日々是雑感

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大丈夫かいな。

 先日、報道の「安易な善意の美化」の姿勢について疑問や危険性を呈したわけですが、読んでいて「なんだかなあ。」と思う報道を見かけました。

 1月25日の朝日新聞の記事です。
「クマを助けて」美作市へ寄金8件39万円 植林費用に
2011年1月25日

 ツキノワグマを助けてあげて――。そんな願いを込めた寄付金が、美作市に8件、計39万円寄せられた。市は、「どんぐり基金」(仮称)を作って善意に応える方針だ。 

 最初の寄付は昨年11月23日、久米南町の85歳の女性からだった。小切手13万円と手紙が添えられていた。相次ぐクマの出没や捕獲に心を痛めたといい、「クマの食事代に」と書かれていた。12月1日には、この寄付を知らせる朝日新聞を読んだ大阪府東大阪市の女性から現金10万円が寄せられ、その後も年末までに岡山、倉敷、前橋市、宮城県などから寄付が続いた。 

 市は、最初の13万円で、クマのエサとなる木の実がなる広葉樹(クヌギやコナラ)の苗200本を購入。市議や市職員、ボランティアが12月5日、美作市久賀の市有林で植林し、「動物愛護の森」づくりに着手した。 

 さらに、クマのエサが実らない針葉樹(スギなど)約3万9千本を伐採して売り、跡地に広葉樹を植えることも計画。美作市真殿と東谷上にある市有林を対象とし、売却代金を基金に組み入れる方針だ。 

 また、その後も相次いだ寄付を基に、市は「人間とクマが共生できる森づくり」の実現を目指す基金の設立を決めた。少なくとも1千万円の市費を、来年度予算に盛り込む方向で検討しており、3月議会に提案する。 

 安東美孝市長は「広葉樹は、植えてから実がなるまでに5〜6年かかる。地道な対策が必要だが、クマと人間との共生という目標に一歩でも近づければ」と話している。 

 県によると、去年4月から12月末までのクマの出没件数は196件で、前年度の8倍。捕獲は前年度1頭に対し、60頭にのぼる。このうち美作市は出没136件、捕獲46頭と群を抜いて多い。(中村二郎) 
 一過性の「どんぐりまき」ではなく、木々を植えようと。それも寄付金があって、それを聞いて次々と「タイガーマスク」のように賛同する人が出て、一気に盛り上がり。一見、美談です。
 この件については、以前にも少し触れたのですが、最初の女性も、美作市に送り付けた手紙も11月26日の朝日新聞によると、
「クマの食事代に」と13万円 美作市に女性が寄付 

 ツキノワグマの出没が相次ぐ岡山県美作(みまさか)市に、県内の85歳の女性から「クマの食事代に」と13万円の小切手が届いた。 

【中略】

 女性から、最初の手紙が届いたのは15日。「冬眠できないで命をかけて下山する熊達を助けてあげてください。 無策の地方自治体の責任を熊に押しつけないでください。雄大な中国山脈を広葉樹林の美しい熊の山に育てていただきたい」とつづられていた。 

 美作市は副市長名で、農林業や人への被害の恐れがあることなどを説明する返事を出した。 
 すると女性から23日、書留で小切手が送られてきたという。 
 苗木は12月初旬、市幹部が市有地の林に植える。 
 安東美孝市長は「今年、山を下りてきているクマには間に合わないが、女性の意思を尊重したい」と話す。 

【後略】
と、私から見れば、何も知らないくせに手紙を送りつけ、今度はわずかばかりの小切手を送りつけ、全てが自分の感情を満たすだけに過ぎない稚拙さを感じます。私はこういう年の取り方はしたくないものです。
 物事はそんな、平和で単純なものではありません。

 これらの女性や美作市の市長さんにうかがいたいですが、「熊が出没すること(理由)」は、「その地域における広葉樹が少ないから」なのだと、ハッキリわかっているのでしょうか?
 2010年11月25日付けのやはり朝日新聞の記事によれば、
捕獲クマ処分する?しない? 実態見えず調査法見直しも

【前略】

 「捕ったやつはとにかくもう放さんでくれ。お願いじゃけ」。岡山県美作市で17日に捕獲されたツキノワグマを見ながら、近くに住む男性(82)は視察に訪れた安東美孝市長に詰め寄った。クマの右耳には、1度捕獲されたことを示すピンク色のタグがついていた。 

 岡山県は、これまで目撃情報などから県内のクマ生息数を10頭前後と推定。「絶滅危惧(きぐ)種」に指定して、捕獲しても殺処分せず山中へ放す方針を守ってきた。だが、今年に入って捕獲されたクマは40頭を超えた。 

 相次ぐ捕獲に住民の間に「農作業中に襲われたらどうするんだ」との不安が強まった。これを受け美作市は周辺町村とともに岡山県に対策を要望。県も「人里近くに再度出没した場合は、原則として殺処分の対象とする」と方針転換せざるを得なくなった。 

 ただ、17日に捕まったクマは、「1度目に出没した地域が人里近くではない」との理由で山中に放された。県は「人里近くに2度出たという基準にあわないのに処分したら、保護団体などへの説明がつかない」という。 

 捕らえたクマを殺処分すべきか放すべきか――。自治体と住民、動物保護団体の対立は各地で起こっている。背景には、クマの生態や生息数が十分にわかっていないことがある。 

【後略】
 とあります。記事中にもあるように、確たる調査の結果では無いにせよ、生息頭数は岡山県全域で10頭ということです。
 それでも農作物被害が出たり、人里に出没するということは、岡山県や美作市周辺の環境は、10頭程度の熊も満足に生きていけないほどの環境なのですか?私は岡山県や美作市を訪問したことが無いのでわからないのですが、そんなはずはありませんよね?

