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「忙しかった。は言い訳にならんのだよ。分かるな?・・ん?」
メガネの奥の小さな眼を嫌らしく光らせて言う。
「はい・・すみませんでした・・。」腹に据えかねる怒りを抑え、言いたいことを噛み殺し、吊り上げは頭を下げる。
そもそも、忙しいを言い訳だと言うお前らのその言い分こそが我々に対する言い訳だと何故気づかない?
仕事量とルールのバランスがおかしいから、これだけ違反が頻発するのだ。本当にルールを順守して欲しいなら、ルールに見合った仕事量に調整するのが、お前ら管理職の責務じゃないのか。
それを棚に上げて、「全く困った奴らです。ハハハ、動物と同じですな。何度言ってもダメですわ。」などと平気で言う。
下請けの打ちつづく重労働を尻目に、「コンプライアンスがうるさくて」などと宣っては、人より後に来て早く帰り、休めない我々を嘲笑うように毎月、きっちり有給休暇。
貴様らが、法を遵守して、人並みの給料を得、きちんとした社会人ヅラしてふんぞり返っているその下には、低賃金での長時間労働、リスクの高い仕事、保障の何もない、社内コンプライアンスもクソもない環境で、喘ぐ下請けの怨嗟の声、阿鼻叫喚。そんなものの上にお前らは、常識人然として座っているのだ。
お前らの勤務態度の実態、我々の労働環境、不当解雇の証拠に証人。労災事故隠し、労基法に全く沿わない前時代的な労働条件。それらの資料をまとめて、お前らの鼻が絶頂まで伸びた時、反撃開始─
─倍返しだ!(照) 「吊り上げ太郎、オレたち下請け中途入社組」
うわっ!ハズッ!言ってもうたww流行語言ってもうた。しかもスケールがちっちゃいwwwwタイトルダサいww
さらに言うなら何の倍?
「オレたちバブル入行組」 池井戸潤著。
視聴率40%を記録したというドラマ「半沢直樹」の原作本ですね。
一人の人間を楽しませることさえ難しいというのに、40%ですから。
そら、オモロイんやろな。と気になって仕方なかったんですね。
一読して思う。これは、確かに面白い・・・。
ドラマ化に際して、タイトルを「半沢直樹」としたアイデアは秀逸。このままのタイトルだと、あそこまでヒットしなかったんじゃないすかね。
ミステリーの要素あり、大きな者に小さな者が戦いを挑む構図、圧倒的不利を粘り強く打開していく過程、水戸黄門、ミナミの帝王に通ずる勧善懲悪のカタルシス。
しかし、これが皆理解出来るということは、いかに組織というものが成熟しすぎて、腐っていってるかの証拠。
システムでガチガチの現代の組織の中に、正義の入り込む余地を描いたこの作品は、多くの人の胸を晴らしたんでしょうね。
でも、半沢直樹と一緒に巨悪に挑んだオッサンのセリフ「正義もたまに勝つ」。
これが実態ですよね、正義がたまにしか勝たないのが社会です。
真似して、上に楯突いたら大概失職して凋落しますね。
この物語が人気を博すということ、そのことに何か侘しさと悲しさを感じたり。
みんな、いろんな屈辱、理不尽を耐え忍んで生きてんだね。
そう思いました。
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2013年12月04日
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