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最近熊の目撃や加害事故を頻繁に取りあげていますが、今日もまた、富山県で熊による加害事故で2名が負傷されたというニュースがありました。 富山テレビ放送の報道です。 2010年6月1日 南砺市の山あいで成獣と見られるクマに男性2人が襲われ、けがをした。 県はツキノワグマ出没警報を出し、注意を呼び掛けている。 クマが出没したのは平野部に近い南砺市舘の山間で、1日午前9時ごろ、南砺市小坂の農業、常本隆吉さんが所有する林の手入れのため、歩いていたところ、突然、クマが横から襲い掛かった。 常本さんは左頭部から右目にかけて引っかかれ、大けが。また、現場に駆けつけた南砺市猟友会のメンバー、姫川米作さんも常本さんを襲ったとみられるクマに額を噛まれ、軽傷。 2人を襲ったクマは体長1メートル30センチ程、体重は65キロのメスのツキノワグマで、猟友会によって射殺された。 今年のクマの目撃情報は5月末で34件と例年に比べ少ないものの、県は、出没警報を出し、注意を呼びかけている。この富山テレビ放送のサイトでは今のところこの事故を伝えるテレビのニュース映像も拝見でき、その映像の現地リポートによれば、最初襲われた男性は熊対策のためにラジオを大音量で流しながら山に入ったという上記ニュース原稿には無いことに触れています。 ここが、まず不可解です。 山に入る時の熊回避の基本的な方法として、「鈴やラジオを用いること」は半ば常識とされていることであり、このブログでも何度も書いています。それなのに、なぜ今回、人が近づくのを知って逃げるという多くの熊が行う行動をせずに襲ったのでしょうか? メスということですが、体重がこの時期とはいえ少なめですから、これだけではこの個体の状態は何ともわかりません。 あくまでも推測ですが、私は大きく4つ考えました。 1つめは体重が少ないというところから、「食べ物を探すのに、あるいは食べ物を食べるのにさらに必死・夢中で、被害者の接近を熊がしばらく気づかず、熊が被害者に気づいたときにはかなり接近していたために、進退きわまって襲った」という可能性です。あるいは単に、気象や地理条件で気づくのが遅れたという場合。 熊は非常に聴覚や嗅覚が優れていますが、風のあるときは木々や草のこすれる音で人の立てる音がかき消され、同時ににおいも分散されたりします。食べ物に集中しているときもそちらに注意が向いていて周囲への注意力が衰えます。 2つめは、現場がどのような土地かわかりませんが、食べ物(縄張り)に執着し、その領有に固執したための、排除行動かもしれません。 3つめは、これが成獣のメスでこの冬眠中に出産し、出産と冬眠で体力を使い、また授乳で体重が落ちている場合。 その場合には、「すぐ近くに幼い子供がいたために、親子で、正確に言えば子供をうまく逃がすことができないうちに被害者がそれと知らず近づき、追い詰められて被害者を襲った」という可能性です。 子熊は母熊の行動から生きるための知識や経験を得て行きますが、産まれてまだ年月の経っていない子熊の場合には好奇心が旺盛で、母熊の注意も聴かないことや、小さな身体からうまく・素早く逃げることも劣るために、逃げ遅れるということもあります。母熊じたいが、初めての出産でそういう緊急事態の対処=そっと親子で逃げるという行動をとる経験を持たなかったのかもしれません。 4つめは、体重が少なめということから、親離れしたばかりの、ごく若い・子熊を連れていない熊という場合です。 私はこちらの場合が、よりこの事故の背景が深刻になると考えます。 それは、被害者はラジオをつけて歩いていたにも関わらず、熊が子連れでも無いのに逃げずに襲ったということから、私たちのこれまで知っているような鈴、ラジオなどの音では逃げるということをしない、人を怖がらないなどの、いわゆる「新世代熊」という可能性が出てくるからです。 つまり、山菜のあるような場所には行かないとか、音の出るものを身につける、ということで、熊との遭遇を回避できなくなるということであると同時に、山間部の集落にも平気で出没するということにもなりかねないからです。 いずれも、上記報道からではこれ以上はわかりませんし、これ以外の要素かもしれません。 今回の事故がどういう背景があるのか、推測以上のことはなかなか難しいですが、この事故が特異なのはラジオの音で逃げなかったということに加えてもう1つ、おそらくは同じ熊が、再び人を襲ったという点です。(同じ熊かどうかは遺伝子分析などをしない限りは確定できませんが、状況から見て同じ個体と考えるのが自然です。) 襲って、その場所から遠くに逃げるという行動をとったのではなく、時間をおいて猟友会の方が現場に来たところ、まだ、その場所にいて、しかも逆襲するという行動というのは、これは最初の襲撃で興奮冷めやらぬところとはいえ、ちょっと怖いケースです。 「人を襲った熊は、また人を襲う」とはよく言われることですが、ツキノワグマでその場にいた人を立て続けに襲ったというのではなく、このような状況で立て続けに襲ったというのは、あまり聞かないことです。 これが、昔から言われているとおり、この熊はもともと人を恐れていたのに最初の偶発的な襲撃に成功したことでそれで初めて「この生き物より、自分は強いのだ」と学習して2度目の襲撃につながってしまったのか、あるいは最初からこの熊が人を見下していたのか、単に興奮が収まっていなかったうちだったからなのか、それが気になります。 