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【読書感想】

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私が読んだ本の書評を掲載していきます。
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 私はスズメバチの観察が好きで、いろいろな本を買い込んでいますが、長年、購入しようかどうか迷っていた本を、ついに昨日、購入しました。

 それがこの北海道大学図書刊行会から出版された「図説 社会性カリバチの生態と進化」という松浦誠先生の本です。

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 松浦先生はスズメバチに関する著作が非常に多く、先日書いた「スズメバチはなぜ刺すか」もあります。

 著者の松浦先生はスズメバチやアシナガバチといった社会性カリバチの研究では私は日本一と思っている先生で、スズメバチの種類とそれに関わる文化が根付いた日本において日本一ということは世界でもトップレベルの研究者であることは間違いないと思います。

 著作を拝見すると、研究と著作にかける情熱や執念、蜂に対する愛情は並はずれた方です。単に自分の研究結果を記録しているのではなく、ご自身の研究成果や考えを全て惜しみも無く発表され、蜂と読者の役に立てたいという思いが伝わってきます。

 私は仕事柄、様々なその道の専門家や学者、研究者、有名大学の研究室にいらっしゃるような学生などにお会いする機会が多いのですが、結構多くの人が「知識は自分のためのもの」とでも思っているかのように、出し惜しみをしているような、「自分のための研究」にしている感じがします。
 私にとって能力や知識などは人の役に立ってこそのものと思っていますので、いくら見識や知識がすばらしいものでも、それを誰かの役に立てなければ

無いも同然。無価値。

でしかありません。
 そのような方々は、そのような知識を外に出す機会があっても、万人向けでは無い難解な場合があります。むろん、高度な内容は聞き手にもその知識を有するべき資格が求められますが、一般市民相手の講演や著作の場合、それを求めるのは傲慢だと思います。
 また、そういった聞き手や読み手を意識していない自己優先的な態度を持っていると、他人の意見や忠告を聞くこともなく、自分の枠の中で限界を早めてしまうこともあるのですね。

 ところが、この本の著者・松浦先生は、すばらしい写真や知識を惜しげもなく、しかし一般向けの本ですからその中では複雑難解なことを並べたてるのではなく、興味を引きそうなものをわかりやすく噛み砕いてお教えくださいます。
 私はもともとスズメバチに興味があったのですが、この先生の著作からお教えいただいたことばかりで、観察開始初期に「スズメバチはなせ刺すか」に出会ったことがここまでドップリとスズメバチに関わるようになった一因ですし、他人に何かを解説するときは自己満足ではないか?傲慢になってはいまいか?と意識するようになりました。

 さて、そんな先生の著作であればすぐにでも欲しいと思いますが、なぜ躊躇していたか。
 それは、値段が高いからなんですね。

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20,600円。

消費税が600円なのは、本体価格が2万円で、消費税率が3%のときに出版されたものだからですね。また版を重ねていないようです。現在は21,000円になっています。

 学術書で、出版部数が少ないというものや、写真点数の多いものはこれくらいでも普通ですし、もっと高額なものがありますが、一趣味で購入するにはちょっと躊躇する金額です。
 と、いうわけで、数ヶ月間、毎月給料日に3千円ずつ貯めていて、貯金し始めて先月で7か月経ったので、注文したわけです。

 拝見して思ったのは、

これは、21,000円でも、安い。

ということです。
 写真が多く、しかもそれらが非常にめずらしく滅多に見ることができないようなものばかりで、おそらくは松浦先生がこれまでの長年の観察や観察を通じて撮影して来られた写真の多くをここで惜しげもなく見せてくださっているのでしょう。
 金額としては2万円というのは決して安いものではありませんが、これを2万円で作れと言われても到底無理ですし、おそらくは普通に観察した程度では見られないスズメバチらの様子を見られるのですし、何よりも松浦先生という世界有数の研究者の知識をお分けいただけるということから「安い」と思うわけです。

 スズメバチの観察をされていたり、興味をお持ちの方。
 ちょっと高額かもしれませんがいかがでしょうか?毎月3千円×7か月で購入できますよ?

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 「ポケット版 学研の図鑑9 フィールド動物観察」(学研)という本についてです。

 この本は、野山を歩いて見かける動物の足跡や食べあと、ふんを写真入りで解説し、それがどんな動物の残したものでどんな状況だったのかを丁寧にわかりやすく解説した本です。
 私もたくさんのこの「フィールドサイン」に関する本を見ましたが、その中ではこの本が一番わかりやすく参考になりました。
 これから野山で動物観察をしたり、里山歩きを始めようと思っていらっしゃる方にはオススメの本です。

 さて、昨日の投稿で書きました、私がこの本の表紙を見て「あれ?」と思ったこと。皆様にはお気づきいただけましたでしょうか?

