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 1ヶ月ほど前、富山県内で母グマの大量補殺の影響で冬眠できなくなったと思われる子グマらしき動物の目撃が相次いでいるという記事を紹介しましたが、2月19日の北日本放送の報道によると、富山県魚津市で豚舎に出没した子グマが射殺されるという事件が発生したということです。
2011 年 02 月 19 日 16:00 現在  
魚津市の養豚場にクマ  

 19日午前、魚津市の養豚場でクマが目撃され、このクマは射殺されました。警察では住民に注意を呼びかけています。 

 魚津警察署によりますと19日午前10時20分ごろ、魚津市鉢の養豚場で、29歳の従業員の男性が、豚舎の中に子グマ1頭がいるのを見つけて警察に連絡しました。 

 警察が魚津市役所に連絡し、子グマは市の有害鳥獣捕獲隊によって射殺されました。 

 子グマは体長が80センチ、重さ20キロほどのメスで、飼育されている豚に被害はなかったということです。 

 警察では付近の住民に注意を呼びかけています。  
 食糧不足による体重の軽さを考えても、体長から、せいぜい1〜2歳くらいでしょうか。そのくらいであれば、本来はまだ母グマとともに行動しているような年齢ですし、体長のわりに軽めの熊です。
 これまでの状況から勝手に推測すると、母グマとはぐれたか、あるいは母グマのみ補殺されるかなどした子グマが、豚そのものを食べに来たというよりも、豚用の飼料のにおいにでも誘われたか越冬できそうな場所を求めてやって来たものだとも考えられます。

 この報道だけでは情報が足りなさ過ぎるので何とも言えませんが、これだけを見る限りでは、射殺の緊急性があったかどうかとも感じられる余地があります。
 とは言っても、現場がそう判断したのでしょうし反証できるほどの材料もありません(支持できる材料もありません)し、追い払っても飢え死にするとか、他に出没するようになるだけで抜本解決は困難な状況であります。
 別に「子熊がかわいい・かわいそうだから」というわけではありませんが、里に出ることを覚えたであろう成獣を殺処分するのはやむを得なくとも、子熊まで殺処分をしたり結果的にでもそうなっては、頭数管理なんてままならないでしょう。既に絶滅したトキの復帰に莫大な予算をかけるくらいならば、こういう熊を保護し、野生復帰させるための施設を作る方がよほど支持を得られてたやすいことだと思うのですが、まあそこは様々な事情があるのでしょう。つまり、熊ではお金に結びつかないわけですな。

 体長80cmで重さが20kgというと小型・子熊なわけですが、人間の幼児ならばどうということは無いくらいですが、どの本で読んだか忘れてしまって見つけられないのですが、子熊を育てたことのある方の話を聞く限りでは、2〜3歳くらいになると、犬くらいに小さくとも相当に力は強く、爪も鋭くなってきているため、人間の大人でも持て余す場合が出てくるということです。人や犬の大きさを考えて、「無害」とも一概には言えません。特に、子供が遭遇してしまった場合は、思いがけないケガにつながりかねないこともあり得るでしょう。

 それにしても先だっても書いたのですが、母熊を補殺することでその1〜2頭の熊までも生き残りが難しくなるということは、1頭の補殺が3頭の補殺と同じようなインパクトを持ちかねない場合があるということが心配です。
 また、昨年秋はいわゆるドングリ類の不作で人里への大量出没と補殺件数の増加傾向が全国であったわけですが、補殺を免れた個体でも、栄養状態が不十分であった場合、出産が無事果たせるかという点でも危惧されます。
 以前も紹介しました環境省が公表している「H22年度におけるクマ類の捕獲数(許可捕獲数)について[速報値]」を見ますと、例えば、平成18年が多く、翌年が少なくなって、そして平成22年が増加しており、これを「ドングリの豊凶による出没の増減」と見ることもできますが、同時に、平成18年に凶作で大量補殺されたことと同時に子熊の死亡、出産がうまくいかないなどして数を大きく減らしたものが、ちょうどドングリ類の豊凶と重なるように数年かかって回復しているとも考えられます。
 木々としてはそういう豊凶は自らの拡大戦略としてのものと考えられていますが、食糧不足に加えて人為的な補殺が過度になってしまうと、ある時点で一気に熊が絶滅に向かうということにもなりかねませんね。

