日々是雑感

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【自然関係のお話し】

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まだ数は少ないですが、私のメインの書庫です。
仙台市の泉ケ岳の自然を中心に、自然について考えていること・見たことなどをご紹介して行きます。
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 突然ですが、この頭骨。タイトルで書いているのでおわかりでしょうけれど、シベリアトラの頭骨のレプリカです。

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 シベリアトラは、チョウセントラとも、アムールトラとも呼ばれているということですが、トラの亜種・8種の中では最大の大きさになるということです。

 以前、ヒグマの頭骨を知ったかぶって書きましたが、熊を少しだけ知っているに過ぎない私としては、同じネコ目でもトラのことはさっぱりわかりません。
 日本では動物園にしかいず、自然観察をして自らが調査するということも困難で、身近でもないので興味がわかないからです。

 それにしても、これもあまり出来の良いレプリカじゃありませんね。安く入手した(インターネットオークションで6千円くらい)ので仕方がありませんが、これもやはり以前紹介したツキノワグマの頭骨のレプリカのように、細部の造りが怪しく、ところどころに欠けや粗さが目立ちます。最も重要な歯の形さえも、溶けたロウソクのように原型を壊しています。

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 まあ、それでも、おおよその歯の特徴や、頭蓋骨そのものの大きさもわかるので、話の中で使う分には、良しとしましょう。精密なレプリカは頭骨だけで10万円以上はザラにしますからね。

 トラも、その骨が漢方薬と利用されてしまうことや、毛皮目的、人や家畜の被害防止などのために駆除されて、今や著しく数が減っています。
 こういうレプリカが安価に出回るのは、上手な教師がそれを元にお話しをすれば、子供たちは様々なことを体感・共感してくれる機会が増えることでもあり、悪いことではありません。

 私はこのトラくんは、熊の頭骨との比較にしか使いません。
 臼歯が鋭いことが肉食性を現わしているということや、巨大に伸びた犬歯が大型哺乳類の分厚い筋肉を貫通して脊髄・脛骨をひと噛みで粉砕し、動きや生命を奪うのに役立っているという、一般的な話がせいぜいです。

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 ツキノワグマの頭骨のレプリカと比べてみると、その巨大さがわかりますね。
 では、ヒグマとの比較は?

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 ヒグマよりもはるかに大きいです。

 シベリアトラの大きさは、全長3m近く(そのうち尾は1mほど)、オスの体重で200〜250kgにもなるということですが、北海道に棲むヒグマも体重はそのくらいに達しますし、グリズリーやホッキョクグマになれば、はるかに上回る体重になります。

 それなのに、なぜ頭骨の大きさがこうも違うのでしょうか?
 むろん、比較したヒグマの大きさが元々小さいから、というのもあるのかもしれませんが、こうなると私の手には負えない話になってきます。
 勝手な推測をすれば、熊の仲間は冬眠穴で越冬をしたり、あるいは北極の氷から顔を出したアザラシを襲って食べるために、より小さな頭の方が穴に顔を突っ込みやすいから?と思ったりします。
 また、トラ、特にこのシベリアトラの場合は、住んでいるところが寒冷地帯であるために、冬、食べ残すなどして凍った肉なども食べなければならないでしょうし、北の動物は大型化するという傾向がありますから、それらを食べるためにより顎の力が必要なように変化した結果、頭が大きくなったのかもしれません。

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 この2種の動物を持ち出すと、お子さん方に必ずと言って良いほど質問されるのは、「熊とトラは、どちらが強い?(戦ったらどちらが勝つ?)」というものです。ほぼ、男の子がこんな質問をします。
 気持ちは、わかります。強い者同士を戦わせて、その結果を知りたいと思うのは、人間の本能に近いとさえ感じる欲求ではないか?と思います。

