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昨日、ミツバチや蜜が減ったことについて触れましたが、5月11日の毎日新聞に、スズメが減っている?という記事が出ていました。 <スズメ>激減? 日比谷公園で全数調査 5月11日15時0分配信 毎日新聞 「近年スズメを見かけなくなった」との声がバードウオッチャーの間で相次いでいるため、「日本野鳥の会東京」(東京都新宿区)は、東京都千代田区の日比谷公園で今後、10年間に及ぶ全数調査を始めることになった。スズメは身近な存在になっていることが裏目に出て、長期的な調査がほとんど行われていない。第1回は15日午前8時に実施する。 スズメの数については、立教大の研究チームが、農作物被害面積の減少率などから、半世紀前に比べ10分の1に落ち込んだ可能性を指摘。原因として、都心部を中心に巣作りに向いた木造住宅の減少や、餌場となる空き地や草原が減ったことが考えられている。 しかし、個体数は、ガンカモ科の水鳥やタンチョウのような希少種と違い、調査が乏しく、よく分かっていないのが実態だ。 そこで、野鳥の会東京は、春の繁殖期と越冬期の年2回、再開発が進む都心にあり、遊歩道を歩きながら野鳥の数を確認しやすい日比谷公園で調べることにした。調査は10年間続ける予定で、スズメの数を記録するほか、他の野鳥の種類や数、外敵のネコの数も把握し、減少の原因を探る。 中村一也代表は「スズメは人とともに暮らしてきた鳥だ。どんな環境変化が起きているのか発見したい」と話す。【田中泰義】スズメは人とともに暮らしているというのは私も実感としてあり、例えば泉ヶ岳では里には普通に見られるのに、少し山に入ると全く見られなくなります。あまり森林の多い場所では競合する野鳥の数や特に冬の厳しい環境などにより、生きられないのかもしれません。 では街中では?と思うと、ビル街ではあまり見ず、開けた公園とか庭木の多い住宅地とか、そういう場所でよく見られますね。 そんな人間近くに生活しているにも関わらず、慣れるとか懐くということもほとんどありません。人の住みやすい場所がスズメも住みやすい。人の生活がスズメが利用しやすい。そんな「野鳥」なのかもしれませんね。 身近にいながら、知っているようで実はよく知らない、結構、不思議な鳥です。 その数が減っているのではないか?というお話し。 私の子供のころ、30年ほど前は、近所に畑も水田もたくさんあり、よくザリガニやカマキリ、イナゴを捕まえて遊んだものでした。豊かな稲とそれを支える水田は生き物の宝庫でした。 ところが、かつての広大な水田は今はマンションや郊外型スーパーに変わってしまっています。稲刈りの後に見られたたくさんのスズメも、男の子が夢中になったザリガニも、うるさくともどこかリズミカルな鳴き声のカエルも、あれだけたくさんいたのに、丸ごと全て、消えてなくなりました。 そう考えると、スズメが激減していたとしても、悲しくとも不思議ではないように思います。 しかし一方で、人間の生活に密着して生きている生き物が減るということは、人間そのものの変化や生存環境の悪化という観点でも考えるべきかもしれません。少なくとも、スズメがたくさん身近にいた時とは、私たちの生活環境が大きく変わったとは言えることですし、その影響からの減少かもしれないのですから。 身近に野鳥もスズメもいないような生活ということを想像するだけでも、なんとも無味乾燥な都市生活のように感じますね。 こういう調査は地味ですが、多くのこと、しかも重要なことにつながるかもしれません。
ぜひ、詳細をお知らせいただきたいですね。 |
【自然関係のお話し】
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まだ数は少ないですが、私のメインの書庫です。
仙台市の泉ケ岳の自然を中心に、自然について考えていること・見たことなどをご紹介して行きます。
仙台市の泉ケ岳の自然を中心に、自然について考えていること・見たことなどをご紹介して行きます。
