日々是雑感

初めてお越しの方は、私のプロフィール欄をご覧ください。

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

動物を扱うということ

 「かみつき猿」と呼ばれ多くの被害者を出す騒ぎとなっていた猿が、懸賞金までかけてようやく10月に捕獲されたものの、先月末、飼われていた施設から逃げ出すという実に愚かな失態がありました。
 1月24日の地元・静岡新聞の記事によれば、
かみつきサル逃走 三島、飼育小屋清掃のすきに 
01/24 14:42 

 昨年8〜10月に県東部で118人のけが人を出し、捕獲後に三島市立公園「楽寿園」で飼育されていた「かみつきサル」のメスのニホンザル「らっきー」が24日午前、飼育小屋から逃げ出した。らっきーとみられるサルは同市内の市街地で目撃され、同市は捕獲を急いでいる。豊岡武士市長は同日、臨時会見を開き、「管理の不行き届きをおわび申し上げる」と謝罪した。
 同市によると、同日午前7時10分ごろ、楽寿園の臨時職員(63)が掃除のために飼育小屋に入った際、らっきーが中から飛び出し、小屋の扉から逃げた。扉は二重になっていたが、外側の扉の施錠が中途半端だった可能性があるという。三島市は人為ミスを認めた。

【中略】
 
 臨時職員は動物の飼育担当4人のうちの1人で、楽寿園では2年10カ月の動物の飼育経験がある。同市地域振興部の宮崎真行部長は「市民に不安と迷惑を掛け、情けない思いでいっぱい。早期解決を目指して、危機管理体制のもと対応していく」と話した。 
 「情けない思いでいっぱい」というのはまさにそのとおりですね。二重扉があるのにも関わらず逃がすというのは、不注意にもほどがあります。まして、相手は100人以上のケガ人を出して逃げ回っていた猿です。うっかりという以前の、飼育員の資質に疑問がもたれても仕方が無いでしょう。
 1月25日の産経新聞には、
「らっきー」脱走 楽寿園、管理に落ち度 「プロの仕事じゃない…」

【中略】

 「毛の抜けがひどくなっていた。(おりを)出たいのかなと思っていた」。楽寿園の杉山静雄園長は、直前のらっきーがストレスをため込んでいた様子をうかがわせる半面、管理の落ち度を「プロのする仕事じゃない…」と、悔しそうにつぶやいた。

【中略】

 楽寿園は「街の中にある森なので戻ってくる可能性がある」(杉山園長)と、らっきーの行動に期待し、園内に餌を置いておびき寄せる手法で改めて捕獲を試みる考えだ。

 だが、ニホンザルの生態に詳しい日本モンキーセンター(愛知県犬山市)の加藤章園長は「子ザルの頃から育った場所ではなくて捕獲されて嫌々入れられた場所。戻ってくる可能性は低い」と指摘する。

【中略】

 一方、選挙広報CMや観光PRなど三島市の顔役でもあったらっきー。らっきーにふんしてインターネットのミニブログ「ツイッター」で観光PRに乗り出したばかりだったが、書き込みも一転して、中止になってしまった。

【後略】
 二重扉を閉めずに逃げられるような人を「プロ」などと自称して欲しくないものです。私が小学生時代、学校で飼っていたニワトリの小屋に入るときにも、きちんと先生から二重扉をきちんと閉めるよう注意され、厳守したものですが。

 ここのホームページを見る限り、「動物園」というよりは、「公園」で、古い建物などもあって、動物はその中のごく一部門でしかないようで、別に「動物専門」の施設というわけではなさそうです。だからこそ、猿もストレスを感じていたのではないかと思いますし、ストレスを感じてもそれをうまく解消できなかったのでは?と思います。そして、専門ではないからこそ、園長さんも「戻ってくる可能性」などと、状況を考えればとてもありえないような楽観的なことを平気で言うのではないかと思います。
 散々広範囲を逃げ暴れまわったあげくに捕えられた猿。そんな猿が「戻ってくる」はずが無いと思うのは専門家に聴かずとも私でも思いますし、仮に園長が猿の習性などに疎くそう思っても、油断から発生した逃走なのですから、責任者が軽々しく楽観的見解を口にすべきではないでしょう。そういう空気の読め無さぶりは、施設管理者としての資質が問われます。
 もっと言えば、幸い重傷者が出なかったとは言え、多数のケガ人を出した問題ある猿を観光PRに使うという発想が、私には全く理解できません。飼育まではともかく、それを積極的に使うとは、負傷者やそのご家族などの心情を考えてのことでしょうか?
 どうも、ここの関係者一同、現状認識が甘い人が多いような。

 なぜ、二重扉を閉めなかったのか?ということなどが、捕獲後の1月26日の毎日新聞の記事に出ていました。
かみつきサル:らっきー逃走劇、24時間で幕にホッ 再発防止策これから /静岡

【前略】

 ただ、どこまで問題を深刻に受け止めたか、疑問は否めない。楽寿園は捕獲直後、らっきーの展示を26日から再開する方向で検討していた。急きょ方針を変えたのは、県東部保健所から「待った」がかかったためだ。楽寿園は午後2時すぎ、らっきーのオリの一部をビニールシートで覆い、応急措置を施した。