 しかし、答えには困ってしまいます。
 どんな生物同士の争いでもそうですが、その争いに至ったときの状況・条件により、結果は変わります。

 それに、トラとシカが戦えば、そりゃあシカがトラを倒すことはまずありえませんから、「戦闘では、トラが強い」と言えるかもしれませんが、実際は戦闘をしたくてしているのではなく、方や生き残るための食料にしたいトラ(武器:犬歯や爪、カムフラージュの模様)と、方やそれを逃れたいというシカ(武器:素早い足・警戒心)の勝負は、「逃げきれるか否か」での判定になるわけで、シカがトラを倒せずとも逃げ切れれば、それはシカの勝ち、とも言えるわけです。
 剣道の名人と柔道の達人が戦った場合はどちらが強い?というようなもので、柔道選手がつかみかかろうとして、剣道選手が面打ちをしても、「柔道」ではそれは負けたことにならず、しかし剣道選手が投げ飛ばされても「一本」にはならないわけで、統一ルール・基準を設けない限りは「勝ち」はあり得ないわけですね。

 …というような理屈を小学生にお話ししても、なかなか理解してくれません。
 中には「どうせ知らないんだ」などとナマイキ…鋭いツッコミをする子供もいたりして、困ってしまいます。

 一般的には、熊はトラを好んで襲うということは考えづらく、襲われたときに生き残るために戦うというのが実際ではないかと思います。
 一方のトラも、単に食料とするだけであれば、できるだけリスクを避けて得たいと考えますので、熊はその他に比べて仕留めるのに楽な動物が豊富な場合は、常食のメニューではないのではないかな?と思います。その他の動物が少ないとか、熊が小型・小熊であったりケガをしているとか年老いた熊とか冬眠中とかリスクの小さいと感じられた場合には積極的に襲うかもしれませんが。
 つまり、私は考えるに、トラは熊を襲うこともあるだろうけれども、熊はトラを襲うということはかなり少ないと思います。熊がリスクを犯してトラを襲う理由はありません。雑食の熊は他に食べるものが得やすいからです。

 そう考えると、熊とトラが戦闘に至る場合は、トラが勝機を感じて襲う(=勝てない闘いはしない)という場合がほとんどだと思いますので、まず、熊に条件が悪い場合に限っていると思いますから、戦闘になれば、トラが勝つ=トラが熊を食べるということが多いのではないかと思います。
 むろん、そういう襲う際の見極めも、「強さ」と言えます。

 ですから、同じ檻の中に双方を閉じ込めて戦わせた場合は、それはまるで違う結果になりえますし、それは「正しい」「いつもそうである」という結果ではないでしょうね。

 しかし、ハッキリ言えますのは、一個・一種の生命として考えた場合の強さは、熊は熱帯に近い場所から中国の竹林、北極にまで生息し、雑食を身につけ、それぞれの地域の環境にうまく身体を合わせて変化して広く分布しています。
 一方、トラは生息条件がかなり厳しく守られなければ生き残れない、環境の変化にも耐えられない、その意味では「か弱い」生命と言えます。

 ですので、私はこれらのことを踏まえ、「生命の強さというのは、戦闘だけで測るものではないのだよ。生身の人間は、熊やトラと戦ったらまず負けるけれど、なぜこう繁栄していると思う?知恵や団結、道具を作ったり、考えたりという、人間にしかできないことがいっぱいあるからだよ。勉強をして、いろんなことに興味を持って知って・考えて、いっぱい遊んで、友達を作って、笑ったり泣いたり一生懸命にすることは、トラや熊にはできない人間の強さ・強いことなんだよ」と、きれいにまとめた回答をしたりしています。

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薬剤抵抗性ゴキブリ

 以前、虫除け成分「ディート」が効かない蚊についてのナショナルジオグラフィックの記事を紹介しましたが、今度は殺虫剤が効かないゴキブリの話です。

 最近TVで放送されていたライオンから出た新しいバルサン「バルサン プロEX」シリーズのCMを見て、「都市部において、薬剤抵抗性を身に付けたゴキブリが増えている」というのが気になっていました。

 むろん、細菌とかウィルスとか(結核耐性菌が有名)から、クマネズミのような哺乳類まで、繁殖力が高くその駆除に化学薬剤が用いられている生命体はそういう薬剤抵抗を身につける速度も速く、ゴキブリのようなその条件に遭った生物が薬剤抵抗を身につけないはずが無いんですけれどね。
 昆虫類はハチを除いてあまり興味が無いので、そういう動向とは知りませんでした。

 ライオンのHPを見ると、新しいバルサン2種の有効成分はそれぞれ、
バルサンCPMジェット
 d・d-T-シフェノトリン・・・・・・・・・・・・・0.6%
 メトキサジアゾン・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.2%
 フェノトリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.0%

