以前、カエルツボカビやラナウィルスによって、カエルが打撃を受けているという話を 紹介しました。
ところが最近になって、今度はトウホクサンショウウオに寄生する寄生虫がこの小さな生物を絶滅に追いやりつつあるという警鐘が鳴らされました。
4月17日の河北新報の記事です。
トウホクサンショウウオの感染症、福島で確認 種絶滅の危機
福島県の阿武隈山地北部で、体に多数の結節(いぼ)があるトウホクサンショウウオが見つかっていることが、16日までに分かった。奥羽大(郡山市)と麻布大、山口大の研究グループは、哺乳(ほにゅう)類が媒介する寄生虫による感染症と特定した。環境省のレッドリストで「準絶滅危惧(きぐ)種」に指定される貴重な種が激減する恐れがあり、国内の両生類で被害が拡大する兆しもあるという。
研究グループによると、結節があるサンショウウオは2000年に伊達市で初めて見つかり、南相馬市や相馬市などでも発見された。症状が確認された地域は年々拡大し、100%近い生息地も出ている。
結節は直径数ミリで、重症になると体全体に数百以上も出現。現地で調査している奥羽大の伊原禎雄助教(両生類学)は「指の欠損や体の硬直などを引き起こす。個体数の減少や繁殖行動への影響が懸念される」と言う。
解剖などの結果、結節は吸虫の一種がサンショウウオの皮下組織に寄生するためだと判明した。この吸虫は日本在来種のテンやアナグマから見つかっていたが、サンショウウオに重い症状を引き起こした例はなかった。
研究グループによると、吸虫は従来、最終宿主となるテンなどと中間宿主の貝類、両生類との間で循環して生息していたが、何らかの要因で突発的に増え、サンショウウオに病気をもたらしているのではないかという。
山口大の佐藤宏教授(寄生虫学)は「原因は明確ではないが、この地域でテンなどは増えていない。可能性として考えられるのは、両生類を大量に食べる外来種のアライグマやアメリカミンクの存在。外来種が吸虫を増加させていないかどうか、究明する必要がある」と指摘する。
佐藤教授によると、阿武隈地域で捕獲されたアライグマからこの吸虫が発見された例はないが、九州北部や近畿地方のアライグマからは見つかっている。人への感染は「生で食べない限り、問題ないだろう」という。
吸虫による結節症は今年、茨城県のトウキョウサンショウウオや福井県のヒダサンショウウオでも確認された。研究グループは「日本は世界的にも多様なサンショウウオが生息している地域。全国的な感染拡大が心配だ」としている。
<国内未確認の病気/宇根有美麻布大准教授(獣医病理学)の話>
国内ではこれまで確認されていなかった病気で、世界的に両生類に被害を与えているカエルツボカビやラナウイルスに続く第3の重い感染症と言える。確実にサンショウウオを減らし、絶滅も心配される。
2010年04月17日土曜日
これまでもテンやアナグマなど、里山ではめずらしくもない動物で既に見つかっている種類の寄生虫であるのに、ここ近年になってサンショウウオへの影響が確認されたということが重大です。
これは考えられるのは、1つは寄生虫そのものが何らかの性質の変異があったということ。寄生虫が増えたということ。そして、寄生虫がサンショウウオの生息域に来るようになって寄生する機会が増えたということです。
寄生虫が増えるということは、媒介する生き物が増えるとか、生き残るような環境上の変化があったと考えるべきでしょう。
テンやアナグマも、肉も食べますし果実も食べます。しかし、サンショウウオの棲むような水辺で何かを食べるということはほとんどありません。イタチが水辺に見られますので、イタチがどのようになっているか?ということが気になります。
同じように、記事中にもありますように、アライグマなどは水辺にしばしばやって来ます。
これらの糞便から、寄生虫卵が水辺に広がっているのかもしれません。
おおむね、記事中の推測の線で間違いないのではないでしょうか。
サンショウウオを生で食べるということはなかなか考えづらいですが、「水」は別です。
寄生虫卵が水に浮遊しているのを知らず、見た目がきれいな水を飲むことにより、人間にも広がるかもしれません。
私は以前、山の施設で働いていたときに、公営水道局並みの水質検査とろ過・消毒を手掛けたので知っていますが、見た目がきれいな表流水でも、クリプトスポリジウムのような寄生虫がいる可能性(指標菌である糞便性大腸菌と嫌気性芽胞菌、両方の検出)が多くの場合であるのです。動物が生息している山中の川の水ですから、無い方が不思議なわけで、その量が多いか少ないかというレベルです。
と、いうわけで、どうも大事な記事なのに掘り下げがなされていない今日のブログですが、山の中で見た目きれいな川の水でも飲むのは避けた方が無難です、などというあたりさわりのない話でまとめたりして。
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