日々是雑感

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【ツキノワグマ・ヒグマ】

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私の興味のあるツキノワグマやヒグマについて、記載しています。
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おしおき放獣

 さて、この数日、北海道や東北だけではなく、さらにあちらこちらでツキノワグマ出没の報道がされています。

 幸い加害事故はまだ無いのですが、単なる目撃だけでこう報道されるのは、目撃した人も、そしてそれを記事にする記者も、「何かおかしい・危険だ」と感じるのでそれぞれの反応をされるのでしょう。しかし、以前も書いたように、情報の受け手が誰もがそれをもとに正しく冷静な対処ができるとは限らない以上、報道の際には対処方法や過剰・センセーショナルな書き方は避けるなど、慎重さも必要ですね。

 6月12日の毎日新聞では、鳥取市での目撃を伝えています。
クマ:鳥取市上原で目撃 /鳥取

 10日午後5時ごろ、鳥取市上原の農道で、車を運転していた男性(26)が体長1メートルほどのクマが道路を横切っているのを見つけた。5月30日には、約4キロ離れた同市松上でもクマが目撃されている。市林務水産課は「同じクマの可能性が高い。また出没することが予想されるので十分に注意してほしい」と呼びかけている。
 4kmの範囲でしたら、同じ熊とも、別の熊ともどちらとも考えられます。
 今の時期の午後5時でしたらまだまだ明るいですが、熊の活動が活発になって来る時間帯であることも間違いないですね。

 6月11日の東京新聞には、群馬県で出没が相次ぐという記事が。
クマの出没相次ぐ 利根沼田地区小中学校周辺 各自治体、注意呼び掛け
2010年6月11日

 初夏を迎え、利根沼田地区の小中学校周辺でツキノワグマの出没が相次いでいる。十日に沼田市とみなかみ町で県利根沼田環境森林事務所が、捕獲檻(おり)一基ずつの設置を許可。本年度に入り、檻の設置は同事務所管内で四カ所目で、サクランボなどの収穫を前に地元農家は警戒を強めている。

 新たに設置が許可されたのは、同市白沢町平出地区と、同町下津地区の月夜野中学に近い山林。平出地区では九日に目撃情報があり、下津地区でも同日にクマの足跡が確認された。

 同町の新治小学校の近くでも養蜂(ようほう)箱がクマに荒らされ、周辺の新巻地区と布施地区で今月上旬に各一基の檻を設置。先月二十七日には同町のJR上越線水上−上牧駅間でクマが電車にはねられ即死した。

 町教委も先月三十一日から計十五回の注意連絡をファクスやメールで小中学校に連絡。児童・生徒にクマよけの鈴の携帯と集団登下校を呼び掛けている。

 川場村でも先月三十一日午後三時すぎ、川場中学校近くでクマが目撃され、地元の駆除隊が出動。クリの木の上にいたクマ(体長約一メートル、体重約八〇キロ、推定年齢三歳のメス)をハンターが発見し、県の許可を得て射殺した。

 利根沼田地区の各市町村の農政担当者は「今年はクマの出没が早い」と分析。県利根沼田環境森林事務所でも三日、各市町村に目撃情報の提供など適切な対応を求める要請を文書で通知した。 (山岸隆)
 全国的に暖かくなって、山間部での農作物や果樹の実り、養蜂の蜜が充実してくるでしょうから、人工的な栽培物の生長と、本来の山の実りが充実するまでのタイムラグのうちは、まだまだ目撃や出没が続くかもしれません。
 この時期に豊富で味の良い農作物や果樹の味を覚えさせると、山野での食べ物が豊富になろうとも、山には戻らなくなる恐れがあります。「人家近くの食べ物を食べる」ことのデメリットよりもメリットが大きければ、当然に熊は人家近くにやって来ます。つまり、熊を人家近くに来させないようにするには、デメリットを大きくしなければなりません。この場合のデメリットというのは、熊にとって「危険である」ということです。

