日々是雑感

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【自然関係のお話し】

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まだ数は少ないですが、私のメインの書庫です。
仙台市の泉ケ岳の自然を中心に、自然について考えていること・見たことなどをご紹介して行きます。
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特別住民票

 私が子供のころ、大人のマネをしたい子供心をくすぐるようなおもちゃやお菓子がありまして、「シガレットガム(チョコレート)」というまるでタバコのように見えるお菓子や、「自転車運転免許証」「子供銀行券」など、本物に似せた子供世界のジョークグッズがありました。
 自転車運転免許証だの子供銀行券だのは、むろん法的になんら関係のないものでしたが、幼児には楽しい遊びでしたねえ。

 しかし、大人になってもやっているのがあるんですね。それも、子供相手の遊びではなく。

 古いですが、4月29日の産経ニュース。
クーちゃん“釧路市民”に 特別住民票を授与
2009.4.29 13:10 
 北海道釧路市の釧路川河口に2月から現れ、人気者となっているラッコの「クーちゃん」に対し、市の特別住民票や感謝状などを贈る授与式が29日、主な出没スポットになっている幣舞橋付近の川岸で開かれた。

 式典前にはほとんど姿を見せなかったクーちゃん。しかし、蝦名大也市長が「これからは市民として一日も長くいて」とあいさつすると、タイミング良く橋の近くに泳いで登場。集まった人たちから「住民票を受け取りに来たんだ」と大きな歓声が上がった。

 特別住民票には名前や好物などが記載されているほか、写真も印刷。橋付近にあるガイドステーションと大型商業施設では、コピーを無料配布する。早速、三枚を入手した市内の主婦、南広美さん(40)は「市外の友人に送って釧路を宣伝したい」と話していた。
 私はそもそも、ペットでもない野生動物に名前というか愛称をつけるのはどうか?とさえ疑問に思っているのですが、まあそれは個体識別のための便宜的な記号と考えることはできます。
 しかし、この住民票。正式には「特別住民票」とやら言うらしいのですが、この交付に至っては正直、ウンザリします。この産経ニュースの記事の最後にもありますが、それぞれの自治体のPR材料にしているに過ぎない話なのですから。

 しかも、それでもってこういった記事を見た人たちが初めて動物に関心を持つようになって、動物や自然を大切にするようになる…とは、私は思えません。あったとしても、ごく一過性のものでしょうし、宣伝にしてもそうでしょう。

 結局は、底辺では以前書いた「ハクチョウへの餌付け」と同じように、その対象となる動物のことを本当に大切に・深く考えての行動ではなく、人間側の勝手な都合の押し付けでそうしているというだけの話です。

 こんなもんは、ユーモアセンスとしても、全く面白くもない、いかにもセンスやウィットの利かない役人らしい、既に使い古された適当な制度というか手法だと思います。

 ウィキペディアの「特別住民票」の項目を見れば、このような動物の他に、アニメなどのキャラクターに交付したことがわかります。
 アニメのキャラクターなどは、まだ良いと思うのです。既に真新しいものではないにせよ、架空の世界の住人ですしね。誰に迷惑がかかるわけでもない。「シャーロック・ホームズ」や「サンタクロース」からの手紙の返事のサービスのような、「大人のユーモア」センスを若干感じます。まあ、「作者が一時住んでいたことがある」だけという程度の縁で利用しようという自治体はみっともないですがね。

 私が「動物」と「それ以外」でこう区別する感覚としては、こういう動物に特別住民票を交付するような自治体はほぼ全てがちっぽけな自治体で、普段は寂れているようなところに急に降ってわいた話題づくりのキッカケにのっかる工夫も考えもない田舎特有の嫌らしさに、動物が翻弄されるように感じるからです。
 話題づくりをしたければ、そんな他力本願・ころり転げた木の根っこのようなものではなく、普段から積み重ねて作っていくものだろう。全国的なキャラクターを作るとかね。そういうこともせず、たまたまやってきた野生動物にマスコミが食いついたからと、これ幸いと、既にどこでもやってめずらしくもない手でPRしました、というセコさがバカバカしく、「寒い」ですし、その人間の都合を押しつける構図が情けないと思うわけです。
 例えそれで自治体のたくらみどおりPRになったところで、その動物が保護されるわけでもあるまい。むしろ、それでTVに見たといってたくさんの人間がその場所に押し掛けて、野生動物に無用なストレスを与えたり、食べなれないエサを投げ込まれたりするような、動物にとってのデメリットの方が大きいのではないか?