水ではじめるバルサンCPM
 d・d-T-シフェノトリン・・・・・・・・・・・・・・1.0%
 メトキサジアゾン・・・・・・・・・・・・・・・・10.0%
 フェノトリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0%
とあります。
 いちおう、毒物劇物取扱者の資格を持っているとはいえ、化学も全くダメな私としては、「メトキサジアゾン」という成分が多いのか、という程度しかわかりません。
 …少し、製品を比較して、論理的な面で分析をしたいと思います。

 これまでのバルサンは、
バルサンSPジェット
 メトキサジアゾン3.0%
 ペルメトリン  4.0%

水ではじめるバルサン
 メトキサジアゾン6.0%
 ペルメトリン  8.0%
でしたから、「メトキサジアゾン」はそのままに、しかも濃度も濃くなっていることがわかります。

 ちなみに、アース製薬が「アースレッドの中で最も効き目が強いタイプ」と売り出している「アースレッドプロ」は、有効成分が
d・d-T-シフェノトリン(ピレスロイド系)5.0%
メトキサジアゾン(オキサジアゾール系)7.0%
プロポクスル(カーバメイト系)    2.0%
と、なっています。

 バルサンCPMジェットと3成分のうち2つが同じですが、合成ピレスロイド系である「d・d-T-シフェノトリン」という成分が、アースジェットでは多く用いているのに、新発売バルサンではほとんど用いていないという大きな違いが目立ちます。また、新バルサンのもう1つの有効成分「フェノトリン」も合成ピレスロイド系ですが、構成比率としては少なめです。

 従来のバルサンで用いていて新バルサンには使っていない「ペルメトリン」も、合成ピレスロイド系ですが、この成分は発がん性の疑いとか言われたりしているので避けただけかもしれません。
 
 これら薬剤成分を見ていると気づくのは、「メトキサジアゾン」なる薬剤成分が構成成分のうち最も濃度が高く、特にバルサンは従来品よりもそれぞれ倍の濃度にしています。このことから、薬剤耐性昆虫に有効なのはこのメトキサジアゾンという成分ということがわかり、薬剤抵抗性とありますがその薬剤成分は主に合成ピレスロイド系薬剤に対してのものと考えられます。

 新発売バルサンの有効3成分のうち2つが合成ピレスロイド系ですが構成比率が少ないのは、これは「少なくとも効くから」というよりは、大きく体重が重い(=駆除するために量が必要となる)ゴキブリより小さなダニとかハエとか、そういうものをターゲットにしているのかな?と。

 KINCHOの「キンチョウジェット煙タイプ」を見ると、
6〜8畳用
メトキサジアゾン…5.3%
フェノトリン………6.0%
とあり、「フェノトリンとメトキサジアゾン配合、ピレスロイド抵抗性害虫に対してもよく効きます。」と宣伝されています。
 やはり、抵抗性というのは、ピレスロイドに対してそうなっているということでしょう。
 そうなると、何もこのようなくん蒸タイプの殺虫剤だけではなく、スプレータイプのものも、ピレスロイド系成分でしたら効かない、ということになりますね。

 以前、スズメバチに対してはどの製品が良いか?という記事を書いたことがありますが、スズメバチでさえイチコロなピレスロイド系薬剤成分でも、ゴキブリに対しては無効になってきているのかもしれません。
 スズメバチの場合はゴキブリに比べ繁殖力が高いとは言えず、巣を駆除した際にほぼ絶滅させることができて多少逃げだしても女王蜂さえ駆除すれば繁殖もほぼしませんから、このような薬剤抵抗性を身につけるとは考えづらいのが幸いです。

 と、そんなことを考えていたところに、8月7日のJ−CASTニュースの記事で取り上げられていました。
殺虫剤効かない「スーパーゴキブリ」 世代交代で次第に「耐性」強化
8月7日18時12分配信 J-CASTニュース