 この群馬の事例では、今日付けの東京新聞で「檻」を設置し、殺さずに放すという方針の旨、報道されていましたが、先日も触れましたが最初から放獣しようとするならば「箱ワナ」が適当です。すき間が大きい格子状の「檻」の場合では、逃れようとして暴れた際に、爪や牙を傷つけることが多く、傷ついた場合には放したところでその後の棲息に影響を与えかねません。

 この人家近くに現れた熊を捕え、奥山などに放すということは熊と人間の共生には大切な手法ですが、このとき、「人間の近くに行くと危険だ」と熊に学習させる「学習(おしおき)放獣」という手法が採られてきています。捕えた熊にトウガラシ(カプサイシン)スプレーを浴びせるなどして害の無い苦痛や恐怖を与えて、それで懲りさせるというわけです。
 この方法も、様々な課題や疑問は残りますが、熊の共生について様々な努力や工夫をしている兵庫県では、今回、その「おしおき放獣」の効果を検証する結果を発表しました。

 6月12日の産経新聞の記事です。
クマに“お仕置き” 人と共生へ秘策
6月12日15時40分配信 産経新聞

 人とクマは共生できるのだろうか。ときに、餌を求めて畑を荒らしたり、人に危害を与えたりすることもあるクマを、人里に近寄らせないように、唐辛子スプレーを吹き付けて“お仕置き”をしてから山に返す取り組みが効果を上げている。これまでは、被害を起こしてしまえば殺処分が避けられなかったクマを生かすための秘策だ。クマが食べる野山の木の実は、今年が凶作の年に当たっている。秋にはクマの人里への出没が増えると予想されており、こうした取り組みに注目が集まっている。(天野健作)

 クマやシカの生態調査などを実施している「兵庫県森林動物研究センター」(丹波市)は、平成15〜20年度までに捕獲したツキノワグマにGPS(衛星利用測位システム)を装着し、その後の行動を監視している。

 野山に放つ際には、唐辛子スプレーのほか、大声を出したり、轟音(ごうおん)玉と呼ばれる煙火やロケット花火をクマが逃げる方向にめがけて投げつけたりする。

 こうした“お仕置き”をすることで、クマに「人が怖い」と教え込み、二度と人里に近寄らせないようにするのだ。この取り組みは「学習放獣」と呼ばれ、広島県などでも実施例があるが、放獣後の本格的な追跡調査を始めたのは同センターが初めてとなる。

                   ◇

 同センターの横山真弓・主任研究員(獣医学)によると、追跡した64頭のうち、約7割の45頭は人里へ再び出没することはなく森の中にとどまった。19頭は再出没があり、そのうち10頭は殺処分された。

 兵庫県では過去10年間に7回のクマによる人身事故が発生している。クマは基本的に用心深く、人に気付くと逃げることが多いが、まれに大きなつめと牙で一撃を与え、重傷を負わせるケースがあるという。

 兵庫県のツキノワグマは絶滅危惧種に指定されていることもあり、殺処分は人間を守るための苦渋の選択でもある。

 学習放獣の効果もあって、平成12年度に県内で15頭だった捕殺頭数は、近年は数頭にとどまっている。20年前までに推定100頭程度だった生息数も、現在は200頭以上に回復したとみられるという。

                   ◇

 ドングリなどの木の実がたくさんなる豊作年のときはクマの目撃件数は減るが、今年は2年に1度の凶作年にあたる。凶作年には県内のクマの目撃件数が豊作年の約10倍に当たる千件近くに上ることもあるという。昨年が大豊作だっただけに今年は大凶作になるのではとの予想もある。

 県では目撃情報をもとに必要に応じて現場に出動し、被害にあわないための指導助言を行っている。横山さんは「人里への出没は夜間だけでなく早朝、夕方にも及ぶ」という。

 クマを寄せ付けないためには、軒先にある柿や栗を早めに収穫したり、生ゴミを屋外に放置するのをやめたりしなければならない。

 横山さんは「クマも人に合わないように努力している。人間側の取り組みも必要だ」と訴えている。
 人間の安全や経済を守りつつ、熊を保護していくには、その行動パターンや生息頭数を把握することは欠かせません。そのためにはGPSは非常に効果を上げてくれます。