 表紙の写真。
 これをパッと見ますと、「うさぎが雪の傾斜を(写真の上の方向へ)駆け上がって、こちら(カメラマンの方)を振り向いた瞬間の写真」というイメージを受けます
 しかし、よ〜くうさぎを見ますと前足がこちらに向いています。そして昨日書きましたとおり、「大きな足跡が並んでいる方が進行方向」なのですから、この足跡は「雪の斜面を降りてきた(写真下の方向へ)足跡なのです。
 つまり、このついた足跡は、この写っているうさぎの足跡ではない(少なくとも同じと言える根拠はない)と言えるわけです。
 言ってみれば、「うさぎがこれから斜面を降りたらつくであろう、足跡の予想写真」と言えるでしょうか。

 むろん、「けもの道」のように、同じ場所をいろいろな動物や同じ個体が何度も通ることはあります。しかし、この写真を見ると、「足跡にピッタリ」軌道が重なった位置にうさぎがいます。
 私も雪山を相当に歩きましたが、ほぼ同じ場所にピッタリ重なるようにうさぎが重ね歩いた足跡は、見たことがありません。

 よくよく考えてみれば、「フィールドサインの本」において、この写真、「できすぎ」の感じがします。
 足跡をつける動物と、そのつけた足跡がうまい具合に、しかも雪山のきれいな風景の中で、というのは、カメラマンにとってはこれ以上にない「おいしい写真=ベストショット」です。

 と、いうことで考えられるのは、

1)1度通って足跡がついていた場所でカメラマンが待っていた(または自動撮影装置をつけていた)ところ、偶然にも同じ場所にうさぎがまた顔を出した瞬間の写真
2)斜面の下で待っていたらうさぎが顔を出した。そこで1枚写真を撮った(このとき、足跡はまだついていない)。そしてそのうさぎが駆け降りてきて斜面に足跡をつけたから、その足跡の写真と合成をした。
3)斜面に残っていた足跡と、他で撮ったウサギを合成した写真。カメラマンの知識不足で、うさぎの身体と足跡の方向がわからずに、間違えて合成してしまった。

という3点なのですが、私は「1」はちょっとあり得ないと思うのです。

 そこで、出版元の学研に問い合わせたところ、担当の方も「確かに言われてみればおかしい」と思ったらしく、版権を持つカメラマンに問い合わせてくれたようです。しかし当然と言えば当然ですが、合成とは言われなかったようで、「偶然、前についた足跡のところにまたウサギが来た、ということのようです」という主旨の回答でした。
 私は、「自分の作品を合成と疑われるのは面白くないことだとは思いますが、フィールドサインの本ですから、位置関係がこうなると読者が誤解しても何ですので、紛らわしいので写真の表紙は次の版を出されるときに変更することもご検討なさった方がよろしいのでは?」と、余計なことですがお伝えしたところ、かなり積極的に同意されました。
 さて、どうなることやら。

「野草の名前」

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 今日ご紹介するのは、山と渓谷社から発売されている「山渓名前図鑑 野草の名前」の「春」「夏」「秋冬」の3冊です。

 普通の野草の図鑑とは違い、それぞれの野草の名前の由来を図解入りで詳しく解説している本です。
 私がこれまでの図鑑で非常に不満だったのは、先日も書きましたが、名前の由来について触れていても、その由来の解説が非常にわかりづらかったり、中途半端だったりしたことです。
 例えば「ウツボグザ」は、「矢を入れる道具から名付けられた」では、それがどんな道具なのか、見比べたくなるものではないですか。それなのに、その解説までは無いものがほとんど。
 そんな半ば欠陥品とも言える植物図鑑を蹴散らす本が、この3冊のシリーズです。

 昨今、チューリップを何十本も踏み散らしたり切断したり、一方山野草の盗掘もひどいものです。
 しかし、かつては野に咲く草花1つ1つにまで気にかけ、大切なわが子のように名前を一生懸命に考えて名付けた文化や風流が、日本人は確かに持っていたのだと、そういう素晴らしい感性があるのだということを、1ページ1ページに感じることができます。