 なぜなら、冒頭の1月25日の朝日新聞の記事には、岡山県における前年度の出没は今年度の8分の1、捕獲数も前年度は今年度の60分の1ということですから、広葉樹の不作の年でなければ、人里に出没するような環境ではない、十分に生きていける環境というわけですよね?
 と、いうことは、今さら広葉樹を植えたところで、また一斉に不作の年になればやはり足りないということになりませんか?
 だいたい、今年度、60頭(延べ?)も捕獲しておいて、それで推定生息頭数が10頭とは、よくも平気で言えるものです。現状把握を全くできていないという証拠です。

 また、例えば新たに植林した面積が1頭の熊を生かすのに足る木の実を提供してくれるとしましょう。しかし、それが生き残ったことで子を1〜2頭産んだ場合、1〜2年後、今度はその子らが成長して食べ物を欲するわけですが、あぶれてしまうわけです。そのように、継続して植林し続けるわけでしょうか?

 だいたい、半年足らず前の記事では、正確な生息数調査の在り方を模索しているようなことを言われていたのに、実際に岡山県や美作市の周辺にどのくらいの生息頭数があって、その範囲ではどのくらいの植生があるのかもろくに調査もしないで、ただ広葉樹の苗木を植林しようというのはまさに考えの無い場当たり的・小手先の、厳しい言い方をすれば無意味な話としか私は感じません。

 その植樹した苗木も、その土地の植樹した土地周辺のドングリなどから栽培したものなのでしょうか?どこかの土地で栽培されたものを造園業者さんから買ってきた、という程度のものではないのでしょうか?栽培したにしては、早すぎるような気がしますが。それは「遺伝子の撹乱」になりませんか?その植樹地周辺の森を弱らせかねないと言えると思いますが?

 さらにどうかと思うのは、針葉樹を3万9千本も切り倒して、そこに広葉樹を植えるという愚挙です。
 その針葉樹のある場所が手入れを放棄されていて、土砂災害が発生しかねないというのならばわかりますが。しかしその場合でも、市が伐採をして売却をするということができるということはそこは市有地だと思われますが、それならば適正な手入れはそもそも美作市のすべき義務で、それまでにそれを怠っていただけということになります。そうでない、適当な針葉樹林帯なのであれば、特に冬には小鳥や小動物が身体を休め食べ物を探す貴重な場です。風雪から守られる地面には、そこに定着した様々な植物もありますし、昆虫も生きています。
 そのように既に安定している土地を、目先のことで、しかも熟考せずにぶっ壊すというのは、私はあまりにも安易で小手先の、ポーズが先行した愚行だと言わざるを得ません。
なるほど、農作物被害は解決すべき課題であるから対策は必要です。しかし、その植林は抜本的解決への効果には疑問が生じる=効果が無いと思いますし、見えづらい多くの生物が行政に踏みつぶされることだという自覚と覚悟を持って言っているのでしょうか。

 本当にこの美作市がすべきなのは、まず、岡山県や周辺自治体と共同で、専門家に生息頭数の調査や植生の調査を行い、そして保護管理計画を組み立て直すことから手をつけるべきでしょう。
 そして同時に、人里に出てくる要因を調査して、生息地と人里の間の緩衝地帯はどうか?ということなどを考えて、そこから対策に手をつけるべきではないでしょうか?11月25日の朝日新聞の記事で市長さんに訴えている「(捕獲場所)近くに住む男性」は82歳ということです。ここから想像しますと、出没が激しいのは、高齢者が多い山間部からで、耕作放棄地が増えているとか、若者が少なくなって集落が静か・人の気配が少なくなっているとか、そういう出没を結果的に容認している地勢が目に浮かびますが。
 それを、たかだか、市外の高齢者から小切手が贈られたからと「その意思を尊重したい」などと寝ぼけたことをいうのは、単にここの市長は地方自治体の責任を放棄しているだけです。調査とか、その市に住む人々の意見とか、そういうものをふっ飛ばして部外者の感情を充足させるために地方行政があるのではない。そういうエセ民主主義・個人主義に迎合する程度の自治体や首長には、環境など語る資格は無い。

 報道が安易な方向に行くのも困りますが、それに後押しされた「市民の声」なんかに負けているのか影響されているのかわかりませんが、以前怪しげな研究者の主張に耳を貸す自治体に疑問を呈したばかりですが、行政がそんなもんに安易に乗っかるのは、愚かというのか怠慢というのか、困りものです。

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