 母熊を一頭撃てば、頭数管理計画上、「駆除・補殺は1頭」かもしれませんが、もし、そこに未熟な子熊が2頭一緒に行動していた場合は、それを殺さずとも結果として死に至る可能性が高いわけですから、本当は「駆除・補殺は3頭」というようにカウントというか認識をしませんと、大きな誤差が出そうなものですが。

【追記 2011.02.21】
 2月20日の中日新聞に、もう少しだけ状況が書かれていました。
魚津の養豚場にクマ出没、射殺 体長70センチ
2011年2月20日

 十九日午前十時二十分ごろ、富山県魚津市鉢の養豚場の豚舎に入り込んだクマ一頭を、男性従業員(29)が発見、市有害鳥獣捕獲隊が豚舎からクマを追い出して射殺した。豚舎の豚五十六頭に被害はなかった。

 捕獲隊によると、クマは体長七〇センチ、二歳ぐらいの雌。豚舎の中を歩き回り、豚の餌を食べていたとみられる。

 養豚場の関係者は「びっくりしたが、豚や豚舎に被害がなくて良かった」と話した。

【中略】

 今年一月初めにも同市大海寺野で子グマが目撃されている。捕獲隊員は「親グマが射殺されて残った子グマが冬眠できずにいる。冬眠から目覚めるのは四月ごろだが、暖かくなると、冬眠していないクマが早く動きだす」と話し、注意を呼び掛けている。
 体長が先の報道より10cm縮んでいます。。。またかいな。

 しかし、メスだったというのがまた、ダメージが大きいですね。2歳のメス熊ということですから、あと2〜3年ほどもすれば出産可能なところだったわけですから、この個体と、この個体が将来産むはずであった何頭かがこの射殺で失われたとも言えます。
 射殺の是非はわかりませんが、それは間違いなく言えるわけで、逆に言えば動物を保護するのであればメスを優先的に保護し、絶滅に追い込みたいならメスを優先に補殺することが、それぞれ効率的というわけですね。

 人身被害の恐れというよりも、豚に驚くか興味があって近づいて、爪で豚の身体に傷を負わせるという被害の恐れという感じだったのでしょう。あとで書きますが、侵入されたことそのものでも結構なダメージになりかねません。
 しかし、いくらなんでもこの程度の熊では、養豚場関係者の危惧されるような豚舎への影響を生じさせるほどの力は無いと思いますよ?どれだけもろい豚舎なんですか。「三匹の子ブタ」のワラで作った小屋じゃあるまいし。

 豚は汚い・臭い、貪欲でなりふり構わないたくましさ…というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、実は非常にデリケートな生き物で、豚舎は衛生管理に細心の注意を払って運営されている場所です。
 農水省のホームページに掲載されている「家畜の生産段階における衛生管理ガイドラインについて」の豚の項目を見ると、非常に細かくガイドラインが設定されています。中身をご覧いただかなくとも、その分量をご覧になられるだけで、いかに注意を要するか、お分かりになるかな?と。
 私は学生時代に農学(稲作)を専攻していましたが、畜産系の実習も少しあったのですが、豚舎に入るには牛舎より比較にならないくらい念入りに消毒し、驚かせないように事前に注意されるなど、事前の注意も厳しかったことを覚えています。豚は非常に臆病でストレスにも弱く、ちょっとしたことで食べ物を食べなくなったり、死んでしまったりします。
 この辺のことは、(社)中央畜産会さんが発行されている「畜産ZOO鑑」の豚の項にわかりやすく書かれています。
 要するに、豚舎はともかく、豚は子熊が乱入したというだけで結構なダメージを受けかねないということです。熊には害は無くても豚には害が生じる菌やウィルスなどがまき散らされては大変ですし、熊に驚いて豚がストレスを感じたりしても大変です。侵入されたことそのものが風評被害などにつながるかもしれません。