 再発防止策についての市側の答えは歯切れが悪かった。市は今後、複数の職員で清掃や餌やりをすると説明したが、オリの改修などを講じるかどうかを問われると、「今後、検討する」と繰り返した。

 このオリでは元々マレーグマを飼い、その後、リスザルを飼育していた。オリの外に水道の蛇口がついており、展示スペースまで清掃用のホースを通すと、構造上、外扉と内扉は完全には閉まらない。だが、市側は「専門家に見てもらった。問題はない」と強調した。

 ◇「飼育に緊張感を」
 県は25日、今回の事態を憂慮し三島市に再発防止対策をまとめ、提出するよう求めた。ニホンザルは法律上、人に危害を加えるおそれのある「特定動物」で、県が三島市にらっきーの飼育許可を出している。

【後略】
 特定動物の飼育許可を静岡県から得ていたということは、施設の構造上は最低限の基準の細目をクリアをしていたと思いますが、市側の言う、見てもらった「専門家」とやらがどんな専門家で、どういう見解を市側に伝えていたのかも知りませんが、それが実際の飼育においてベストではないのではないという印象を持ってしまいます。
 私は動物を飼う際の、それぞれの動物の性質に応じた・適した施設の構造というものには疎いのですが、マレーグマとリスザルとニホンザルが同じ施設でも良いものなのか、まず疑問です。強度はもちろんですが、広さとか特性は構わないのでしょうか?そういう構造が、「ストレス」の一因にもなっていたのでは?

 そもそも、清掃のための水道ホースをオリの中に通そうとすると扉が閉められない・オリの中に水道は無い、というような構造というのはなんですかね?
 今回、扉を閉めずに逃げられた原因がホースを通していたからなのか、単に飼育員がなめきった仕事をしていただけの問題なのかは、記事からはわかりません。わかるのは、飼育員も、すぐに公開を始めようとしてSTOPをかけられた市全体も、動物を扱うには姿勢や資質が疑問だということです。

 当然、そういう市側の落ち度には苦情が寄せられているようで、捕獲後の1月26日の読売新聞の記事では、こんなことが。
らっきー脱走に批判殺到…三島市、執念の捕獲

【中略】

 市が飼育していたらっきーが人に危害を加えれば「お騒がせ」では済まされず、市が責任を問われる事態も予想されただけに、市はひとまず胸をなで下ろしている。一方で、らっきーを観光資源として活用しようとしていた市にとっては、当のらっきーに管理の甘さを突かれ、冷水を浴びせられた格好だ。同園は26日から開園するが、当面らっきーの公開は見合わせ、飼育や管理のあり方を慎重に検討する。

【中略】

 らっきーについては、昨年10月に捕獲された時点で「殺さないで」という“助命嘆願”が市民から相次ぎ、襲われた120人近い被害者が微妙な感情を抱くことは容易に想像できたが、市はあえてらっきーを楽寿園で公開して観光資源とした。

 それだけに今回の事態は市の失態以外の何物でもなく、市役所には「苦労して捕まえたのに逃がすとは何事か」などの苦情や批判が24日に約50件、25日も約20件寄せられた。「名前がふさわしくない」「なぜ殺処分しないのか」など、昨秋の市の判断に疑問を投げかける声も数件あった。一方で、「捕まえられてよかった」との激励もあったという。
 後でも触れますが、実際は男性が1人、噛まれていたことが後でわかったそうで、この記事どおりに行けば「お騒がせ」では済まないわけですね。

 この記事にも触れられていますが、この猿が大量のケガ人を出したにも関わらず殺処分されずに生き残ったのは、「助命嘆願」があったことが大きいでしょう。これは、このブログでいつも取り上げているように、熊の殺処分においても過剰にこういうことを言う人がいるわけで、それが時として行政の対応を鈍らせることにもなっていることに私は危惧しておりますが、この猿についても行政らの対応の選択肢に無理なもの=本来飼える態勢ではない施設や人員で、無理に飼うことになった結果ではないか?と疑念を抱いています。
 なるほど、逃がしたのは施設であり、飼育員です。しかし、本来、ニホンザルを飼う態勢とは言えない施設で急に飼うというのは無理があり、その結果、逃げられたと言う見方もできることを、実は忘れてはならないわけです。行政が、「市民」「寄せられた民意」の要望をくみ取って殺処分を避けても、無理な対応をすれば結果責任は問われるのは当然です。生命尊重は悪いことではありませんが、その結果、事故や騒ぎを招くようなことは本末転倒です。市民の声だろうが民意だろうが、なるべくそれに応える努力を最大限しつつも、できないことはできない、という最善の判断とその説明も同時に持つべきが行政でしょう。この三島市はどうだったのでしょうか?