最初の被害者を襲って、その場を離れなかったというのが人以外の要因、例えば体重の少ない個体ということですから若い個体かも知れないと感じるのですが、この地域の他の場所では既に成熟した強力な雄などが縄張りとしていてそれらに追い払われて、他の場所に行きようが無いという状態であったかもしれません。 この「2度目の襲撃」の要素を分析することで、果たして何らかの偶発的要因で人を加害してしまった熊は徹底的に駆除すべきか否か、という方針にもかかることですので、ここはこの事故について、調査分析が必要なケースだと思います。 最初の被害者の方は後頭部から目にかけての大ケガ、ということですので、命に別条は無いのは幸いですが、ひどいおケガには間違いありませんから、一刻も早い回復をお祈りするばかりです。
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【ツキノワグマ・ヒグマ】
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私の興味のあるツキノワグマやヒグマについて、記載しています。
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またも、山菜取りの方がツキノワグマに襲われ、死亡するという最悪の結果が伝えられました。 まだ詳細は伝えられていませんので何とも言えないですが、今はただただ残念なことというのみです。 日テレNEWS24の報道です。 クマに襲われ男性死亡 福島・喜多方市 < 2010年5月30日 22:27 > 福島・喜多方市の山中で30日午後、山菜採りの男性がクマに襲われて死亡しているのが見つかった。 死亡したのは喜多方市の無職・小檜山弘さん(70)で、30日午後2時半ごろ、喜多方市内の林道近くの山中で倒れているのが見つかった。発見当時、全身血だらけで、体にはクマのものとみられるつめ跡などがあり、すでに死亡していた。 小檜山さんは29日から山菜採りに出かけたまま帰らず、行方がわからなくなっていた。高齢者の山菜取り中の事故という、度々注意すべきと書いていたことですが、「全身血だらけ」ということから、1か所に致命傷を負ったか、執拗な攻撃を受けてしまったか、いずれかでしょう。 「林道近く」というのは別報道などによればご本人が停めた車から約1kmということではありますが、どういう場所かはよくわかりません。 林道に入ってすぐに襲われたというのは考えづらいので、どこか他の場所で襲われ、林道を目指して必死で助けを求めて歩いて来て、そこで力尽きた…という状況でしょうか。 もし、そんな場合は、実際に襲われた場所が離れていたということで、加害した熊を特定することも困難になりかねず、その場合には次の事故を防止するということも難しくなります。 この事故現場近くには、一般の方はしばらく近づかない方が賢明かと思います。 高齢の方の場合、一般論ですが体力や筋力が若者よりは落ちており小柄な方も多いため、受けた攻撃が深刻なダメージになりやすいということもあると思います。 山菜取りをする方は登山と違って高い場所に行くわけではないという意識が働くからでしょうか、比較的軽装、これは非常食や雨具、防寒具などの所持品だけでなく、身につけて行く衣類も軽装という方がよく目にしますが、それが遭難時には生死を分けますし、薄着が熊の攻撃や滑落事故にも深いダメージを受ける要因の1つにもなっていると思います。 熊の爪を標本などでも実際に触れたことのある方はあまりいないと思いますが、かなり硬く・鋭いものです。そしてそんなものが5本もついている強力な前足があると考えると、攻撃力がいかにすさまじく、そしてそれに対して人間の皮膚や体毛は無に等しいか、痛感します。そして、骨格でわかるとおり強力な筋肉をまとっている口には鋭い牙が生えています。 山菜採りをするという方はもちろん、ご家族や友人など周りで山菜取りをするという方がいらした場合には、遭難や、熊への警戒をぜひ、強く呼びかけていただきたいものです。 【追記 2010.05.31 07:30】 さらに別の、山菜取りの方の熊による重傷事件が秋田県で起きてしまったニュースが入って来ました。 この週末、東北では過ごしやすい天候でしたので、山菜取りに出かけた方が多かったのかもしれません。北海道では山菜取りの女性が沢に滑落されたのか、亡くなったという事故もあったようです。 5月31日の読売新聞の記事です。 クマに襲われ山菜採り重傷 30日、県内でクマの目撃が相次ぎ、このうち大館市では、男性が襲われて重傷を負った。警察などで注意を呼びかけている。 同日午前7時半頃、大館市岩瀬の山林で、1人で山菜採りをしていた市内の自営業男性(56)が体長約1・7メートルのクマに襲われ、頭や腕に全治1か月のけがを負った。大館署の発表によると、現場から近くの集落までは約1キロ。 また、同8時半頃、大仙市長野の山林にクマがいるのを、近くの八乙女公園周辺を散歩していた女性(47)が見つけ、市を通じて大仙署に通報した。クマは体長約1メートルで、目撃現場の西約200メートルに民家がある。 さらに、同9時15分頃には、秋田市外旭川の市道で、体長約1メートルのクマ1頭が横断しているのを車で通りがかった潟上市の男性(24)が発見し、秋田臨港署に通報した。