 従来の殺虫剤が効かない「スーパーゴキブリ」が出現した。世代交代を重ねるうちに薬剤に対する耐性を身につけたらしい。毒エサタイプも効かないことがあるという。

 2010年春、ライオンがくん煙タイプの殺虫剤、「バルサン」の新商品を発売した。

【中略】

 横浜市衛生研究所によると、日本国内で普段よく見かけるゴキブリには、3センチ程度のクロゴキブリと1.5センチ程度のチャバネゴキブリがおり、薬剤耐性をもちやすいのはチャバネゴキブリ。同じ薬剤を使われているうちに、その薬剤に強い個体が生き残る。そうした個体同士が子孫を残すと、次第に薬に強くなっていく、という仕組みだ。

 チャバネゴキブリは生後2か月ほどで親になり、1年に3〜4世代交代する。2〜3か月程度の寿命の中で、メスは約50個卵の入った卵醤(らんしょう)を4〜5回生む。

■ゴキブリは毒エサの危険性も「学習」

 駆除業者の中には、こうしたゴキブリを「スーパーゴキブリ」と呼ぶ人もいる。

 都内の駆除業者「アルバトロス」の担当者は、「色んな薬剤で殺そうとするため、この5〜6年、スーパーゴキブリが増えてきた」と明かす。

 殺虫剤だけでなく、近年主流になっている毒エサタイプの「ベイト剤」も効きにくくなっている。ゴキブリは0.5ミリの隙間があれば十分で、電気スイッチや電話の受話器の中にも入り込むことができる。そのため、中途半端に「見える所」だけにベイト剤を使っても、死んだ仲間から出た「フェロモン」で、ゴキブリが危険を「学習」してしまうのだという。

 「ゴキブリも賢いのです。弊社では壁の隙間などにも徹底的にベイト剤を打つことで、ゴキブリが『口コミ』を広げて警戒し始める前に、一気に殺すようにしています。ベイト剤の種類も、1種類ではなく数種類使い分けてなんとか食べさせるようにしています。何十年も前、スリッパで叩き殺していた時代には、そんなゴキブリはいませんでした。人間がゴキブリを進化させてしまった、ということでしょうね」
 やはり都市部で増えているクマネズミも、薬剤抵抗性を身に付けただけではなく、仲間がワナや毒餌により捕獲や死んだりしたのを見ると、次からはそのワナや毒餌にはかからなくなるという学習をすることが知られており、こちらは「スーパーラット」と言われたりしています。

 ゴキブリが賢い…というのか、用心深いと言えばいいのか、ゴキブリ退治ですぐに思いつくアース製薬の「ゴキブリホイホイ」も、ゴキブリは見知らぬ場所に入ろうとするときには、長い触角で行き先の様子を探ってから入るために、ゴキブリホイホイのハウスの入口をあえて坂道になるような構造にして、触覚が粘着面に触れないように工夫をしているということですから、これは厄介ですね。

 ネズミにしてもゴキブリにしても、まったくの自然界であればその他の捕食者に襲われるような身分でもありますが、都市部というそれら捕食者が棲みづらく、そして自分たちにとっては食べ物も隠れ家もあって都合が良いという、人間の作りだした環境に見事に適応して、たくましく、ある意味人間を利用して生きているということがわかります。

 薬剤も、ワナも、むろん、重要な対策でしょうが、もっとも基本的な生物対処方法は、昨日の熊の話でも少し触れましたが、食べ物や繁殖場所を与えないことです。天敵を利用するわけにはいかない状況ですからね。
 つまり、ゴキブリやネズミが隠れられそうな場所は極力失くして整理整頓をし、そして残飯や生ごみなども完全に処理し、水っ気も失くす。これだけでもかなり、そうしなかった場合よりは繁殖は抑えられそうです。

 ゴキブリの場合、見た目での精神的被害だけではなく、身にまとう各種雑菌類が人間に害をなす場合もありますが、ネズミはそれらに加え、近年の電子機器類の多いオフィスビルにおいて電気配線に小便をかけたりかじったりして被害を与えるなどの問題もありますから、これは他人事ではないかもしれませんね。
 取りあえず、出勤したらデスク周りの整理整頓から始めよう。そう思ったのでした。

ヤマビル対策

 私の住んでいる宮城県では、ヤマビル被害というのは聴かないのですが、東北地方では秋田県、関東・関西方面などでは野生動物、特にシカの増加とともにそれに寄生するヒルも増え、しかもシカなどが食糧を求めて広範囲・人家近くまで移動することにより合わせてヒルも生息範囲を人家近くにまで広げるなど、大きな問題になっているのは農作物被害や有害鳥獣駆除に関心がある人ならば近年、耳にするようになったと思います。