 2月4日の毎日新聞には、逃亡中、負傷者がいた記事が。
かみつきサル:「らっき−」男性の足かんでいた 三島市長が謝罪 /静岡

【中略】

 楽寿園によると、捕獲の約4時間前、サルが庭にいるのを男性が発見。バナナを与えようとしたところ、「足に抱きつかれ、甘がみされたらしい」と話したという。市は、男性が受けた破傷風予防の注射などの費用を補償する考え。
 この男性はらっきーを発見後、市に連絡したため、市職員が会ったが、当時、かまれたとの説明はなかったという。豊岡市長は3日、記者会見し「被害者とのコミュニケーションが不足していたのではないかと深く反省している」と述べた。【樋口淳也】
 この噛まれた男性も、あれほど猿で大騒ぎになった地域なのに、庭に猿がいて、バナナを与えようとする=餌付けしようとするとは、いささか「平和ボケ」と言う感じがします。黙って通報だけすれば良い。しかも、最初に被害申告をしないというのは、理由がわかりません。
 この猿がたくさんの人を襲ったのは人間をなめきっているからで、たまたま大人の男性だからこの程度で済んだのですが、幼稚園児や小学生であれば、もっと心身ともに深刻なダメージになっていた可能性があります。

 そういう緊迫感とか緊張感が、この自治体からはみじんも感じられない。動物を扱うには、能力不足という感じしかしません。

安全と安心

 以前、深刻な農作物被害をもたらすシカやイノシシの生息数を適正に保つとして、海外からオオカミを導入し、山に放そうというごく一部の人の主張と、それに迎合する自治体について紹介しました

 オオカミを放そうという人の主張を聞くと、「オオカミは人は襲わない。襲ってもごくまれ。襲うのは狂犬病など悪条件が重なったに過ぎない」というようなことを言っています。そして、その事実はもっと広く知らせて行かなければならない、と、語っています。

 異論を唱える専門家や個人の中には、過去の日本におけるオオカミの人身被害の事例などをあげて反論していますし、私もその反論内容にはもっともだと思う部分ばかりなのですが、少なくとももしオオカミを放ったために人身事故が発生するなど深刻な被害が発生した場合は、導入に関係した全ての人間を業務過失致死などで厳罰に処すというくらいの、そしてその人たちの私財を全て賠償に充てるというくらいの念書でも出すくらいの覚悟がなければ言いなさんな、と思います。
 「研究者」や「行政」のタチの悪いのは、責任を個人で取ることはかなり少ないということです。もし、事故が発生しても、研究者とやらは、「自説を主張しただけ。それを実行に移すか否かは行政などの実施機関の責任」と逃げ、行政も、首長やその自治体という肩書きが責任を負うことはしますが、個人の責任が追及されることはまれです。行政として責任を取る場合は、その賠償金は全て税金が原資です。
 お遊び実験感覚でそんなことをされてはかないません。むろん、お金の問題以前に、人々の安全はもちろん、「安心」も大切です。

 その「安心」にかかる部分で、興味深い記事を見ました。
 1月23日のTechinsightJapanに、ノルウェー郊外で少年が4匹のオオカミに遭遇したという記事です。
EU発!Breaking News】13歳の少年、オオカミに遭遇するもヘビメタで追い払う。(ノルウェー)2011年1月23日 18:00
 ノルウェーの首都オスロの南部Rakkestadで、13歳の少年が学校から帰宅途中に、4匹のオオカミに遭遇してしまった。
 しかし彼はとっさの判断で、その時聞いていたヘビメタを上手く利用してオオカミ達を追い払うことができた。

 少年がオオカミに遭遇したのは、スクールバスの停留所から家に帰るまでの道にある、小高い丘の上だった。
 彼の家族は農場を経営しており、その一帯は自然に囲まれた、人気がほとんどない所。誰かに助けを求めることは不可能であった。
 だが彼はその時、以前大人達から聞いていた、オオカミと遭遇したときの対処法を思い出したのだ。
 それに従い彼は、MP3機能がついた携帯電話からイヤフォンを外し、音量を最大にして中に入っているヘビメタをオオカミ達に聞かせた。
 それと同時に、オオカミ達に対し腕を振り回し、大声で叫んだのだ。
 この効果はてきめんで、オオカミ達は来た道の方に向き直り、その場からゆっくり離れて行ったという。

 専門家によると、オオカミに遭遇した際、一番避けるべきなのはその場から逃げようとすることだそうだ。これだと、かえってオオカミに狙われてしまうのだという。
 しかし少年はオオカミ達に対し冷静に対処し、正確な方法で追い払うことができた。
 「不安になりすぎて、逃げることができなかっただけ」と少年は言っているが、専門家は彼のこの対処を絶賛している。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)
 この記事だけからは、遭遇の状況はわかりません。
 すぐ目の前だったのか、ある程度離れていたのか。
 オオカミは少年に関心を持っていたのか?気づいてもいなかったのか。
 オオカミは少年を襲うつもりだったのか?気にもしていなかったのか。
 オオカミが逃げたのは、本当に音楽など威嚇のためなのか?単に警戒してすぐに離れただけなのか。
 ・・・など。

