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ちょっとご紹介するのが遅れてしまいましたが、先月、こんな記事がありました。 2月4日のロイターの記事です。 飼い犬を処分の運命から救った男性、自らかまれて死亡 2010年 02月 4日 07:06 JST [リュブリャナ 3日 ロイター] スロベニアで、人を襲ったとして処分されそうになった飼い犬3匹を救った男性が、その犬にかまれて死亡するという出来事があった。警察が3日発表した。 警察のスポークスマンは「リュブリャナで昨日、3匹の犬が52歳の飼い主をかみ殺した」と述べた。 犬はブルマスティフで、4年前に飼い主の家の外を通り掛かった人を襲って重傷を負わせた。その後数年間、審問が行われている間は当局で保護されていたが、1匹が世話係を襲ったため、当局は3匹の処分を決定。しかし、飼い主が上訴し、昨年6月に3匹を取り戻していた。私は犬種もさっぱりわかりませんが、日本番犬学会さんが監修された「ペットのイエローページ ワールドドッグ図鑑」のブル・マスティフの項を拝見しますと、番犬向きにと作られた犬で、頑固で家庭向きではない旨、紹介されています。 この犬が、4年前に通りかかった人を襲ったという状況がわかりませんし、かの国の考え方もわからないので何とも言えませんが、重傷を負わせた犬が無事戻されるというのはかなり意外です。その間、世話係も襲っていたというのに。 どんなしつけや管理をしていたかわからないのですが、ご本人なりに犬たちを大切にして全力で殺処分から救ったのかもしれませんが、結果として、それがアダというか、自らの死を招き寄せることになりました。 人間に慣れたり、人間を見下す・危険視しなくなった知的・大型動物は、人を襲うことも珍しくありません。熊が人を襲ったときには、古来、必ず仕留めなければならないと言われています。それは、人間は体力的には熊よりもはるかに弱いという事実を熊が学習し、次からも人を躊躇なく襲いかねない危険な性質を身に付けたことを恐れることから言われています。 その点では、捨てられた元飼い犬とか、甘やかされた飼い犬なども、人間というものがどういうものかを知っているために、人を咬むという事故を引き起こす場合があります。 この事件を起こした犬たちも、そもそもがどういう性質や環境で育てられたのか知りませんが、最初に1人に重傷を負わせたところで、もう人を怖くも無いと思うようになった(なっていた)のかもしれません。そして、世話係にも襲いかかり、最後に飼い主にも襲いかかったのでしょう。 いくら飼い主が盲目的に溺愛しようとも、動物は動物です。普通、その思いが通じるという場合もあるのですが、一方で、通じていると思い込んでいる滑稽な飼い主などがいますが、この亡くなった飼い主も後者であったのでしょう。 人を襲った熊さえも殺処分に反対、という方に対して、しばしばインターネット上の掲示板などでは「保護を叫ぶ人間を、熊と同じオリの中に入れてやれ」などという暴論や「行政や猟友会に苦情を言うヤツが熊を引き取って飼えばいい」といった声が見受けられますが、おそらくそれらを実行した場合、これと同じような喜劇…おっと、入力ミス…悲劇的結果になる可能性がかなり高いでしょうね。
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【ニュースを見て感じたこと】
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ニュースを見聞きして感じたことを掲載していきます。
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過日、毎日新聞社岡山支局の記者・石戸さんが、安易な「どんぐりまき」について疑問を呈する記事を書かれていることを紹介しました。それに対しまして、石戸さんご本人からメールをいただき記事を紹介したことへのお礼や記事にした思いなどをお知らせいただいたことを後日談として書きました。 こういう「いい話」に対して水をさすようなことは、その渦中の当事者だけではなく、それに安易に賛同して自分に酔いたがっているような人から激しい反発を招きかねません。