目撃場所から民家までは約540メートル。 (2010年5月31日 読売新聞)いずれも、朝のまだ早いうちの時間帯です。 特に、負傷してしまった事故は午前7時半ですから、熊の活動が活発な時間帯のうちです。そんな時間帯に山菜取りでは、熊との遭遇は登山とは比較にならないほど高くなるでしょう。 こういう事故が発生した際には、遭遇、あるいは負傷した人がどのような対策をしていたのか?という状況も、警察や担当行政では調査して、次の事故防止のための情報蓄積と分析、回避のための発信をお願いしたいものです。 【追記 2010.05.31 19:00】 今日の福島民報に、喜多方市での死亡事故を詳細に伝える記事が掲載されました。 クマに襲われ死亡 喜多方の山林 70歳男性 30日午後2時半ごろ、福島県喜多方市岩月町大都の山林で同市字西町2799、無職小桧山弘さん(70)が死亡しているのを捜索していた喜多方署員と喜多方消防署員が発見した。遺体の状況などからクマに襲われたとみられる。クマに襲われて死亡するケースは平成15年5月に天栄村で西郷村の男性が亡くなって以来で、平成に入ってからは2件目。県内では各地でクマの目撃情報が寄せられており、県警は注意を呼び掛けている。 ■顔や首などに傷 喜多方署によると、小桧山さんは29日午前8時ごろに山菜採りに出掛けたまま帰宅せず、家族が30日朝に捜索願を出した。 同署と喜多方消防署の署員ら約120人態勢で捜索したところ、同市岩月町大都字五貫沢の121号国道から約200メートル入った林道の入り口で小桧山さんのトラックを発見。車から約1キロの地点で小桧山さんが遺体で見つかった。 同署で詳しい死因を調べているが、顔や首などにかまれたり、引っかかれたりした跡があることから、クマに襲われたとみている。 ■地元住民「被害出て怖い」 クマに襲われる惨事に、地元住民からは驚きや不安の声が上がった。 現場近くの天井沢行政区の大塚正幸区長(46)は「地域住民はあまり近づかない場所だが、心配になる。状況を把握して対策を考えたい」とショックを隠しきれない様子。現場から約1キロ離れた場外車券売り場「サテライト会津」の男性職員(33)も「近くで被害が出て怖い」と不安をのぞかせた。 喜多方市猟友会岩月分会の男性会員(61)は「山林で駆除が禁止された10数年前から頭数が増えているようだ。人とクマの共存には限界があるのでは」と話した。 市は30日、山林の入り口1カ所に、クマ出没注意を呼び掛ける看板を設置した。 ■すでに今年被害2件 音鳴らし注意を 県警本部地域安全課によると、昨年は1年間で5人がクマに襲われ、重傷などを負う被害があった。今年は29日までで、喜多方市熱塩加納と会津美里町で男性が襲われる被害が2件起きている。 今年のクマの目撃情報は30日現在、16件で、前年同期よりは7件少ない。 県警などによると、本来、クマは積極的には人間に近づかないという。予防策として、クマに人間の存在を知らせるため、手をたたいて音を鳴らしたり、「クマ鈴」を身に着けたりするよう呼び掛けている。 ■熱塩加納で目撃情報 30日午前11時ごろ、喜多方市熱塩加納町相田字上原の農道で、車で走行中の男性が前方を横断するクマ1頭を目撃した。 通報を受けた喜多方署によると、クマの体長は約100センチ。同署はパトカーで付近の警戒活動を実施。市役所にも連絡し、住民に注意を呼び掛けている。 (2010/05/31 08:49)地元猟友会の方のコメント、「山林で駆除が禁止された10数年前から頭数が増えているようだ。人とクマの共存には限界があるのでは」というのが印象的です。 熊の場合は日本では人間以外には天敵はいませんので、人間が手を出さなければ微増し続けるわけです。 頭数が増えれば、餌場からあぶれた熊が人里に出るのはもちろん、山中の山菜の豊富な場所は一層熊のテリトリーとして確保されるわけで、その中に人間が行けば熊は自分の死活問題なのですから一層攻撃的になるというのは想像ができます。 山菜はこの春〜初夏の時期なわけですが、こうも連日のように熊の目撃情報や被害の報道がされますと、本来安定している地域でも「熊、駆除すべし」という過剰な声になりかねないのを危惧します。 春熊猟は被害が出る前に行う駆除という理由で行われますが、同時に、「熊の胆」を目的としているという疑いも長らく言われていることです。本来、駆除が必要なものを駆除し、そうすべきでないものは駆除しない、という当たり前の対応に、事故が起きたり報道が過剰になると対応する行政や猟友会に住民らの不安な声が圧力となりかねず、その駆除の判断に微妙な影響が与えられる恐れが心配です。 最後に、今日のFNN・福島テレビの報道から。
福島・喜多方市で山菜採りの70歳男性がクマに襲われ死亡 【中略】 警察では、山に入る際、クマ予防に効果的な「クマ鈴」などを取りつけるよう呼びかけている。 小檜山さんは、クマよけの鈴やラジオなどを身につけていなかったということで、警察が注意を呼びかけている。 (05/31 12:28 福島テレビ)福島県内ではしばらく死亡事故が無かったのは良いのですが、それが警戒心を緩めてしまうのでしょうか。鈴などがあれば結果が変わったかどうかは何とも言えませんが、先日の北海道での死亡事故でも対策をしていなかったということに続き、死亡という結果が重大なだけに非常に悔やまれます。 |
