日々是雑感

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【有害鳥獣駆除・ハンター】

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 私は動物や命というものを大切に思っていますが、同時に、人間の気持ちや生活というのも大切に思っています。

 人間と動物というのは時に対立・摩擦が生じるものです。

 ここでは、安易に動物を保護しハンターや行政を批判したりはしません。
 農作物と動物が、どうすればうまく折り合っていけるかということを、考えることができればと思います。
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ボランティアハンター

 ちょっと古い記事ですが、2009年9月30日の釧路新聞の記事で、北海道庁釧路支庁で、エゾシカを駆除するボランティアハンターを募っているという記事がありました。
ボランティアハンター導入【釧路】 
釧路新聞社 地域 2009-09-30 

エゾシカ被害防止へ新戦略
 エゾシカによる農業被害や交通事故に悩む道と釧路支庁はボランティアハンターを募り、今年度の狩猟期を終えた来年3月に釧路市阿寒町地区の国有林と私有林で特別許可を得てエゾシカの捕獲を試行する。国立公園内の阿寒湖畔地区は長年にわたり鳥獣保護区に指定されていることでエゾシカが増加し、湖畔の森林が食い荒らされて自然崩壊が危ぐされている。ボランティアハンターは初めての試みで、頭数の抑制にどの程度の効果があるのか道内のモデルケースとする考えだ。
 ボランティアハンターは、道がエゾシカ個体数の減少に向けた登録活用モデル事業として、今年度に初めて計画された。
 対象予定は、国立公園として長く鳥獣保護区に指定され、エゾシカが増加している釧路市阿寒町地区。同地区内の国有林と阿寒湖畔にある前田一歩園財団が所有する私有林。阿寒湖鳥獣保護区(8808ヘクタール)とシュンクシタカラ鳥獣保護区(552ヘクタール)が対象。
 活動はボランティアのため無報酬で行う。実施期間は、エゾシカ狩猟期を終えた来年3月の1カ月間。募集人員は50人で、釧路管内在住で今年度の第1種狩猟登録をしている。来年2月14日の事業説明会に参加でき、ボランティアとして事業に賛同・協力できることが条件。
 捕獲したエゾシカはハンターの所有物とし、食用や有効活用にしてもよい。
 これを読んだ限りでは、一からマナーの良いハンターを養成するというわけではなく、既にハンターとして活動している人たちをボランティア活用しようという制度のようです。
 具体的な活動内容や指揮・指導(依頼)系統などがこれだけではわからないので何とも言えませんが、単に猟期延長特別許可制度という感じがします。

 経費をかけずに被害を最小限にしたいという担当行政のまさに「苦肉の策」な考え方はわかりますが、「単に登録しているだけ」とか「長く猟をしたいだけ」という制度に過ぎないということにならないように、「それ以上」のものを求めて、対等な関係にしていく方がよろしいでしょうね。
 「特別に猟をすることを許す」という、許認可権の行使でもって、「権利を与えてあげているのだから、言うことを聞け」というだけでは、今後は長く続くかどうかも少し不安です。
 行政とハンター両者の思惑が一致すれば、それでも良いのでしょうが、これだけでハンターに過度な要求はしづらいものでしょうし、「それを知っていてボランティア応募したのだろう?だから言うことを聞け」と言っても、やはり長く続きません。
 頭数管理など、行政の思惑がある程度強いねらいがあるのであれば、銃砲弾薬代の一部や交通費の一部を支給するなど、実費補助もあっても良いかもしれませんし、長く続くコツのような気がします。
 狩猟をすることで自然に頭数は減らせたり、人への警戒心を抱かせることができるなど、メリットも大きいと思うのですが、どのくらいの頭数を撃つのか?など、綿密な調査や経過観察が不可欠ですね。

 と思っていたところに、1月13日の釧路新聞に、募集状況の結果が出ていました。
2010年01月12日 ボランティアハンター予定人数上回る

 エゾシカによる農業被害に苦慮する釧路支庁が道内で初めて試行するボランティアハンターは、予定した50人を上回る参加申し込みが寄せられ、大きな反響となった。
 狩猟期を終えたあと、被害の多い釧路市阿寒町地区をエリアに、一部鳥獣保護区の中でも駆除を実施するもので、道内のモデルケースとして注目を集めている。 
 正直、定員を上回るとは意外でした。
 応募動機はいろいろあるのでしょうけれども、今後、この経過と結果でもって、何か全国的にも応用が利くことになるかもしれませんので、釧路支庁におかれましては精密な分析を合わせて行い、提供するようにしていただけるとうれしいですね。