むろん、それがどんなくだらないことであっても自分たちの仲間うちで済んでいる話しであれば、水をさすことは野暮というものですが、少なからず社会や自然環境に影響…それも悪い影響を与える懸念があることについて疑義を呈することは必要・重要なことです。 ですが、「必要なこと」と「それを実行すること」はまた別問題で、特に昨今の報道機関は「文句を言われたくない病」に陥っているかのような病的・末期的な報道姿勢が大勢を占めているにも関わらず、この石戸記者はもちろん、それを掲載することを支持した岡山支局さんの報道に対する是々非々な姿勢に、実に久しぶりに報道機関に対して清々しく・強い尊敬の念を持ったものでした。 しかし、前回の記事は、多くの賛同を得られると同時に、「いい話に水をさされた酔っ払い」からの激しい苦情や嫌がらせもあったのではないかと心配しておったのですが…今日、再度このことについて石戸記者の記事が掲載されました。実に堂々としており、本当にすばらしいご姿勢と、感服しました。 以下、3月2日の毎日新聞岡山版の記事からの全文引用です。 きび談語:「餌不足のクマ」のために… /岡山 「餌不足のクマ」のためにドングリを山にまく行為が専門家から問題視されている、という記事を書いた。ある自然保護団体から「一方的な記事。自分たちの主張も書いて」と要望もあったが、多くの読者からは「やっと新聞が書いてくれた」と好意的な反応をいただいた▲「やっと」には理由がある。ドングリをまくことの問題を考えずに「善意」を礼賛する報道が多いのだ。困った現象だがまだ変えられると思う。読者の反応から、そう確信した。【石戸諭】 毎日新聞 2011年3月2日 地方版ううむ、本当に、実に勇気ある立派な・堂々とした主張です。 なぜなら、紙面において「報道」という石戸さんや岡山支局さんが身を置かれている世界に対しても批判的な意見を述べられているのです。これは、ご自身らには直接なんのメリットもないどころか、「ある自然保護団体」はもちろん、他の報道機関からも不快感を持たれかねません。 しかし、おおらくは石戸さんや岡山支局さんは、単に目先の自己利益や不利益ではなく、読者に対して誠実であろうとする態度を取って公平中立な報道をすることが、新聞をはじめとする報道機関が信頼を勝ち取る=生き残っていける道と思われている使命感からだと思います。これは、並みの覚悟や使命感ではできるものではありませんし、それをサポートされる岡山支局の上司やご同僚の方にも敬意を表したいと思います。 さて、「ある自然保護団体」がどこで、石戸さんがどのようなご対応をなされるのかわかりませんが、例えば以前も書きましたようにこの「どんぐりまき」を行っている団体の1つ、「日本熊森協会」さんの場合は「取材を受けるための条件」を付けており、それは自由なのですが、一方でそんな条件をつけられてしまうと、公平に報道しようとする石戸さんのような記者さんや報道機関は取材したくともできないわけで、やむを得ないわけです。 だいたい記事中の「ある自然保護団体」が「一方的な報道」だと苦々しく思う資格があるのでしょうか? そう思うのは私のような立場の人間の方であって、これまでは一方的に・なんら検証すること無くこの「どんぐりバラマキ」を、まるでとても良いこと・何も問題が無いことであるかのような報道ばかりが氾濫していた現状のことを「一方的な報道」というのです。それに対して今回、石戸さんと毎日新聞岡山支局さんの英断で、全体のバランスが回復の方向に向かい始めたというわけです。今回の石戸さんのコメントは、そういう読者の声を伝えているわけです。 もし、「ある自然保護団体」が「全ての一方的な報道」は疑問に感じるのならば、これまでにあふれていた自分らの主張だけを取り上げていた報道にも同じく一方的であると疑問を呈していなければなりません。そうしておいてはじめて公平な態度と言えます。ところが、自分たちの主張だけが一方的に報じられていたときには何ら疑問を主張したことは無いであろうに、それに対して少し冷静で疑義を唱える記事が掲載されたらそれは一方的だと意見を言ってよこすというのは、全く説得力も無い子供じみた態度でしかなく、お話しになりません。 だから私はどこかの主張などを一方的に報じるような記事は、「報道」ではなく「広報」「宣伝」という、と言っているのですよ。 このような是々非々な記事を拝読できる岡山県の住民の方が、心底うらやましいです。
