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子供の頃は無知からくる残忍性や、ワガママからくる利己性。
大人になるといろんなことができるようになって人助けなんかもできるとか思っていたら、思ったよりも自分のことでいっぱいいっぱいになる暮らし、視野の狭さからくる排他性、損得勘定が先に立つあざとさからくる利己性。
善い人でありたいと切望しつつも、一向にそうはなれない、何時かはなれると思っていた甘い展望も、今や諦観の境地。
「利」よりも「理」を大切に思っているつもりでも、追いかけるのは目先の小銭。
行動一つも心より、まず財布に相談。
「利」に対して無頓着であることは、今の世の中ではバカと評される。
ところが善人の条件には絶対「損」を恐れぬことが必須。
しかし、大人になればなるほど、この「損」を恐れる。
単純に生活の心配も然ることながら、バカだと侮られ、謗られることが怖い、ただでさえ地に落ちているプライドは、これ以上の屈辱に耐えられそうもない。
そんな理由で、後ろにあるものに思い切り意識を残しつつ、前を向いている。
理想は「理」を求めるけど、現実では目の前の「利」を追いかける。
心と体、思いと行動が一致しない。てんでバラバラ中途半端。
このままでは、ハーフスイング三つで三振。
それが、大人か?それが、人生か?
たまに振り切った人いわゆる善人を見ると、そんな疑問が沸々と。
でもこの疑問、暗雲立ち込める感じではなく、逆、雲が払われていくような、そんな感じが。
「ジ、エクストリーム、スキヤキ」 2013年 日本 監督 前田司郎
物語自体はどうということもないのだけど、
この空気感がたまらん。
この作品に出てくる人たち、実に愛すべき人たちで、
世の中の役には立たないのかもしれないけど、すこぶる善人。
社会というフィルターを通せば、クズってことになるのかもしれないけど、
そのままでいい。
そう思わされた。
善哉。
「我が家のおバカで愛しいアニキ」 2011年 アメリカ 監督 ジェシー・ペレッツ
タイトルにあるとおりバカと評されるアニキ、
大抵の嘘は、自分に利益を誘導しようとつかれるものだけど、
彼の念頭には「利」というものがないから、とても正直。
その正直さが周りの人の利益を損ねて、トラブルに陥れる。
そもそも、隠し事や嘘をついていた周りの人達が悪いのだけど、
起こったトラブルの責任は全て、このアニキに転嫁される。
最終的には、彼の正直さが全ての人を幸せに導くけど、
これはエンターテイメントだからね。
現実には、こういう種類の人は、ずっと周りに軽んじられ、疎んじられ、侮られ、嘲られる。
でも、こういう愛すべき人物を見ると、
世の中が間違っているような気がしてくる。
僕も含めて。
そう思いました。
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