 「オオカミ信者」に言わせれば、これはなんてことも無い遭遇に過ぎず、むしろ「ほら、少年も正しく対処して、事故も起きたわけではないじゃないか。こういうことを啓発しておけば、大丈夫なんだよ」とでも言いそうです。
 確かに、今回は結果的に「安全」ではありました。しかし、少年の主張をよく見てみましょう。
 「不安になりすぎて、逃げることができなかっただけ」と少年は言っている
 ここが重大と思いませんか?
 13歳の少年が、既にオオカミも生息していて、そしてそういう対処方法を教えられるまでにある少年が、実際に4頭のオオカミが目の前に来たら、こう不安を感じたわけです。
 それが、オオカミがいない日本であれば、どうなることでしょうかね?少しばかりごく一部の研究者や信者が啓発広報をしたところで、それがどれほど影響力があるというのでしょう?
 実際の「安全」を担保できることと、「安心」を感じてもらえることは、また別問題だということも、十分に考えてもらいたいものです。

開く トラックバック(1)

大丈夫かいな。

 先日、報道の「安易な善意の美化」の姿勢について疑問や危険性を呈したわけですが、読んでいて「なんだかなあ。」と思う報道を見かけました。

 1月25日の朝日新聞の記事です。
「クマを助けて」美作市へ寄金8件39万円 植林費用に
2011年1月25日

 ツキノワグマを助けてあげて――。そんな願いを込めた寄付金が、美作市に8件、計39万円寄せられた。市は、「どんぐり基金」(仮称)を作って善意に応える方針だ。 

 最初の寄付は昨年11月23日、久米南町の85歳の女性からだった。小切手13万円と手紙が添えられていた。相次ぐクマの出没や捕獲に心を痛めたといい、「クマの食事代に」と書かれていた。12月1日には、この寄付を知らせる朝日新聞を読んだ大阪府東大阪市の女性から現金10万円が寄せられ、その後も年末までに岡山、倉敷、前橋市、宮城県などから寄付が続いた。 

 市は、最初の13万円で、クマのエサとなる木の実がなる広葉樹(クヌギやコナラ)の苗200本を購入。市議や市職員、ボランティアが12月5日、美作市久賀の市有林で植林し、「動物愛護の森」づくりに着手した。 

 さらに、クマのエサが実らない針葉樹(スギなど)約3万9千本を伐採して売り、跡地に広葉樹を植えることも計画。美作市真殿と東谷上にある市有林を対象とし、売却代金を基金に組み入れる方針だ。 

 また、その後も相次いだ寄付を基に、市は「人間とクマが共生できる森づくり」の実現を目指す基金の設立を決めた。少なくとも1千万円の市費を、来年度予算に盛り込む方向で検討しており、3月議会に提案する。 

 安東美孝市長は「広葉樹は、植えてから実がなるまでに5〜6年かかる。地道な対策が必要だが、クマと人間との共生という目標に一歩でも近づければ」と話している。 

 県によると、去年4月から12月末までのクマの出没件数は196件で、前年度の8倍。捕獲は前年度1頭に対し、60頭にのぼる。このうち美作市は出没136件、捕獲46頭と群を抜いて多い。(中村二郎) 
 一過性の「どんぐりまき」ではなく、木々を植えようと。それも寄付金があって、それを聞いて次々と「タイガーマスク」のように賛同する人が出て、一気に盛り上がり。一見、美談です。
 この件については、以前にも少し触れたのですが、最初の女性も、美作市に送り付けた手紙も11月26日の朝日新聞によると、
「クマの食事代に」と13万円 美作市に女性が寄付 

 ツキノワグマの出没が相次ぐ岡山県美作(みまさか)市に、県内の85歳の女性から「クマの食事代に」と13万円の小切手が届いた。 

【中略】

 女性から、最初の手紙が届いたのは15日。「冬眠できないで命をかけて下山する熊達を助けてあげてください。 無策の地方自治体の責任を熊に押しつけないでください。雄大な中国山脈を広葉樹林の美しい熊の山に育てていただきたい」とつづられていた。 

 美作市は副市長名で、農林業や人への被害の恐れがあることなどを説明する返事を出した。 
 すると女性から23日、書留で小切手が送られてきたという。 
 苗木は12月初旬、市幹部が市有地の林に植える。 
 安東美孝市長は「今年、山を下りてきているクマには間に合わないが、女性の意思を尊重したい」と話す。 

【後略】
と、私から見れば、何も知らないくせに手紙を送りつけ、今度はわずかばかりの小切手を送りつけ、全てが自分の感情を満たすだけに過ぎない稚拙さを感じます。私はこういう年の取り方はしたくないものです。
 物事はそんな、平和で単純なものではありません。

 これらの女性や美作市の市長さんにうかがいたいですが、「熊が出没すること(理由)」は、「その地域における広葉樹が少ないから」なのだと、ハッキリわかっているのでしょうか?
 2010年11月25日付けのやはり朝日新聞の記事によれば、
捕獲クマ処分する?しない? 実態見えず調査法見直しも

【前略】

 「捕ったやつはとにかくもう放さんでくれ。お願いじゃけ」。岡山県美作市で17日に捕獲されたツキノワグマを見ながら、近くに住む男性(82)は視察に訪れた安東美孝市長に詰め寄った。クマの右耳には、1度捕獲されたことを示すピンク色のタグがついていた。 