 外に追い出してしまえばそれまでですし、再度やってくることも侵入防止策を構築すれば防止できそうですが、それでも射殺せずに逃がせば再度人家近くをさまようことは十分にありえそうです。
 何が言いたいかと言えば、少なくとも「かわいそうな、無抵抗な子熊が、何もしていないのに・何の理由も無く射殺された」とは言い切れない背景もあるかもしれないと、この情報不足の記事からでも、推測できることはできるということです。そうでないかもしれないですし、何とも言えませんけれどね。
 まあ、すぐに脊髄反射的に地元役場や猟友会などに感情的なクレームだけは入れてほしくは無いですね。どういう状況だったか、知りたいとは思いますが。
 熊の冬眠というのは以前から書いておりますように、食糧が著しく不足する冬を乗り切るために身に付けた戦略だと考えられていますが、それでもメスは冬眠している穴の中で出産や授乳をしたりと活動しますし、ちょっとした刺激でも穴から飛び出してくるということがあります。
 また、秋に冬眠する体力を蓄えるほどの食糧に恵まれなかった場合や、逆に冬にあっても暖かく食糧が多いという環境においては冬眠をしないという場合もあります。先日報じられたところでは、秋に母熊が討たれて残された子熊が冬眠できずにさまよっているということもあるようです。

 ところが、「熊は冬眠する」ということは有名なため、冬山に入る人や山間地域にお住まいの方でも油断するということがありますので、そのようなことはまれにありうるということもしっかりとお知らせしていかなければなりません。
 と、同時に、冬眠しない熊が出るということは、だいたいそのような理由があるということですから、それが続発した場合は季節的・人為的な要素があったと考えられると思います。従って、その何らかの要素が増加する=例えば温暖化で冬でも暖かいとか残飯あさりで冬でも食べ物が十分にあるというようなことになると、そういう傾向が定着しかねないとも言えます。

 そんな今季の冬眠状況について、まずは1月24日の毎日新聞の記事から。
ツキノワグマ:兵庫の目撃情報、1000件超える

 今年度に入り急増していた兵庫県内のツキノワグマの目撃件数が、昨年12月末現在で1614件と過去10年間で初めて1000件を超えたことが24日、県のまとめで分かった。今年度は食料となる木の実が2年ぶりの凶作となり、昨秋の実りのシーズンには1カ月で500件前後の件数が報告された。本格的な冬入りで大半のクマは冬眠中だが、今年1月になってもクマの捕獲例が絶えないことから、県は引き続き警戒を怠らないよう呼びかけている。

【中略】

 クマの冬眠入りで1月以降は例年、目撃件数が一けた台に落ち着くが、大人の雄のクマがイノシシのオリに捕まっているのが見つかった事例も、今年に入り報告されている。同センターは「ほぼ大丈夫だとは思うが、決して油断はしないでほしい」と話している。

【後略】
 1月25日の産経ニュースでは、栃木県那須塩原市に熊が出没し、射殺ということがあったということです。
冬眠中では? 塩原温泉にクマ出没 猟友会員が射殺
2011.1.25 15:20 

 24日夜から25日朝にかけて、栃木県那須塩原市塩原の塩原温泉旅館街でクマが出没した。25日午前8時40分ごろ、クマは猟友会によって射殺された。地元の市立塩原小学校、塩原中学校などが休校となり、一時、国道400号の一部が通行止めになった。けが人はいなかった。

 那須塩原署によると、24日午後8時過ぎ、クマが市内の寺の境内を歩いているのが目撃された。通報を受けた署員が、近くの旅館わきの通路で寝ているクマを確認。25日午前3時ごろ、クマは移動を始め、行方が分からなくなっていた。猟友会が朝になってクマを見つけ、射殺した。

 同署によると、クマは体長120センチ、体重35キロで、約3歳の雄。冬場に出没することは珍しいという。
 冬に熊が出没するのはその他の時季よりはめずらしいですが、全くありえないことではありません。
 マスコミが、「冬眠中では?」と、どこか「そんなはずはない」というようなニュアンスの見出しを書かれるのは少し困ります。読者が極めてまれなケースと思ったり、環境などに重大な変化が生じているのではないかなどと飛躍して心配しかねません。