 住民票とはその自治体に定住の意思を持つ人間の申請によって記録するものであり、かつそれは個人情報保護でやたらと公表するものでもないし、まして住民を宣伝に勝手に使って良いわけでもない。
 法的根拠が無いとはいえ、仮にも自治体が交付する住民票だというのであれば、そういう住民票の基本どおりにすべきだろう。つまり、大切な住民として、滞在しやすい環境下で整備し見守るという、ただ当たり前のそれだけのことをすれば良い。そういう意味合いで「利用」せず、むしろその来訪をキッカケに何か自然環境を考え整備・保護を進めるような施策を進めるための特別住民票ならば、「大人のユーモア」として理解できるどころか、尊敬するのですが。

 今日の時事通信社の記事でも、富山県黒部市でトキが飛来したからと、交付との記事。
雌のトキに特別住民票を交付=「トキメキ」と命名も−富山・黒部市
6月15日21時3分配信 時事通信

 富山県黒部市は15日、新潟から飛来した雌のトキに「トキメキ」と命名し、特別住民票を交付した。
 雌のトキは昨年9月、佐渡トキ保護センターから放鳥されたもので、同市に飛来してから15日でちょうど1カ月。名前はトキがねぐらにしている同市石田の小学生から募集。その中から「新潟から幸せを運んで来て、黒部の地でときめいている感じがよく出ている」と「トキメキ」を選んだ。
 特別住民票の住所欄には「黒部市トキの里」、生年月日は保護センターに問い合わせ、2005年6月9日と記載した。 
 それと、ちょっとビックリしたのは、黒部市の住民票に先を越されたとでも思ったのか、本家?佐渡市は「戸籍謄本」だそうで…。
 同じく今日の毎日新聞の記事です。
雑記帳 トキに「戸籍謄本」 新潟・佐渡
6月16日20時0分配信 毎日新聞

 新潟県佐渡市で、08年9月に放鳥されたトキ10羽のうち、1羽が飛来した富山県黒部市が「特別住民票」を交付したのを受け、佐渡市は16日、全10羽の「トキ戸籍謄本」を作り、発行を始めた。

 本籍はトキが飛翔(ひしょう)訓練を受けた野生復帰ステーションがある「佐渡市新穂正明寺」。環境省の観察チームが付けた愛称「キュウチャン」「イケメン」などの名前や生年月日、性別も記される。

 佐渡市役所で希望者に無料で交付するが、トキ保護募金への協力を求める。市担当者は「空飛ぶ観光大使たちが転居する度に忙しくなりそう」と胸をときめかせている。【磯野保】
 これは、微妙ですね。
 佐渡=トキのイメージは、長い間でもう定着していたものですから、キャラクターと同じく、単に一過性というものでもありませんし。どちらかといえば、たまたま飛来しただけの黒部市が住民票を作ったのがずうずうしいという気がしますけれどね。
 それにしても、何も「戸籍」にしなくとも。まあ、同じ住民票では二番煎じとか言われそうからかな。

