれらの自治体が保留や辞退とした理由までには触れられていませんが、普通に考えれば、「選択肢としては否定しないものの、まだ住人や国民のコンセンサスが得られているとは言えない状況であり、かつ、国も否定的見解である以上、今すぐに具体的な検討するような協議会結成という段階では到底無く時期尚早であるから」というところではないかと思いますね。 議会にも地域住民にも説明などは後回し、案内文書を出す前に先方の首長などと電話ででも会談して内諾などを得るような根回しもせずに案内をただ送り付けただけのような結果で、行き当たりばったりで何も考えないで行動しているように見えます。 一定程度の参加が見込めるか否かは実際に案内とか意向を確認する文書を出す前に電話などで打診をしておくべきことで、いきなり意向確認を出してダメでした、ではその郵便代すらもったいない。そしてそれで頓挫しました、では、せっかく参加しようかと回答してきたわずかながらの2自治体にどう申し開きをするのでしょうか? 「情報発信など国に働きかけたい」とありますが、その国はとっくに否定しているわけで、いったい、どんな情報をもって、どう国に働きかけようというのか、場当たり的なその場しのぎの苦し紛れの答弁にしか見えません。 これらの経過はいずれ豊後大野市議会のホームページで、今回の議事録が掲載されるのを注目したいと思います。 なお、豊後大野市のホームページ「ようこそ市長室へ」では、このオオカミ導入への検討について、1月下旬に市長さんの見解というか言い分が出ておりましたが、特段、論評に値しない内容でしたので、ブログでは特に取り上げませんでした。ただ、議論の公平性のために紹介いたしますので、興味のある方はリンク先をご覧ください。 一連の記事や答弁などを拝見して少なくとも言えることは、この市長さんや市役所の職員さんたちでは、オオカミ導入などという前代未聞(机上の空論?絵空事?)のプロジェクトは、到底任せるわけにはいかない、ということです。
簡単な事務や議会対策において見ても、あまりにも稚拙に感じることばかりで、総合的に考えて、オオカミを放つという行為の是非以前のレベルでしょう。 |
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