 1月25日の日テレNEWS24でも、この那須塩原市の件はこのような報じ方です。
温泉街に冬眠しているはずのクマが… 栃木
< 2011年1月25日 13:13 >

 24日午後8時過ぎ、栃木・那須塩原市の温泉街に、1月には冬眠しているはずのクマが現れた。

【後略】
 1月には冬眠しているはず、というのは確かに通常冬眠している時期ではありますが、出没しても異常事態ではないんですね。そういうこともありえる、ということもあわせて伝えていただきたかったものです。

 他の報道も、例えば1月25日のTBSニュースでは、
温泉街にクマ出没、栃木・那須塩原市

【中略】

「クマが今ごろいるのかなと思って、冬眠しているのに。温泉街のほうまで降りてきたのは、25年住んでいて初めて」(目撃者)

【後略】
と、目撃者の方がまるでいないものと思っていらしたようですが、ありえないことでは決してないんですね。

 ただ、この証言からわかるのは、この目撃者の方が「熊がその付近の、山の方にいることは知っていた」ということと、「しかし、温泉街まで出てくるのは25年間聴いたことが無いこと」ということがわかります。
 気象庁のホームページの気温データを見ると、1月24日の最寄りの観測所の大田原では−0.7℃〜3.9℃。ただ、現場は那須塩原温泉市の温泉街で、ニュース映像では積雪上の足跡が見られますから、これよりも数℃低い気温と思われます。従って、「暖かいから」という理由にはなりえません。
 計測とニュース映像から見ても、3歳くらいで35kgでは、この時期にしてはやせた個体と言えます。状況から見ての推測は、秋に食べ物を十分取れなかった若い熊が、食べ物を求めて温泉街に出てしまったということです。

 環境省が公表している「H22年度におけるクマ類の捕獲数(許可捕獲数)について[速報値]」でも、栃木県内の2010年の捕獲数は前年の3倍、補殺数は前年の4倍です。出没が多い年であったことがわかります。
(それにしても、この一覧を見た限りでは、2010年度が大量出没であったとはいえ、それでも2006年よりは捕獲数は少ない傾向が全国的に言えますし、少ない都県では出没そのものがふたケタであることを考えると全体の生息数もかなり危ういということが逆に浮き彫りになっているように思えます。)
 日本クマネットワークさんがまとめ、公表されている「2010年の日本各地域でのクマの動向について(暫定版)」にも、栃木県内では堅果類が不作だったことが触れられていますので、ここから、食糧不足による個体のうちの1頭と思われます。

 従って、この地域一帯に生息しているであろう熊のほとんどは同じような状況でしょう。その中でも、この熊のように年齢が若いとか元々身体が小さめといった力が弱く他の熊に餌場を独占されてしまうような弱い立場の熊からさらに食糧不足に陥りがちになります。
 この熊はかなり若い熊ですから、その地域で最も食べ物を得られにくい弱い立場であったと思われます。熊の個体数が多ければ、そんな状況の熊はもう少し他にもいてもおかしくはない=まだ出没してくる熊もいると考えられもしますが、この栃木県内における生息数…というかこの秋の捕獲数が他の多い県に比べればかなり少ないわけですから、「余剰」なのは既にあらかた補殺されているのではないかな?=那須塩原での出没はこれで今季は最期かな?というところに落ち着きそうです。

 今回の熊が直ちに射殺する必要性があったかどうかは記事からは読み取れず、現場の方の判断がそうだったから危険だったのだろう、としか言えません。
 熊にとって悲劇なのは、身体が黒系統の色なのに、積雪した白い世界で、身を隠せるような植物も少なくなっているために、現れればすぐに発見され追跡されやすいという点です。ここで身を隠せないでいる緊張感とか、追われている焦りとか、空腹の場合はそのいら立ちから、加害しやすい状況と言われています。
 ただ、人為的にせよ、環境の変化にせよ、本来は穴にこもっているべき性質を有する熊が、食べ物を得られずにさまようということそのものも、様々な意味で危険と言えるかもしれませんし、哀れでもあると思います。
 事故が無くて何よりではありますが。