願わくば岡山県の読者さんは、このような使命感をもち、読者利益を確保しようと奮闘される記者さんや支局さんを、全面的に支持していただきたいものです。おれが、結局は自分たち読者のの利益にもなるのですから。 |

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外国人が日本の水源地を買いあさっているという苦々しい話を聞きますが、何と、その買おうと眼の色を変えている外国人ではなく、それを苦々しく思っている日本人の方をターゲットにした詐欺が横行しているという記事が出ていました。 2月13日の産経新聞からです。 水源地権利 投資詐欺 外資土地買収、高齢者の“愛国心”逆手 中国を中心とした外国資本が日本の水源地を買収している問題にからみ、水源地の権利購入をかたる新しい手口の投資詐欺が全国で相次いでいることが12日、分かった。国民生活センターによると、各地の消費生活センターなどに少なくとも数十件の相談が寄せられているという。1600万円の被害に遭ったお年寄りもおり、同センターは「安易に勧誘にのらないで」と注意を呼びかけている。 同センターによると、未公開株や外国通貨の売買名目の投資詐欺が目立つ中、水源地の権利をかたる手口は昨年秋に初めて確認された。勧誘文句は「配当が付く」「高値で買い取る」という利殖心をあおるものが多かった。 また、「日本の水源を中国から守る」と、水源地の買収が社会問題化していることを利用。高齢者の“愛国心”を逆手に取るものや「環境保護」をうたうケースも。信用性を上げるために、自治体の事業や大手飲料メーカーの関与などをかたる業者もいるという。 目立つ手口は、同じグループが2つの業者を演じながら投資に誘い込む「劇場型」。事前に水源地の権利に関するパンフレットやダイレクトメールを送ったうえで、別の業者が電話を掛け「水源地の権利は個人しか購入できず、法人は買えない。あなたが買ったものを高値で買い取る」などと、水源地への投資のメリットを強調し、誘い込む手口が目立っている。 その後、現金を振り込ませ、「社員券」などと記した価値のない証書を送付。さらに繰り返し電話で追加出資を勧誘し、返金などには応じないという。同センターは「実際に購入した権利を買い取ってもらったケースはない。きっぱりと断ってほしい」と指摘している。悪辣です。 利殖目当ての人を狙った詐欺も犯罪に違いないでしょうけれども私は少しも被害者に同情しないのですが、「振り込め詐欺」のような人の気持ちを踏みにじるような詐欺は、同じ詐欺の中でも悪辣なものだと思います。 しかし、悲しいけれどもそういう犯罪者はいつの時代にも・どこにでもいるものだと、消費者・国民も自己防衛で賢くならなければなりません。 なぜなら、「詐欺に騙される」ということは自分自身の被害に留まらず、同時に、「犯罪者や犯罪組織に資金提供をした」ことでもあるわけです。それだけで社会不安を感じさせ、次の類似犯を生み出すとか、他の大きな犯罪の資金源になるとか、被害者は結果的に、自身が騙された上にどこかで別の被害者を生みだす一因にさえなっているかもしれないのです。 例えば、その犯人は外国人で、だまし取ったお金でもって新たに水源地を買いあさるための資金にしていたとすれば、騙された人は愛国心のつもりであったとしても、結果的にはそれに逆行する結果に手を貸したとも言えるわけですね。 ********************************* さて、一般論で、どこの団体と言うわけではありませんが、記事にもありますように、「自然保護・環境保護・動物愛護団体のふりをして、日本の動植物の保全を願う純粋だけれども愚かな人の感情を煽って多額のお金を集め、何に使っているのかも外部にはかなり不透明な怪しげな組織」「意見も言えないような団体」もあると聞いておりますから、慎重にならなければなりませんね。 この産経新聞の記事の内容を読んでも、私にはそれら怪しげな団体と、何ら変わることが無いように感じます。 