 調査の結果、「おしおき放獣」を受けた7割が人家に現れないということで高い効果を上げていることが初めてデータで示されましたが、逆に言えば3割は再びやって来るわけですし、15%あまりはそれでもやむを得ず(=人家近くへの出没を繰り返したか?)殺処分というわけで、当然ですが、絶対的なものではないわけです。これは個体の能力や性格や成長過程の経験など、様々な要素からだと思われます。

 それにしても、記事中には兵庫県の熊は現在200頭以上という推測をしているということが書かれていますが、これは実は大切な数字です。
 全県で200頭しかいない(としている)のに、64頭=32%が人家近くに現れて捕獲・追跡調査を受けることになったとも言えるからです。これは推測頭数がもっと多いはずなのか、それほどまでに人家近くに出没することを覚えた熊が多かったのか、捕獲する際の誘引物の影響か、わかりません。それにしても、私はこれはかなり多い割合だと思います。

 記事最後の研究員である横山真弓さんのコメントが、私たちに投げかけられている課題を端的に現わしていると思います。
 先日、北海道根室市の市街地でヒグマが出没したらしいことや、本州では各地でツキノワグマの目撃・市街地での電車や車両との接触事故があった記事を紹介しました
 その続報です。

 今日の釧路新聞に、この冬に「穴持たず」が目撃され、また先日市営住宅付近に出没が確認された根室市で、初めて箱ワナの設置をすることに決めたという記事が掲載されました。
2010年06月10日 ヒグマ対策に「箱ワナ」導入

 根室市は9日、ヒグマを捕獲する「箱ワナ」を足跡などが目撃された市営住宅に近い民有地に仕掛けた。
 箱ワナの設置は、目撃場所が市街地であり、銃の使用ができないための措置。市が2008年度に購入した箱ワナを使用するのは初めて。ワナは1カ月間は設置する予定で、市は「ワナに近づくとクマに遭遇する可能性がある」と注意を呼び掛けている。 
 今年、度々住宅地に「穴持たず」が出没したにも関わらず、購入した箱ワナを今回初めてというのですから、冬のときはどのような対応をしたのでしょう?幸い、人身被害は無かったので良かったのですが…。
 記事にも触れられているように、ワナに用いる誘引物(ハチミツやリンゴなど、熊が好む匂いのあるもの)が逆に人と熊との接触という結果を危惧したのかもしれません。

 箱ワナは熊を傷つけずに捕えることができますが、捕獲した後にどのような対処をするかまで考えませんと、そのメリットが活かされません。
 射殺や薬殺をするのか、動物園などの施設で保護するのか、どこかに放獣するか。
 放獣する場合は、その場所が他の熊が少なく、その場所で棲息していける環境に無ければ再び街に出没するなど、トラブルのもとです。人間の怖さを教えて放す、いわゆる「おしおき放獣」でもそれは同じですし、個体の性格によっては人間を敵と見なす恐れも残ります。

 山などの「生息地」ではなく、このように街中に出没をする個体が現れた場合の対処を真剣に考えないと、住民の安全と熊の保護の両立は果たせず、どちらか1つ、つまり熊の殺処分ということだけしか選択肢が無いことになり、それはつまり、街中に出没する熊の増加=殺処分の増加ということになってしまいかねません。
 熊の保護を考える場合には、熊が街中に出没する理由や地域の個体数の把握について、今後ますます重要な調査分析をするべきでしょう。

 さて、一方、車両との衝突や民家の壁を壊すなど、東北地方ではツキノワグマの人の生活圏の中での接触がこの春、目立っています。
 特に秋田県では、昨年の夏にも相次いだように、人家への侵入がありましたが、今日は高速道路上を横断する熊が目撃されたということです。
 今日の日テレ NEWS 24です。
高速道路にクマ出没(秋田県)

 クマが出たのは秋田市柳田の秋田自動車道太平山パーキングエリアの近くです。

 きょう午前8時45分ころ、車で巡回をしていたネクスコ東日本の職員が、道路を横切るクマを目撃しました。クマは体長が1メートルほどで、道路脇の山の中へ姿を消したということです。

