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私は元来ラジオが好きで、無線通信に興味がありました。数千キロも離れたところと空間を通じて通信できることに不思議さとロマンを感じておりました。中学か高校の頃住んでいた田舎の駅の駅長室に「祝全国鉄道電話SHF回線完成」というポスターが張ってあってことを覚えています。また高校時代に電電公社のマイクロウェーブ中継局が、高校のグラウンドから良く見える近くの山にでき、パラポラアンテナや導波管を身近に見、あのようなことに携わりたいなと思っていました。 会社に入りUHFテレビ中継放送機の設計に配属され念願の仕事が出来るようになりました。当時はまだ真空管の時代で、空洞共振器の中に真空管を収容したUHF増幅器を何段も従続接続して使っていました。これらの増幅器などを接続するにはインピーダンスを互いにあわせることが大切でした。インピーダンスが食い違うと違った点で反射が起こります。反射は光が水面で反射するのと同じ理屈です。光の場合は空気と水の密度が変わる点、水面で起こるわけです。 インピーダンスが違うと反射分がロスになったり、増幅器の動作が不安定になったりするのでこれを正確に測り希望の値にすることが極めて大切です。インピーダンスは使う周波数ごとに変わってきます。このころは定在波測定器という道具を使って測定しこれを上に示したスミスチャートという用紙に書き込みます。インピーダンスは周波数によって変わるので周波数を変えながら計って、プロットしていきます。 スミスチャートは複素平面を反射ゼロの点のインピーダンスを基準にしその何倍あるいは何分の1のインピーダンスになっているかを対数尺を用いてあらわし、1倍の点を中心にして無限大から、無限にゼロに近い値まで一枚の紙に書き表せるようにしたグラフ用紙です。横方向には実数部を縦方向には虚数部を表示するようになっています。そして複素数の絶対値が1倍の点からそのグラフ用紙上で同じ距離になるように工夫され全体で円形になっています。 以前に複素数の世界で代数、三角、指数関数の関係が美しいと書きましたが、学校の数学では虚数というものは目に見えないものだけに現実の世界として体感するする機会が少ないのですがこのとき初めて虚数、複素数というものを、自分の体で実感しました。幸せだったと思います。 機器の設計に当たってはインピーダンスを希望する値になるように形状を決めることが必要ですが、反射を別の反射でキャンセルするというようなこともできますが、なかなか思うようにいかず、苦しみましたが今から考えると面白い世界です。 大きな船舶で球形船首というのがありますが、あれも同じことです。船は船首をどんなに鋭くししても、高速で航海すると波が立って推進エネルギーにロスを生じます。船首を球形にして別の波を立て船が立てる波を打ち消してロスの発生を軽減しています。あの形の船を見るたびに、わたしはかって経験したスミスチャートや複素平面を思い出します。 ここに掲載したスミスチャートはウィキペディアから転載させていただきました。スミスチャートをもっと詳しく知りたい方はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/でスミスチャートを検索されるとよいとおもいます。
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