また、お金をだまし取ろうと思っているわけでも・一部の幹部らが私腹を肥やしているわけでない、それどころか幹部らが本当に心から良かれと思って唱えている思想・活動内容だったとしても、莫大なお金を無駄と思える使い方をしたり、その活動内容が社会や自然・環境・動物のためになるどころかその逆という組織は、それが例え結果的にであったとしても、それらのためになると信じて活動したり、資金を提供した「善意」の人々の気持ちを踏みにじっていると言う点では「悪辣な詐欺」と同じことです。 だからこそ発端が「善意」だからと、マスコミなどがそれを一方的に煽るというのは危険なわけです。 一方、それらの参加する人も、短絡的で愚かながらも「良かれ」と思って善意で出したつもりの労力や資金が、大きなインパクトになって却って日本の自然・環境・動物を大規模に破壊している手伝いにもなっているのかもしれない・加害者かもしれないと常に自省して、参加していただきたいものです。個人の自由だとか、思想信条だとか、それは他者に迷惑が無い限りでの自由なのですから。 これは、自分たちが正しいと盲信して提供したその労力や資金がテロ資金になって多数の被害者・犠牲者を出したオウム真理教と全く同じ構図と言えますね。「知らなかった」「正しいと信じていた」「良いことだと思っていた」では済まされません。被害者からすれば、間違いなく加害者で、それは取り返しがつかないという結果の場合もあるのですから。 と、いうようなことなども感じた記事でした。
とにかく、胡散臭い団体にはご用心・ご用心。 |
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先日、毎日新聞岡山支局さんが掲載された「ドングリまきに対して疑義を呈する意見を取り上げた記事」を紹介し、その以前に酷評したドングリまきの事実のみをただ報じただけの群馬支局さんに対して「見習ってください」と書いたところでした。 新聞に記事が掲載されるまでには、取材された記者さんやその上司の方やチェックする部署の方など幾人もの方が関わられると思いますので、書かれた記者さん個人の良否だけではなく、その支局や新聞社そのものの姿勢が垣間見えるものだと思います。 その点で、私は過日のそれぞれの記事については、署名記事ではありましたがそれぞれの記者さん個人の姿勢や資質などではなく、それぞれの支局さんという組織の姿勢などについて言及しました。 そうしたところ、疑問を投げかける記事を書かれた毎日新聞岡山支局の記者である石戸さんから、ご丁寧なメールをいただきました。こういうのがネット時代の醍醐味ですよね。 内容は、私がブログに石戸さんの記事を取り上げたことへのお礼(いえ、こちらがお礼を申し上げたい・申し上げるべきくらいです)と、石戸さんがどのような姿勢で記事を書かれているか?という思いを述べられているものです。 私信で、石戸さん個人のご見解ですのでそのままはここに書きませんが、単に善意による行為を検証せずにすばらしいとだけ書く姿勢には与さないということが感じられました。 石戸さんはツイッターもなされていて、1月13日にそのこと・思いについて、触れられています。 まだお若い記者さんですが、考え方などが大変しっかりされていて、使命感や責任感、情熱があふれています。私は記事の中で記者さん個人のお名前は特に意識せず、また拝見いても不明にしてお聞きしたことは無かったのですが、Googleで検索させていただいたところ、今回の記事も石戸さんについても、既にたくさんの支持者・ファンがいらっしゃるようです。 しかし、いくら記者さんが能力があり情熱を持って読者のための記事を書こうとしても、支局さんが許さなければ日の目を見ないのですから、良質な記事が出るということは、支局さんもやはり、そのようなものをしっかり受け止められている態勢なのだろうなあ、と感じました。 あの記事、私は客観的に見ても良い記事だと思うのですが、同時に、企業の一員としては結構な覚悟がいる部分でもあります。 一見「きれいな・いい話」は、それを称えて感動したがっている人が多いわけです。特に「努力したつもり」「いいことしているつもり」になっている独り善がりな人の場合は自分がそう盲信しているだけに、少しでも疑問を呈されると不快感が大きくなりがちなものです。これがわざわざ疑問を呈さなくても誰も傷つかないものであれば、夢に酔っている人にあえて疑問を呈するのは野暮・重箱の隅かもしれませんが、他者に対して多少なりとも実害が生じているかもしれないことを無視してただ感動にだけ酔う…という姿勢を「社会の公器」とも言われる新聞・報道がするのはどうか?