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「かみつき猿」と呼ばれ多くの被害者を出す騒ぎとなっていた猿が、懸賞金までかけてようやく10月に捕獲されたものの、先月末、飼われていた施設から逃げ出すという実に愚かな失態がありました。 1月24日の地元・静岡新聞の記事によれば、 かみつきサル逃走 三島、飼育小屋清掃のすきに 01/24 14:42 昨年8〜10月に県東部で118人のけが人を出し、捕獲後に三島市立公園「楽寿園」で飼育されていた「かみつきサル」のメスのニホンザル「らっきー」が24日午前、飼育小屋から逃げ出した。らっきーとみられるサルは同市内の市街地で目撃され、同市は捕獲を急いでいる。豊岡武士市長は同日、臨時会見を開き、「管理の不行き届きをおわび申し上げる」と謝罪した。 同市によると、同日午前7時10分ごろ、楽寿園の臨時職員(63)が掃除のために飼育小屋に入った際、らっきーが中から飛び出し、小屋の扉から逃げた。扉は二重になっていたが、外側の扉の施錠が中途半端だった可能性があるという。三島市は人為ミスを認めた。 【中略】 臨時職員は動物の飼育担当4人のうちの1人で、楽寿園では2年10カ月の動物の飼育経験がある。同市地域振興部の宮崎真行部長は「市民に不安と迷惑を掛け、情けない思いでいっぱい。早期解決を目指して、危機管理体制のもと対応していく」と話した。「情けない思いでいっぱい」というのはまさにそのとおりですね。二重扉があるのにも関わらず逃がすというのは、不注意にもほどがあります。まして、相手は100人以上のケガ人を出して逃げ回っていた猿です。うっかりという以前の、飼育員の資質に疑問がもたれても仕方が無いでしょう。 1月25日の産経新聞には、 「らっきー」脱走 楽寿園、管理に落ち度 「プロの仕事じゃない…」 【中略】 「毛の抜けがひどくなっていた。(おりを)出たいのかなと思っていた」。楽寿園の杉山静雄園長は、直前のらっきーがストレスをため込んでいた様子をうかがわせる半面、管理の落ち度を「プロのする仕事じゃない…」と、悔しそうにつぶやいた。 【中略】 楽寿園は「街の中にある森なので戻ってくる可能性がある」(杉山園長)と、らっきーの行動に期待し、園内に餌を置いておびき寄せる手法で改めて捕獲を試みる考えだ。 だが、ニホンザルの生態に詳しい日本モンキーセンター(愛知県犬山市)の加藤章園長は「子ザルの頃から育った場所ではなくて捕獲されて嫌々入れられた場所。戻ってくる可能性は低い」と指摘する。 【中略】 一方、選挙広報CMや観光PRなど三島市の顔役でもあったらっきー。らっきーにふんしてインターネットのミニブログ「ツイッター」で観光PRに乗り出したばかりだったが、書き込みも一転して、中止になってしまった。 【後略】二重扉を閉めずに逃げられるような人を「プロ」などと自称して欲しくないものです。私が小学生時代、学校で飼っていたニワトリの小屋に入るときにも、きちんと先生から二重扉をきちんと閉めるよう注意され、厳守したものですが。 ここのホームページを見る限り、「動物園」というよりは、「公園」で、古い建物などもあって、動物はその中のごく一部門でしかないようで、別に「動物専門」の施設というわけではなさそうです。だからこそ、猿もストレスを感じていたのではないかと思いますし、ストレスを感じてもそれをうまく解消できなかったのでは?と思います。そして、専門ではないからこそ、園長さんも「戻ってくる可能性」などと、状況を考えればとてもありえないような楽観的なことを平気で言うのではないかと思います。 散々広範囲を逃げ暴れまわったあげくに捕えられた猿。そんな猿が「戻ってくる」はずが無いと思うのは専門家に聴かずとも私でも思いますし、仮に園長が猿の習性などに疎くそう思っても、油断から発生した逃走なのですから、責任者が軽々しく楽観的見解を口にすべきではないでしょう。そういう空気の読め無さぶりは、施設管理者としての資質が問われます。 もっと言えば、幸い重傷者が出なかったとは言え、多数のケガ人を出した問題ある猿を観光PRに使うという発想が、私には全く理解できません。飼育まではともかく、それを積極的に使うとは、負傷者やそのご家族などの心情を考えてのことでしょうか? どうも、ここの関係者一同、現状認識が甘い人が多いような。 なぜ、二重扉を閉めなかったのか?ということなどが、捕獲後の1月26日の毎日新聞の記事に出ていました。 かみつきサル:らっきー逃走劇、24時間で幕にホッ 再発防止策これから /静岡 【前略】 ただ、どこまで問題を深刻に受け止めたか、疑問は否めない。楽寿園は捕獲直後、らっきーの展示を26日から再開する方向で検討していた。急きょ方針を変えたのは、県東部保健所から「待った」がかかったためだ。楽寿園は午後2時すぎ、らっきーのオリの一部をビニールシートで覆い、応急措置を施した。 再発防止策についての市側の答えは歯切れが悪かった。市は今後、複数の職員で清掃や餌やりをすると説明したが、オリの改修などを講じるかどうかを問われると、「今後、検討する」と繰り返した。 このオリでは元々マレーグマを飼い、その後、リスザルを飼育していた。オリの外に水道の蛇口がついており、展示スペースまで清掃用のホースを通すと、構造上、外扉と内扉は完全には閉まらない。だが、市側は「専門家に見てもらった。問題はない」と強調した。 ◇「飼育に緊張感を」 県は25日、今回の事態を憂慮し三島市に再発防止対策をまとめ、提出するよう求めた。