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警察官の業務

 昨年末、イノシシに襲われて亡くなったのではないか?という事故が新聞に掲載されました。
 12月30日の毎日新聞の記事です。
<男性死亡>イノシシに襲われ? 岐阜の55歳、自宅近くで
12月30日18時27分配信 毎日新聞

 30日正午ごろ、岐阜県海津市南濃町のミカン畑で、近くに住む同市職員、栗田※正さん(55)が倒れているのを父親(83)が発見、間もなく死亡が確認された。左足や右耳など全身十数カ所に牙で刺されたような傷があり、畑周辺にはイノシシの足跡があった。付近の住民が午前9時ごろ、体に血の付いたイノシシを周辺で目撃しており、県警海津署は、栗田さんがイノシシに襲われた可能性が高いとみて調べている。

 同署によると、死因は外傷性失血死。栗田さんは午前7時半ごろ、自宅に隣接する畑でゴミを燃やそうと家を出た。帰宅が遅いのを心配した父親が捜しに行き、発見した。【石山絵歩】

 (※は、「丈」の右肩に点あり)
 12月13日の毎日新聞では、また別に「イノシシ:3人かまれけが 駅周辺などに出没 和歌山」という記事もありましたし、1月11日の毎日新聞には「イノシシ:男性が襲われ軽いけが−−印旛の路上 /千葉」という記事が掲載されました。

 これだけ聞くと、イノシシと人間の事故は相当多いように思いますが、イノシシの頭数と人間の人数を考えれば、それほど多いもの(頻繁というわけ)ではなく、マスコミもめずらしい事件だから取りあげるため、同じ報道を何度か聴いてしまうことで「多くなった」と錯覚するということは容易に考えられます。

 しかし、直接の人身被害は少なくとも、以前紹介しましたように農業被害額は相当なもので、1月10日のカナロコには、「箱根の観光施設がイノシシといたちごっこ、駆除規制で繁殖」という見出しで、町がほぼ全域、鳥獣保護区になっているために駆除が難しく、観光用の芝生広場が掘り返されて荒れ果てている様子が掲載されています。
 安易に代案もなく、鳥獣保護だけを訴える人にはこの効果的・速効的な対策を教えて欲しいものです。

 さて、話題はガラリと変わり。
 1月10日は「110番の日」でもあり、110番の受理件数や内容が発表されました。
 1月10日の読売新聞です。
「ゴキブリ!」「雨戸開けて」110番、困ります
1月10日5時4分配信 読売新聞

 昨年1〜11月に全国の警察本部が受理した110番通報は前年同期より10万9235件増の825万4327件だったことが警察庁のまとめでわかった。

 内容別で最も増加したのは「要望苦情相談」で、「足が痛いので湿布を買ってきてほしい」など緊急とはほど遠い通報も多く含まれていた。同庁は「事件や事故の出動に影響しかねない」として、緊急でない場合は相談専用電話「#9110」を利用するよう呼びかけている。

 「要望苦情相談」は前年より7万6992件増加の96万8413件で、全体の11・7%を占めた。いずれも緊急性はなく、東京都内では「ゴキブリが出たので退治してほしい」「6歳の子どもが家で暴れ、困っている」などのほか、高齢者が「雨戸を開けてほしい」と求めたケースまであったという。

 通報内容別で最多だったのは「交通関係」の240万1018件。携帯電話の普及によって、通報のうち携帯電話などの移動電話からの通報は13万2140件増の529万7935件に上り、全体に占める割合は過去最高の64・2%だった。 
 すさまじい増加率ですが、しょうもない電話の増加に憤りと脱力感を感じます。
 警察は「街のなんでも屋」さんになりつつあります。

 そう思っていた中で、イノシシと警察のこんな記事。
 1月11日の毎日新聞の記事。
<イノシシ>警官、拳銃で射殺…車にひかれ暴れる 金沢
1月11日21時36分配信 毎日新聞