 ヤマビルについてはウィキペディアのヤマビルの項をご覧いただくとして、同じ吸血害虫の蚊やダニと違い病気を媒介することは確認されていませんし、ハチのように著しく有害な毒素を注入されて命に関わるというわけではないのですが、血液凝固防止成分を注入されることでしばらく出血が止まらないとか、見た目による精神的な被害など、決して侮れない被害が出ています。

 ヤマビルが厄介なのは、有害鳥獣駆除と同じく、これを特に好んで襲って食べるような天敵がいないことです。また、ヤマビルだけが感染するような病気などは無いようです。救いなのは薬剤によってある程度吸血を防止でき、また駆除できるということくらいでしょうか。

 そんなわけで、ヤマビルは地味ながらも今後、急速に社会問題になりかねないという観点から、私も少なからず関心があったわけですが、7月3日の神奈川新聞に有効な対策を掲載したパンフレットができたという記事が掲載されました。
ヤマビル対策はこれで万全、市がガイド本を発行/秦野
2010年7月3日

 ヤマビルへの注意と対策をまとめた秦野市の「ヤマビル対策ガイド」が発行された。2006年度版の改訂版で、A4判7ページで2千部作成され、市役所や公民館などで希望者に無料で配布されている。

 活動シーズン、生息場所、被害に遭った際の対処法、里山を歩く際の服装、市の取り組みと成果などを紹介している。特に05年から同市羽根と菩提の山林4・4ヘクタールで行っている生息調査の結果として、環境整備の有効性を指摘している。

 草を刈って落ち葉かきを行い、ヤマビルが生息できない環境に整備した結果、05年に3平方メートル当たり9・6匹だったものが、09年には0・7匹となっている。また、シカやイノシシの出没で増えることが指摘されいるため、シカ柵が設けられているが、シカ柵内では05年に2・9匹が09年には1・3匹になっている。

 市は、薬剤での駆除は行っていないので、下草刈りと落ち葉かきを効果的とみている。また、5月から10月までが活動期として、農家や里山周辺での自然観察を行う人、ハイカーなどにヤマビルへの注意を呼び掛けている。
 行政がこういうパンフレットを作成しなければならないほど、被害が深刻ということがわかります。
 山に入る際の服装や、吸血された際の対処方法など、個人の対策や対処方法を掲載されているだけではなく、「落ち葉かき」を行うことでその範囲での生息数が減るということは朗報かもしれません。

 もっとも、山中にある落ち葉を全て清掃することなんてできっこないわけで、あくまでも「人が普通に歩く範囲の、登山道で清掃した結果の話」と考えられ、山全体に占めるヤマビルの数がそれにより減らすことができるかどうかは別問題でしょう。

 「落ち葉」の量とヤマビルの生息数に因果関係があるとすれば、昨日紹介したように、農作物被害防止のために山に広葉樹を植えるということは、動物のため以外にも山や水の保全という観点はで良いことなのですが、一方で、シカなどの生息頭数を維持し、そしてヤマビルの棲息しやすい環境にもなりかねない、という面でも注目しておくことでしょうね。

山菜取りのリスク

 先日は熊による加害という面から、「山菜取りは熊に遭遇するリスクがある」という根拠と、実際に加害された件数に触れて紹介いたしました。

 そんな中、今日、警察庁から昨年における全国の山岳遭難にかかる統計資料が公表されました。
 6月8日付けの産経ニュースの記事です。
昨年の山の事故 死者・行方不明者は過去最多の317人 9割が40歳以上
2010.6.8 17:52

 平成21年の山の事故による死者・行方不明者は前年に比べて36人増の317人で、統計を始めた昭和36年以降最多だったことが8日、警察庁のまとめで分かった。また、事故件数は1676件、遭難者数は2085人で、ともに過去最多。死者の9割は40歳以上で、登山がレジャーとして定着した中、軽装の中高年が1人で山菜採りなどに出かけて遭難するケースが目立っている。