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昨日、熊被害防止を呼びかける新聞報道を紹介しましたが、その際、「そういう記事が増えた理由はよく分析しなければわからない」という旨、書きました。 今日・5月26日の毎日新聞北海道地方版では熊による被害について、大きく紙面を割いて取りあげてくれています。 大切なことがいくつか書かれていますので、紹介いたします。 クマ:注意!! 目撃急増 今月88件、襲われ死亡例も /北海道 ◇山菜群生地、出没も/若い「通りグマ」危険 5月に入り、ヒグマの目撃情報が急増している。むかわ町穂別では22日、山菜採りの男性(73)が自宅からわずか約500メートルの山中でヒグマに襲われ死亡する被害も発生。道などによると、春先は冬眠明けで活発にえさを求める時期とあって、「通りグマ」と呼ばれる活動範囲の広い若い個体が年配グマを避けて人里近くに出没するケースもあるという。道警は「近所でも山に入る際は鈴やラジオを携行して」と呼びかけている。 道警によると、今年の目撃情報は133件。このうち88件が5月に入ってからの情報で、既に昨年5月の75件を上回った。暖かくなり活発化したほか、人が山中に入る機会が増えたためとみられる。 道によると、資料が残る1962年度以降、道内ではヒグマに襲われ46人が死亡、75人が負傷した。目的別では山菜採りが26人で、駆除中の27人に続いて2番目に多かった。特に春先は、山菜の群生地をえさ場にしていることがあり、注意が必要だという。 人里近くに「通りグマ」が出没するケースも増えている。通りグマは親離れして間もない個体。好奇心旺盛で経験が浅い。そのため、別のクマがいる山中を避けて人里近くを拠点にする傾向があるとされる。道環境科学研究センターによると、春先の駆除数は90年代以降、毎年10%前後の割合で増えており、通りグマが農作物などの味を覚えて民家近くに出没を繰り返している可能性があるという。 駆除しても別の個体がやってくることが多く、同センターの間野勉・研究主幹(50)は「地方で過疎化が進みヒグマが人里に近づきやすくなっている。規格外の農作物や生ゴミなどを放置しないなどの対策が必要」と指摘する。【金子淳】 ============== ■ことば ◇ヒグマ 道内全域に生息し、オスは最大で体重250キロぐらいまで成長する。雑食で母親の食の好みを受け継ぐ傾向が強い。100メートルを7〜8秒台で走るため、遭遇した時は決して走って逃げず、視線をそらさないでゆっくりと後退し、その場を離れるのが良いとされる。 ============== ◇最近のヒグマ襲撃の主な被害◇ 時期 場所 内容 06年 6月 新ひだか町 山菜採りの男性(53)が襲われ死亡 10月 浦河町 キノコ採りの男性(78)が太ももに重傷 同 浜中町 ハンターが追跡中に襲われ1人死亡、1人重傷 同 新十津川町 山菜採りの男性(62)が襲われ軽傷 07年 8月 様似町 ハンターの男性(68)が駆除中に襲われ重傷 10月 北斗市 山菜採りの男性(60)が襲われ重傷 同 士別市 狩猟中の男性(52)が襲われ重傷 08年 4月 北斗市 山菜採りの男性(50)が顔などをかまれて死亡 7月 松前町 狩猟中の男性(67)が腹などを引っかかれ死亡 9月 標津町 サケ釣りをしていた男性(58)が襲われ死亡 09年 9月 新ひだか町 狩猟中の男性(71)が頭を殴られ重傷 10月 苫前町 ウオーキング中の男性(66)が襲われ重傷 10年 5月 むかわ町 山菜採りの男性(73)が襲われ死亡「駆除しても別の個体がやってくることが多く」とありますが、これは棲息密度が高い場所であればあるほど当然のことで、その地域にその駆除した個体だけしか棲息していないというのであれば別として、ナワバリを確保する種類の動物であれば、今まであるナワバリを独占していた個体が年老いて力が弱くなったとか、何らかの理由でその場を去った場合には、新しい個体がそのナワバリを領有するのは当然の性質です。 ですから、先の「佐渡トキ保護センター」において、必死になって1頭のテンを捕獲し、そして捕獲後解放せずにわざわざ富山市にある施設に送るということをしていた環境省らが(しばらく後に新たなテンがそこをナワバリにするだけなのに)いったい、何がしたかったんだ?と思ったわけです。 この環境省の担当者たちは、そんな当たり前の動物の基礎知識も無い人たちなのでしょう。 まあ、それはともかく。 新聞報道などの取りあげるのが今年は特に目立っているということと、しかしそれが本当に以前より出没が増加していることには直結するとは限らないということは昨日も触れましたが、北海道における5月の目撃件数が既に昨年を上回っているということです。少なくとも報道が度々取りあげるというだけではなく、目撃や通報そのものが何らかの理由で増えているというのは間違いありません。 この記事からだけではその何らかの理由、これは熊やその棲息環境や人間や統計の取り方などそれぞれの変化いずれかのものかわかりません。 しかし、この記事でわかることは、1965年以降、北海道でヒグマの襲撃により亡くなられた人数は46人で、負傷者が75人ということです。 日本全国の数値になりますが、毎年スズメバチに刺されて同じくらいの人数が亡くなられていますし、重傷・軽傷を合わせての負傷は相当数になります。 そういう意味では、ヒグマは凶暴な猛獣というイメージがありますが、熊の襲撃はインパクトが大きく記事になりやすいのはわかりますが、同時にスズメバチによる事故やその回避も、ヒグマの事故よりも件数は多いわけですから、報道機関には今の時期だからこそ、もっと取りあげていただきたいところです。 もう1つは、以前から熊の食糧である山菜を取りに行くことは熊に会いに行くようなもので危険を伴うということを繰り返し書いていましたし、秋にはキノコ採りがいかに危険かということも書きましたが、この記事によれば、「目的別では山菜採りが26人で、駆除中の27人に続いて2番目に多かった。」という部分に注目したいですね。