 金沢市の住宅街で11日、車にひかれたイノシシ(体長約1.3メートル)が暴れ、駆けつけた石川県警金沢中署の警官2人が拳銃を計6発発砲して射殺した。

 同署によると、同日午前11時10分ごろ、同市伏見台1で「乗用車でイノシシをひいた」と市内の女性(71)から通報があった。近くの交番の男性警官2人と猟友会員らが駆けつけ、前輪に足を挟まれたイノシシをハンマーで殴ったところ、猟友会員にかみつくなど暴れ出した。巡査部長(55)が2発発砲するとイノシシは逃走したため、巡査(25)と追いかけ、2人でさらに計4発を発砲。約50メートル先の路地裏で射殺した。

 猟友会員は2人が足などに軽傷。同署の松井三十二副署長は拳銃の使用について「適正な職務執行だった」としている。【近藤希実】
 猟友会の方がハンマーで安楽死させようと思ったのでしょうが失敗して暴れたと思うのですが、もうちょっとうまくやって欲しかったものです。

 これで警察官は、当然の職務執行で射殺せざるをえなかったわけで、この射殺は私は全面的に支持すると同時に、よく動くイノシシに照準もついていない拳銃で冷静に当てることができたものだと感心します。拳銃訓練も動くものでしていないでしょうし、まして生き物を撃つというのは結構なプレッシャーでしょう。まして、イノシシなんて早々見る物でもないはず。
 これは警察官の方の、危険と判断してここで逃がしてはならないと思った使命感などがそうさせたのかな?と思います。

 しかし、以前も書いたように、ハンターが急速に減少している中、何もせずにいると、警察官の業務として「有害鳥獣駆除」も頻繁になって来ることは十分に考えられます。
 むろん、農業被害は直接的な人命にかからないことですので射殺は考えづらいですが、たまにニュースになる「街中の大捕り物」なんてことは増えるかもしれません。
 街中のイノシシやシカ出没に警察官の労力を割いたとしても、では農村の被害は誰が食い止めるの?

 警察官の業務多忙化は、最も大事な犯罪捜査や事件・事故防止に影響します。
 その抑制にもなり、農村も守るプロフェッショナルとして優良・専門的なハンターを養成することに、何が反対なのでしょうか?日本熊森協会さん

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農業被害

 12月18日の時事通信の記事に、昨年度の農業被害額が一昨年度のそれよりも7.5%増えたという記事がありました。
「農地荒らし」の被害深刻=温暖化でシカ、イノシシ増える−農水省
12月18日18時17分配信 時事通信

 農林水産省は18日、野生鳥獣が農作物を食い荒らしたり畑で暴れたりする「農地荒らし」の被害額が、2008年度は前年度比7.5%増の198億8600万円に上ったと発表した。シカやイノシシが温暖化で増えた上に、過疎化で生じた耕作放棄地に住み着いたことが背景にあると、同省ではみている。
 シカ被害の大半を占める北海道では、東部地域に加え日高、上川両支庁でも牧草地が荒らされたといった報告が目立つ。イノシシの被害は近年、西日本から北日本に拡大。08年度は宮城、山形、福島各県で被害が発生した。 
 先日、ホッキョクグマが共食いを始めたというロイターの記事を紹介しましたが、あちらも「温暖化」と書いていましたね。
 気象学などは私は全くわからない分野なのですが、なんでもかんでも「温暖化」と、原因をそれで落ち着かせたり、そう公表するのは私は大変危険であると思います。

 以前も書いたように、ハンターが減少し続けていることで、シカやイノシシがその数を減らす要素が激減しているわけです。一説には、千頭のシカが20年で4万頭に増えるという試算があるくらいです。(動物たちの反乱 (PHPサイエンス・ワールド新書) 河合 雅雄 林 良博  著, 編集)
 その他にも数を増やす要素があるでしょう。
 そういう原因を詳細に丁寧に1つ1つ調査し分析しませんと、もし「温暖化だから、どうしようもない」という説明だけで片付けるような態度であれば、行政の責任放棄・怠慢と言わざるを得ませんし、被害額なんて減らすことはできませね。
 行政担当者はそういう単純な発想はまずしないものですが、しかし報道がこう短絡的にやたら「温暖化」という、何だかそれひと言で済ませるような安易な報道をされると、農家や担当行政など以外の一般の読者は、「それじゃあ、どうしようも無いんだね」と、短絡的な結論にミスリードしかねないので、こういう中途半端な報道というのは止めてもらいたいものです。