 岡山県は、これまで目撃情報などから県内のクマ生息数を10頭前後と推定。「絶滅危惧(きぐ)種」に指定して、捕獲しても殺処分せず山中へ放す方針を守ってきた。だが、今年に入って捕獲されたクマは40頭を超えた。 

 相次ぐ捕獲に住民の間に「農作業中に襲われたらどうするんだ」との不安が強まった。これを受け美作市は周辺町村とともに岡山県に対策を要望。県も「人里近くに再度出没した場合は、原則として殺処分の対象とする」と方針転換せざるを得なくなった。 

 ただ、17日に捕まったクマは、「1度目に出没した地域が人里近くではない」との理由で山中に放された。県は「人里近くに2度出たという基準にあわないのに処分したら、保護団体などへの説明がつかない」という。 

 捕らえたクマを殺処分すべきか放すべきか――。自治体と住民、動物保護団体の対立は各地で起こっている。背景には、クマの生態や生息数が十分にわかっていないことがある。 

【後略】
 とあります。記事中にもあるように、確たる調査の結果では無いにせよ、生息頭数は岡山県全域で10頭ということです。
 それでも農作物被害が出たり、人里に出没するということは、岡山県や美作市周辺の環境は、10頭程度の熊も満足に生きていけないほどの環境なのですか?私は岡山県や美作市を訪問したことが無いのでわからないのですが、そんなはずはありませんよね?

 なぜなら、冒頭の1月25日の朝日新聞の記事には、岡山県における前年度の出没は今年度の8分の1、捕獲数も前年度は今年度の60分の1ということですから、広葉樹の不作の年でなければ、人里に出没するような環境ではない、十分に生きていける環境というわけですよね?
 と、いうことは、今さら広葉樹を植えたところで、また一斉に不作の年になればやはり足りないということになりませんか?
 だいたい、今年度、60頭(延べ?)も捕獲しておいて、それで推定生息頭数が10頭とは、よくも平気で言えるものです。現状把握を全くできていないという証拠です。

 また、例えば新たに植林した面積が1頭の熊を生かすのに足る木の実を提供してくれるとしましょう。しかし、それが生き残ったことで子を1〜2頭産んだ場合、1〜2年後、今度はその子らが成長して食べ物を欲するわけですが、あぶれてしまうわけです。そのように、継続して植林し続けるわけでしょうか?

 だいたい、半年足らず前の記事では、正確な生息数調査の在り方を模索しているようなことを言われていたのに、実際に岡山県や美作市の周辺にどのくらいの生息頭数があって、その範囲ではどのくらいの植生があるのかもろくに調査もしないで、ただ広葉樹の苗木を植林しようというのはまさに考えの無い場当たり的・小手先の、厳しい言い方をすれば無意味な話としか私は感じません。

 その植樹した苗木も、その土地の植樹した土地周辺のドングリなどから栽培したものなのでしょうか?どこかの土地で栽培されたものを造園業者さんから買ってきた、という程度のものではないのでしょうか?栽培したにしては、早すぎるような気がしますが。それは「遺伝子の撹乱」になりませんか?その植樹地周辺の森を弱らせかねないと言えると思いますが?

 さらにどうかと思うのは、針葉樹を3万9千本も切り倒して、そこに広葉樹を植えるという愚挙です。
 その針葉樹のある場所が手入れを放棄されていて、土砂災害が発生しかねないというのならばわかりますが。しかしその場合でも、市が伐採をして売却をするということができるということはそこは市有地だと思われますが、それならば適正な手入れはそもそも美作市のすべき義務で、それまでにそれを怠っていただけということになります。そうでない、適当な針葉樹林帯なのであれば、特に冬には小鳥や小動物が身体を休め食べ物を探す貴重な場です。風雪から守られる地面には、そこに定着した様々な植物もありますし、昆虫も生きています。
 そのように既に安定している土地を、目先のことで、しかも熟考せずにぶっ壊すというのは、私はあまりにも安易で小手先の、ポーズが先行した愚行だと言わざるを得ません。
なるほど、農作物被害は解決すべき課題であるから対策は必要です。しかし、その植林は抜本的解決への効果には疑問が生じる=効果が無いと思いますし、見えづらい多くの生物が行政に踏みつぶされることだという自覚と覚悟を持って言っているのでしょうか。

 本当にこの美作市がすべきなのは、まず、岡山県や周辺自治体と共同で、専門家に生息頭数の調査や植生の調査を行い、そして保護管理計画を組み立て直すことから手をつけるべきでしょう。
 そして同時に、人里に出てくる要因を調査して、生息地と人里の間の緩衝地帯はどうか?ということなどを考えて、そこから対策に手をつけるべきではないでしょうか?11月25日の朝日新聞の記事で市長さんに訴えている「(捕獲場所)近くに住む男性」は82歳ということです。ここから想像しますと、出没が激しいのは、高齢者が多い山間部からで、耕作放棄地が増えているとか、若者が少なくなって集落が静か・人の気配が少なくなっているとか、そういう出没を結果的に容認している地勢が目に浮かびますが。
 それを、たかだか、市外の高齢者から小切手が贈られたからと「その意思を尊重したい」などと寝ぼけたことをいうのは、単にここの市長は地方自治体の責任を放棄しているだけです。調査とか、その市に住む人々の意見とか、そういうものをふっ飛ばして部外者の感情を充足させるために地方行政があるのではない。そういうエセ民主主義・個人主義に迎合する程度の自治体や首長には、環境など語る資格は無い。