「駆除」というのは十分な準備と警戒をしつつも熊を探し求めて山中を歩いていて、それでの事故なわけですが、「山菜取り」というのは熊を探しているわけでもないのに、そんな狩猟と同じくらいの事故件数が発生しているということがわかります。 ことこれだけを見れば、山菜取りというのが熊を探し求めて歩く駆除と同じくらいのリスクがあると考えれば、山菜取りには十分な準備や知識や警戒が必要ということが少し想像できるのではないでしょうか? |
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最近、熊の出没や加害事故を伝える新聞報道をしばしば目にするようになりました。またその被害を回避するための基本的な知識を知らせる記事も多くなっているようで、喜ばしい限りです。 事故の詳細な報道は事故の原因を知り、そして次に回避する手がかりになるという意味では大切ですが、できれば事故が起きる前にそれを回避できれば一番良いわけで、そういう利益になる記事を読者に伝えるのが報道機関の本質的な使命であるわけです。 一方で気になるのは、事故やその回避を伝える記事が以前よりも多く見かけるということです。 今年1年が過ぎ、年間の統計をよく分析して比較しなければわかりませんし、また熊の出没を通報するということも、関心が低いときは少なく・関心が高くなれば多くなるという、人間側の変化による増減ということもありえますので、一概には言えませんが。 5月23日のasahi.comの記事です。 山での熊被害どう防ぐ 2010年05月23日 熊が冬眠から目覚め、人々は山菜採りや登山へと動く季節。日に一関市で男性がツキノワグマに襲われて重傷を負うなど、県内でも出没が目立ってきた。野生動物管理学が専門の岩手大学農学部の青井俊樹教授(59)に、熊とどう向き合うべきか。その生態や対策などを聞いた。 ◇ ◇ ◇ 熊による人身被害が多く発生する時期はいつですか 冬眠からさめたこの時期から6月にかけての山菜採りシーズンと、秋のキノコ採りの頃です。農地での農作業の時期にも突然襲われる例があります。県内で被害にあう人は約年前には年間4、5人だったのが、今は平均人〜十数人にのぼり、全国的に見て最も多いレベルです。 県内の生息数は増えているのでしょうか 調べるのは大変難しいですが、最新のデータでは1700頭にプラス・マイナス300頭と推定しています。減っていないというのが現状です。県内全域に生息し、生息密度も高い。 被害に遭わないようにするには、どうしたらよいのでしょうか 熊の行動や生態は個体差があり、単純ではない。出くわしたら逃げる熊、また向かってくる熊がいる。だから、まず、出あわないように努力することが最も大切。山に入る時には鈴やラジオなどの音を出して人間の存在を知らせたり、1人で行かず複数で行って気配を伝えたりすることが効果的です。 農地や農家などで突然、襲われる場合は防ぎようはないのですか 農家でリンゴなどの果実や野菜を処理せずそのまま放置してしまうと、熊を誘うことにつながります。畑に穴を掘ってしっかり土で覆うなどして処理してほしい。味を覚えると、何度も出没します。キャンプ場なども同じです。 盛岡市猪去地区のリンゴ園のように地域を挙げて電気柵を設け、周囲のやぶを刈って熊が出没しにくい条件づくりを作っているところもあります。ここでは出没が激減しました。 熊だけでなく、県南では果物が好物のハクビシンが増えているようです。増え続ける野生動物にどう対応しますか 動物が増えて、農村地帯の生活空間と動物の生息域が重なってきている。兵庫県では全国に先駆けて、野生動物の保護管理のため、住民の支援活動や動物出没に対応する専門員を配置している。岩手でも野生動物管理官のような専門家が住民に啓蒙しながら、野生動物を適切に森に押し返すようにしていければいいと思います。 ◇ ◇ ◇ 県内の熊 県内にいるのはツキノワグマ。県警によると、ここ数年で最も出没が多かったのは06年。青井さんによると、この年は熊が好きなブナの実が凶作となるなどエサが少なくなり、人里に出てきたとみられている。県によると、襲われてけがをした人身被害は03年以降では05年の17人が最も多い。昨年は15人だった。 熊に遭遇したらどうするか。県自然保護課はリーフレットなどで、▽走って逃げない。背中を見せない▽持ち物を静かに置いて注意をそらす▽攻撃してきたら両手で顔や頭をカバーして防御する―などと呼びかけている。記事が一部文字化けしていますが意味は通じます。 岩手県での話ですが、近年になって人身事故が増加傾向にあるということです。 これが、「生息頭数が増えたのか?」「人を恐れないような熊が増えたのか?」「熊の生息域が失われてきたのか?」「山に入るときの基本的な回避策を知らない人が増えたためか?」「山に入る人口が増えてその分事故も増えるようになったのか?」