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 それにしても、200億円近くの農産物被害というのは、すごいものです。
 いくつかの市町村の鳥獣被害額は見聞きして知っていましたが、あらためて全国を足し上げるとすさまじいインパクトです。
 こういう被害額1つ知らずに、代案も出せず、農家の被害感情をも理解しようとしない人間は、何1つ物を語る資格は無いですね。

 それはともかく、私は学生時代は農業を専攻していたのですが、農業と言うのは、天候で壊滅状態になってしまったりという、自然現象でその収穫高を左右されるものです。台風や大雨、少雨、冷夏…などなど、農業機械や農薬、肥料がいくらどう発展しようと、天候1つで豊作も凶作も左右されるんですね。

 もっともこれはいろいろな産業においても、いかんともしがたい理由でその売り上げが左右するというのはあるわけですね。株価の上昇・下降、円高・円安、原油価格…。身近なものではアイスクリームやビールも夏の暑さで影響したりしますね。近所のスーパーでも、大売り出しを見込んで仕入れたら、当日大雨になって客足が無く売れ残り…なんて。
 これらについては「どうしようもない」という諦めの部分で、そういった一定割合発生するロスを見込んでの単価の価格設定などをしているのでしょう。(株や先物取引などではその損失が即破産というリスクはあるでしょうけれど。)
 農業被害も単価に上乗せして出荷できれば良いのですがね。気候によって生産高が著しく減少すれば、わずかな農作物が高騰することが市場原理ですから。しかし、日常的・そして農家各戸の部分的に発生する鳥獣被害でのロスは、その分の価格を上乗せしづらいという大きな違いがあります。ある農家が動物により農作物を台無しにされても、その他の大部分の農家でその作物が豊作であれば、「俺んトコは不作でこれしか取れなかったから、高く買ってくれ」とは言えないわけです。

 「動物」という目に見える相手ですから、それが自然物という意識は人間、どうしても持ちづらいのは当然の感覚です。「台風」とか「干ばつ」という人ではどうしようもない圧倒的な自然現象とは思えませんし、実際、何かどうにかすれば被害を失くせるのではないか?台風はワナや鉄砲で対応できなくとも、動物はそういう対処が可能だ…と思うわけですから。

 11月30日付けの信濃毎日新聞の写真グラフに、地元の方が何とか被害を軽減しようとする様子が紹介されています。
 農作物や集落の皆さんはこのような最前線でできる対応をされているわけですから、行政などは抜本的な解決案を構築すべく、調査や研究を積極的にしていくべきでしょう。そして、そういうものだとわからない物見遊山の人々は、そういう現場や日々尽力している行政や研究者に余計なことを言って邪魔しないでもらいたいものです。

狩猟

 かかればワイヤーが足を締め付ける「くくりわな」や、食べ物に誘われて入ると扉が閉まる「箱わな」が、よく使われる「わな猟」の手法ですが、これは法令や各地の条例によって厳しく制限がされています。むろん、許可を受けていなかったり、免許を所持していなければ、そういうわな猟はできません。
 特に「くくりわな」は、法令の主旨を十分に理解した上で、技術や知識の習得が未熟ですと、成果が上がらないどころか山歩きをしている人がそれにかかってしまうという最悪な出来事も発生します。

 わなの種類に関係無くわな猟全般で問題なのは、捕まえようと思っていなかった動物を捕えてしまうことがあります。これを「錯誤捕獲」と言います。

 以前も、違法らしい「くくりわな」にかかったニホンカモシカと、そのせいでそれを食べる機会が増えたのではないかというツキノワグマについて書いたのですが、くくりわなを設置する際、その輪の直径は12cm以内にしなければならないのですが(一部除外している地域もあり)、それは人や保護されているような大型動物がなるべくかからないようにという配慮からです。
 ところが、実際の現場では果たしてそういったことがどこまで守られているのか、大いに不安になる記事が最近連続しました。

 まずは、12月10日の神戸新聞の記事です。
クマに襲われ男性けが 新温泉町

 10日午後2時ごろ、兵庫県新温泉町用土、五十鈴神社東側の山林で、イノシシ狩猟用のワナにかかったツキノワグマの保護作業をしていた県森林動物研究センター(丹波市青垣町)の男性職員(47)が、このクマに左腕の数カ所をかまれた。男性は重傷。クマは射殺された。

