きつい長時間の仕事だった。おまけに単価が安い。
いやだったら、別のことをすればいいのだけれど
も、悲鳴をあげている体では選択肢がないのだ。
きつくても、つらくても、痛みをこらえながら、
在宅で黙々と頑張るしかない。
しかも・・疲れ切ったところ心に、
今日は支給明細が届いたが、予想よりも、だいぶ
少なかったので、ため息をついて眺めていた。
私の夢は家内を湯治に連れて行ってあげること。
ひなびた温泉、自炊の出来るような安宿で十分な
ので数日間、のんびりしてこようねと話している。
しかし、この貧乏暮しでは無理かも知れない。
疲れ切った体のせい、家内に申し訳ない気持ち・・
いろんなことがあって、考えているうちに、涙が
ぽろぽろとこぼれてきた
寂しい・・とにかく・・寂しい・・
こうなったら貧乏を楽しんでしまうしかないね。
言葉をかえれば清貧のまっとうな生活じゃないか。
人生、何が起こって、どうなってしまうかなんて
自分にさえ分らない。
大切な家内には、長生きしてほしい、逆に言えば、
私は家内より長生きしなければいけない。でないと
家内をみとってあげることが出来ないじゃないか。
最期の時にこそ、本当に一つになれそうに思う。
そうして、安らかに送ってあげることは私の義務
だ。彼女には姉妹、娘もいるが、私と家内への想
いを共有している訳ではない。
幼少から苦労の連続で、何もいいことがなかったと
いう彼女、ほんの一時期でもいいから、幸せって
ものをプレゼントしてあげたい。
それもまた、私に課せられた義務だ。
自分にとって権利などなくてもいい、権利とは、大
事な義務を果たすために授かった仮の約束事なのだ
から。
自分のことを考えるのは、家内への義務をしっかり
達成してからのことだ。
そんなこともあって、私は、初めて、家内の前で泣
いた。