というのは、私のような部外者が言うのは簡単ですが、今のご時世、なかなかそういう気骨ある記者さんや新聞社(支局)さんは少なくなっている印象があります。 苦情などが来れば、記者さんご本人ばかりではなく、ご同僚の方や会社さんにも影響しますから、「触らぬ神にたたり無し」的な事なかれ主義が横行するのでしょう。一方で、何か問題提起や批判をしなければ新聞やテレビとしてスパイスが足りないためなのか、文句が言われそうにない政治家や公務員、重大事件の容疑者などは過剰とも思えるまでに叩くのではないだろうな?と勘繰ってしまいます。 そこをあえて、「市民団体」に対して「ちょっと待って」と言うのは、まして、この秋以降、熊の射殺などにおいてはクレージーな連中が行政や猟友会に苦情を入れているというのは石戸さんもご存じだと思いますので、それなりの覚悟が必要になります。ですが、例えそんなおかしな苦情があろうとも真正面から受け止める覚悟の上で書かれているのだと思います。そういうご自身の書かれる記事に対しての重大性た影響力を認識してその責任や覚悟を持つ精神や姿勢が、私はジャーナリズムだと思いますし、全面的に賛同・支持します。 群馬の読者はかわいそうだと感じますが、岡山の読者は幸せです。 善意ではあっても、その結果がおかしい、あるいは行動に疑義があるのであれば、一歩立ち止まるのが正しい姿勢です。それをしないで「善意というものは何でもすばらしい」という、動機だけをただ称える報道というのは、私もおかしいと思います。 石戸さんの今後のご活躍はもちろん、それを毎日新聞や岡山支局さんがどうバックアップしていくかが今後も期待されます。 ******************************** こういうことを書くとブログコメント欄が炎上しかねないのですが(それほど影響力や反響のあるようなブログでもありませんが)、最近、「タイガーマスク=伊達直人」などを名乗る人々が児童養護施設にランドセルなどを送る「善意」があります。 これも、私は「どんぐりを集めて送る善意・報道」と少し構造が似ている部分があるように感じています。 「タイガーマスク」は別に著しい実害は無いからまだ良いものと思いますが、一方で、報道を名乗るのであれば、「それら贈っている人々が本当に児童養護施設の現状を知っているのか?」「贈っている人は、施設が何を必要としているのか確認しているのか?」などという、現実的な側面を考えずに事実報道だけで済ますのはどうか?と思います。ドングリまきの報道の多くも同じです。 贈っている人の中にはハッキリ言えば「相手の都合(迷惑)を考えず」に実行しているわけで、それは自己満足とも言えるかもしれません。実際に「困った贈り物」が届いたりするという事例も結構出ているようですが、その個別の案件にかかる個人の問題や評価は置いておいて、それをそうと報じている報道はかなり少ないようです。そこが問題だと思います。 災害時の救援物資なども「全国から多くの善意が届いている」とは伝えますが、汚れた服や壊れた機械が送りつける輩もいるということはあまり報じられません。そう報じることで「善意」に水をさし、救援物資が贈られることが鈍るのを恐れているのか、単に苦情が来るのが怖いのか知りませんが。 そういうことにほとんど触れない報道というのは、そういうことを便乗させる余地を生む「報道被害」とさえ私は思います。仮にも報道であるならば、各施設で何が必要なのか?ということや、そこで生じているであろう問題などもきちんと報じるべきでしょう。 何となく、「善意」は「いい話」だけに見えることですが、自身で置き換えてみると、友人や恋人などからいらない・始末に困るものをプレゼントされたら「気持ちはありがたいけど…」と困惑することを考えてみれば、果たして何かを贈るときにはどうあるべきか、少しわかりそうなものですが。 そもそもタイガーマスクの主人公である伊達直人は、自分もその福祉施設の出身で、自分のような苦労を子供たちにさせたくないという実体験からくる思い・共感があって、施設の窮状という現実をしっかりと直面し、何が必要か?何をすべきかを熟考してその寄付をし、命をかけて最期まで戦っていたはずです。