 県警察本部のまとめによりますとことし県内ではクマの目撃情報が88件と去年の倍近くに達しています。人里近くで目撃されるケースも多いことから警察で注意を呼びかけています。

 きょうはこのほか大館市と大仙市のあわせて3か所でクマが目撃されています。
 北秋田市のクマ牧場によりますと、ことしは春先以降に低温が続いたためクマのエサとなる山菜の生育が悪いのが原因ではないかとみられています。
[ 6/10 19:58 秋田放送]
 高速道路がそもそも人家の少ない山を選んで作られているという事情もありますが、生息地を分断していることによる熊の遺伝上の孤立といった問題もあり、横断してくれることは危険ですがそのような遺伝上の孤立を打破しているとも言えます。

 しかし、以前、何度か書いたように、動物との交通事故という、動物保護の観点からだけではなく人自身への危険という点で記事を紹介しましたが、ツキノワグマのように数十kgから100kgを越えるような重さの生き物に、高速道路での走行・時速80kmで衝突すれば、運転者や周囲を走行する車などにも相当なダメージがあります。

 山を通る高速道路ですから、車の少ない朝の時間帯に熊が出没することじたいは不思議ではないかもしれませんが、このように秋田県内では目撃が多いということが、熊の棲息環境や行動の変化に起因するものということが、心配ですね。

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 5月下旬に北海道で山菜取りの男性がヒグマに襲われ死亡するという事故がありましたが、今度は帯広市で山菜取りの女性が襲われ死亡するという事故が起きました。
 山菜採りをする人の数を考えれば、また、熊による加害事故とその他の蜂や遭難などによる死亡件数を考えれば、山菜取りで熊に襲われて亡くなるという方が「多い」と一概には言えませんが、先日見たように、熊の加害事故においては山菜採り最中も多いということを考えればリスクは少なくないと思います。

 今夜7時のNHKが第一報を伝えています。
クマに襲われたか 女性が死亡
6月5日 18時32分 

 5日午後、北海道帯広市の防風林で、山菜採りをしていた66歳の女性が顔や頭にけがをして死亡しているのが見つかり、警察はクマに襲われたとみて調べています。

 5日午後4時ごろ、北海道帯広市の防風林で、音更町の66歳の女性が倒れているのを、いっしょに山菜採りをしていた夫が見つけました。女性は頭や顔にけがをしているほか、左のほほを骨折していて、死亡が確認されました。警察によりますと、近くで親グマ1頭と子グマ2頭が目撃されたということで、警察は女性がクマに襲われたとみて調べています。現場は帯広市南西部の防風林で、近くには住宅も点在しています。現在、警察や地元の猟友会が警戒に当たっていて、クマに注意するよう呼びかけています。
 詳細は不明で、情報の共有や女性らがどのような熊対策をしていたか、続報が待たれます。残念な事故です。

 一方、本州ではこの週末にかけて出没が相次ぎました。

 6月4日の秋田魁新報社の記事です。
車庫に閉じ込めクマ駆除 各地で出没相次ぐ

 県内では4日、クマの出没が相次いだ。大館市商人留字谷地中では午後5時ごろ、自宅の車庫にクマがいると、男性(61)が大館署に届け出た。

 同署によると、荷物を取りに行った男性が獣の息遣いを聞き、体長約80センチのクマが車庫のシャッター巻き上げ部分に登っているのを見つけた。シャッターを閉めてクマを閉じ込めて通報し、猟友会員が駆除した。

 その他の出没場所は次の通り。▽鹿角市八幡平字赤渕の会社事務所裏▽大館市比内町八木橋字板戸の国道285号▽秋田市河辺赤平字野崎の畑

(2010/06/04 21:34 更新)
 熊を車庫に閉じ込め、射殺する必要があったのかどうか、この記事だけからは判断できません。

 体長80cmという小型であるところから、子熊か、親離れしたばかりの熊かもしれません。若い個体の場合は警戒心が未熟で好奇心が残るものもあるため人家に入り込んだとも考えられますが、そもそも人家や人を恐れない個体ということでなければ良いのですが…。