 しかし、「戸籍」とは、ちょっと思いきったことをしたものと、やや冗談が過熱してしまい却ってシラけを感じます。まあ「出生地」と言いたいのでしょうけれどね。

 かなり以前の2003年2月22日の共同通信の記事ですが、
「私たちにも住民票を」  タマちゃん扮し在日外国人
 「同じ『外国人』のタマちゃんが住民票をもらった。私たちにも住民票を!」−。横浜市西区がアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」に“住民票”を交付したのを受けて、在日外国人らが22日、同区内の公園で「タマちゃん友人会」を開き、住民票や参政権を求めアピールした。  集まったのは日本に滞在している外国人ら17人。午前11時すぎ、タマちゃんの「住所」となっている横浜市西区内を流れる帷子(かたびら)川近くのJR根岸線桜木町駅前に、顔にインクでひげを書いたり、鼻を黒く塗るなどしてタマちゃんに扮(ふん)して集合。その後、近くの公園に移動し「住民票下さい」と訴えた。  主催者で在日8年のコメディアン、デーブ・ガタリッジさん(30)=東京都渋谷区=は「このイベントを通じて、住民票システムについて一般の人に考えてもらいたい」と話していた。 
2003/02/22 08:44   【共同通信】
と言う声もあり、戸籍に至っては海外で生まれた日本人の子の認知など、いろいろな問題をも併せ持っている中ですからね。それらの問題の是非判断は別として、そういう観点でも、慎重さがあっても良いように思います。

 まあ、なんにしても、こういう「おらが町の、町おこし」で、こう使い古された方法で話題に乗ろうというセンスの無さ。それで動物を利用するという態度は好きではありません。
 ロケット花火みたいなもので、こんなもん打ち上げて喜んでいるとは、あまりに情けない。

ツバメ

 初夏のこの時期、私が行きつけの郊外のガソリンスタンドにはツバメが巣作りと子育てをします。毎年恒例。今年は暖かいせいか、ちょっと早めですね。

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 ガソリンスタンドの作業エリアに作られるのですが、その巣の下はフンやら羽やらで汚れますが、ご家族経営のこのガソリンスタンドは当たり前の見慣れた風景として、そこにいらなくなった紙などを敷いて優しく見守っています。

 スズメバチを観察していると、なぜ同じような場所の多い中で「その場所」に巣を作るのか?と、巣作りに適した場所を選ぶ選定基準を不思議に思うことがあります。しかし、一度作られた場所だからといって、翌年またその場所に巣作りするとは限りません。
 しかし、ツバメの場合は毎年同じ場所に巣作りをするということがよく見聞きします。いったい、どんな基準でそうしているのでしょう?

 それにしても、スズメバチにしてもツバメなどの野鳥にしても、じっと見ているとわずかな時間を惜しんで幼虫やひな鳥のために食べ物を集めて働く成虫や親鳥の姿には、感情を動かされるものがあります。


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 5羽かな?子沢山で大変だあ。

 親鳥は頻繁に虫を捕えて運んでは、また捕えに飛び出ていきます。
 ひな鳥でも力関係があるのか、前にググッと出て、食べ物を得られやすい場所にいる強いのもいれば、それに押しのけられたものも。巣の中でも厳しい生存競争があるのかもしれません。でも、親鳥は結構まんべんなく与えているようですので、ホッとします。

マエアカクモバチ

 いやあ、何と言いますか。こういう話しを聞くと、自然は人間が泣いても笑ってもそんなものに関係なく黙々とその営みをしていて、たくましいという、うれしい気分になります。

 今日の産経新聞の記事です。
セアカゴケグモ 毒グモにハチの一刺し まひさせ捕食、公園などで確認
5月7日15時36分配信 産経新聞

■大阪市立自然史博物館 被害防止を期待

 強い毒性を持つセアカゴケグモに、国内では存在しないとされてきた捕食者がいることが7日、大阪市立自然史博物館の調査で分かった。一方で、大阪府内で昨年度、セアカゴケグモによる被害例が過去最多を記録したことが判明。繁殖を繰り返す毒グモの“天敵”が発見されたことで、関係者は被害拡大が防げるのではと期待している。