 夏山シーズンを前に、警察庁では、「十分に計画と装備を整えてほしい」と注意を呼びかけている。

 年代別の割合では、65〜69歳が14・4%で最多。55歳以上で遭難者全体の6割を占めた。

 山に入った目的ではハイキング、スキー、沢登りなどを含めた「登山」が66・9%。「山菜採り・きのこ取り」が23・0%。遭難の内容では、「道迷い」が43・5%を占め、次いで「滑落」の15・6%。「転倒」が12・4%−など。

 山岳遭難は過去10年間増加傾向で、平成12年と比べて461件、591人増加している。
 昨年は統計を取り始めて以降で過去最悪ということと、中高年の遭難が全遭難者に占める割合が高いということ、目的別では登山が圧倒的に高い割合ということが書かれています。

 さて、統計資料はその作成者の能力や思惑により、まるで違う印象になることがありますが、それをさらに要約した報道であれば、さらに違う印象になりかねませんし、発表された統計から漏れる内容もあることでしょう。
 例えば、「中高年の遭難の割合が多い」「9割が40歳以上」なんて書いていますが、もし、全登山者の9割が40歳以上だとすれば、別に中高年だけを注意すべきという結論にはならないわけです。同じく登山の遭難割合が高いと言っても、全入山者のうち登山目的という人が多ければ、それは「登山が危険」とは必ずしも言えないという結論になりかねないわけです。

 と、いうことで、元データを当たってみました。こちらが警察庁が今日発表した資料(PDF)です。

 昨年の遭難件数は1,676件で遭難者数は2,085人(P4 表1 概要)ですから、当然、1件で複数の遭難者数が出ている遭難もあるというわけですね。

 この2,085人の全遭難者数のうち、記事にもあるとおりハイキングを含めた登山は1,395人(66.9%)で、山菜・キノコ取りは479人(23%)ですから、確かに登山の遭難者数は多いとも言えます。
 しかし、これは「人数」であり「件数」ではありません。

 実際のレジャー形態を考えると、登山は単独登山もありますが複数で登るパーティー登山もあります。その場合は、1人のリーダーの判断ミス、あるいは1人の傷病人の発生でパーティー全員が遭難することもあります。すると、1件で複数人が遭難となるわけです。
 一方、山菜やキノコ採りの遭難というのは、確かに同じく複数で山に入るということも多くあるでしょうけれども、実際の山に入ったときは「自分だけのとっておきの場所」とか「分かれて広範囲を探した方が収量を多く採れる」ということで、山で別々の行動をするということになることもしばしばです。その結果、集合時間になっても集まらない1人が遭難…というニュースもよく聞かれるところです。この場合は、1件で1人の遭難というカウントになるわけです。

 ですから、上記のとおり「人数」で見れば、確かに登山者の遭難というのは全遭難者数に占める割合は高いという統計結果でありますし、昨今、無理な登山、常識では考えられない準備・行動でもって半ば自業自得と言える遭難もしばしば聴くことではありますが、こと統計上で見れば、私は単に「人数」だけで比較するのもどうかと思います。
 都道府県別では件数を上げているのに、目的別の遭難件数は上げていないというのは、これは資料作成としてはどうでしょうか?
 私としては、遭難者数というのは人命の重大性を考えれば必要な情報ではありますが、「件数」というそこに潜む要因を比較分析するのに必要な数値も出してもらいたいと思います。

 件数については、もう推測しかできません。
 
 登山以外の目的での遭難は、単独での遭難発生が多いであろうことを推測すれば、全体の1,676件の遭難件数のうち、登山以外の遭難者数=件数であったと仮定すれば、690人=件となります。
 すると、全遭難件数1,676件から登山以外の推定件数690件を引くと、「登山」の件数であるという結論になります。つまり、986件です。登山の遭難発生推定件数986件・遭難者数が1,395人となります。
 これで件数としての目的別発生割合を考えれば、登山は58.83%(人数割合では66.9%)。山菜取りは479人=件とすれば28.58%(同23%)となります。実際は、統計上の「登山」でも、沢登りやスキー登山など、遭難も単独というパターンが想定できるものも含まれていますが、その場合、登山の遭難件数はもう少し減り、発生件数割合はもう少し縮まると思いますが、わずかな範囲ですしそもそも推測での件数予想ですから除外します。