 同センターなどによると、同日朝、ワナにかかったクマを見つけた住民が新温泉町に通報。駆けつけた同センター職員らが、麻酔銃でクマを眠らせて山に返す作業に取りかかったところ、ワナをくくりつけた木が倒れ、自由になったクマが男性職員にかみついたという。

 クマは体重約100キロの成獣。現場は周辺に田んぼが広がる山のふもとで、南約1キロには集落がある。
(2009/12/10 21:18)
 冒頭に書いたような基本的なことをわずかでも知っていますと、上記の記事の「ワナをくくりつけた木が倒れ」という記載から、わなの種類はくくりわなのように思うのですが、「体重約100キロの成獣」ということから、直径12センチ以下にしていれば、そんな成獣がかかるのだろうか?という疑問も、この記事から読み取れるわけです。兵庫県では、淡路島以外ではこの直径12cmの除外規定はありませんから、12cm以下であったはずですし、そうでなければなりません。
 小熊ならともかく、100kgほどになったツキノワグマの成獣ならば、前後の足ともに直径は12cm以上にはなるからで、この大きさ以下であれば、錯誤捕獲は目に見えて発生しづらくなるという統計結果があります。

 もう1つは、イノシシはツキノワグマほどのパワーはないにせよ、それでも体重がやはり100kg前後にまでなる国内では大型哺乳類です。この熊は近くまで人間が迫っていたことで相当に暴れたとは想像できますが、わなを固定していた固定物が倒れたわけです。イノシシでも壊れたかもしれません。
 今回の場合はたまたま射殺という形で落ち着きましたが、もし、この発見の前に熊あるいはイノシシが逃れようと暴れてそのときに手負いとなり、そして固定物を倒して、あるいはこの事故発生の際に射殺できずにそのまま現場近くの田の関係者や集落に向かっていたらと思うと、これは大きな事故や混乱になっていたかもしれません。

 そこまでならなかったから良かったと言えば良かったものの、しかし実際、今回は保護に来た人がこうして重傷を負ったわけです。
 そして、死なずともよいツキノワグマを射殺しなければならなくなったわけです。
 有害鳥獣駆除でツキノワグマを捕獲・射殺するわけではなかったのですから、まったくこれはひどい話です。

 どういう木に固定したのかわかりません。客観的にみて、これならば仕方が無い、と思えるような状況だったのかもしれません。
 しかし、ツキノワグマがかかったということは、まったく無知なハンターが適当に仕掛けたわけではなく(くくりわなは、適当に仕掛けて捕獲できるようなものではない)、一定レベルの知識や経験などの技術があると思えるのですが、それにしてもこうして固定物が倒れたり、イノシシを捕えようとしてツキノワグマがかかるというのは、設置技術について問題のように思います。

 集落からそれほど遠くない場所でのことのようですから、今の時期、キノコや山菜を求めて山に入る人はいないので人への危険性は少ないにせよ、熊がかかる程度であれば人がかかるかもしれないということを考えますと、農作物への有害鳥獣駆除のためのわなであったとしてその「必要性」は十分に理解できようとも、これら「設置方法が妥当だったかどうか」は別の議論としてあいまいにしないことが重要なように思います。

 うがった見方をすれば、この発見して通報した「住民」が、わなを設置した人でなければ、イノシシではなく、その他のニホンカモシカやツキノワグマを獲ろうとしたのではないだろうな?などとさえ、思ってしまいます。

 ハンターの減少については、このブログでも何度か書いている、気になることではあるのですが、単に「数」の減少と同時に、その中で指導・監督役でもあった人までも減って、若い世代のハンターが知識や技術の能力が低いままに仕掛けるようなことがあったり、あるいは「(指導が厳密で)うるさいじいさんが引退したから、好き勝手やろう」などと増長するモラルの低いハンターが出なければいいな、と思います。それは様々な分野で、よく起きることだからです。

 そんな心配の中あった、別の記事です。
 12月12日のスポーツ報知の記事です。
有給使って捕獲イノシシ無免許解体…長崎・対馬
12月12日8時0分配信 スポーツ報知

 長崎県対馬市のし尿処理施設、対馬北部衛生センターの男性所長(51)が、無資格でセンター近くの道路沿いなどにイノシシやシカ用のわなを仕掛けていたことが11日、分かった。所長は勤務中でもイノシシの解体に出かけることもあったという。