 6月4日は、岐阜県高山市で、特急列車に子熊と見られる個体が衝突し死ぬという事故も発生したようです。
 6月4日のasahi.comです。
子熊が特急と衝突、死ぬ 近くに母熊も? JR高山線
2010年6月4日11時20分
     
 4日午前9時50分ごろ、岐阜県高山市久々野町のJR高山線で、名古屋発高山行きの特急「ワイドビューひだ」(4両、乗客50人)が熊と衝突した。JR東海や高山市によると、体長85センチでオスの子熊とみられ、死んだという。母熊が近くにいる可能性もあり、市などが地元猟友会と協力して警戒に当たっているという。 

【後略】
 熊が電車と衝突するという事故は、たまに起きます。
 私はそのたびに不思議に思っているのが、電車はレールの震動などがあり、ある程度走行する音も立てて走り、状況にもよりますが線路上に熊がいるのを運転士が発見すれば警笛を鳴らすでしょうし、例え沿線が草地でも線路上は見通しが良い場所であるのに、なぜ、線路上に現れたり、電車が近づくのに気づいて回避しないのか?ということです。
 鈴やラジオなどの音で熊との遭遇を回避できるならば、電車の音でも熊は回避行動をとるのではないか?と。

 この事故の場合は子熊のようですから、やはり経験不足とか好奇心ということも考えられますが、このような事故は成獣でも起きます。

 全国の電車走行数や熊の推定生息数を考えれば、接触事故は多いわけではない「まれ」な出来事です。
 しかしそれでも発生するのは、若い個体の経験不足や好奇心のほか、熊の異常感知と判断・回避行動の能力は自然界では非常に優れているものの、電車のスピードやパワーというものがその能力で対応できる許容範囲をはるかに越えているために、対応が間に合わないということもあるのかもしれませんし、自然界ではまずありえない大きな音とパワー、大きさのものの接近に過剰な刺激を受けてしまい興奮・混乱し、判断を誤らせるのかもしれません。このほか、性格的なものや基本的な性質や身体構造が関係するのでしょう。
 ただ、ここでも心配なのは、特急電車程度では驚かないという、人や人間社会に慣れたゆえに回避をせずに事故にあっている、という原因ではなければ良いということです。人間の存在や発する音などに慣れた熊は、人間社会とさらに接近してトラブルになり、双方にとって悲劇に発展しやすくなるからです。

 福島県では乗用車に衝突するということなどが起きたようです。
 今日の福島放送の報道です。
クマ相次ぎ出没・土蔵の壁破壊、車に衝突
2010年06月05日 09時20分配信

 4日午前6時ごろ、福島市松川町水原、農業加藤東男さん(69)方の土蔵の壁が一部壊され、床下のミツバチの巣が荒らされているのを加藤さんが見つけ、福島署に届け出た。

 同日午後零時半ごろには同市土湯温泉町では車にクマがぶつかるなどクマの出没が相次ぎ、同署は住民や学校に注意を呼び掛けている。

 同署によると、松川町では加藤さん方の土蔵の壁にクマのつめ跡のような穴があった。
 3日夕方から4日早朝にかけてクマが侵入したとみられる。
 付近の住民によると、2、3日前にも近くの空き家の壁につめ跡のような跡があったという。

 土湯温泉町では市道を走行していた宅配業者の男性(43)の車に道路脇の草むらから体長約100センチのクマが飛び出し、車の側面にぶつかった。
 クマは草むらに逃げたという。
 男性にけがはなかった。
 土蔵の壁を壊した熊と、その近くの空き家の壁に爪痕を残した熊が同じなのかわかりませんし、その空き家の壁になぜ爪痕を残したのかもわかりませんが、googleマップで福島市松川町水原を見ると山あいの地域なので、出没はそれほど不思議ではありません。

 養蜂と違い、自然に民家の壁などに作られた巣では回避は難しくなります。熊回避のためにミツバチを駆除するということくらいでしょう。

 自動車との衝突ですが、私もかつてあわや衝突、という経験があります。
 夏の夜7時ごろ林道を徐行していて、古い車なのでエンジンや排気音も高めの車のはずですが、一瞬遅れたら轢いていたというタイミングの遭遇があります。まるで街中でたまにヒヤリとするネコの横断のような動きでした。車高が低かった私の車よりも体高が低かったので、若い熊でした。