…と、様々な要因が考えられますので、一概に「森が荒れ、熊の住処が無くなったからだ」などとだけ決めつけるのは頭の悪い発想です。 それまで見られなかった野生動物の行動の変化という場合には、当然「環境の変化」が主な原因ですが、それは何も、餌場の増減や個体数の増加と言った「棲息環境」だけではなく、その被害に遭う人間側の行動の変化やその他の同じような食べ物を食べる外来種の生息数などをも加味しないと、短絡的で見当違いな結論が「原因」になり、そんな誤った推測からでは有効な回避策も図ることはできません。 だから、くだらない一方的な感情論は保護においては不要であり、まず必要なのは冷静・客観的で地道で継続的な調査やその分析を重ねることなんですね。 この記事では回避策をいくつかあげていらっしゃいます。青井教授の「個体差があり単純ではない」という前置きは非常に大切なところで、遭遇状況やその熊の性格などにより、「これをしていれば万能」という回避策はハッキリ言えば、あり得ないわけです。そういう意味では、回避策は一般論でしかないわけですが、しかし何も知らないよりは回避できる可能性はずっと大きい、という前提なわけです。 一方、岩手県のリーフレットでは持ち物を置いて注意をそらす旨を紹介しているようですが、私としては危険が迫っていればやむを得ない場合ももちろんあると思いますが、できれば最終手段にして欲しいところです。 リュックのような背負いカバンであった場合は、万が一攻撃された場合に背中を守る有効な盾になりえます。何より、熊が「この二本足の動物を脅かせば、何か得られる」と学習してしまい、次の散策客が狙われかねない=一層駆除すべしという声につながると思うからです。 もし、どうしても持ち物を置いて注意をそらすという手法を取る場合は、少なくとも食べ物になるようなものは渡さないということが望ましいですね。しかし、これも状況によりますけれど。 しかし、岩手県は以前からHPで事故防止を呼びかけるなど、被害防止について積極的な方であり、また、熊の生存と住民生活の両立を模索している姿勢がその掲載文面などから感じられます。(岩手県自然保護課のHP) 同じ青井教授のコメントと岩手県のリーフレットに触れた記事は、5月25日の読売新聞の岩手県版にも掲載されましたが、人里に下りてくる年になりそうだということに触れている以外はasahi.comと内容が大きく変わらないので、省略します。 5月25日の室蘭民報では、先の山菜取りの老人がヒグマにより殺害された事件を受け、やはり回避を含めた記事を掲載しました。 ■ 山菜採りクマに用心、元室蘭山岳連盟会長がアドバイス 【2010年5月25日(火)朝刊】 山菜シーズンを本格的に迎えて、多くの市民が山菜採りに出向いているが、クマとの遭遇には要注意だ。22日にはむかわ町で70代の男性がクマに襲われ死亡する事件も発生している。入念な下準備をすることが、安全に楽しむ重要なポイントとなりそうだ。 「まず、方位磁石や笛、防犯ブザー、温度計などは必需品です。できるだけすべて用意してほしいですね」。こう語るのは元室蘭山岳連盟会長で、山登り50年近くのキャリアを持つ西城信義さん(78)=登別市鷲別町= このほか、携帯食や包帯なども必要に応じて持ち歩き「家族に場所や帰宅時間などを伝えることも必要」と指摘した。 クマ被害を避けるには山に入る際には笛や防犯ブザー、爆竹を鳴らすことが大切。「大きく鳴らして『これから人間が入る』と知らせてクマを遠ざける。ラジオも有効ですよ」(西城さん)。 万一、クマに遭遇してしまった場合はどうするのか。してはいけないのは、その場から逃げることだ。「これは絶対に駄目。どこまでも追い掛けてくる」(西城さん)とクマの恐ろしさを強調する。刺激すると攻撃される可能性があり、まずすべきことはクマとの“にらめっこ”。クマが反対方向を向いて離れてから、自分も来た道を戻る。「それ以上奥に入ってはいけない。すぐに帰ること」 一方、餌場や寝床など自分の活動エリアに入ってきた人間に襲いかかる場合もある。タケノコやフキなどを食べるクマにとって、山菜を採る人間は“敵”でもある。「一度でも人間を襲うと、また別の機会に狙ってくる。確実に仕留める必要がある」。クマは人を怖がらなくなるためだろう。むかわ町での事件を例に出し、早期のクマ捕獲を訴える。 西胆振の自治体などでは、遭難防止を含めた啓発活動を実施している。室蘭署では、注意事項を記した「交番速報」を市民らに配布して注意を呼び掛けている。 いずれにせよ、念入りな準備と心構えが事故、災害に遭わない有効な手段といえそうだ。 (石川昌希)爆竹を慣らして入るというのは、私は賛同しかねます。 瞬間だけで、また、音が大き過ぎ、もし近くに熊がいた場合は、過剰な刺激を与えかねません。また、人がいた場合でも驚くでしょう。これも状況によりますが、一般的には私はしない方が良いように思います。 山菜取りの方は、鈴は一か所に落ち着くと鳴らなくなる場合もありますので、ラジオが入る場所であれば、ラジオを流しながらというのが良いかもしれません。局によっては天気予報やニュースを流すでしょうし、遭難した場合にも役立ちます。 もっとも、私としては山の中で五感を使って楽しみたいので、野鳥の美しい声、水の流れる音、木々が風に揺れる音…などが、ラジオから流れてくる音なんかを聞かされると興ざめになりますので、正直、止めて欲しいですが…まあ、人命のためなら仕方がありませんかね。 しかし、先日も書いたとおり、いくら報道や行政らが注意を呼び掛けても、それを山に入る人や山に近いところに住む人が、自らのことと意識して、そして注意をして事故を回避しようという機運が無ければ、その人にとって呼びかけは無いも同然なんですね。 山菜シーズンはもう少しで終わりますが、秋にはキノコシーズンになるでしょうから、少しでも回避をするよう、お1人お1人に自覚していただきたいですね。