 同館学芸員の松本吏樹郎さんと同館友の会会員の北口繁和さんの調査によると、クモバチ(ベッコウバチ)の一種の「マエアカクモバチ」が、セアカゴケグモを捕食していることが確認された。平成19年9月に長居公園(大阪市東住吉区)で初めて確認されてからは、この数年間に、堺市堺区内や大阪府豊中市内の石垣のすき間や公園の地面などでも、このハチが針で刺してまひさせたセアカゴケグモをアゴでくわえ引きずっている姿が観察されたという。

 このハチは背中が赤さび色をしている点が特徴。これまで別のクモ(ハンゲツオスナキグモなど)を捕食する姿は観察されていたが、松本さんは「えさのクモと似た環境で増加し、入手しやすくなったセアカゴケグモを捕食し始めたのでしょう」と説明する。

 外来種であるセアカゴケグモは日本では平成7年、大阪府高石市で初めて発見。その後、兵庫や和歌山、奈良など近畿地方を中心に繁殖を繰り返しており、愛知や群馬などでも確認されるなど生息範囲が北上している。

 大阪府環境衛生課によると、セアカゴケグモによる府への被害報告は、13、16、17年度にはそれぞれ1件だったのが、18、19年度にそれぞれ6件。20年度には9件と最多を記録し、「ここ数年で被害例が増加しており、今年は予断を許さない状況だ」という。

 同課では定期的に生息状況を調査をしているが、「クモは一カ所に固まっているわけではないので、一斉駆除は不可能だ」と頭を悩ませていた。

 思わぬ天敵の発見に「生態系への影響を考えなければいけないが、面白い発見だと思う」と期待感を示している。

 首都大学東京の清水晃助教(生物多様性)の話「マエアカクモバチは国内でも比較的まれなハチで、生態があまりよく知られていない。毒グモの駆除に使えるほど、増殖させることができるか疑問の余地があるが、いい意味での影響が期待できるだろう」

                   ◇

【用語解説】セアカゴケグモ

 オーストラリアや東南アジアなどの熱帯、亜熱帯に生息。船の貨物などとともに日本に入ってきたとみられる。オスは体長約3ミリ、メスは体長約15ミリ。メスは背面に赤またはオレンジ色の帯状の模様がある。神経毒をもち、かまれた部分が腫れ、痛みが次第に広がる。呼吸困難など全身症状が表れることがあり、海外では死亡例もある。
 外来種問題とやらや、農業・衛生害虫対策を考えたとき、それを「増やしたくない」という場合に真っ先に考えるのは当然、天敵の存在とその利用というのは基本的な考えですが、記事冒頭にあるように、セアカゴケグモのような毒グモに対して、まさか在来種が天敵となりうるとは思いもしませんでした。
 なんとなく、理屈抜きで痛快な気分になります。

 しかし考えてみれば、結構大きなクモを狩るカリバチの仲間、特にその中でもベッコウバチの仲間にはいくつもの種があるわけで、毒の有無を除けばクモの身体能力はそう変わるものでもなし、これらカリバチらにとって狩るメニューが増えたということは十分ありえる話ですね。
 マエアカクモバチというのは、すみません、私も不勉強で聞いた事の無いハチでしたが、カリバチの仲間であればこの種に限らないのではないか?例えばスズメバチももしセアカゴケグモを見つければ狩る可能性もあるのでは?と思ったりします。大型のスズメバチにとっては後から不意に襲えば、それほど手ごわい相手ではないかもしれません。

 それにしても、セアカゴケグモに、マエアカクモバチですか。赤色模様同士の生存をかけた戦い。赤が何か関係しているんだかいないんだか。
 googleでマエアカクモバチで検索しても、今回のこの記事くらいしかヒットしないほどですので、かなりめずらしいというか、普段、話題にもならないハチなのかもしれません。

 ではセアカゴケグモ対策として人為的にこのマエアカクモバチを増やそう、という点ですが、最後にコメントを寄せている教授は「増やすことが可能かどうか?」という視点でのコメントですが、私は増やせるとしても止めておくべきだと思います。