単に「匿名で福祉施設に寄付すれば誰もが伊達直人」という一過性のものをただマスコミが煽るのはどうかと思いますし、物語での伊達直人とは別ものだと思います。 ただ、贈らないよりは贈って喜んだ人が確実にいる、ということは評価すべきでしょうけれど、それがあまりに過剰に報道された際には、贈られなかった施設の子供は子供心にどう感じるか?という点では、単発的な善意が誰もが幸せにできるものでは無いとも言えます。 だいたいこのような「ブーム」として取り上げられる以前から、全国にはかなりの方が、このような施設で、あるいは他の困っている人のために、匿名でも名乗ってでも支援をしている人がいます。普段、報道はそれらの「善意」はほとんど取り上げません。 本来、報道であるならば、「そういう必要不可欠なランドセルなどにも窮するような福祉の現状というものを国や自治体に対してぶつける」「そもそも、そういう子供たちはなぜこの施設に入らざるを得ない事情になっているのか?」というような報道にまで至っても良いのではないでしょうか?ただ善意を称えるだけの報道であれば、このブームが飽きられれば、またこれまでと同じです。そうすれば、今年入学する養護施設の子供たちの中でごく一部の子だけが宝くじに当たったようなラッキーなだけという話で終わり、他の圧倒的な多くの子や翌年以降の子にはその手当は無いわけです。 私の想像ですが、ほとんどの贈り主の人は今回、こういうものをこういう方法で贈れば報道が取り上げることを知り、取り上げられることで全国の養護施設の子供たちの現実を多くの人に知って欲しい・抜本的な手厚い支援が国や自治体で本格的に開始・改善されることを願って一斉に賛同・実施したのではないか?と思います。つまり、「その先」まで願っているわけですが、報道側のほとんどは鈍感なのか手抜きなのか、その善意を受け取っているのに機敏にそういう「善意」を読み取らず、単に事実報道をしただけです。自身の影響力をもってこれを改善につなげるように国や自治体など働きかけよう・社会に問いかけるような動きであるべきではないか?それが善意を昇華させることではないかと思いますが。 同時に、今回初めてそのような寄付に参加した人がある程度出たというのは、贈られた施設の子供たちの現状や贈られて喜んでいる笑顔というのを今回初めて知ったからでもあるでしょう。それはやはり、報道がこれまで、そういう施設や子供たちを省みず社会に周知していなかったという、私から見れば「報道の怠慢」というものの裏返しであると思うんですよね。 どんぐりの話題に当てはめれば、「ランドセルでもなんでもいいから、どんどん買って施設に送ろう。送り先住所は…」とだけ報じたのが、群馬支局さん。一方、「そもそもそのようなことよりも、きちんと本当に各施設で困っていることやものを考えて、継続した支援が国や自治体に求められていることでもある」と報じたのが岡山支局さん、というところでしょうか。 報道であるならば、読者にきちんと何がどういう理由で必要なのか?それに賛否両論や懸念すべき事項・注意点は無いのか?などということをきちんと洗い出して提供すべきで、ドングリもランドセルもただ「善意」で贈れば良いというものではないでしょう。それは贈り手側も、実害がありそうか無さそうかの違いだけで、「現実を見ないでいいことをしたつもりになっている」だけという点では変わりが無いような気がしますし、それをきちんと提示するのが報道だと思うのですが。
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この冬は日本海側を中心に、記録的な豪雪が続いている地方もあります。福島や鳥取では、坂道を登りきれなくなって停車したトラックがキッカケで大渋滞になって、その間に豪雪が降って埋まりかけるという出来事もありました。 1月17日の宮城県の地元紙・河北新報には、こんな記事が出ていました。 東北・連日の「どか雪」 進まぬ除雪に住民イライラ 東北各地で除雪をめぐる市民からの苦情や要望が殺到し、自治体が苦慮している。この冬は例年に比べ際立って降雪量が多いわけではないが、短時間でまとまった雪となる日が多いのが特徴。年末年始の大雪に追い打ちを掛ける積雪で、除雪車がフル稼働しても、手が回りきらなくなっているようだ。各自治体では除雪費もかさみ、除雪予算も心配になり始めた。 