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ハチミツを分けてくれるミツバチの謎の減少について、以前少し触れましたし、養蜂ブームと熊の冬眠明けや春の食性の変化についても触れたことがありますが、今年の春の天候不順で蜜そのものも減ったという記事がありました。 5月14日の毎日新聞の記事では、和歌山県での話題を紹介しています。 ハチミツ:あけてびっくり、例年の1/4 低温と雨影響−−田辺 /和歌山 田辺市で13日、ハチミツの採取が始まった。肌寒い日が多い今春はミツの集まりが悪く、例年の3分の1〜4分の1という。 同市芳養町の蜂場で採ミツ作業を始めたみなべ町晩稲(おしね)、養蜂業、山本承弘さん(62)が「50年近くやっているが、初めてだね」と驚きの声をあげた。 約30個の巣箱の中にはそれぞれまな板ほどの大きさの木枠が8枚入っていて、ハチは枠の中にミツを蓄える。この季節のミツはミカンの花から集めるが、山本さんは「花にミツがありません。温度不足と雨が原因でしょう」と話した。 【後略】この春の天候は非常に乱れましたが、低温や雨により花の開花や蜜の状況に影響が出るのもそうですし、蜂の活動にも影響が出てのことでしょう。 50年の経験を持つ方が「初めて」のことと驚かれているのが、この春の気候やこの減少そのものが稀有なことであるということがわかります。 春の時期に蜜が例年の4分の1ということが、その後のミツバチの巣の繁栄や行動にどのような影響が出るのか?という点も、なにしろ50年に1度のことですから、しっかりとした調査などが望まれますね。 これは和歌山県だけではなく、奈良県でも同じようなことだと、やはり5月14日の毎日新聞の記事が伝えています。 掘り出しニュース:山桜はちみつ 今年は“お預け” 4月の寒さで40年ぶり 【奈良】生駒市の養蜂家、吉岡幸次さん(63)が毎年、生駒山一帯の山桜から採蜜(みつ)してきた「はちみつ」が今春は全く採れなかった。4月の寒さで花蜜が出なかったためという。養蜂家になって43年の吉岡さんにとって、「採蜜ゼロ」は約40年前に一度あるだけ。桜の香りが広がる希少な人気はちみつだが、来春まで待つしかない状態だ。【熊谷仁志】 吉岡さんは、生駒山周辺では県内唯一の専業養蜂家。長男伸次さん(35)と、生駒市側の同山一帯で山桜、アカシアなどから蜜を採った後、6月下旬から北海道ではちみつを採る。山桜は例年、ソメイヨシノが散り始める4月10日前後から順次開花。5月初旬にかけ、多い時で3トンの蜜が採れる。 吉岡さんによると、ミツバチが活発に活動するには、日中の気温が20度前後に上がる必要がある。しかし、気温が低いと、ハチが花粉を取りに行かず、「受粉の報酬の花蜜」(吉岡さん)も出ない悪循環に陥るという。今春は全く採れない状態が続き、5月初旬に採蜜を断念した。吉岡さんは「ショックですが、自然には勝てない。来春まで待ってもらうしかない」と話す。 奈良地方気象台によると、奈良市の4月の平均気温は12度で、平年より1・2度低く、記録が残る1954年以降5番目の低さ。日照時間は平年の83%の147時間で、過去10番目の短さだった。 生駒市松美台の直営店「吉岡養蜂園」では例年、4月下旬から採れたての「山桜はちみつ」が並ぶが、今年はアカシアのはちみつなどしかない。常連客の大阪府四条畷市の女性(47)は「残念ですが、仕方がないですね」とあきらめ顔だ。 このはちみつを使ったロールケーキなどを販売するパティスリー「ルシェルシュ」(生駒市東菜畑1)では、包装に「生駒山の山桜のはちみつ使用」と印刷していた。オーナーの高木基弘さん(34)は「在庫がなくなれば、生駒山の別の花のはちみつを使っていることをお客さんに伝えます」と話している。 一方、大阪府唯一の専業養蜂家で、生駒山系の大阪府側で養蜂業を営む稲田四弘さん(74)=交野市私市山手=は、例年より少なかったものの、山桜から約400キロのはちみつを採った。稲田さんは「交野の山桜は奈良側とは種類が違い、開花が遅い。