【追記 2011.1.26 20:32】
 1月26日の読売新聞の記事によると、栃木県自然環境課の職員のコメントが出ていました。それによると、この個体は生まれつき足に障害があったようで、秋に食料を取れないという状況だったということです。
塩原温泉街にクマ、射殺

【中略】

 県自然環境課によると、クマは秋までにドングリなどを集めて脂肪を蓄え、12〜3月にかけて冬眠をするという。このクマは左後ろ足が生まれつき悪く、「木登りができないなど秋にうまく木の実を集められずおなかをすかせて出てきたか、山に入った猟師に驚いて出てきたのでは」としている。

(2011年1月26日  読売新聞)
 子熊が親から離れる年齢は概ね1歳を過ぎて2歳ごろまでには終えていることがほとんどですから、今回射殺された熊は2回目か、初めての冬だったのかもしれません。
 親と一緒の場合は足に障害があっても授乳により、あるいは親から食べ物を得ることが可能ですが、自立した後はそうは行きません。この秋は全国的に不作でしたから、さぞかし堪えた冬だったことでしょう。
 典型的な、食糧不足による冬ごもりができなかった個体です。ただ、足に障害が無ければそれも回避できたかもしれませんので、この地域ではまれ、というのもうなづける出来事であり、悲劇ですね。
 人間…現代日本の福祉制度がいかにありがたいかを痛感します。

補殺の影響

 冬季における熊の出没については、以前から何度かこのブログでも取り上げていたところですが、当然と言えば当然の、しかし正直、私は事前にはちょっと予期してはいなかったことですが、生じている?ようです。
 次の1月17日付けの読売新聞の記事です。
母グマ大量駆除、冬眠できない子グマが集落に?

 富山県でツキノワグマの目撃や痕跡の発見が後を絶たない。

 昨年12月は大量出没した2006年を3件上回る12件に上り、今月もすでに4件が目撃された。中でも子グマの目撃が多く、専門家は、昨年の大量駆除で母グマとはぐれた子グマが、冬眠できずに集落付近を徘徊している可能性を指摘している。

 県自然保護課によると、昨年12月の内訳は目撃10件、痕跡2件。市町村別では魚津市6件、富山市4件、南砺市と立山町が各1件。今月は13日現在、魚津市で4件の目撃があった。

 12月の目撃は08年5件、09年1件とこれまでもあったが、同課の赤座久明副主幹は「今季は子グマの目撃が多い」と指摘する。昨年12月以降の目撃14件のうち子グマは10件と全体の7割を超えている。

(2011年1月17日17時27分  読売新聞)
 環境省の公表している2006年から2010年までのクマ類捕獲数(許可捕獲数)によると、富山県においては2006年の補殺数が146頭。翌07年が20頭、08年が37頭、09年が15頭と来て、2010年が速報値(11月末までの暫定値)で171頭ですから、ここ数年で最も多く補殺しているということがわかります。

 冬眠をしないと言えば、気温が高い冬ということもありえますが、気象庁のホームページで魚津の2006年から2010年までの12月の気温を見てみると、特に2006年や2010年の12月が際立って平均気温が高いというような気温の要素は感じられませんから、出没そのものと気温の関係は何とも言えません。

 また、秋に食べ物が少なく冬眠する体力を得られなかったという場合も冬眠しないということもあるようですし、逆に冬になっても豊富な食べ物があるという場合も冬眠しないようですが、それならば子熊に限らずに目撃があって良さそうなものですから、その点では、記事中の説明を否定する要素は、私には今のところありません。
 強いて言えば、果たして本当にそれが小さい熊に間違いないか、大型犬やその他の野生動物との見間違いという要素は無いのか?ということくらいでしょうか。

 また、これも統計上のことになりますが、魚津で6件の目撃があったからと言って6頭の子熊がそれぞれ1回ずつ目撃されたとは限らず、1頭の熊が6か所で目撃されているのかもしれません。
 しかし逆に、目撃したけれども冬のことですから熊と意識せずに通報などをしなかった目撃件数もあるので、これも何とも言えませんね。