「除雪車はまだ来ないのか」「こっちには、一度も来ていないぞ」 昨年12月25、26日の大雪で、積雪が過去最多に並ぶ115センチ(12月26日)を観測した福島県会津若松市には、1月3日までの10日間に約1500件の苦情や要望があった。 除雪車を総動員しても雪は片付かず、その後も市民からの苦情は絶えない。担当者は「降雪10センチが10日間続いても怖くはないが、一度に100センチでは対応できない」と年末大雪の“後遺症”に悩まされている。 大みそかに観測史上5位の1日降雪量35センチを記録した盛岡市も同様だ。12月24〜27日にもまとまった積雪があり、湿った重い雪質だったことも除排雪作業を手間取らせる原因になった。 市への苦情・要望は14日までに1725件に上り、既に前年度(880件)の倍近くに達した。市は17、18日の小中学校の始業式を前に、延べ200人の職員による緊急除雪を始めている。 湯沢、横手両市は6日以降、断続的に大雪が続く。湯沢では昨年は降っても10センチ台だった1月の1日当たり降雪量が、ことしは20センチ以上を5回記録。横手は30センチ以上を3回も観測している。 市民からの苦情・要望は「例年の倍以上」(秋田県湯沢市建設課)となる日が続き、担当課は「一日中、電話が鳴りっぱなし」(横手市横手地域局)の状態だという。 青森県弘前市は日中も気温が上がらない日が多く、雪が減らないのが悩み。1月8日夜には除雪への不満を募らせた男性が電話で庁舎の爆破をほのめかし、弘前署が一時警戒する騒ぎになった。 除雪費も底を突きつつある。会津若松市は本年度当初予算に計上した2億9000万円を今月中に使い切りそうなペース。福島県会津坂下町は既に当初予算分が尽きた。会津地方17市町村でつくる「会津総合開発協議会」は12日、国土交通省に財政支援も要請した。 【後略】昨年の夏にもこの自治体の行う除雪について懸念を書いていたところですが、今回の場合は、季節性の要因=思いがけない豪雪で、時間がかかったということです。 しかし…果たしてそれだけでしょうか? ここで脱線して、私の知っているある地方自治体の話です。 その自治体では、スキー場へのアクセス道路にもなっている山奥を走る長い距離の道路の除雪を、ある個人事業主のような男性に30年近くも任せていました。ところが、自治体の契約行為は「競争入札」をするのが原則ですから、ある人たちが「その男性に随意契約で任せているのは違法だ」と言い始め、やむを得ず競争入札をすることになりました。 そして、市中心部の道路を除雪していた大手建設業者が落札しました。この契約は1時間の除雪作業につきいくら、という単価契約の出来高払いです。その単価では、大手業者は男性よりも安価に入札したため、このベテラン男性は30年にして、その仕事を初めて失ってしまいました。 ところが、確かに1時間当たりの作業料金は競争により安くなったのですが、初めて作業をする作業員の方は当然不慣れなために、それまでよりも除雪時間が多くかかってしまいます。結局降雪量は前年度とほぼ同じくらいだったはずなのに、作業時間は倍近くかかったため、トータルでの支出額は前年度とほとんど変わらなかったのです。 個人的にその長年除雪をしていた男性の仕事ぶりを知っているのですが、山奥の道路を夜間・吹雪く中を除雪するということは、その土地の「くせ」を身体で熟知し、そして「冬のこの路線は俺が守るのだ」という使命感やプライドのようなものがある、ある意味「職人芸」的なものがあったんですね。天気予報では市街地などの予報しかしませんが、長年の経験でいつごろに出動があるか(すべきか)?ということがわかり、初動の出動も迅速でした。木々の道路へのはみ出しとかカーブなどの危険個所、山の形状により吹きだまりやすい個所、除雪した雪を積んでいく安全なポイントなど、様々なそこの場所での「プロの技」が、長年という経験で蓄積されていたわけですが、自治体の競争入札の仕様書にはそんなことは書けないわけです。 そうこうしているうち、男性は競争入札そのものも辞退し、参加しなくなっていったのでした。その理由は後述します。 ある年、その地域一帯が豪雪に見舞われたため、その大手の建設業者は経費を出来る限り抑えるために、普通の雪ならなんとか対応できる程度のギリギリの余裕のない体制であったため、昔から担っていた市街地の除雪だけでも手いっぱいになってしまいました。