 ベッコウバチの仲間は普通に刺激を与えなければ人間を刺すということはほとんど無く、数を増やしたところでも人為的に増やすというのは問題は無いように思えます。しかし、人間ごときが、そうそううまく自然を自分たちの思惑どおりにコントロールなんてできっこありません。

 マエアカクモバチを増やした場合、セアカゴケグモもそれによって少しは減るかもしれませんが、同時にその他セアカゴケグモよりも圧倒的に多い数がいるであろうクモの方が優先的に狩られてしまい、結果、それらのクモが食べて増加を抑制していた小昆虫が増加する、という影響が出るに決まっています。見慣れぬセアカゴケグモよりも、見慣れて毒の無い在来種を襲った方がマエアカクモバチにとっても効率的ですしね。
 むろん、それくらい、このコメントを寄せた教授だって当然ご承知のはずでしょうが、記者の視点でその程度に触れていないのは少々残念ですね。まあ生物の専門家ではないから仕方がないというところでしょうか。

 マエアカクモバチがセアカゴケグモしか狩らないわけでないし、またマエアカクモバチは人のためにクモを狩っているわけでもないという当然のことを、忘れてもらっては困りますね。

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ミドリニリンソウ

 春の花・ニリンソウをご存じの方でも、ミドリニリンソウまでご存じの方は、意外に少ないかもしれませんね。

 ニリンソウというのは文字通り、1本の茎から普通2輪の花を咲かせることからその名がついているわけです。
 こんな感じですね。

イメージ 1

 この、白い花びらに見える部分は、実は「がく」なんです。花はこの中央にある小さな部分。
 日が沈みかけていたり寒い日は、この白い「がく」が閉じているのを見かけます。

 さて、ミドリニリンソウ。別に、ニリンソウの別種の仲間などではなく、突然変異でこの白い部分が緑色になったものです。
 例えば、この写真も、完全な緑ではありませんが、緑がかっています。

イメージ 2

 「がく」は変異しやすい部分のようで、ニリンソウのこの白い「がく」は5枚であることが多いのですが、6枚や7枚というのもめずらしくありません。

 ミドリニリンソウは、完全にこの普通白い「がく」が、緑に変化…というか、先祖がえりというのでしょうか、なったものです。

イメージ 3

 私も泉ヶ岳に通い始めたころ、ニリンソウはもちろん真っ先に知った花なのですが、後でこのミドリニリンソウがあるということを知って、探しまわって見つけました。
 泉ヶ岳には、小川沿いにニリンソウは多く咲くのですが、私が探し回った限りではごく一部の群生地の、そのさらに一角の一群にだけで見かけます。変異に何か条件があるのか、また、その変異は遺伝的に引き継がれる性質なのか、詳しく観察などしていないのでわからないですが・・・。

 このミドリニリンソウ。見るのが難しいのは、数が少ないからだけではありません。

 まず、「そんな変異がある」ということを知らないと、あえて探すということをしないものです。「ある」と知った上で探すのと、「あるかどうか、わからない」「存在を知らない」というスタンスで見て回った場合とでは、見つかる可能性は全く別ものになります。

 そして、たとえたまたま見つけても、「これはなんだろう?」ということに興味を持って調べない限りは、「なにかの花だろう」ということで終わってしまい、すぐに忘れてしまうということがあります。

 私は野山を歩くときには、いつもこのことを肝に銘じています。
 同じ山道を同じように歩いても、見えるもの・知るものに、その歩いた人の視点の持ち方いかんでは、全く違う世界になると思います。

 シャーロック・ホームズの冒険「ボヘミアの醜聞」の冒頭の一節を思い出します。
「君はただ眼で見るだけで、観察ということをしない。見るのと観察するのとでは大ちがいなんだぜ。たとえば君は、玄関からこの部屋まであがってくる途中の階段は、ずいぶん見ているだろう?」
「ずいぶん見ている」
「どのくらい?」
「何百回となくさ」
「じゃ、きくが、段は何段あるね?」
「何段?知らないねえ」
「そうだろうさ。心で見ないからだ。眼で見るだけなら、ずいぶん見ているんだがねえ。僕は十七段あると、ちゃんと知っている。」