 報道が安易な方向に行くのも困りますが、それに後押しされた「市民の声」なんかに負けているのか影響されているのかわかりませんが、以前怪しげな研究者の主張に耳を貸す自治体に疑問を呈したばかりですが、行政がそんなもんに安易に乗っかるのは、愚かというのか怠慢というのか、困りものです。

今度はアブラムシ

 かなり以前、「カマキリは大雪を予想できるか?」という地方の言い伝えについて検証した本についての書評をしましたが、そこでは検証がずさんということを指摘はしましたが、一方で私自身も「秋にカメムシが多い年は大雪になる」という言い伝えを経験したこともありますので、盲信するつもりは少しもありませんが、昆虫や生き物が人間に感知できないものを知る能力を有している可能性を全否定もしません。
 言えるのは、そのような関連があるのではないか?ということ言い伝えに残すほど、昔の人々は自然と共にあり、豊かな感受性と観察力でもってそう思ったということ、そのようなものに目を向けてまでも季節や天候を知ろうとした切実さなどを感じられるということくらいです。

 1月28日の地元・河北新報に、今度は「アブラムシ」の産卵の高さによる積雪との関連について触れた記事が掲載されました。
アブラムシ 「積雪占い?」 卵産む高さと関連調査 仙台
河北新報 1月28日(金)6時13分配信

 積雪予想、アブラムシにもできる? 仙台市の「富沢遺跡保存館(地底の森ミュージアム)」(太白区)が、2万年前の植生を再現した屋外自然観察施設「氷河期の森」で、害虫のアブラムシを駆除せずに、その卵の位置と積雪の深さの関係を調べている。カマキリが積雪より高い位置に卵を産み付けるという俗説は有名だが、保存館職員によると、昨冬からの調査で、アブラムシにも同じ傾向がありそうだという。

 調べているのは、広葉樹ハンノキに産み付けられたオオアブラムシの卵。成虫は体長5ミリ程度で、卵は晩秋から初冬にかけて樹皮に産み付けられ、そのまま越冬する。春にふ化する幼虫は分泌物で葉を汚すなどし、木の生育を妨げることがある害虫とされる。

 卵は職員らがおととし11月中旬、推計で約3000個の塊を初めて発見した。森の生態系バランスを考慮し、同館は駆除を見合わせ、経過を見守っていた。今冬は昨年12月中旬、遊びに来た小学生が別のハンノキの幹で約1万個の卵の塊を見つけた。

 卵の位置は、昨冬が高さ1メートル10センチ前後、今冬は60センチ前後。「氷河期の森」の積雪は最も深いときで昨冬は25センチ(昨年3月10日ごろ)だったのに対し、今冬は今月9日と同15日の1センチ前後にとどまり、卵の高さと積雪の関係は今のところ、「カマキリの俗説」の通りになっているという。

 観察は、森の様子を約10年間、ほぼ毎日記録している同館学芸員長田麻里さん(36)が担当。カマキリのほか、いろんな虫の卵でも「産み付けられた位置の高低で、冬の積雪量が分かる」という俗説が各地にあると知ったのをきっかけに、積雪との関係を調べるようになった。

 長田さんは「木の生育に影響がないうちは駆除せずに、観察対象にしていきたい」と言う。来館者が減る冬期間の「呼び物」としても期待している。

 虫の生態に詳しい仙台市科学館の佐藤賢治学芸員は「卵と積雪量の関係を実際に計測、記録する活動はユニーク。カマキリの俗説も科学的には立証されていない。アブラムシについても、真偽を確かめるにはより長期間、より広範囲のデータが必要になる。関心を持って観察する人が増えてほしい」と話している。
 私が知る狭い範囲では、アブラムシと積雪の関連に言及したのはこの方が初めてだと思いますので、仮説に至るまでの観察力・着眼点は大したものだと思います。同時に、森を10年間も毎日観察することを業務としてできるというのも、実にうらやましいお仕事です。

 しかし、ちょっとまだ粗い感じは否めません。記事中に出ている限りでは、因果関係があまり感じられないです。
 卵の位置は、昨冬が高さ1メートル10センチ前後、今冬は60センチ前後。「氷河期の森」の積雪は最も深いときで昨冬は25センチ(昨年3月10日ごろ)だったのに対し、今冬は今月9日と同15日の1センチ前後にとどまり、卵の高さと積雪の関係は今のところ、「カマキリの俗説」の通りになっているという。
と、サラリと書かれていますが、昨年が110cmの卵の高さに対して25cmの積雪。今年はまだシーズンは終わっていませんが60cmの卵の高さに対して1cmの積雪。
 確かに、積もった雪の下にはなっていませんし、卵の高さと積雪量は比例していますが、それにしても幅があり過ぎます。25cmの積雪を知っていたとしてもなぜ110cmもの高さに産卵するのか?たった1cmの積雪に対してなぜ60cmもの高さになるのか?その分析がまだです。