 私たちが有害鳥獣駆除と聴くと、つい子熊の存在を忘れがちですが、1頭の母熊を補殺処分した場合、1〜2頭の子熊の運命もかなり厳しいものになるということをあらためて思い出させます。当然のことですが、有害鳥獣駆除を行う際にそのことの考慮もむろん、必要なわけですね。

 今日も特にオチも無く。

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冬眠 【追記あり】

 私の好きな小説の1つシャーロック・ホームズの中で、ホームズはこんなことをワトソンに語っています。
【前略】
 だいたい犯罪にはきわめて強い類似性があるから、千の犯罪を詳しく知っていれば、千一番目のものが解決できなかったら不思議なくらいなものだ。【後略】
(コナン・ドイル 延原謙訳「緋色の研究 −シャーロック・ホームズシリーズ−」新潮文庫)
 これは犯罪事件に限らず、様々な事故でも言えることです。
 私は施設管理を担当していますから、例えば他の都道府県のことでもどこか他の施設なんかで「エレベーター事故があった」という場合には、自分の施設のエレベーターはその原因での事故は起こりえないかどうかを確認するといった具合に当然の対応をします。ホームズは事後の解決に役立てていますが、私は事前の防止に役立てています。
 ですので、学校なんかで一度どこかで発生した事故とほぼ同じ構図で児童生徒がまた被害者になると聞くと、そんな学校の校長や教頭はクビにすべきだといつも思ったりします。

 交通事故でも施設事故でも、むろん、事故を起こそうとして起こしたわけではなく、そして少なからず被害が発生しているのですから、せめてその被害者の嘆きや苦労などを次の事故防止のために役立てなければその被害者はまるで報われないとも思います。

 そんなわけで、私はここで、特に熊にかかる事故事例などを紹介し、ごくわずかでも事故防止になったり、事故発生時における解決のヒントになりえたらうれしいと思い書いておるわけです。

 さて、1月9日のIBC岩手放送のニュースエコーが報じた内容です。
雪の山中でクマに襲われ男性大けが (2011年01月09日 11:48 更新)

 きのう午後遠野市の山林で猟をしていた男性がクマに襲われ大怪我をしました。

 クマに襲われたのは遠野市宮守町の会社員吉田雄悦さん60歳です。吉田さんはきのうひとりで近くの山に出かけ、キジ猟をしていたとみられます。吉田さんはクマに頭や顔を噛まれたり引っかかれたりして大怪我をしましたが、自力で帰宅し病院で手当てを受けています。命に別条はないということです。

 猟友会によりますと雪深いこの時期にクマに襲われるのは珍しいといういうことですが、現場は国道396号線沿いの小峠トンネル付近で、車の往来が頻繁な場所で冬眠するクマは眠りが浅いケースもあるとして注意をと呼びかけています。
 頭や顔に大ケガということですから、後々まで後遺症などがありうるかもしれません。ですから、このような事故を報道する際、「命に別条が無い」などという表現の仕方は、親族や知人にとってはひと安心する大事な部分ではありますが、同時に、その他大勢のうちこういう言葉の響きから「被害者が亡くなったわけでもないのに射殺しようというのか!」などという、想像力も思いやりも無い人間が苦情を言い出す一因にもなりかねない部分でもあり、慎重に表現・報道していただきたいものです。

 熊は冬眠すると言っても完全に動かないというわけでもなく、刺激を受けるとすぐに活動したりします。昔は「穴熊猟」などといって、越冬穴にいる熊を巧みに狩る猟があったそうですが、対応を誤ると越冬穴から飛び出して逃げられたり逆襲されたということです。
 また、冬季の林業作業中にも加害事故は起きます。

 先日、冬眠の時期でもその年の気候や条件によって冬眠しない熊がいるかもしれず、また、冬は山に入る人でも熊への対策をしないということもあるので注意が必要と書いたところです。
 また、ちょうど1年ほど前にも長野県玉滝村において、冬季といっても記録的な暖かさの日が関係しているのか、除伐作業中の作業員の方がその近くで冬眠していたと思われる熊に襲われ負傷したという事故記事を紹介し、人里近くに平気で出没する熊が多いようである以上、越冬も以前より近くで行う場合もありうるのではないかと書いたところです。