 同センターの周囲は山に囲まれ、イノシシやシカの被害が多い土地柄。狩猟免許を持った知人らがわなを仕掛けて捕獲していたが、免許を持たない所長も約10か所にわなを仕掛けていた。

 市内には捕獲動物の解体施設がなく、1頭30分程度で素早く解体できる所長に処理依頼の電話がかかると、勤務中にもかかわらず、2〜4時間の有給休暇を取って対応。所長が昨年と今年に解体したのはそれぞれ5頭。市の所有地内で解体したり、死骸を埋めるなど公共施設の私的流用の疑いもあるという。
 まあ、昼休み中や有給休暇を取得していた以上は、「職務専念義務違反」にはならないでしょうが、公共施設の私的利用や信用失墜行為には当たります。
 公務員としての処罰はともかく、「狩猟免許を持った知人」や「処理依頼の電話」をかけた人は、この人がそういう免許を持っているか否か、気づかなかったのでしょうか?

 山間部では、厳密な法律よりもその土地に合ったルールが暗黙のうちに了解されるような、ときとしてそれはやむを得ないと情状すべき背景があるにせよ、「狩猟関係者」の中で、そういうあいまいなことがまん延してしまうとか、技術や知識や未熟ではないかという疑問を持たれるような事故などが続けば、動物保護や有害鳥獣駆除の対策やそれらへの理解は行政は進めることまでもが困難になってしまいます。

 協力を求める狩猟団体やハンターに強く出られないという行政の弱さもあることですから、やはりここは、しっかりと駆除を委託して、委託者と受託者という対等な関係を構築していくようにしないと、短期的対策が崩壊するのを早めるばかりでしょう。残念ながら。

 だから、私は、内容はどうかわかりませんが、以前にも紹介した兵庫県の行っている「鳥獣害対策マイスター育成スクール」については、その主旨や着眼点は非常に重要ですし、前例踏襲主義が多い行政にして、改革の意欲を感じると評価します。
 もっとも、何の対案も出さず、気に入らない人は気に入らないようですけれど。

 私は安易な動物愛護論者ではないのですが、是々非々で問題は問題として糾弾しませんと、この問題は前には進まないと思います。

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ハンター減少現象

 以前も書いたことですが、全国の「ハンター」人口が急速に減っています。

 趣味の多様化や、山野に入って長期間歩いたり研究したりと言う根気がいること、狩猟や銃砲所持の許可申請などが近年厳しくなったことなど、様々な要因があります。
 また、自称自然保護・動物愛護団体が一方的な苦情を狩猟団体やハンターらに感情的に押しつけることにウンザリしている人が実際多いことを考えると、そういう批判を嫌がっているところもあるのではないかと思います。

 自らの手で他の生命を絶つということを嫌がる人も多くなっているということもあるでしょう。
 生命の尊重は大変良いことです。しかし、それは「無益な殺生」に対してはそうですが、食べる物として・食べて行くためとしての殺生は私はやむを得ない・ありがたいものと真正面から現実として受け止めるべきが肉を食す全ての人間は共有すべき責任だと思いますが、そういうものを含めて単に目をそらして肉や野菜を食すのは、一般の人であっても、それらの責任を放棄しているだけとしか思えません。

 ハンターや狩猟団体が全て善人ですばらしい団体とは私も思っていません。未熟で、しょうもない人にも何人にも出会いました。しかし、それはどの世界でもあることで、その数事例を持って全否定あるいは全面肯定をするのは間違いでしょう。

 その是非はともかく、「ハンター」が、個人的趣味の反面、社会的な一定役割を担っているという事実は押さえておくべきでしょう。
 「有害鳥獣駆除」として、農作物や人々の生活を守るために活動するのは、この「ハンター」の他には警察しかありませんが、地域の野山や動物の生態、狩猟にかかる特殊な法令などを一般警察官に求めるの酷ですし、非効率的です。

 有害鳥獣駆除も、全て「やむを得ない」ものとも思っていませんし、その中に不透明と思われる問題があることもわかっていますが、そういうことを含めて、この「ハンターの減少」と「有害鳥獣駆除」の問題といった短期的な対応と、「有害鳥獣」となる動物の数そのものを減らす抜本解決・長期的な対応は車の両輪として考えて行かなければなりません。