 私もかつては、山野草の名前をたくさん知っている人を見ると、「なんでこんなにも知っているのだろう」と、丸暗記する勉強が苦手(嫌い)だった私は驚いたものですが、この本のように、その名付けられた理由が詳しく掲載されていると、それに関心してすぐに覚えるものだと思いました。
 ただ、「この花はオニユリ」などと言われて単語帳のように覚えようったって、覚えられるものではありません。「赤鬼の顔のように真っ赤な色をしているので、オニユリ」と聞けば、真っ赤なユリがオニユリだとすぐに覚えるものでしょう。

 とても良い本です。

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 木村盛武さんのご努力と情熱の結晶を基に生まれた吉村昭先生の名作「羆嵐」は、ラジオドラマにもなりました。

 1980年3月23日(日)に2時間枠(放送は113分)で放送された大長編で、TBSラジオドラマスペシャルとして放送されたようです。
 脚本は「北の国から」で有名な倉本聰先生で、主演は高倉健さんです。私はもしこの小説を映画化するならば、寡黙な銃の名手・銀四郎役を高倉健さんがふさわしいとこのラジオドラマの存在を知る前から思っていましたので、やはり誰もがそう思うイメージの重なりなのでしょう。
 そして放送は、「放送文化基金賞(第7回ドラマ番組部門奨励賞)」を受賞したとのことです。

 こちらは現在、横浜市中区にある「財団法人 放送番組センター」が運営されている「放送ライブラリー」(http://bpcj.or.jp/search/show_detail.php?program=133237)で公開されており、無料で聴取できることができます。ありがたいですね。

 その他、脚本全編は映人社発行の月刊誌「ドラマ −脚本の世界−」の1980年4月号に全文掲載されています。(http://eijinsha.weblogs.jp/blog/cat2099859/index.html
 こちらはバックナンバーも品切れのようですので、入手するには古書店をこまめに探さなくてはなりません。
 ちなみに私は、映画・演劇・演芸書の専門店である「矢口書店」さんのHP(http://yaguchi.jimbou.net/catalog/index.php)をこまめにチェックして、在庫が入った瞬間に通販で購入申し込みをして入手しました。こちらの古書店さんも、専門書店ならではの豊富な知識で、大変ご親切な対応をしてくださいます。
 このほか、Yahoo!のオークションでも取引実績があるようですが、私もしばらくの間検索し続けましたが、入手は困難かもしれません。

 このほか映像化されたものとしては、やはり1980年に東映で制作し三國連太郎さんが主演したテレビ映画「木曜ゴールデンドラマ 恐怖!パニック!!人喰熊 史上最大の惨劇 羆嵐」(日本テレビ)がありますが、現在はこの事件の舞台となった北海道苫前町にある「苫前町郷土資料館」(http://www.town.tomamae.lg.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1186713515857&SiteID=0&ParentGenre=1000000000010)でダイジェスト版を閲覧することができます。
 それにしても、センセーショナルなタイトルですな。
 このシナリオについても、月刊誌「ドラマ −脚本の世界−」の1980年12月号に掲載されているようです(私は持っていません)。小川英さんという方によるシナリオです。

 これらの媒体はそれぞれの場所に行くしか聴取・視聴はできませんので、商品化をお願いするサイト「たのみこむ」にて、私よりも先に提案をしていた方がいらっしゃったので、私もさっそくたのみこみました(笑)。
 興味のおありの方は、ぜひご支援の「たのみこみ」をお願いいたします。今のところ、それぞれ3名の同意者しかいないようなので…。
http://www.tanomi.com/metoo/naiyou.html?kid=70922
http://www.tanomi.com/metoo/naiyou.html?kid=64614

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野性伝説 羆風

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 木村盛武氏の並々ならぬ情熱でまとめ上げられた「苫前三毛別事件」についての記録は、先に紹介した吉村先生の「羆嵐」だけではなく、戸川幸夫氏の「羆風」など、たくさんの文学や映画などに描かれることになりました。

 今日ご紹介するのは、講談社から出された矢口高雄氏のマンガシリーズ「野性伝説」の1〜3、「羆風(上・中・下)」です。私が持っているのは文庫版です。
 戸川氏の小説「羆風」を原作に、大自然に親しまれてこられた矢口氏ならではのタッチで、この戦慄の事件を視覚に訴える作品に仕上がっています。それでも残酷な部分は極力失くす配慮をするなど、誰でも抵抗なく読むことができる「入門編」のような形に感じます。

 私としては、熊目線で描かれている部分もある戸川氏原作のものよりも、人間の心の機微を鋭くとらえた吉村氏の小説を原作にして欲しかったというのが正直な感想です。
 しかし視覚に訴えるということはその分、1人1人の登場人物の苦悩を推し量る余地が無くなり、娯楽性が強くなるように感じます。

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