 しかし、環境条件などで冬眠しない熊ではなく、冬眠している熊が越冬穴から飛び出て人を襲うという場合は、私が聞いたことがある範囲は、穴にこもった熊を狩ろうとしての逆襲のほか、悲劇的なことに偶然そうとは知らず越冬穴の近くで除伐作業などをしていてのことというケースです。
 これはつまり、たまたま冬山ハイキングなどで通りかかった程度では熊はおそらくは飛び出てくることはせず、穴に継続的に刺激を与えた場合や、近くで音を立て続けた場合など、まさに「追い詰められた」と熊が感じとるような場合に限るのではないかと思います。
 今回の事故は「キジ猟」中のことということですが、これが銃砲で音を立てていたのか、あるいはワナを仕掛けようと現場に長時間留まってしまったのか、その詳細を今後の事故防止のために知りたいところです。

 今回の現場は、自動車の往来の激しい場所近くとのことです。事故の報道がこれだけで感想を言うのは口はばったいですが、1つはそういう山奥とは言えない場所であり冬であることから、被害者の方も当然、夏などにはしているであろう熊対策…というか熊への注意は十分にはしていなかったかもしれません。もっとも、例え熊鈴などを身につけていたところで、越冬穴に入っている熊がそれに気づいても、そこから逃げて離れて行ってくれるわけでもありませんから、その点では、夏などよりも熊が進退極まりやすく、危険とも言えます。
 報道では、「往来が激しいので眠りが浅いのではないか」と書かれていますが、私はそれは逆であり、冬になって開通したり通行量が多くなる道路ではない以上、熊はそういう場所だとわかって越冬穴としたはずですから、そういう人の出す喧騒には慣れた熊であり、そうではない熊よりも人を恐れないという見方もできるのではないか?と思います。

 実際に熊を調査するということは大変な労力ですが、起きてしまった事故は詳細に状況を調べ、その情報を共有し、それを広く知らせることで、次の事故を軽減できるかもしれません。また、そうすることで、大ケガをしてしまった被害者の方も、ほんのわずかでも、ご自身のケガが事故防止のために役立っているという救いになりうるかもしれません。

【追記 2011.1.10】
 コメント欄にございますとおり、"ね" 様より「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則」第10条第3項8号にある禁止される猟法につき、今回のキジ猟は禁止されているワナではなく、銃ではないかというご見解をいただきました。
 すみません、正直、私はこのような細かな条文はまるで知りませんでした。条文を見たところ、まさにそのとおりだと思います。
 "ね" 様、今回もすばらしいご教示、どうもありがとうございました。

 最近、私のような拙い知識や経験に対し、ご教示いただいたり、情報を提供してくださる方がいらしていただいて、本当に感謝申し上げます。
 「それは違うと思う」「これはこういうことだよ」というご意見、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

一例。

 このブログでは、ツキノワグマの「目撃件数」というものについて、よくよく精査しなければ大きく判断を誤るかもしれないものと、何度か書いています。

 1人が同じ個体をそうと知らず複数の場所や日時で目撃すれば複数頭とカウントしかねず、また、同じ個体を別々の複数の人が目撃したらやはり複数頭とカウントしかねないからです。
 目撃した場所や時刻、特徴(大きさなど)を整理してカウントしなければなりません。

 また、これまでは熊を見ても警察や行政に通報をしなかった人たちも昨今のマスコミ報道などで通報しなければと思うようになって通報し始めたとか、団塊の世代の方の一斉退職により余暇利用としてのハイキングや登山人口が急激に増えたために全体で目撃する機会も増えたとも考えられるかもしれません。
 そういう時代の変化=「人側の事情の変化」による要素も加味して考えませんと、「年々増えている」「近年、急速に目撃が増えている」などと、「熊側の事情の変化」と思いこんでしまいます。