 私がこうもダラダラと書いたのは、別に「登山」の弁護をするつもりはサラサラありません。
 遭難者数が多くなりえる登山と、少なく抑えられうる山菜採りを「人数」で比較しただけでは、登山者への警告にはインパクトにはなってメリットになりえますが、同時に、山菜取りの遭難が少ないと思われるかもしれず、それがデメリットになりえるということを危惧したに過ぎません。

 だいたい、冒頭にも書きましたように、全遭難者数に占める目的別割合ということや、年齢構成を公表するのも大切ですが、そもそもが全登山者数(件数)に占める遭難者数(件数)とか、全山菜取り者数(件数)に占める遭難者数(件数)がわからない限り、何が目的での入山が危ないか、多く発生するか、なんて言えません。
 例えば、登山者数が年間1400万人いてならば、遭難者数が1,395人であれば1万分の1の確率と言えますし、もし山菜取り数が年間500万人いて遭難者数が479人ならば、やはり1万分の1の確率です。何とも言えないわけです。

 むろん、実際の事故だろうと登山人口だろうと、40代以上の件数が多いというのであれば、その年齢性を中心に事故防止の呼びかけを行うということは効果的であるのは間違いありませんが、同時に、無用にその年齢層ばかりが極端に事故を起こしているかのような誤っているかもしれない印象を記事や統計を見た人が感じてしまうという恐れもあります。

 日本中の正確な登山人口とか山菜取り人口なんて把握できませんから、それはもう、比較しようがありません。
 しかし、せっかく入山目的別で公表するならば、「入山目的ごとの死亡者数」などを公表すれば、「山菜取りでは予備食を持参する人が少ないので遭難が起きれば生存が難しいのだろう。予備食を持って行くように呼びかけよう」といった分析や対策にもつながるのに、それが公表されていないというのはちょっと残念な統計ですね。

山菜取り遭難相次ぐ

 山菜取りが熊との遭遇する危険性が高いということは最近度々書いていますが、遭難そのものも最近立て続けに起きております。

 5月21日の毎日新聞の記事では、北海道で山菜取りの遭難が立て続けに起きてしまった報道がありました。
遭難:山菜採りで相次ぐ 初夏にかけて事故のピーク期、道警が注意呼び掛け /北海道

 山菜採りに出かけて遭難する事故が相次いでいる。札幌市南区では18日に無職男性(99)が行方不明になり、19日には18〜29歳の男女4人が遭難。いずれも救助されたが、厚沢部町でも同日無職女性(77)が行方不明になり道警などが捜索している。札幌管区気象台によると、道内は22〜23日の週末は道東を除き穏やかな天気となり絶好の山菜採り日和になる見込みで、道警では注意を呼び掛けている。

 19日夜、札幌市東区の男性会社員(29)の父親から「息子らが山菜採りで遭難した」と110番があった。男性は同日午前11時ごろ、行者にんにくを採りに友人と計4人で定山渓の山林に入山。夕方になり川が増水して渡れなくなり、別ルートを探すうちに道に迷ったという。4人は翌20日午前5時すぎ、林道で手を振っているところを無事救助された。食料やテントなどは持っていなかったが、4人とも冷え込みに備えてウインドブレーカーを着ていたのが幸いしたとみられる。

 道警地域企画課によると、昨年の山菜採りの遭難事故は113件発生し、11人が死亡、5人が行方不明となった。今年は19日現在で10件(前年同期比10件減)にとどまっているものの、死者数は既に2人に上り、行方不明者も1人出ている。

 遭難事故は例年、タケノコや行者にんにくなどが採れる春先から初夏に集中。昨年は113件のうち104件が4〜7月に発生し、山菜別ではタケノコ採りの事故が72件(約7割)で最多だった。ささやぶを分け入って採るため、方向感覚を失いやすいのが要因とみられる。

 山菜採りでは群生する“穴場”を他人に秘密にする人が多く、遭難地点の特定に時間がかかるケースもある。また、山中は夜間に冷え込むこともあり、道警は「行き先や帰宅時間を家族に知らせて、出かける際は暖かい服装も用意して」と呼び掛けている。【金子淳、片平知宏】

