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企業のメンタルヘルスというと、うつ病がよくクローズアップされ、
その支援も、制度的にも次第に確立されつつある。
たとえば2006年3月には、厚生労働省は、
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を発表。
事業者が計画的に職場のメンタルヘルスを進めることや
心理や医学の専門家、従業員、管理者、人事・労務担当者たちの
協働の重要性について述べている。
また、大阪商工会議所は、こうした時代の背景を踏まえ、
人事スタッフ、管理職、一般社員を対象に
メンタルヘルスの知識や対策、対処法を問う
メンタルヘルスマネジメント試験を実施。
前回3月の試験では、5000人余りが受験し、
メンタルヘルスへの関心の高まりがうかがえる。
うつの症状を訴える人が増えているせいか、
同試験の公式テキストでは、企業のうつ対策に多くのページがさかれているが、
個人的には、躁病への知識、理解も大切と見ている。
躁病は、あまり「病気」として見られないため、見過ごされる傾向にある。
躁病は、うつ病と反対に生きるエネルギーが充満している状態と考えるとわかりやすい。
睡眠欲求が減少し、寝なくても平気。
食欲や性欲が亢進し、活力に満ちている。
よくしゃべり、落ち着きなく活動。
気分が高揚し、アイデアが次々に浮かび、
自分がとても有能だと感じ、万能感をいだくこともある。
こう書けば、なんだ、それはそれで結構じゃないかという
ご意見も出てきそうだが、ことはそう簡単ではない。
気分爽快で上機嫌が続く場合もあるけれど、
些細なことで怒ったり興奮し、トラブルを引き起こすことがある。
ほんのわずかなことをヒントに、あれこれを結びつけるが、
着実性に欠き、現実味から乖離、逸脱することも多い。
しかし、本人は有能感に浸っているので、
自分の考えそのものが欠陥だとは思わず、
周りの意見を真摯に聞こうとはしない。
いかがだろうか? こういう人が周りにいたら・・・。
(しかし、意外に多いのではないだろうか)。
躁病と自ら名乗る人とは、会ったことがないけれども、
そうらしい人と会ったことがある。
中年紳士のその人は、前の会社の悪口をいっぱい言った。
そしてすぐ就職できると言わんばかりに、とにかく、
早く面接に行きたいといった。
職務経歴のたな卸し(これまでやってきたことの吟味)も
ほとんどせず、面接に行った。
はじめ意気軒昂だったが、何社受けても採用にいたらず、
紳士は、次第に、自分の直すべきところを聞いてくるようになった。
この人の場合、通常のキャリアカウンセリングのステップとは逆に、
面接が先で、自己分析があとになった。
一時、アルバイトをされ、半年後に再会。
そのあと、3ヵ月後に就職。
給料は当初ご希望の半額近くになった。
それでもいい、言われた。
本心かどうかはわからない。
しかし、ともかくスローダウンしてでも
自分を見ながら歩む方向に変わられたことは、
この先のいい兆候だと思った。
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