ニホンザルは法律上、人に危害を加えるおそれのある「特定動物」で、県が三島市にらっきーの飼育許可を出している。 【後略】特定動物の飼育許可を静岡県から得ていたということは、施設の構造上は最低限の基準の細目をクリアをしていたと思いますが、市側の言う、見てもらった「専門家」とやらがどんな専門家で、どういう見解を市側に伝えていたのかも知りませんが、それが実際の飼育においてベストではないのではないという印象を持ってしまいます。 私は動物を飼う際の、それぞれの動物の性質に応じた・適した施設の構造というものには疎いのですが、マレーグマとリスザルとニホンザルが同じ施設でも良いものなのか、まず疑問です。強度はもちろんですが、広さとか特性は構わないのでしょうか?そういう構造が、「ストレス」の一因にもなっていたのでは? そもそも、清掃のための水道ホースをオリの中に通そうとすると扉が閉められない・オリの中に水道は無い、というような構造というのはなんですかね? 今回、扉を閉めずに逃げられた原因がホースを通していたからなのか、単に飼育員がなめきった仕事をしていただけの問題なのかは、記事からはわかりません。わかるのは、飼育員も、すぐに公開を始めようとしてSTOPをかけられた市全体も、動物を扱うには姿勢や資質が疑問だということです。 当然、そういう市側の落ち度には苦情が寄せられているようで、捕獲後の1月26日の読売新聞の記事では、こんなことが。 らっきー脱走に批判殺到…三島市、執念の捕獲 【中略】 市が飼育していたらっきーが人に危害を加えれば「お騒がせ」では済まされず、市が責任を問われる事態も予想されただけに、市はひとまず胸をなで下ろしている。一方で、らっきーを観光資源として活用しようとしていた市にとっては、当のらっきーに管理の甘さを突かれ、冷水を浴びせられた格好だ。同園は26日から開園するが、当面らっきーの公開は見合わせ、飼育や管理のあり方を慎重に検討する。 【中略】 らっきーについては、昨年10月に捕獲された時点で「殺さないで」という“助命嘆願”が市民から相次ぎ、襲われた120人近い被害者が微妙な感情を抱くことは容易に想像できたが、市はあえてらっきーを楽寿園で公開して観光資源とした。 それだけに今回の事態は市の失態以外の何物でもなく、市役所には「苦労して捕まえたのに逃がすとは何事か」などの苦情や批判が24日に約50件、25日も約20件寄せられた。「名前がふさわしくない」「なぜ殺処分しないのか」など、昨秋の市の判断に疑問を投げかける声も数件あった。一方で、「捕まえられてよかった」との激励もあったという。後でも触れますが、実際は男性が1人、噛まれていたことが後でわかったそうで、この記事どおりに行けば「お騒がせ」では済まないわけですね。 この記事にも触れられていますが、この猿が大量のケガ人を出したにも関わらず殺処分されずに生き残ったのは、「助命嘆願」があったことが大きいでしょう。これは、このブログでいつも取り上げているように、熊の殺処分においても過剰にこういうことを言う人がいるわけで、それが時として行政の対応を鈍らせることにもなっていることに私は危惧しておりますが、この猿についても行政らの対応の選択肢に無理なもの=本来飼える態勢ではない施設や人員で、無理に飼うことになった結果ではないか?と疑念を抱いています。 なるほど、逃がしたのは施設であり、飼育員です。しかし、本来、ニホンザルを飼う態勢とは言えない施設で急に飼うというのは無理があり、その結果、逃げられたと言う見方もできることを、実は忘れてはならないわけです。行政が、「市民」「寄せられた民意」の要望をくみ取って殺処分を避けても、無理な対応をすれば結果責任は問われるのは当然です。生命尊重は悪いことではありませんが、その結果、事故や騒ぎを招くようなことは本末転倒です。市民の声だろうが民意だろうが、なるべくそれに応える努力を最大限しつつも、できないことはできない、という最善の判断とその説明も同時に持つべきが行政でしょう。この三島市はどうだったのでしょうか? 2月4日の毎日新聞には、逃亡中、負傷者がいた記事が。 かみつきサル:「らっき−」男性の足かんでいた 三島市長が謝罪 /静岡 【中略】 楽寿園によると、捕獲の約4時間前、サルが庭にいるのを男性が発見。バナナを与えようとしたところ、「足に抱きつかれ、甘がみされたらしい」と話したという。市は、男性が受けた破傷風予防の注射などの費用を補償する考え。 この男性はらっきーを発見後、市に連絡したため、市職員が会ったが、当時、かまれたとの説明はなかったという。豊岡市長は3日、記者会見し「被害者とのコミュニケーションが不足していたのではないかと深く反省している」と述べた。【樋口淳也】この噛まれた男性も、あれほど猿で大騒ぎになった地域なのに、庭に猿がいて、バナナを与えようとする=餌付けしようとするとは、いささか「平和ボケ」と言う感じがします。黙って通報だけすれば良い。しかも、最初に被害申告をしないというのは、理由がわかりません。 この猿がたくさんの人を襲ったのは人間をなめきっているからで、たまたま大人の男性だからこの程度で済んだのですが、幼稚園児や小学生であれば、もっと心身ともに深刻なダメージになっていた可能性があります。 そういう緊迫感とか緊張感が、この自治体からはみじんも感じられない。動物を扱うには、能力不足という感じしかしません。
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