 ネコと熊で共通する点で考えてみると、同じ食肉目であり、目が前面を見るのに適した配置であるためにその他の草食動物に比べれば左右が見えづらいということや、昼間よりも夜に行動する視力のために自動車の突然の車の強烈なライトで目がくらむという点もありそうです。
 ただし、ネコの場合は自動車に衝突すれば死んでしまうか、生き残っても人間に害をなす心配はありませんが、熊の場合は体格がはるかに大きな分生き残れる場合も多いでしょうし、そして狩猟で言うところの「手負い」となった熊が人間に害をなすという恐れも生じるかもしれません。

 安全運転と、そしてそういう事故や目撃は担当行政や警察に知らせるなど、そういう素早い対処がドライバーに求められますね。


【追記 2010.6.6】
 同じく5日に、根室市でも団地にヒグマが出没したという報道がありました。根室市は今回の場所から近い場所で「穴持たず」騒ぎもあっただけに、行動の変化が気になります。同一の熊かもしれません。

 今朝の北海道新聞です。
根室でヒグマ、市住の窓割る(06/06 07:05)

【根室】5日午後3時ごろ、根室市光洋町4の市営住宅「光洋団地」周辺で、男性作業員がヒグマの足跡を発見し、根室市に通報した。調査した市職員が、団地の1棟で1階共用部分の窓ガラス1枚が割られているのを見つけた。 

 根室署と市によると、足跡は団地から航空自衛隊根室分屯基地周辺にわたって数十カ所で確認された。割られた窓ガラスの枠には、前足でつけたとみられる泥が残っていた。 

 近年、市街地でクマが確認された例はなく、市は同日夜、根室署などとつくるヒグマ対策連絡会議を急きょ開き、パトロールを強化することを決めた。 
 こちらもgoogleマップで見てみたのですが、森林などに隣接しているわけではない、開けた地域に囲まれた団地のようです。普段の生息地からは離れていると思われる場所まで出て来た理由は食べ物探しだと思いますが、人の多い団地まで出てくるということは事故と、熊の行動の変化という2点で危惧されることです。
 また、「近年、市街地で確認された例が無い」というのが気になります。


 作業員の方が自治体に通報するという行動をしてくださったおかげで迅速な初期対応が図ることができました。過剰に騒ぐのは良くないかもしれませんが、こういう危機意識は初期対応・住民と行政らの良い連携の例ですね。

【追記 2010.6.8】
 今日の毎日新聞でも、山形県で乗用車にぶつかった熊の話題が。一瞬の目撃ですから正確かわかりませんが、小さく、若い個体かもしれません。
クマ:乗用車に衝突、けがなし−−山形市蔵王温泉童子・県道 /山形

 7日午前11時半ごろ、山形市蔵王温泉童子の県道の童子平バス停付近で、山形市の会社役員の男性(70)の乗用車に、道路左側の林から出てきた体長約80センチのクマが衝突した。山形署によると、クマは出てきた林に戻った。車は左前部がへこんだが、男性にけがはないという。

【後略】
 同じく今日の読売新聞でも、兵庫で道路を横切る小熊が撮影されたという話題が。
 県道横断のクマ撮影…兵庫・香美で男性

 6日午前10時頃、兵庫県香美町香住区三谷の矢田川で、クマ1頭が泳いでいるのを同町香住区の男性(53)が見つけた。クマはその後、川沿いの県道を横断し、山の斜面を登っていったという。

 男性は地区の清掃活動で集めたごみをトラックで搬送中、持っていたデジタルカメラで車内などから撮影した。体長は1メートル弱で、子グマのようだったという。

【後略】

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自力救済 その2

 先日、広島県佐伯区でニワトリが熊に襲われたために、違法にイノシシ用のくくりワナを仕掛けて熊が捕獲されたものの、熊に逆襲されて大ケガを負ったという記事を紹介しました