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 <道警が呼び掛ける山菜採りの心構え>

(1)行き先と帰宅時間をあらかじめ家族に知らせる
(2)2人以上で入山し、声を掛け合って位置を確認する
(3)黄色やオレンジ色などの目立つ服装を選ぶ
(4)携帯電話や非常食、クマよけの鈴などを持ち歩く
(5)迷った際はむやみに歩き回らず体力消耗を抑える
 昨年同時期よりは発生件数は少ないということですが、死亡や行方不明が起きているというのは深刻です。
 この記事の良いところは山菜別の遭難にまで少し触れているところで、タケノコ採りがささやぶに入るために方向感覚を失いやすいという分析が大切です。
 また、記事末尾にも触れていますが、山菜の穴場は知り合いや家族にも口をつぐむという、保護のためならまだしも、単に強欲で秘密にしてそのせいで発見が遅れるというのであれば自業自得とも感じます。

 私は山菜取りなんかは全くしませんが、それでも道警が呼びかけている山菜取りの注意事項くらいは全てでは無いにせよ、心得ています。
 しかし、実際に山菜取りを趣味にしている人がそれを心構えとしていないというのであれば、ちょっと山に入るのは止めておいた方が良いように思います。

 軽装や油断による遭難・事故というものに関しては、こうも報道されているにも関わらず、それを自分のものと考えることができないという点では最近紹介した熊による加害事故と共通しており、実に残念なことです。
 「振り込め詐欺」と同じように、そういう事件・事故があると承知で、なおわが身に降りかかってしまうのでしょうか。日常生活に突如入り込んで来る詐欺事件とは違い、自らが進んで野山に入っていく以上、多少なりとも自覚というものを持ってもしかるべきだと思うのですが。
 もっとも、それは登山でも同じことが言えますけれど。

 5月31日の山形新聞からです。
山菜採り遭難、県内相次ぐ 慣れは禁物、準備入念に
2010年05月31日 08:35

 県内で山菜採りに伴う遭難が相次いでいる。今月18〜23日にかけて5件、立て続けに発生した。いずれも1度入ったことがある山での遭難。これから細ダケなどのシーズンに突入し、山に行く人が増えることから、県警地域課は「慣れた山で油断しがちなため、装備が不十分なケースが多い。しっかり準備して山に入り、自分の力を過信しないでほしい」と呼び掛けている。

 県警によると、今年の山菜採りでの遭難は28日までに計9件発生し、遭難者は計10人。発生件数は昨年同期と同じだが、遭難者は1人多い。今年の遭難者のうち亡くなったのは1人で、滑落やクマに襲われ2人がけがをした。死者は昨年同期より5人少ない。

 原因別にみると、「道迷い」が7件で最多。ほとんどが慣れた山でのことだった。山菜採りのポイントを知っているため、ルートを外れても帰れるという過信があり、道に迷う人が多いという。最近は複数で山に入るものの、山中で個人行動し、集合場所に戻れなくなるケースが目立つという。遭難者の多くは、山菜探しに夢中になり、居場所が分からなくなっていた。

 今年は低温の日が続き、山菜採りシーズンは例年より遅かった。18〜23日は天候に恵まれ、待ちわびた人たちが多数山に入ったことが、遭難が相次いだ背景とみられる。シーズンインが遅れた分、今後、遭難件数はさらに増えることが懸念されている。

 県警地域課は「山では油断大敵。しっかりと準備し、無理をしないことで遭難は防げる」とする一方、万一の備えも怠らぬよう求める。具体的には携帯電話、非常食を用意し、さらにヘリによる捜索で発見されやすいよう、目立つ色のレインコートなどを持って行くこと。行き先、帰宅予定時間を家族などに伝えてから出掛けるよう訴える。

 また「個人で行動する際は、声を掛け合ってほしい。ラジオを集合場所などに置いて聞こえる範囲で行動することも遭難防止に効果的」と指摘。今年は28日現在でクマの目撃情報が20件(昨年同日比12件増)と多く、クマよけにもなるため、ラジオの携帯を勧めている。 
 山形県でも、発生件数が増加しているとわけでもなく、死者も大きく減っているということです。
 しかし、それはたまたま気候が不安定な春であったために入山者が減っていただけとも考えられ、また事故が「油断」という点では深刻ではありますね。

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