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このブログでは、ツキノワグマの「目撃件数」というものについて、よくよく精査しなければ大きく判断を誤るかもしれないものと、何度か書いています。 1人が同じ個体をそうと知らず複数の場所や日時で目撃すれば複数頭とカウントしかねず、また、同じ個体を別々の複数の人が目撃したらやはり複数頭とカウントしかねないからです。 目撃した場所や時刻、特徴(大きさなど)を整理してカウントしなければなりません。 また、これまでは熊を見ても警察や行政に通報をしなかった人たちも昨今のマスコミ報道などで通報しなければと思うようになって通報し始めたとか、団塊の世代の方の一斉退職により余暇利用としてのハイキングや登山人口が急激に増えたために全体で目撃する機会も増えたとも考えられるかもしれません。 そういう時代の変化=「人側の事情の変化」による要素も加味して考えませんと、「年々増えている」「近年、急速に目撃が増えている」などと、「熊側の事情の変化」と思いこんでしまいます。 そして、これは私も何度か経験がありますし、知り合いの行政等の職員にも聞いたことがありますが、「熊が出た」と言われてすぐにその現場に行ったにも関わらず、熊の姿はもちろん痕跡も見当たらないということがあります。 大型哺乳類であるツキノワグマが出没した場合、その現場の条件などにもよりますが、結構痕跡は見つかるものです。ぬかるみに真新しいような大型犬の足跡は見つけたという場合もあります。つまり、野犬か何かを見間違えたわけですね。 オリに入った動物園の熊とか、テレビなどで見る熊を少し見る機会があっても、同じフィールドで生きた野生の熊を見るということは、山間部に住んでいる人ならば経験はおありでしょうけれど、そうではないハイカーや登山者はそうそう経験することはありません。従って、見間違えたとしても、正確に判断できないまま通報しても、それはその人に落ち度があるものではありませんが、実際、茂みの中でちょっと一瞬・身体の一部が見えたかどうかだけで「熊に違いない」と自信を持って言う人も少なくありません。 絶滅したとされる九州のツキノワグマも、目撃したという人が近年に至ってもいらっしゃいますが、しかしその目撃情報の精度は果たしていかがなものなのか?絶滅宣言にも生存説を取る人にも私が疑問に思うのは、そんな経験からです。 12月30日の山形新聞に、そんなことを思い出させる記事が出ていました。 田んぼを走っていたのはクマ?イノシシ? 川西と南陽で目撃、同一個体か 2010年12月30日 09:05 29日午後3時ごろ、川西町中小松でクマを目撃したと、米沢市の会社員男性(42)が米沢署に届け出た。 同署によると、男性が国道287号を車で走行中、雪が積もった田んぼの中を北へ走っていく1頭を目撃した。現場はJR米坂線犬川駅の近くで、下小松山の東側。 また同じころ、この現場付近でイノシシ1頭を目撃したと、通り掛かった男性が巡回中の同署員に情報を寄せた。男性は走っている車から、田んぼの中を犬川駅方向に走っていくイノシシを見たという。 同署によると、いずれも足跡などは確認されていない。発見された時間と場所から、同一の動物の可能性もあるという。川西町の「里山と下小松古墳群を守る会」の貝羽忠代表(75)は「下小松山でイノシシの生息は確認されていない。タヌキか何かの見間違えではないか」と話す。 一方、同日午後5時ごろ、南陽市漆山で、川西町の公務員男性(35)が運転する乗用車とイノシシがぶつかる事故があった。 【中略】 野生動物の生態に詳しい伊藤健雄山形大名誉教授は、クマは冬眠できる場所を探して1月に入ってからも動き回るケースもあるとし、「(この時期の目撃について)かなり遅いが、おかしな話ではない」という。また、イノシシは県内で絶滅後、温暖化などの影響で県外から入り込むようになり、20年ほど前から再び目撃されるようになったという。川西町と南陽市の目撃地点は直線で約7キロで、イノシシの場合は同一個体の可能性もあるとしている。熊を目撃した?と思われる場所では、足跡などの確たる痕跡は無かったようです。人間の残した物的証拠を捜査する警察官の方でも、動物の痕跡を探すプロではないでしょうが、雪が積もった中を大型動物が走って行って足跡も何も無いというのは腑に落ちない話です。 積雪が多いところではイノシシやシカが身動きできずに冬を越しづらいというのは知られていることで、それがために東北地方ではイノシシ被害がこれまであまり無かったほどですが、近年、積雪量が減ってきたために徐々に移動し、その生息範囲・勢力範囲を広げているようです。 そのような山形県ですから、熊もそうかもしれませんがイノシシも自然の中で目撃する機会も無いでしょうから、一瞬でどっち、という判断が正確にできなかったとしても無理もありません。 まあ、これは車と衝突するということや、山形県内には定着していないと思われているイノシシらしい動物ということで報道されたのだと思うのですが、このように、人間が不意に、見慣れないものを見た場合には、その内容はあやふやな場合も十分あり得るという一例ですね。
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