 記事からは、私は因果関係というものを強く感じることはありません。しかし、仙台市科学館の方がおっしゃっているように、仮説は面白いのですが、広く継続した情報収集が必要でしょうし、頭から否定せず、何か変わったことに気づくことや、それをそのままにしないで継続して観察するといったものにつなげていくというのが大切でしょうね。
 1月27日に、宮古港なサメが水揚げされました。ニュース映像などから見る特徴や大きさなどから、小説や映画の「ジョーズ」のモデルとなったホホジロザメ(ホオジロザメとも)とすぐにわかります。

 大きなサメの水揚げということで、テレビも新聞も一斉に報道したのですが…なんじゃこりゃ!?体長や重さがバラバラです。
 各内容を見てみましょう。

 まずは1月28日の朝日新聞です。
巨大ジョーズ、かまぼこの運命 宮古で落札値1万円
2011年1月28日
 
水揚げされた「ジョーズ」=宮古市魚市場

 宮古市魚市場で27日、体長6.4メートル、重さ640キロの巨大な「ジョーズ」が水揚げされた。同市の閉伊崎沖の定置網にかかり、大暴れしたといい、ホホジロザメと見られるという。 

【後略】
 このサイズは日テレNEWS24でも採用されています。
 続いて同日の河北新報。
陸上でも迫力満点 巨大ホオジロザメ 宮古港に水揚げ 
 
 岩手県宮古市の宮古港で27日、巨大なホオジロザメが水揚げされた。体長約5.4メートル、重さ約630キロの雄。宮古沖でサケなどを狙う定置網にかかった。

【後略】
 次は同じ日の読売新聞。
ジョーズ 1万円

 映画『ジョーズ』のモデルにもなったホホジロザメが27日朝、宮古市魚市場に水揚げされた=写真=。体長5・4メートル、重さ640キロと大型。同市の閉伊崎にある定置網で捕獲された。同市場が県水産技術センターに確かめたところ、エラの位置や歯型などから、ホホジロザメと断定された。

【後略】
 1月27日のテレビ朝日の報道です。
体長6メートルのサメ水揚げ、競りに 岩手・宮古(01/27 18:54)

岩手県で、体長6メートルを超える凶暴なサメが水揚げされました。

 地元の漁師:「デカいのは珍しいですね」
 水揚げされたのは「人食いザメ」ともいわれるホオジロザメで、体長6.4メートル、重さ640キロです。

【後略】
 1月28日の岩手日報です。
宮古湾に640キロのサメ水揚げ 落札額1万円

 宮古市の市魚市場に27日、体長4・4メートル、重さ640キロの巨大ホホジロザメが水揚げされ、市場関係者を驚かせた。

【後略】
 1月27日のFNNニュース(岩手めんこいテレビ)では、こう伝えています。
岩手・宮古市の魚市場で体長5メートル、重さ640kgの巨大なサメが競りに

 岩手・宮古市の魚市場で27日朝、体長5メートル、重さ640kgの巨大なサメが競りにかけられた。
 宮古湾の定置網にかかっていたもので、凶暴な「メジロザメ」とみられているが、この寒い時期にサメが揚がるのは珍しいという。

【後略】
 サイズはもちろんですが、今度は「メジロザメ」と種が違っています。
 28日になって更新・訂正はされましたが、27日の時点での日テレNEWSでも、以下のとおり当初はメジロザメとしていました。
640キロのサメ水揚げ 取引価格1万円

 岩手・宮古市の魚市場に27日朝、重さ640キロのサメが水揚げされた。

 27日朝、宮古湾の入り口の定置網に入ったサメの体長は6.4メートルで、「メジロザメ」とみられている。
【後略】
 ここで、各記事をまとめてみましょう。
・朝日新聞    体長6.4メートル、重さ640キロ ホホジロザメ
・日テレNEWS 体長6.4メートル、重さ640キロ ホホジロザメ(前日は「メジロザメ」)
・河北新報    体長約5.4メートル、重さ約630キロの雄 ホオジロザメ
・読売新聞    体長5・4メートル、重さ640キロ ホホジロザメ
・テレビ朝日   体長6.4メートル、重さ640キロ ホオジロザメ
・岩手日報    体長4・4メートル、重さ640キロ ホホジロザメ
・FNNニュース 体長5メートル、重さ640キロ メジロザメ
 …もう、バラバラ。

 メジロザメは普通、大きくても2m前後。オオメジロザメでも3m前後ですから、それが5mだの6mだのって、世界中が驚くサイズだっつーの。こんなことはネット検索をすれば10秒でわかること。
 ホホジロザメでも、6.4mというのはにわかに信じがたいですね。世界記録的なサイズになります。
 
 一方、体重はほぼ同じに伝えられています。これは、セリにかけるためには1キロいくらで競り合うため厳密に計測したのでしょうが、この体重を見ても6.4mは大きすぎます。体重から普通に考えれば4.4m。映像を見ても人間との比較でそれくらいに見えます。
 ちょっと5.4mまでは無さそうですね。あるいは、全てハズレかもしれません。