時期の少しの違いで受ける影響が大きく変わる」と話した。 玉川大ミツバチ科学研究センターの中村純教授(養蜂学)は「桜は開花しても、蜜を吹くには一定の温度以上になる必要がある。そもそも4月はミツバチの活動時期には早く、桜からの採蜜は簡単ではない。花が長く楽しめるのは、ミツバチの活動などによる受粉がないためで、異常な寒さだった今春はその典型」と指摘している。時期や場所で、かなり違いが出るということもわかります。 ミツバチの巣やその働きを知れば、高度で複雑な社会を形成していることがわかりますから、気候の不順という大きな変化から、何かしら小さな変化でも、デリケートに影響してしまうのかもしれません。 以前、ミツバチの謎の失踪のほかに、人為的な要素なのか、大量死について触れたこともありましたが、5月14日の西日本新聞には未だ深刻な大量死について、長崎での様子の記事が出ていました。 ミツバチ大量死深刻 原因不明も農薬を疑う声 果樹の受粉に影響懸念 2010年5月14日 00:52 長崎県内でミツバチの大量死が起き、農家を悩ませている。農薬の影響との見方もあるが、今のところ原因は不明だ。はちみつの生産量減少に加え、ミツバチはイチゴやメロンなどの交配の役割を担っているため「農業全体に影響を及ぼす」として、県も対策に乗り出し始めた。 「25年間飼っていてこんなことは初めて」。長崎市琴海町で養蜂業を営む能祖正さん(55)は肩を落とした。間もなくはちみつの採取時期を迎えるが、今年は例年の半量とれればいい方だ。 昨年9月、巣箱の中や箱の外で大量のミツバチが死んでいるのを見つけた。その後も大量死は続き、飼育していた巣箱の6割を失った。 県内で飼育されるミツバチは約3200群程度だが、県養蜂協会が昨年9月下旬に行った緊急調査では、花粉交配用だけで900群以上が死んだ。協会の事務局長の能祖さんは、「はちみつ用も含めると全体の半数以上が死んだのではないか」と話す。 ■ ■ 果樹農家も深刻だ。イチゴやメロンのハウス栽培農家の多くが養蜂農家からミツバチを箱ごと借り、ハウス内で放して授粉作業をさせる。だが、佐世保市のイチゴ農家、松永利也さん(48)は交配期の10月を迎えてもミツバチを確保できなかった。 「このまま手に入らなかったら形はいびつになるし、収量も半分以下に落ちる」。何とか10日ほど遅れてミツバチを導入することができたが、貸し料金は例年の1・5倍に跳ね上がった。 県によると、養蜂農家が採蜜(さいみつ)用や増殖用に飼育しているハチを交配用に回したり、他県から借りたりして最終的には確保できたというが、「このままの事態が続けば大変なことになる」と松永さんは危機感を募らせる。 ■ ■ ミツバチの大量死は全国的傾向で、昨年4月には21都県で授粉用ミツバチが不足。だが、県内では他県に貸し出す余裕さえあった。 状況が変わったのは昨年秋以降。JA全農ながさきは昨年夏から秋にかけての水稲の害虫駆除に安価で効果が高いネオニコチノイド系の農薬使用を推奨した。商品説明には「2千倍に希釈しても25日以上ミツバチに悪影響がある」と書かれている。 全国でミツバチ減少の要因を調査していた独立行政法人農研機構畜産草地研究所は先月、この農薬の一定の影響は認めたものの大量死の原因を「病気やストレスなど複合的」と結論づけた。 それでも能祖さんは「養蜂家は農薬が最大の要因と疑っている」と指摘する。県は4月末「県みつばち連絡協議会」を設置。農家同士で農薬散布の時期と巣箱の位置情報を頻繁に交換し合うこととした。 能祖さんは「疑わしい農薬は使って欲しくないのが本音だが、まずは情報交換を深め共存共栄を図りたい」話す。 =2010/05/14付 西日本新聞朝刊=農薬使用は最近に始まったわけではないのですが、昨日触れたように、昆虫やウィルスは次々に世代交代をし繁殖力が旺盛なために農薬に対して耐性を身につけることがあります。それに対応するべく、農薬も次々に新薬が開発されるわけですが、そういう耐性を身につける機会が無かったミツバチには、いきなりの新薬の効能は強過ぎるのかもしれません。1つの巣に多いといっても同じ遺伝子のものが数が多く一か所にまとまっている以上、その他の数の多い昆虫よりも新しい能力を獲得するのは鈍いでしょうね。 ミツバチそのものが減り、花の生育も思わしくないということになれば、ささいな影響ではハチミツが食べられなくなること。深刻な影響では食べ物そのものが影響を受けることになりますね。 そのようなわけで、ミツバチではありませんが受粉を人手で行おうという動きも出てきたようです。