 未熟で偏った「自然保護団体」「動物愛護団体」は、短期的対応の代案を一切出さないか、せいぜい荒唐無稽な代案を出すくらいで「有害鳥獣駆除」や「ハンター」らを批判するだけですが、そんなものでは理解は得られませんし、解決にもならない主張です。

 11月14日の朝日新聞(山形)の記事です。
狩猟 冬の時代
2009年11月14日
 
∞会員減、駆除は続く

●趣味多様「殺すより守る方がウケる」

 県猟友会の会員が減り続けている。「狩猟」への風当たりが強まっていることや趣味の多様化などで退会者の数が加入者を大きく上回り、高齢化も進む。一方で、有害鳥獣駆除などの要請は依然多く、会員一人ひとりの負担は増している。今月1日に解禁されたカモ類の猟に同行し、猟友会のあり方を考えた。(高田正幸)

【中略】

●50歳以下1割程度

 県猟友会は狩猟者らでつくる公益団体だ。ピークだった79年の会員は約7100人。その後減り続け、00年約2700人、今年は1800人を割り込んだ。30年でざっと4分の1になった計算だ。

 会員の高齢化が進む一方、若年層の加入者は少ない。会の平均年齢は60歳を超え、50歳以下は1割程度という。

 川越さんは、地域の人々の「山離れ」を嘆く。「昔は猟をする人が周りに大勢いて、自然と猟に親しむ環境があった」。だが今や狩猟で生計を立てる人はほとんどいない。一方で趣味が多様化。「動物を殺すより、守る方がウケがいい時代になった」

 07年12月に長崎県佐世保市で起きた猟銃乱射事件などを契機に銃規制が進み、所持しにくくなったのも痛手だ。県警によると、07年の県内銃所持者は約3千人いたが、この2年で約400人減った。

 川崎さんと川越さんは「狩猟に対する世間の目線は年々厳しくなっている。私たちはまるで悪者扱いだ」と嘆きつつ、こう問いを突きつけた。

 「でも私たちがいなくなると、動物に作物を荒らされる農村は誰が守るのか」

 クマやサル、カラスなど農作物を食い荒らす鳥獣の駆除は、住民の依頼を受けた猟友会が自治体の許可を得て実施している。08年、県内の猟友会で獣類約1100匹、鳥類約1万1500羽を駆除した。時には仕事を休んで作業するが、手当はわずかで経費を差し引くと赤字だ。しかも会員が減るに従い、一人ひとりの負担は大きくなっている。会員は踏んだりけったりだ。

 「駆除は我々の使命だが、会員がさらに減れば、会は存続の危機に陥る。駆除を続けるのは難しくなるだろう」と川越さんは肩を落とす。

●サル被害年2億円

 狩猟者が減った影響はすでに顕在化している。県がサルによる農作物被害の報告を受けるようになったのは約15年前。狩猟や林業が廃れ、山に人が入らなくなった分、奥山にいたサルが人里に下りてくるようになったという。サルによる農作物被害は多い年で年2億円を超す。県の担当者は猟友会の会員減少について、「有害鳥獣の捕獲ができなくなれば、農作物被害が増えかねない。極めて深刻な問題だ」と危機感を抱く。

 この日の猟は午前でほぼ終わった。撃ち落としていいカモは1人1日5羽まで。収穫は合計約40羽だった。

 午後、メンバーたちが獲物を手にして川崎さんの家に戻ってきた。カモをさばき、近くの公民館でカモ鍋が始まった。近所の人も加わって、にぎやかに鍋をつつく。その様子をながめながら、川越さんが言った。

 「昔はこうやって猟の成果をみんなで分け合い、きずなを深め合ったんだ。狩猟は、文化としても残さなければならないと思うよ」
 実際に目の前にある、巨額の経済損失や住民生活への対応を、早急に対応するためには具体的にどうすれば良いか?ということへの有効な代案を出さない者は、この有害鳥獣駆除全てを批判する資格は無い。

 しかし、ここで何度も批判したように、現実も知らず、想像だけで批判していて、そして現実を知って唖然として代案も出さなかったり、代案も出さず、何の根拠も出さずに、行政の事業に圧力を加える事例がありましたが、こんなものを盲目的に支持している人が少なくないというのが、日本人の自然や食文化や命に対する無責任ぐあいを感じさせられ、ガッカリさせられます。