 シャーロックホームズの冒険 「ボヘミアの醜聞」(新潮文庫 コナン・ドイル 延原謙訳)より
 かくありたいと思います。

ミツバチ

 先日、蜂群崩壊症候群について少し書きましたが、ミツバチについて続けて2つの記事がありましたので、まずその紹介から。


<ミツバチ大量死>「国は意識変えて」 農薬の影響指摘も /長野
4月26日12時55分配信 毎日新聞

 農作物の受粉に使われるミツバチが不足し、農業への影響が懸念されている。今のところ県内で不足は生じていないが、長野市では昨年8月に大量死が発生、県は対策に乗り出している。ダニや女王蜂不足の影響など複合的要因に加え、農薬の影響があると指摘されている。県内の養蜂業者らに実態を聞いた。【光田宗義】

 ◆異変

 残暑が厳しい昨年8月下旬。巣箱の様子を見に長野市戸隠を訪れた養蜂業の男性(65)は、車を降りた途端、異変に気付いた。辺りに漂う腐臭。近づくと、巣箱の前にはミツバチたちの死(し)骸(がい)の山ができていた。「約10日前は何ともなかった。こんなに大量に死んだのは今までになかった。恐ろしい」。男性は言葉を失った。

 ◆「対策会議」設置へ

 県養蜂協会によると、長野市では同時期、7カ所約230群(1群約1万匹)で、大量死が確認された。

 男性は福岡県宗像市の厚生労働省登録検査機関に蜂の死骸の分析を依頼。「クロチアニジン」という昆虫への毒性の強いネオニコチノイド系農薬が検出された。稲のカメムシ対策や野菜、果樹などに一般的に使われるもので、8月下旬はお盆明けの農薬散布期にあたる。

 県は同系粉末農薬の使用を避け、使用の際には養蜂業者に連絡するよう通知。来月には全県で、農業・養蜂関係者らが参加する「ミツバチ危被害対策連絡会議」を設置し、連携強化を図る方針だ。同系農薬は国の認可を受けており、年々使用量も増加している。農林水産省農薬対策室は「ミツバチとの接触は避けるべきだが、大量死との因果関係は不明」との立場だ。

 しかし、男性は訴える。「もしミツバチが死ぬなら、他の昆虫も死ぬ。生態系にも影響を与える大変なことだ。国には意識を変えてほしい」

 ◆暖冬も響く

 一方、現場からは暖冬の影響を指摘する声もある。ミツバチは、花の少ない冬季にはあまり活動せず、春先にかけて採蜜(みつ)を本格的に始めるのが一般的という。ところが今冬は、暖冬の影響で冬に動き始めるミツバチも少なくなかったようだ。

 県養蜂協会の金子堅太郎会長は「花のない1、2月は静かにしていてほしいが、巣箱の外に出て体力を消耗してしまった」。別の業者の男性も「冬季に『遊んでしまった』ことで、群が大きくならない」とこぼす。

 これまで冬季には巣箱をシートで覆うなどの防寒対策が必要だった。今後、温暖化が定着すれば、巣箱を日陰に置くなどの暖冬対策が求められる可能性もある。金子会長は「気候にあった管理方法が確立されるだろう」と見通しを語った。  
 これは、「姿を消す・死がいも見当たらない」と言われる蜂群崩壊症候群とは、ちょっと違う、「原因不明死」と言うべき案件かと思うのですが、少なくともこの件ではそれぞれ調査結果や仮説が紹介されているのは実に興味深いです。
 「謎の失踪」という蜂群崩壊症候群では無くとも、ミツバチがその数を減らしたり、統率が取れないという点ではこの大量死も人間に与える影響は同じです。