5月15日の河北新報の記事から。 見直される人工授粉 頼みのマメコバチが減少 日本一のリンゴ産地・青森県で、手間が掛かると敬遠されていた人工授粉が見直されつつある。生産者でつくる県りんご協会(弘前市)が農家から預かる人工授粉用の花粉の量は、最盛期には遠く及ばないものの、徐々に増えている。背景には、授粉作業の主力であるマメコバチの減少や近年の天候不順があるようで、関係機関も確実な方法である人工授粉と、ハチの併用を勧めている。 りんご協会は生産者から花粉を預かり、翌シーズンまで冷凍貯蔵する預託事業を手掛ける。 協会によると、授粉作業を省力化するマメコバチの普及で、1980年代後半に年間約1トンに上った預託量は、99年度には約43キロまで減少した。それが最近10年は増加傾向に転じ、2009年度は約67キロに。10アール当たりに必要な花粉は12〜20グラムで、09年度は414戸が花粉を預けたという。 協会は花粉に余裕のある農家から提供を受け、希望者に配るあっせん事業も実施しており、今年は10キロ以上の要望があった。 花粉需要が増えた一因に、県内のリンゴ園の約8割が導入しているマメコバチの減少がある。農家は40アールに一箱の割合で巣箱を設置し、自然のマメコバチを集めて飼育。開花期に放ち、自然受粉させてきた。 県産業技術センターりんご研究所(黒石市)によると、10年以上前から飼育の管理意識が薄れている園地が目立つようになった。櫛田俊明病虫部長は「巣箱の定期的な交換などを呼び掛けているが、ハチが減少している傾向は変わらない」と話す。 天候不順への危機感も農家の目を人工授粉に向けさせている。県内のリンゴ農家は08年、開花期に霜に遭い、大きな被害を受けた。低温で花が枯れて受粉が進まなかったのが理由だ。 気温が低いと頼みのマメコバチの活動も鈍る。リンゴ協会は「低温対策を講ずるとともに、マメコバチに人工授粉を併用する生産者が増えている」と言う。 県内では12日に主力品種「ふじ」が開花し、授粉作業は本番を迎える。今季も低温による霜害が懸念されており、りんご協会は人工授粉を採り入れて確実に結実させるよう呼び掛けている。 2010年05月15日土曜日 |
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以前、虫除けスプレーに使われている「ディート」という成分について少しご紹介しましたが、5月11日のナショナルジオグラフィック公式日本語サイトに、そのディートが効かないという蚊について、記事が出ていました。 虫よけスプレーの効かない蚊が出現 ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト5月11日(火) 16時14分配信 / 海外 - 海外総合 いずれは電気虫取り器を携帯する生活になるのかもしれない。最新の研究によると、現在最も普及している虫よけ成分「ディート(DEET)」が効かない蚊が出現し、その遺伝属性は子孫に伝わることが判明したという。 ディート(ジエチルトルアミド)はほとんどの虫よけスプレーに使われている化合物で、植物の化学成分の研究を基に開発された。病気を媒介するカやダニなどを寄せ付けない効果を発揮する。 研究チームの一員で、イギリスにあるロザムステッド農業試験場の化学生態学者ジェームズ・ローガン氏は次のように話す。「メスが産卵に必要な血液を狙っているときには、普段の食物(樹液や花の蜜)に対して何の興味も示さない。