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昨日、書いたように、私は一時期自然体験施設で働く機会があって、そこで出会ったホオジロやキジバトの行動を目の当たりにして感動したことや、それまで全く知らなかった野鳥たちのことを少しずつ知るにつれて、野鳥に興味を持つようになってきました。 そこで、ヘタながらも写真を撮り始めたころ、同僚の野鳥好きの指導教師に見せてもらったのが、この「WING 野鳥生活記」という写真集です。 小学館から出ていて、2,700円(税別)。 ところが残念なことに、既に絶版となっており、今はYahoo!オークションでたまに出るのを落札するか、古書店やAmazonで探さなければ入手できませんが、まだそれほど入手困難でもないと思います。 ちなみに、復刊ドットコムで、復刊を希望するという投票を求めています。 撮影したのは「和田剛一(わだごういち)」さんという方です。 …お名前をお読みになられて、何人の方が「あぁ、その写真集なら知っている」とか「あぁ、あの和田さん」とか、そういう反応をなされたでしょうか? 私は初めてこの写真集を手渡されたとき、普通に生活していて野鳥に少し興味が出てきた程度でしたが、正直、存じない方でした。 しかし、ページを開く前にこの表紙からして、いつも見慣れているはずのスズメたちの、愛らしいような中にも身を寄せ合って必死に生きている力強さを感じる写真に、圧倒され、すぐにページを進めました。 和田さんのすばらしいお写真は、和田さんのホームページでも拝見させていただけます。 私はこのたくさんの写真を拝見させていただいて、初めて、野鳥にも表情があること。そして感情があるということを確信したのでした。 そのころには私も、風景写真などをちょこちょこ撮っていて、コンテストで賞をいただいたり、写真家の方に自分のところで修行しないかとお誘いいただいていたころでしたので、この写真がいかに大変な時間と労力と機材と、そして何より、撮影者である和田さんがいかに深く野鳥をご存じで愛している優しい方なのか…ということがわかりました。 どのお写真も、例え私なんぞが同じ時間と機材を与えられようとも、到底撮影できないようなもの。「才能」というものや「感受性」などの容量などをまざまざと見せつけられたような感じがして、「ハハーッ!」と写真集にひれ伏したくなるほど感動しました。 こんなすごいお写真を2,700円でお分けいただけるなんて、本当にいいんですか!?安すぎませんか!?…って。 先に書いた「STVの女子アナ!!…と、男性アナたち」などという、(自分で買っておきながら言うのもなんですが、)こんなゴミみたいなDVDが、このすばらしい写真集「WING 野鳥生活記」よりも高いというのですから…いやはや。 …しかし同時に、漠然と「好きな写真で食べていけないかなあ」などと甘いことを考えていた私は、「この、自分などとはケタ違いにすさまじいお写真を撮る和田さんでさえ、一般に広く知られているわけでもない。ベストセラーになっているとも聞かない…。」と愕然としました。 つまり、ここまで撮影できる方でさえ、商売として十分以上に食べていけるかどうか?というわけで、比較にもならない自分がいかにお話しにならないのかをも冷静に教えてくれたのでした。 その後ネットで、たくさんの野鳥撮影家の方のお写真を見せていただく機会があり、たまたま拝見する機会を得たkochanさんの「花鳥茶屋@BLOG」を拝見したときにこの方も和田さんと同じくらいのお写真で驚き、プロの写真家の方かと思ってお尋ねしたところ、kochanさんはプロの方ではなく、しかし以前、和田さんに弟子入りを希望したけれども「貧乏だから」と断られたということでした。 kochanさんほどの写真を撮影できる方でもプロをあきらめ、和田さんのような方でも写真だけで十分な生活をできているわけではないらしい…。 これほどのお写真を撮影でき、見せてくださる方が十分な対価を得られないというのは、なんともこの国はこういう才能には冷酷というか無礼な国・文化レベルなのだな、と無性に腹立たしくなった覚えがあります。 それは、すばらしい芸術家・努力家、啓蒙家…が育ちにくいという公憤と、私の夢みたいなものを閉ざされる環境という私憤と両方の意味で。 そう思ったので、仕事として収入を得られるかどうかと考えるのはさっさと諦め、しかし、野鳥が安心して豊かな表情や営みを見せてくれるまでの信頼関係を築けるような、敏感な野鳥がその人間の心根を読み取ったときにそこにいることを許してくれるような人間性豊かな人間になりたいな、と思いつつ7年、全く進歩の無い人間性で今に至っております(←ダメじゃん)。 野鳥や動物の写真では2通りあって、野鳥の姿・特徴をうまく撮影できている「記録写真」「生態写真」と、それらの要素も多少ありつつも「表情」「感情」をも表現している…なんというか「作品」がありますね。 前者は、時間と機材と研究で何とか誰でもある程度のレベルの撮影はできるようになるのかもしれませんが、後者は、野鳥や動物に対する愛情や好奇心や、その場の雰囲気との同化というか、そういった「場との一体化」「撮影者の心の豊かさ」があふれていなければ、到底撮影できるようなものではないと思います。 |
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