ところがスキー場に向かうその県道も、週末に差し掛かっていたためにスキーに行く自動車が多く来るであろうことが予想できたために、道路管理者は慌てました。 そこで、その男性に大手建設業者の下請けとして入るように依頼したところ、断られました。その理由は、男性は、高額な除雪車の維持ができなくなっために、手放していたのです。 結果、大渋滞。利用者やスキー場からの苦情殺到。 …そんなことを思い出しました。 続いて、前日・1月16日の河北新報の記事です。 青森の除雪作業 業者の7割以上が態勢維持「5年が限界」 青森県内の道路除雪作業に携わる建設業者の7割以上が、5年後までには今の除雪態勢を維持できなくなると考えていることが、県建設業協会(杉山東幹会長)が会員に実施したアンケートで分かった。公共工事減少のあおりを受け、老朽化した除雪車の買い替えや作業員の確保が困難になっており、厳しい経営実態が浮き彫りになった。 アンケートは昨年10月、会員企業169社を対象に行った。回答があった133社のうち、119社が除雪作業を受託。自前の除雪車を所有しているのは109社だった。 自前の除雪車の6割以上は、耐用年数の基準の一つである10年を超えていた。車検などで更新時期を迎えた場合、ほとんどが新車に買い替える予定はないと答えた。高齢化などにより、除雪作業員が「不足している」との回答も20%あった。 除雪委託費に関して、「採算が取れない」と答えたのは、発注者が国、県、市町村の順で増加し、市町村では25.9%に上った。県と市町村から請け負った除雪について「採算の限界」としたのは、それぞれ44.3%、40.0%だった。 状況が改善されない場合、除雪態勢を維持できる期間は「3年後まで」が33%で最も多く、「本年度まで」が12%、「1年後まで」が14%などとなった。「6年以上続けられる」と答えたのは26%にとどまった。 同協会の神豊勝専務理事は「業者の経営状況は悪化の一途だが、社会的責任から、採算性が悪くても引き受けている。このままでは、除雪態勢が崩壊する恐れがある。発注者側に、除雪費の見直しや機材の貸与などを強く訴えたい」と話している。これも、業者さんの本音では、むろん、地元貢献というのも実際にありますが、「役所とのお付き合い」という点もあったりして、儲けにならないことは承知で、仕事を回してくれるお得意さんへのサービス的な部分で受託していたのが、競争入札は厳しくなるし、そもそも公共事業が減っていれば、そんなことも言っていられない…というわけですね。 除雪のための作業車両は冬季にしか使うことはできない特殊車両ですから、維持管理費も相当かかります。 除雪作業は過酷ですよ。非常に危険ですし、緊張します。夜だろうと朝だろうと、一定の積雪になれば出動しなくちゃならない。作業員さんも同じ場所を継続して任せられれば慣れも早いのに、その日の交通状況や苦情により、どこから除雪してくれ、などとバラバラなので、どうしても慣れないので効率も悪くなることもあります。そして、その作業員の方の人数も少なくなったり、除雪車両の台数も少なくしか保有できなくなって…という現実が、最前線ではあるんですね。 これは除雪だからまだいい、というわけでもありませんが、そのうち、大規模災害が発生した際、崩れた建物や土砂などを一刻を争う撤去が進まずに人命にかかわる…ということも、十分にありえますね。 そもそもが、国などや民間も、高度成長期に整備したインフラや建物が、そろそろ物理的に耐用年数が進んでいる現状があるわけですから、これは一斉に作った以上、ほぼ一斉に更新の必要が迫られるわけですが、そのとき、それが可能な人員も技術も機材も無い、なんてことになりかねませんね。 シロウト考えに過ぎませんが、ここはあえて、全国のインフラを補強や更新する一大公共事業を実施し、技術や機材も更新しつつ雇用を確保するということが、今、最後の時期ではないかと思うのですが。今、それをやっておけば、次の3〜50年は何とか持つかもしれませんが…。 何でもかんでも、公務員が悪いとか、公共事業は悪いとか、コンクリートから人だとか、そんなことを言っていれば良いわけではないですね。 と、いうことをこれらの記事を読んで思ったしだいです。
特にオチも無く。受験生の皆さんのために、落ち無し、なんて。 |