ディートを体にまとった人間は、カにとっておいしそうなにおいがしなくなるのだ」。 しかし今回の研究で一部のネッタイシマカ(学名:Aedes aegypti)が、ディートの虫よけ剤を塗った人からも前と同じように吸血するようになったと判明した。ネッタイシマカはデング熱や黄熱病を媒介する種である。調査の結果、遺伝子の変異により、カの触角にある感覚細胞がディートを感知しなくなっていたことがわかった。 そしてこの変異型同士で繁殖が進むと、ディート非感知型の比率が一世代で13%から50%へ増加したという。研究成果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版に5月3日付けで掲載されている。 ただし、「無敵の害虫の出現を恐れる必要は今のところない」とローガン氏は注意を促す。非感知型の交配相手はほとんどが従来型で、しかも大量に存在する。「世界中の人間がディート漬けにでもなれば話は別だが」。 Rachel Kaufman for National Geographic Newsこのディートがなぜ忌避効果があるのか?というのがそもそもよくわかっていないということだそうですので、それが効かなくなったと言われても、わからないことだらけで、何とも言えません。 記事中の化学生態学者のお話しでは、蚊にとって魅力的な「におい」を感じさせなくなるという効果をディートに見出されていますが、もしそうならば、ディートの妨害をもかきわけて人間のにおいを感知する鋭い感覚器を持っているということになりますでしょうか。 ウィルスや昆虫は、世代交代が早く繁殖力が旺盛なため、こういう特性がすぐに広がります。 農業害虫を駆除する農薬も、数の多い植物を食べるような害虫には効果がありますが、数も多く繁殖力も強いため、耐性を身につける種類も出て来やすく、常に新薬などが開発されてきます。しかし、植物を食べる昆虫を食べる肉食昆虫は数が少ないため、そういう耐性を身につける能力が低く、先に死に絶えてしまいます。すると、天敵により抑えられていた分が生き残るようになり、また数を増やして…という悪循環になっている面も否めないのですね。
そのうち、殺虫剤ではもっとも一般的なピレスロイド系の薬剤も効かない蚊…というのも出てくるかもしれません。 |
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佐渡島のトキ大量死事故に関わったテンは、ウサギを駆逐するために人為的に佐渡島に持ち込まれたものですし、奄美大島のマングースもハブ対策で持ち込んだものですが、いずれも用済みとか思惑違いなどの人間の都合によって、歓迎されたり邪魔にされたりと、人間に翻弄されています。 また、以前、RNAの働きを抑制して「羽の無いテントウムシ」を創り出し、害虫駆除に使おうという記事を紹介しました。 私は人間の知恵というものをどうも不安に思う一方で自然への畏怖が強いので、自然の性質を人間が自分らの都合の良いように使おうと思いついたことは、何かトンデモない重大な見落としが無いだろうか?とつい慎重に構えてしまいます。 4月24日の岐阜新聞の記事に、ナラ枯れ被害を引き起こすとされる甲虫に、天敵となる線虫をぶつけることで、効率的に防除できるという実験結果を紹介する記事が出ていました。 線虫でナラ枯れ防止 キクイムシに寄生し駆除 2010年04月24日08:56 県森林研究所(美濃市)は、ナラ枯れ被害を引き起こす甲虫カシノナガキクイムシ(カシナガ)に、天敵である線虫を寄生させる試みが駆除に有効だったとする野外試験の結果をまとめた。環境に与える影響が少なく、従来の殺虫剤を使う方法よりコストを約3分の1に抑えられるのが強み。2011年度中の実用化を目指す。 同研究所の大橋章博主任専門研究員(48)が今月、筑波大で開かれた日本森林学会で発表した。線虫は長さ約0・5ミリ。カシナガの幼虫(約5ミリ)の口や腹部の気門(呼吸の穴)から侵入し、体内にバクテリアを放出。幼虫は、1〜2日後に敗血症で死ぬという。