 悪質な密猟とは違い、また、大切に育ててきた農作物や家畜を食べられるなどの農業被害・人的被害の恐れを懸念する気持ちを考えれば、加害あるいは出没した熊に憎しみを感じたり恐れを感じ、そしてそれらを解消するべくワナを用いて捕え排除するという発想・気持ちは理解できなくはありません。

 しかし、許可なくワナを用いることは、多数の動物だけではなく、本人や無関係な人にも危険を及ぼす行為です。
 心情は理解できなくなくとも、それはそれとして、違法行為は正されるべきです。

 そう思っていたところ、また同じように自力救済を図るワナを仕掛け熊を捕獲したという記事が出ました。
 この捕獲についての第一報は前日・3日には報道されていましたが、詳細があいまいだったことと、昨日は富山県での事故の続報が入ったために触れませんでした。

 6月4日の読売新聞の記事に、今回の捕獲の概要が報じられました。
わなにツキノワグマ…和歌山・日高川の山中、調査チップ埋め山へ返す

 3日午前8時45分頃、和歌山県日高川町猪谷地区の無職男性(80)から、山中のくくりわなにツキノワグマがかかったと同町役場に連絡があった。県は、現地に職員や専門家を派遣、午後1時頃、麻酔銃で眠らせた。右前脚に軽いけがをしていたが、体調に問題はなく、背中に調査用のチップを埋め込み、山に返した。

 県自然環境室によると、体長1メートル13、体重41・5キロの雄で推定3歳。クマが見つかったのは「美山温泉 愛徳荘」の東約3キロで、餌を探して山を下りてきたとみられる。

 男性は蜂蜜を採取するハチの巣箱を動物から守るため、わなを仕掛けたといい、先月末にクマがかかっているのを見つけたが、そのままにしていた。この日、クマが暴れ出したため、町に知らせた。男性は鳥獣保護法に基づく狩猟免許を受けていないという。

 ツキノワグマは県レッドデータブックで「絶滅危惧(きぐ)1類」に分類され、鳥獣保護法施行規則で狩猟が禁止されている。紀伊半島に約180頭、県内で約20頭が生息しているとされる。

(2010年6月4日  読売新聞)
 記事によれば、80歳の男性は「無職」ということですから、ハチの巣箱というのは養蜂業ではなく趣味の範囲か自家用ということかもしれません。
 熊は小さい個体ですので、親離れしたばかりで有力な餌場を確保できないために、人家近くまで行動範囲にしなければならなかったのかもしれません。

 それにしてもこの男性、何を考えているのでしょう。
 後先考えずに違法にワナを仕掛け、熊がかかったら当初は見て見ぬふりをして放置(飢え死にか衰弱死を待ったのか、違法行為が発覚するのを恐れたか?)、暴れるのを見て怖くなって初めて相談。
 行き当たりばったりです。

 先にも書いたように、このような自力救済をいきなりしようというのは、何らかの狩猟経験が無ければ普通、しません。
 普通の感覚の持ち主であったり、狩猟の知識が無ければ、巣箱を高い場所に吊るすとか、鉄檻の中に入れるとか、設置場所を変えるとか、そういう手段を取るでしょう。
 今は狩猟免許を受けてはいなくとも、かつてはそういう経験があったと思われます。

 ミツバチの巣を襲う動物はツキノワグマで、他の動物がミツバチを好んで襲うというのは私は知りません。従って、この老人が想定していた動物もツキノワグマと考えられそうです。
 しかし、この地域はツキノワグマの生息頭数が少ないわけですから、それならば普通はツキノワグマからの被害を想定外にするところです。それでもなお仕掛けたということは、既に熊の被害があったか、目撃されたなど、「仕掛ける理由」がこの老人なりにあったのかもしれません。

 しかし、そうだとしても、それはこの老人1人の理屈であり、その他の人の理屈ではありません。
 安易に、しかも熊を捕獲することを想定してくくり罠を仕掛ける(直径12センチ以上の輪にする?)ことは、場所によっては人がかかってケガをするかもしれませんし、ワナにより興奮した熊から無関係な人が襲われるという事故に発展するかもしれません。
 熊という種の保護という観点だけではなく、違法な行為がそういう危険をも発生させることになります。そういう危険が起きるのは、先日の広島県の事故でもそうですし、以前紹介した兵庫県内での事故のようなことから見ても明らかです。