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どうもこの春は、熊の目撃や熊による人身事故が多く報道されます。 実際の目撃や事故数の増加傾向にあるのかどうかはわかりませんが、少なくとも各報道機関がこれらに関心を持って報道するという姿勢があるようですね。そのような情報が行政や警察に流れ、報道機関が適切に報道をするということは、良い傾向です。 「この時期の山菜取りと熊との遭遇」という注意は、このブログでも何度も取り上げているのですが、また事故が発生してしまったようです。影響力の無いブログですので、仕方がありません。 まずは、5月22日の産経新聞ニュースです。 クマに襲われ、男女2人が重軽傷 岩手で相次ぐ 2010.5.22 16:21 22日午前9時45分ごろ、岩手県二戸市浄法寺町の山林で家族3人と山菜採りに来ていた近くに住む農業、工藤京子さん(62)がクマ2頭と鉢合わせして襲われた。工藤さんは顔などに重傷を負った。家族は近くにいたが、けがはなかった。 これに先立つ午前5時半ごろ、岩手県滝沢村大釜で川釣りをしていた同村滝沢外山、会社員、笹森正さん(30)もクマ1頭に顔面を引っかかれ、鼻などに軽いけがをした。クマは体長約1メートルで、すぐに逃げたという。山菜取りの女性が襲われたのは、2頭の熊ということから、母熊と子熊と推測できます。山菜という熊の餌場でもある場所で、そして子連れ熊であれば、母熊が襲うということは想像できます。 重傷という残念な結果ですが、快復をお祈りするばかりです。 川釣りの男性の場合、これはもう早朝ですから熊の活動時間です。 川の場合、風の通り道であるために人の臭いが分散されやすく、また川の流れる水音により人の立てる音もかき消されるため、熊が人の気配に気づきにくいということがあります。そもそも、渓流釣りでは釣り人は魚に気づかれないように静かに行動するように注意するでしょうから、なおのことです。 ケガの程度が若い男性は軽く、年輩の女性は重傷というのはたまたま襲われた状況というのもあるでしょうけれども、子連れ熊だったということや、被害者の身長・体力や体格差、もしかしたら年齢的なども関係するかもしれません。 いずれも、執拗な攻撃とも読めないので、防衛のための攻撃と思われます。 これら被害者の方の場合はどのような対策をされていたかはわかりませんが、熊にこちらの存在を気づかせるよう最大限の配慮をするということが、こういうシチュエーションの場合は予防する効果的な手段と思われます。 一方、北海道ではヒグマによる加害事故が発生してしまったようです。 5月23日の室蘭民報です。 ■ むかわ町で山菜採りの男性がクマに襲われ死亡 【2010年5月23日(日)朝刊】 22日午後2時28分ごろ、むかわ町穂別仁和の山林で、近くに住む70代の男性が倒れているのを近所の住民が発見、119番通報した。男性はクマに襲われたとみられ、間もなく死亡が確認された。 苫小牧署によると、男性は午前9時ごろ、山菜採りに現場周辺へ出掛けた。正午ごろになっても帰宅しないことから、家族の要請を受けた近所の住民4人が自宅から500メートルほど離れた山林内を探したところ、あおむけに倒れている男性を発見した。男性は右胸には、クマのつめで殴られた痕跡があった。 山菜採りに行った男性が昼ごろになっても帰宅しなかったため、心配した妻が近所の人に頼んで捜してもらっていた。 現場は道道平取厚真線から東へ800メートルほど入った山林。民家からは500メートルほど離れている。 ◆―― よく足跡見掛ける 男性を発見した北山政一さん(70)は「この辺りはクマの穴もあるし、よく足跡を見掛ける。私も4、5年前に今回の現場近くでクマに出くわしたことがある。車のクラクションで逃げていったけどね。今の時期はスドキやコゴミが採れるし、札幌ナンバーの車もこの辺によく入って来ますよ。男性も一日置きくらいに採りにいってたんじゃないかな」と話していた。こちらも、高齢者の山菜取りによる事故です。死亡されてしまったということで、実に残念な結果になってしまいました。 ヒグマの場合は、ツキノワグマに比べて体格が大きくなりますので、その攻撃力も大きくなります。また、攻撃性もヒグマよりは強い傾向にあるために、危険度は高まります。 しかし、日テレnews24の5月23日午前1時23分付け配信の報道によれば、この被害者の男性の奥様が「熊対策は全くしていなかった・何も持って行っていなかった」と答えていらっしゃいました。 付近では熊の足跡や姿も目撃されているということですから、もう少しそのような情報を共有・発信し、山に入る場合の注意とともに広報される体制になっており、そしてご本人はそのような情報に自ら積極的に得ようと動き、そのご家族らも山に入る際にはそのような注意を本人に呼びかけるようにしていただければ、もう少し違った結果になりえたかもしれないと思うと残念です。 