線虫、バクテリアとも人体には無害。 線虫は、地中で芝生を枯らしたりサツマイモに付くゾウムシなどの駆除に使われている市販の品種を使った。 試験は関市の百年公園で実施。08年10月、枯死したコナラの幹に10カ所の穴を開け、計2500万匹の線虫を水に混ぜて注入した。09年6〜9月に木からはい出したカシナガの成虫を数えた結果、対策をしなかった木からは1本当たり約3400匹だったのに対し、線虫を放った木は9割以上少ない約120匹に抑えられた。各5本ずつ比較した。 殺虫剤を注入する従来の駆除は、木1本につき100カ所ほど穴を開ける必要があった。効果は、ドリルが届く地上から2メートルほどの高さに限られ、駆除できる幼虫は、3〜8割にとどまっていた。 線虫を使うと、穴の数が1本当たり10カ所で済むため、作業時間が短縮。線虫は水を吸い上げる木の中の管を通って移動するため、効果は木全体に及ぶ可能性がある。大橋さんは「殺虫剤は木も殺すため、生きた木には使えなかった。線虫を使えば、木を生かしたまま、カシナガを駆除できる」と話している。 【県内のナラ枯れ】 カシナガの被害は1996年に揖斐郡揖斐川町で初めて確認、2009年は合併前の旧99市町村のうち51市町村に広がっていた。99〜08年までの10年間に東京ドーム77個分に当たる約360ヘクタールを枯らした。被害を受けやすいコナラやミズナラなどは県内の森林の51・3%、飛騨地域では58・1%を占め、被害の拡大は昆虫など多様な生き物のすみかを奪ったり、土砂災害につながる恐れがある。記事中の線虫を使った市販品種というのは、「スタイナーネマ・カーポカプサエ」という昆虫寄生性線虫を用いている「バイオセーフ」という製品と思われるのですが、これは果樹やゴルフ場の芝などを守るために使われている生物農薬としては、知っている人にはよく知られているポピュラーなものです。ここ20年近く前から使われています。 生物農薬のメリットというのは、化学薬品と違って土壌汚染や人への健康被害が少ないまたは無いという点と、使用する生物によってはターゲットとなる昆虫を絞り込んでそれだけに影響を与えることができること、化学薬品と違い対象昆虫に耐性がつきづらいということがある…と言われています。 記事中にも人体には無害と書かれていますが、直接的には無害なのかもしれませんが、いつ、どう変異しないとは言い切れませんし、ある特定の生物が特定地域で人為的に増加させた場合に、それで影響を受けるのは何も駆逐したい生き物だけではないのではないか?という心配をしてしまいます。 まあ、その辺の心配は、試験・開発をした優れた研究者の方々が検証済みだとは思うのですけれど、広大な森林でこれをまいた場合でも、その地域で与える影響はゾウムシしか無い…というのは、シロウトの杞憂だとは思うのですが、やはり一抹の不安があります。 しかし、効果が高く安全性などが本当に問題が無いのであれば、うれしいニュースでもありますね。 もっとも、ナラ枯れの原因もこの甲虫だけとも言えないのですけれど。
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以前、カエルツボカビやラナウィルスによって、カエルが打撃を受けているという話を紹介しました。 ところが最近になって、今度はトウホクサンショウウオに寄生する寄生虫がこの小さな生物を絶滅に追いやりつつあるという警鐘が鳴らされました。 4月17日の河北新報の記事です。 トウホクサンショウウオの感染症、福島で確認 種絶滅の危機 福島県の阿武隈山地北部で、体に多数の結節(いぼ)があるトウホクサンショウウオが見つかっていることが、16日までに分かった。奥羽大(郡山市)と麻布大、山口大の研究グループは、哺乳(ほにゅう)類が媒介する寄生虫による感染症と特定した。環境省のレッドリストで「準絶滅危惧(きぐ)種」に指定される貴重な種が激減する恐れがあり、国内の両生類で被害が拡大する兆しもあるという。 研究グループによると、結節があるサンショウウオは2000年に伊達市で初めて見つかり、南相馬市や相馬市などでも発見された。