 そして、これは私も何度か経験がありますし、知り合いの行政等の職員にも聞いたことがありますが、「熊が出た」と言われてすぐにその現場に行ったにも関わらず、熊の姿はもちろん痕跡も見当たらないということがあります。
 大型哺乳類であるツキノワグマが出没した場合、その現場の条件などにもよりますが、結構痕跡は見つかるものです。ぬかるみに真新しいような大型犬の足跡は見つけたという場合もあります。つまり、野犬か何かを見間違えたわけですね。
 オリに入った動物園の熊とか、テレビなどで見る熊を少し見る機会があっても、同じフィールドで生きた野生の熊を見るということは、山間部に住んでいる人ならば経験はおありでしょうけれど、そうではないハイカーや登山者はそうそう経験することはありません。従って、見間違えたとしても、正確に判断できないまま通報しても、それはその人に落ち度があるものではありませんが、実際、茂みの中でちょっと一瞬・身体の一部が見えたかどうかだけで「熊に違いない」と自信を持って言う人も少なくありません。
 絶滅したとされる九州のツキノワグマも、目撃したという人が近年に至ってもいらっしゃいますが、しかしその目撃情報の精度は果たしていかがなものなのか?絶滅宣言にも生存説を取る人にも私が疑問に思うのは、そんな経験からです。

 12月30日の山形新聞に、そんなことを思い出させる記事が出ていました。
田んぼを走っていたのはクマ?イノシシ? 川西と南陽で目撃、同一個体か
2010年12月30日 09:05 

 29日午後3時ごろ、川西町中小松でクマを目撃したと、米沢市の会社員男性(42)が米沢署に届け出た。

 同署によると、男性が国道287号を車で走行中、雪が積もった田んぼの中を北へ走っていく1頭を目撃した。現場はJR米坂線犬川駅の近くで、下小松山の東側。

 また同じころ、この現場付近でイノシシ1頭を目撃したと、通り掛かった男性が巡回中の同署員に情報を寄せた。男性は走っている車から、田んぼの中を犬川駅方向に走っていくイノシシを見たという。

 同署によると、いずれも足跡などは確認されていない。発見された時間と場所から、同一の動物の可能性もあるという。川西町の「里山と下小松古墳群を守る会」の貝羽忠代表(75)は「下小松山でイノシシの生息は確認されていない。タヌキか何かの見間違えではないか」と話す。

 一方、同日午後5時ごろ、南陽市漆山で、川西町の公務員男性(35)が運転する乗用車とイノシシがぶつかる事故があった。

【中略】

 野生動物の生態に詳しい伊藤健雄山形大名誉教授は、クマは冬眠できる場所を探して1月に入ってからも動き回るケースもあるとし、「(この時期の目撃について)かなり遅いが、おかしな話ではない」という。また、イノシシは県内で絶滅後、温暖化などの影響で県外から入り込むようになり、20年ほど前から再び目撃されるようになったという。川西町と南陽市の目撃地点は直線で約7キロで、イノシシの場合は同一個体の可能性もあるとしている。 
 熊を目撃した?と思われる場所では、足跡などの確たる痕跡は無かったようです。人間の残した物的証拠を捜査する警察官の方でも、動物の痕跡を探すプロではないでしょうが、雪が積もった中を大型動物が走って行って足跡も何も無いというのは腑に落ちない話です。
 積雪が多いところではイノシシやシカが身動きできずに冬を越しづらいというのは知られていることで、それがために東北地方ではイノシシ被害がこれまであまり無かったほどですが、近年、積雪量が減ってきたために徐々に移動し、その生息範囲・勢力範囲を広げているようです。
 そのような山形県ですから、熊もそうかもしれませんがイノシシも自然の中で目撃する機会も無いでしょうから、一瞬でどっち、という判断が正確にできなかったとしても無理もありません。

 まあ、これは車と衝突するということや、山形県内には定着していないと思われているイノシシらしい動物ということで報道されたのだと思うのですが、このように、人間が不意に、見慣れないものを見た場合には、その内容はあやふやな場合も十分あり得るという一例ですね。

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