 次に、その翌日、4月27日のカナロコの記事です。
開国博Y150 開場間際に大量のハチ/横浜、駆除で1時間半遅れ
4月27日21時0分配信 カナロコ

 開国博Y150の内覧会が催された会場の一つ「Y150はじまりの森」(横浜市中区)では二十七日、大量のハチが見つかり、急きょ業者が駆除するアクシデントがあった。開場は約一時間半遅れ、入場ゲートには長蛇の列ができた。

 横浜開港150周年協会によると、ハチはミツバチで、正午からの開場直前に二カ所の木で発見された。巣を作ろうと群がっていたとみられるという。

 ハチが発見された木に近い場所での歴史などを振り返る展示コーナーは入場が見合わされた。女性会社員(27)は「横浜の歴史を知れるコーナーだから楽しみにしていたのに」と残念そうだった。
 状況はまるで違うにしても、こういう記事をこう並べてみると、人間の言う「環境保護」「地球にやさしい」「動物愛護」などなどの綺麗ごとが、すべて人間自身の都合・価値観で行われるということを実感します。
 もっとも、私はある程度それで良いと思っているのですがね。

 ミツバチがいなくなって大変だ!と騒ぐ人。イベントのコーナーの一部が入れないのを残念がったりその解消のためにミツバチを駆除しようとする人。まったく同じ「人間」と、同じ「ミツバチ」との関わりで、その場面が違えばこうも人間側からの扱いが違うとは。
 ミツバチも社会性のハチですが、そう巣の社会性が失われているのが問題ですが、人間のこうも多種多様の社会状況を考えれば、崩壊しているのはミツバチ社会だけ?と思ったりしますね。

 だいたい、この開国博Y150のHPではこうも書いてあるんですがね。
 1859年(安政6年)の開国・開港から150周年を迎える、2009年。
 横浜は未来への「出航」をテーマに、その歴史や魅力が満載の博覧会「開国博Y150」を開催します。
 みなとみらい地区を中心としたメイン会場「ベイサイドエリア」、
 食やファッションなどの人気スポットが立ち並ぶ横浜駅周辺から山下・山手地区の「マザーポートエリア」、
 自然豊かなズーラシア近隣に広がる「ヒルサイドエリア」。

 「海」「街」「自然」が生きるこの3つのエリアから、未来を輝かせる夢の種をまくために。
 今、「開国博Y150」という名の船があなたを乗せて「出航」します。
と。自然があることが1つの重要なポイントで、そしてそういうエリアから未来への可能性を広げるという主旨のわりに、ミツバチが出たら、駆除とは、まあ矛盾しているというか、いかにも人間らしいというか、皮肉のようなものです(笑)。
 最初から、奇麗事は言わないことです。

 人間というのは、徹底的に他の生命や地球環境を、自分の都合のいいように好き勝手扱ってきて、それがなんだかマズいぞ、と怪しくなったから、結局自分たちの生き残るために「環境対策」をしているに過ぎない。
 「環境保護活動をしている」と、たまに自慢めいたことを言う人がいますが、そりゃ公共性や公益性はあるとは認めますが、別に博愛精神があるとは思っていませんし、ご自身のためでもあるということを思えば、そんなに自慢すべきことでもなんでもないという自覚を持ってほしいと思ったりします。
 中学校のときの、ある部活動の運動部を思い出す。その運動部は素行が悪い生徒のたまり場で、部室は荒れ放題。業を煮やした校長や顧問が、ついに閉鎖をしようという動きになって、初めて片づけを始めた。そのときの、居場所が無くなる・怒られると、慌てて部室の片付けをしている子供たち、という話しと根本は同じではないか。与えられた部室を汚したり壊したりするのがそもそも論外なだけで、自分たちがそれを修理したり、大事に使うというのは当たり前のこと。

 そういう、好き勝手、自分らの気分しだいで対象をいいように扱うようなことをしているようでは、「蜂群崩壊症候群は、ハチのストライキ。人間に愛想を尽かして出て行ったのではないか?」という皮肉ももっともだと思います。

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