症状が確認された地域は年々拡大し、100%近い生息地も出ている。 結節は直径数ミリで、重症になると体全体に数百以上も出現。現地で調査している奥羽大の伊原禎雄助教(両生類学)は「指の欠損や体の硬直などを引き起こす。個体数の減少や繁殖行動への影響が懸念される」と言う。 解剖などの結果、結節は吸虫の一種がサンショウウオの皮下組織に寄生するためだと判明した。この吸虫は日本在来種のテンやアナグマから見つかっていたが、サンショウウオに重い症状を引き起こした例はなかった。 研究グループによると、吸虫は従来、最終宿主となるテンなどと中間宿主の貝類、両生類との間で循環して生息していたが、何らかの要因で突発的に増え、サンショウウオに病気をもたらしているのではないかという。 山口大の佐藤宏教授(寄生虫学)は「原因は明確ではないが、この地域でテンなどは増えていない。可能性として考えられるのは、両生類を大量に食べる外来種のアライグマやアメリカミンクの存在。外来種が吸虫を増加させていないかどうか、究明する必要がある」と指摘する。 佐藤教授によると、阿武隈地域で捕獲されたアライグマからこの吸虫が発見された例はないが、九州北部や近畿地方のアライグマからは見つかっている。人への感染は「生で食べない限り、問題ないだろう」という。 吸虫による結節症は今年、茨城県のトウキョウサンショウウオや福井県のヒダサンショウウオでも確認された。研究グループは「日本は世界的にも多様なサンショウウオが生息している地域。全国的な感染拡大が心配だ」としている。 <国内未確認の病気/宇根有美麻布大准教授(獣医病理学)の話> 国内ではこれまで確認されていなかった病気で、世界的に両生類に被害を与えているカエルツボカビやラナウイルスに続く第3の重い感染症と言える。確実にサンショウウオを減らし、絶滅も心配される。 2010年04月17日土曜日これまでもテンやアナグマなど、里山ではめずらしくもない動物で既に見つかっている種類の寄生虫であるのに、ここ近年になってサンショウウオへの影響が確認されたということが重大です。 これは考えられるのは、1つは寄生虫そのものが何らかの性質の変異があったということ。寄生虫が増えたということ。そして、寄生虫がサンショウウオの生息域に来るようになって寄生する機会が増えたということです。 寄生虫が増えるということは、媒介する生き物が増えるとか、生き残るような環境上の変化があったと考えるべきでしょう。 テンやアナグマも、肉も食べますし果実も食べます。しかし、サンショウウオの棲むような水辺で何かを食べるということはほとんどありません。イタチが水辺に見られますので、イタチがどのようになっているか?ということが気になります。 同じように、記事中にもありますように、アライグマなどは水辺にしばしばやって来ます。 これらの糞便から、寄生虫卵が水辺に広がっているのかもしれません。 おおむね、記事中の推測の線で間違いないのではないでしょうか。 サンショウウオを生で食べるということはなかなか考えづらいですが、「水」は別です。 寄生虫卵が水に浮遊しているのを知らず、見た目がきれいな水を飲むことにより、人間にも広がるかもしれません。 私は以前、山の施設で働いていたときに、公営水道局並みの水質検査とろ過・消毒を手掛けたので知っていますが、見た目がきれいな表流水でも、クリプトスポリジウムのような寄生虫がいる可能性(指標菌である糞便性大腸菌と嫌気性芽胞菌、両方の検出)が多くの場合であるのです。動物が生息している山中の川の水ですから、無い方が不思議なわけで、その量が多いか少ないかというレベルです。 と、いうわけで、どうも大事な記事なのに掘り下げがなされていない今日のブログですが、山の中で見た目きれいな川の水でも飲むのは避けた方が無難です、などというあたりさわりのない話でまとめたりして。
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