 こういう危機感というのは、各報道機関でも感じたのでしょうか、立て続けにハンター減少についての記事が最近目立つようになりました。
 11月20日の読売新聞(福島)の記事です。
害獣駆除「担い手」育成に苦慮

 農作物を荒らすイノシシやサルなどの駆除を担う狩猟者の数が減少の一途をたどっている。県は昨年度から担い手育成対策に乗り出したが、減少傾向は止められない。来月からは、改正銃刀法の施行により使用条件が厳しくなることもあり、農作物被害が広がりかねないとして、関係者は頭を痛めている。(西口大地)

 「銃を背負って1日山を歩くのが、年々きつくなってきている。以前は軽く飛び越えられた溝も、今じゃぎりぎりだよ」。19日早朝、相馬市の山間部で、仲間5人とともにイノシシの駆除に出た県猟友会の阿部多一会長(77)は、自身の体力の衰えを自嘲(じちょう)気味に話した。

 現在90人いる同会相馬支部の会員のうち、60歳以上が8割以上を占めている。菅野富康副支部長(73)は「年をとってくると、家族からの『危ないからもうやめろ』という声も強まってくる。それで(狩猟)免許を返上する人がほとんど」と語る。

  県猟友会によると、会員数は1970年代の約1万6000人をピークに年々減り続け、今年度は3726人になった。このうちの45%が60歳以上だ。

 動物愛護意識の高まりなどもあり、減少は全国的なもの。一昨年に発生した長崎県佐世保市での猟銃乱射事件などから規制も強化された。12月4日には改正銃刀法が施行となり、狩猟者は猟のシーズン前、指定射撃場での技能講習が義務づけられる。県猟友会は「手続きが面倒で猟をやめる高齢者も多くなるのではないか」と危惧(きぐ)する。

 県循環型農業課によると、サルやイノシシ、クマなどの獣類による県内の農作物被害は、1990年代から徐々に増加。電気柵などの防除策も進むが、被害額は毎年1億〜2億円に上る。被害面積は、400ヘクタール〜800ヘクタールで推移している。

 柵やワナなどで対処できない部分を補うのが、銃による駆除で、各市町村が捕獲隊に委託しているが、ある自治体の担当者は「猟友会の人からは、あと5、6年もすれば隊を組めなくなると言われた。隣接自治体との広域連携も真剣に考えなければいけない」と頭を悩ませる。

 こうした事態に、県では狩猟者を育成する必要があるとして、昨年度から県内5地区で免許未取得者や初心者向けの技術研修会を開催。また、狩猟免許の新規取得者獲得のため、試験を農閑期にも新たに設置し、回数を年2回から3回に拡充した。これにより、昨年度の受験者は前年比26人増の219人となり、今年も2回までで前年を上回っているが、減少のペースには遠く及ばない。

 県はさらに、今年度中にイノシシの保護管理計画を策定し、生息域や頭数の調整を図る方針だが、県自然保護課の担当者は「狩猟者による駆除ができなくなれば、被害拡大に歯止めがかからなくなるのでは」と懸念している。

 県猟友会では、自衛隊員の銃による駆除参加などを国に働きかけているが、阿部会長は「駆除には狩猟者の力がまだまだ必要。担い手確保のために、いろんな知恵を絞っていきたい」としている。

(2009年11月20日  読売新聞)
 有害鳥獣駆除そのものを頭ごなしに批判するだけの人は、取りあえず短期的な農作物被害への有効な対応方法を示すか、一緒に有害鳥獣防除をしていく覚悟を持って・参加してからにしていただきたいものです。

 また、行政にしても、短期的な有害鳥獣駆除という手法と並行して抜本的な解決を模索する努力や、有害鳥獣駆除をハンターや狩猟団体の「ボランティア」に頼って行うという発想そのものからの転換を図る必要があるでしょう。

 銃乱射事件によって銃所持の規制や講習の厳密化という、いかにも役所らしい対処はやむを得ないまでも、同じ行政がハンターにそういった負担を重くしています。様々な負担が多くしかしメリットは誇りだけでは、続くわけがありません。

 行政が、この短期的な対策においても「ボランティア」などという小手先の対応という現状を真剣に考えて行かなければ、そのうち、全国の警察に山岳救助隊のように、地域の山や動物を専門に勉強し訓練した部隊を編成して対応しなければならなくなるなり、後日大きな負担となって自らに返ってくることでしょう。

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