 高齢者だから、密猟ではなくミツバチを守ろうという動機だからと、あいまいにせずに、状況や事情に応じては密猟と同じような厳しい対応をすべきと私は思います。
 先日、富山県南砺市で起きてしまったツキノワグマの連続加害事故ですが、続報が今日・6月3日の読売新聞に掲載されました。
県が緊急クマ対策会議ヘルメット着用徹底求める

 南砺市の山中で1日、男性2人が相次いでクマに襲われ負傷した事故を受け、県は2日、県内市町村の担当者ら約40人を県庁に招集して緊急のクマ対策会議を開いた。山林に入る住民に対し、クマの痕跡が残る場所に近づかず、頭部を守るヘルメット着用を徹底するよう求めた。

 県内で人がクマに襲われたのは2008年11月以来、1年半ぶり。現場にはクマが皮をはいだとみられるスギ3本が見つかったほか、植物繊維を多く含んだフンが大量に残され、クマがかなりの期間滞在した形跡があった。

 1日に最初に襲われた75歳の男性は、クマよけの効果があるとされるラジオを鳴らしていたが、頭部を襲われ、1か月のけがを負った。また、クマの捕獲に乗り出した南砺市猟友会メンバーの56歳の男性も頭部に1週間の負傷を受けた。同メンバーの男性を襲って射殺されたクマは雌の成獣。子どもを産んだ形跡があるが、近くに子グマは確認できなかったという。南砺署では、最初の男性も襲ったのではないかとみて調べている。

 県自然保護課によると、今年に入り、クマの目撃・痕跡情報は5月末現在で34件。人身事故のなかった昨年同期(56件)より22件少ないが、同課は「出没件数と被害の多さは関係ない」として、刺激臭を放つクマ防止スプレーの携行などを呼びかける。また、6、7月は交尾期にあたり、クマの行動範囲が広がることから、「遭遇の可能性が高まる」と注意を促している。

(2010年6月3日  読売新聞)
 体格の大きく栄養状態の良いヒグマでしたら、工事用のヘルメットのようなものでも破壊するか、人の首を簡単に折ってしまいますが、この時期のツキノワグマでしたら攻撃への防除に効果が期待できます。

 さて、この続報で分かることが2つあり、1つは「現場では熊剥ぎがなされており、・フンの様子からそれを食べていたこと」がわかり、もう1つは「子供を産んだ形跡のある成獣だった」ということです。

 これにより、最初の被害者がラジオを鳴らしていたにも関わらず襲われる結果になったのは、「食餌に夢中になっているなどし、気づくのが遅れた」か、「餌場を独占しようとして排除行動に出た」か、「子熊を守ろうとしての防衛行動」かの、3つのうちのいずれか、あるいは複合的要素である可能性が高まります。
 このことは、この地域でいわゆる「新世代熊」が人との接触が始まったわけではないということが言えそうであるということでもあり、その点だけは良かったと言えます。

 また、この事故での教訓は、加害した熊は興奮か人を恐れなくなるのか、再度人を襲うこともあり、そして襲ってすぐにその場から逃げるとも限らないということです。
 このことは、有害鳥獣駆除として危険な役割を担うハンターの皆さんには、とうにご存じで十分に警戒してその任に当たっていただいているとは思いますが、さらに一層、ご注意いただきたいです。

 記事では、熊除けスプレーの携帯を促すコメントを掲載していますが、これはただ購入しただけではとっさのときに扱うのは難しいですから、朝夕や曇りの日などには山中・特に山菜の豊富な場所に入らないとか、ラジオや熊鈴を身につけるとか、熊の痕跡を見たら引き返したり、目撃情報の多い場所には近づかないといった自衛策をもあわせて考えて、野山を楽しんでいただきたいものです。

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泉ヶ岳
泉ヶ岳
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