 だいたい、映像や写真があるということは、写真は関係者からの提供かもしれませんから少なくともテレビは取材した時点で目の前にサメがあったのでしょう。にも関わらず、重さはまだしも大きさを計るということの検証や、そのサメが何か?ということもろくに調べないで報じるんですか?映像や写真を見てみれば、まず、「大きさがそんなにあるだろうか?」と率直に疑問に感じても良さそうなものですが。

 サメや熊などの最大サイズの記録をたどると、しばしば「大げさ」に伝えられていることがあります。世界最大の記録とされていたものが、研究者が残された標本を計測した結果、どう考えてもそのサイズには至っていない、というものです。
 水揚げ現場の慌ただしさとか、狩猟者や記者が注目を得ようと誇大に伝えたとか、単なる誤り・誤解とか、そういう数字の独り歩きというのはあるようです。それにしても、現代日本で同じそんなことが起きるとは、情けない限りですな。

 その大きさが誤っていたところで、「別にサメの大きさが大きく間違っていようとも読者や視聴者に実害無い」とでも思ってテキトーなお仕事をされているんでしょうか?こういうネット社会になって、簡単に各報道を見比べることができるから「おかしい」と気づく機会が出てくる場合がありますが、これがもっと視聴者などにとって重要な出来事なんかでも、こんなスタンスで報じるんですかね?各紙とも、同じ1つの情報源で同じように検証せずに報じた場合、その情報源が誤っていた場合はそれまでですが。

 もしもちょっと大柄な犯罪容疑者が捕まった場合、それを伝えるニュースでも「○○警察署によると、容疑者は身長260cm。体重200kgの宇宙人」などと連行される容疑者を目の前にしてもなお、警察発表の情報をそのまま伝えるんですかねえ?あるいは逃走中の容疑者の特徴を伝えるときにもバラバラだったりして。そりゃ、困るんですが。

 ついでに言えば、見出しや記事本文にやたらと「ジョーズ」と書いていますが、英単語として「Jaws」は、「顎」です。あの大きい口全体を指しているわけですが、日本人の場合は大ヒットしたスピルバーグの映画「ジョーズ」の印象があまりに広まったためか、サメとかホホジロザメの別名のように思っている人も少なくないようです。
 記事の造りとしては、そういう書き方も短絡的で工夫が無くどうなんかなあ、と思ったり。大きな亀が捕獲されたら、「宮古港にガメラ水揚げ」とでも書くのかいな。「人喰いザメ」という呼ばれ方もしていますが、数も少なくなっていると言われるホホジロザメによって亡くなった人の数は、世界中を見てもそれほど多くありません。また、人と意識して襲っているということも確認されていません(アザラシと見間違えている?)。むしろ国内におけるスズメバチによる死者の方がはるかに多いのですが、「殺人蜂」とはあまり言いませんね。本当に身近な危険はパニックになるから抑え気味の表現で、あまり身近でない危険はセンセーショナルに、というようなスタンスなのかな?

 そんなんでいいんかい。

【追記 2011.1.29】
 「サメ・ウォッチング」(ビクター・スプリンガー、ジョイ・ゴールド著 仲谷一宏訳 平凡社)の第2章「スーパーシャーク」の「ホホジロザメ」の項(P155〜)を抜粋で紹介すると、
 ホホジロザメは六メートル以上になるが、「逃がした魚は大きい」のたとえのように、大形になるサメの信頼できる実測値はほとんどない。今までに正確に測定されたと思われる最大のホホジロザメは、一九四五年キューバのコマヒール沖でとれたメスで、全長6.4メートル、体重三三二四キログラムと報告された。しかし、一九七四円に公表されたこのサメの写真を、一九八七年に再検討したところ、この個体は実は五メートルよりも小さかった。
 【中略】
 一九八四年には再び南オーストラリアで巨大なホホジロザメがサメ猟師により捕えられ、それがクイーンズランドでテレビ放映された。彼は、このホホジロザメは全長が六.三メートルであったが、体重は重すぎて測れなかった、と証言した。サメを海から引き上げるとき、耐加重二トン半の鋼鉄製ケーブルは切断してしまい【中略】
 現在、信頼できる最大のホホジロザメは西オーストラリアでとれた全長六メートルの個体で、体重は不明であるが、このくらい大きな個体ならば二トンはあるだろう。
とあります。
 つまり、一部の記事にあるような6.4mなんて数値が正式に記録されたものであれば、1万円でカマボコにするのではなく、丸ごと標本にするくらいの価値があります(顎だけはどこかの博物館で展示する予定とのことですが)。
 また、この記述だけ見ても、いかに大きなサメが正確な記録もされずに来ているかという歴史を感じます。それがサメの生態研究などにも影響を与えているのですから、サイズをきちんと記録するということは、重要なことなのですが。
 それに、6m前後のサメであれば、2,000kgほどになるだろう、というのもポイントで、6.4mで640kgってなんだよ!?と思いますね。身長250cm、体重80kg、とでも言われているような違和感。
 こんな報道がバラバラなサイズを表記しては、後世のサメ研究者からも「信頼できるサイズではない」扱いをされてしまいそうです。

.
泉ヶ岳
泉ヶ岳
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事