さて、このような熊の目撃情報が入りますと、行政はどのような方法で緊急広報をするのでしょうか。 5月20日の読売新聞には、甲府市で熊の目撃が相次いだということで、行政が行った広報についてわかる内容が報じられていました。 甲府でクマ目撃4件に民家近くでも看板設置し注意 甲府市の北部で14日から18日にかけてクマの目撃情報が4件相次いだ。民家に近い場所や山菜採り客が多く訪れる場所でも目撃されている。市では看板を設置するなどして注意を呼びかけ、付近の小学校では、児童にクマよけの鈴を配ったり、下校時間に職員が巡回したりするなどの対策を取り始めた。(久保拓) 【中略】 相次ぐ目撃情報を受け、市は防災無線や広報車のほか、湯村山周辺15か所、昇仙峡周辺9か所に看板を設置して周辺住民に注意を呼びかけている。また、湯村山近くの市立千塚小学校では急きょ全児童に鈴を2個ずつ配り、ランドセルにつけるよう指導した。 県鳥獣センター長の池田章さん(62)にクマに遭遇した時の対処法を聞いた。「今は新芽を求めてクマが動き回る時期で、できるだけ山に入らないのが一番良い。山に入る際は必ずラジオをつけたり鈴を持ち歩いたりするべきだ。クマに遭遇したら急に動かず、ゆっくり後ずさりして逃げたほうがよい」 (2010年5月20日 読売新聞)地方自治体でのいつもの応急の警戒呼びかけですね。広報宣伝車でのアナウンスと、看板設置、防災無線。応急対応としては、行政ではこれくらいが限界なのかもしれません。 新聞紙面で対応にも触れることは読者利益にかなっており、とても良いことです。 このような事後の対応も良いのですが、事前からの広報というのも普段から行っていればもっと安心ですね。 そんな中、5月17日のasahi.comでは、兵庫県の面白い情報発信方法を伝えています。 「クマ出没、ココ注意」 県、HPで詳細図 2010年05月19日 県内でのツキノワグマの出没情報を、丹波市の県森林動物研究センターがホームページ(HP)で公開している。目撃や足跡などの痕跡があった場所を地図上で見られる。5月以降はクマの活動が活発化して遭遇情報も増えるため、センターは「安全のために役立ててほしい」と呼びかけている。(佐藤卓史) センターのHP(http://www.wmi−hyogo.jp/)で見られる。2007年度以降に県民から寄せられた目撃、痕跡の情報を、集落まで区別できる最大20万分の1の地図上に表示。日時や場所、被害の有無がわかり、期間や市町を指定して表示することもできる。 センターによると、県内には少なくとも200頭以上のツキノワグマが生息していると推定され、年間100〜1千件程度の遭遇情報が市町を通じて県に寄せられる。三田市でも04年度以降は目撃されるなど、遭遇する地域が広がっている。地域別では半分以上が但馬北部で、次いで西播磨、但馬南部が多い。 人家の近くに現れるクマが増え、都市部と山間部の人の行き来も増えていることから、先月末から公開を始めた。センターの担当者は「都市部の人は県内にクマがいるという意識が薄いかもしれないが、生息地域に近づけば遭遇の確率は高まる」と注意を呼びかけている。これでもって、視覚的・感覚的に、情報を得られるという大きなメリットがあり、事故の防止を図るとともに事故発生などにより駆除せざるを得ない熊を減らすということも期待できます。 しかし、残念ながら山菜取りを趣味にするのは高齢者の方が多い傾向にあり、それらの年齢層の方は一般的にインターネット環境が整っておられないという場合が多く、この情報に直接接することがどれくらいあるか、疑問です。 しかし、そもそも現状としてある程度看板や各種広報でお知らせしていても事故が相次いで起きている以上、これはもう、山に入ろうとする方お1人お1人の、ご本人はもちろんご家族の意識・自覚というものに大きく効果が左右されてしまうことでしょう。 ですが、兵庫県が少しでも回避しようと模索しているという姿勢は、評価すべきです。 さて、山菜取り以外に、このように目撃が続いた熊がどういった性格の個体・理由で民家近くなどに現れたのかわかりませんが、最近、山中ではなく、民家や街中での出没が目撃されているのも少なくないというのが気になります。 例えば、5月22日の伊那MYウェブニュースでも伊那市内での目撃と伝えていますし、5月17日の中日新聞では福井県大野市内の亀山公園に現れた熊が補殺されたことを伝えています。 こういう何らかの理由で街中に現れた熊の場合、たまたま迷い込んだ熊の場合であれば街中の喧騒によりパニック状態になりやすいと思われ危険ですし、逆に「新世代熊」と呼ばれるような街中の喧騒にも動じない・慣れたような熊であった場合には、記事で伝えるような鈴を身につけるという対応では遭遇を防ぐことができるとは思えません。 また、先日も書いたとおり、人数の多寡では襲う・襲わないは関係しにくいので、「子供たちの集団登下校」という対策もいつも効果があるか疑問で、状況によるということは自覚しておかなければならないでしょう。 そういった事例観察や分析も積み重ねて行かなければなりませんね。 行政らの情報収集と対策などの発信も、ただ「熊のいそうな場所では鈴を」などというだけでは時代遅れ・万能な方法ではないということを基本としておきませんと、せっかくの広報も効果が薄くなるかもしれません。
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